2011年08月10日

住宅設計―住宅の耐震補強リフォーム工事とヨットの補強工事の共通点とは?その5

 自然の猛威は恐ろしい それに立ち向かう人間の力 は地震力に負けない安全な木造住宅の設計を可能にした だがそれを実現するためにはそれなりの工事費用が必要になる

 しかしながら 住宅建築のための工事費用は それだけを無限に捻出出来るわけではない

 人生を歩むために必要な費用の範囲の中でのバランスを考えた 住宅 についやすことのできる費用の額になるのだ

 そこで 建築基準法で定める必要最小限の木造住宅耐震構造仕様で住宅をつくることにすれば 大震災時 少なくとも命に別状は無いはず となるのが一般的な考え方になるのだが 現実は 特に2000年以前に建てられた住宅では そうはならないという恐れが 幾分なりともあるのだ

 年数を経た木造住宅では 材料の不均一のある部分 不備な工事部分 経年による構造体の劣化部分など
 隠れて見えない不完全な部分も多々あるかもしれないのが現実の姿である

 ぎりぎりの耐震構造強度で設計された木造住宅は その不完全な部分が破壊されると 連鎖的に建物の他の部分の局部破壊 更にそれがこうじれば建物の全壊に繋がることにもなりかねないのだ
 
 ぎりぎりの耐震強度を持つ極端な経済構造設計ではなく 余裕を持った強度の構造設計とその工事費用を捻出することが 木造住宅設計には必要な知恵なのだ と 己れはいつも主張している

 そして2000年(平成12年)以前に建てられた木造住宅の耐震構造には 入念な再チェックが必要である とも 己れは声を大にして主張している



 このことの詳しい内容については住宅設計事務所建築家木村俊介のホームページで「耐震補強をおこなう住宅スケルトンリフォーム設計」の項を御覧下さい



 耐震補強をともなうKさん宅のリフォーム工事は 8月に入ってようやく2階部分の耐震補強工事が終わりに近づいてきた

 主要な構造材どうしの接続部分に設けられた 大きな 力 を伝えるボルトが この30年の間にその殆どの箇所が 指で回すことが出来るほど緩んでいたのを締め直す
 木材が長い年月の間に痩せてしまい 更に度重なる地震力にあったことにその原因があると思われる 
 30年前の住宅なので筋違材の端部は釘で止めてあるだけなのだが 全て構造金物できちんと接合をして 計画の耐力が期待出来ることになった



 住宅の一部だけを 極端に強い耐震力を持つ壁にすることは その部分の壁が地震時に受け持つ大きな 力 を その壁が接する 床 に伝えなければならない という別の一面も持つ

 そのため その床の水平面の充分な剛性(構造的な硬さ)を確保することも 必要 かつ 非常に重要な補強計画条件になる

 なるべく低い耐力倍率の工法による耐震壁を 必要 かつ 余裕をもって十分な量 を確保して 建物全体にバランス良く配置するのが 理想的な耐震設計なのだが 新築の場合と違い 既存住宅に耐震補強工事をおこなう場合は 理想通りの耐震設計が出来ない場合も少なくない

 設計図上での耐震補強計画では 既存建物の平面形状からの制約などから 新たに耐力壁を設けることが必要となる場所に 実際に設けることが出来る壁の量は制限されてしまうことが多い

 そのような場合には どうしても その壁の制限内の範囲の中で 強い耐力を持つ構造の耐力壁を設けることになる

 Kさん宅の場合は このような理由で耐力壁の補強に留まらず 水平の構造面(床面)に入念な剛性補強工事をおこなうことになったのだ


 既存住宅は 段階を追って 少しずつ仕上げ材が取り去られ 木構造体が露出されゆく
 そして耐震補強が図面上で計画したとおりで 必要 かつ 充分 であるかどうかを 現場で確認してゆかなければならない

 既存構造体現場確認は一回で済むことはない 一定期間は殆ど連日 大工さんの除却工事に合わせて現場通いとなる

 事務所でつくった設計図の存在があるとはいえ 住宅をスケルトンにしてみて 30年前の木構造の細部を 目で確認し 手で触ってその状態の更なる確認もして 初めてわかることも多々ある

 その結果 さらなる耐震補強 修正 の計画が必要となる場合も多い



 時期は酷暑の真最中

 現場で唸りを上げている大型扇風機に舞い上がる 小屋裏 床下 天井裏 の 30年間に積もったほこり 取り壊しに使う電動工具から出る木材の粉塵に 喉がいがらっぽくなる

 汗だくの濡れたjpegシャツや顔にもそれらがついて気持ちが悪い

 が この確認作業は 己れの目で 己れの手でやらなければならない己れの職務だ

 大工さんの職務に比べれば楽なものだ と己れに云い聞かせる


 少しずつではあるが このような経験も積み重なって 増えてきた 住宅設計手法の奥義の数々


 1級建築士免許は持ってはいても 本当の 住宅設計免許皆伝 になるのはいつの日か


 己れの住宅設計修行は続く

 

 次回その6 で ヨットの船体強度の余裕の考え方 について御覧頂く予定です




住宅設計-木造住宅の耐震補強リフォーム工事と ヨットの補強工事の共通点とは?

その1 2000年以前に建築の木造住宅は耐震の再チェックが必要

その2 耐震補強工事には現場確認が重要である

その3 耐震補強設計における 評点1.0以上 とはどんな意味?


その4 耐震補強の コスト とはどの位のものなのか?


その5 耐震補強では 床面に入念な剛性補強をおこなうことも忘れてはならない重要な事項である




建築家木村俊介のつぶやき ブログリストから他の ブログ もごらん下さい





住宅設計事務所木村俊介建築設計事務所のホームページも御覧下さい



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