蒼き空を翔る守護者達

~ 初心者の戦闘機ファンによる現用戦闘機等の考察 ~

F-35Bは「いずも」や「かが」に艦載されるのか?

F35B

今から4年近く前の平成25年7月19日の記事で、日本政府がF-35Bを護衛艦の艦載機として導入する事を検討している、と報じられたニュースを紹介しましたが、その後、F-35Bを艦載機として導入する事が正式に決まった、もしくはほぼ決まった、というようなニュースは聞きません。
結局この件はどうなったのだろう、と思っていたら、今月23日、ネットニュースサイトの「乗りものニュース」に、航空軍事評論家の関賢太郎さんによる、『海自ヘリ空母「かが」就役 F-35Bは結局のところ搭載できるのか? その運用は?』というタイトルの実に興味深い記事がアップされました。

結論としては、現状ではまだ結論も、明確な方向性も出てはいないようですが、技術的には、F-35Bの艦載は特に困難な事は無く、やろうと思えば十分可能なようです。
以下の鉤括弧内に、その記事の全文(緑文字)を転載します。


護衛艦「かが」が就役しました。結局のところ、「かが」や「いずも」といったヘリ空母にF-35Bは搭載できるのでしょうか。搭載できたとして、意味はあるのでしょうか。

護衛艦「かが」就役、海自4艦目のヘリ空母

2017年3月22日(水)、海上自衛隊の新型護衛艦であるヘリ空母「かが」が就役し、同艦を建造したジャパンマリンユナイテッド磯子工場において式典が実施されました。「かが」はいずも型護衛艦の二番艦であり、海上自衛隊においては「いずも」およびひゅうが型の「ひゅうが」「いせ」に加えて4艦目のヘリ空母になります。

いずも型はひゅうが型に比べてはるかに大きく、また武装に充実したひゅうが型とは異なり個艦防御用には最小限の20mm機関砲と短射程ミサイルしか搭載しないことから、航空母艦としての航空機運用能力をより重視した護衛艦であるといえます。
それゆえいずも型に対しては、アメリカ海兵隊において2015年に就役したばかりの最新鋭短距離離陸・垂直着陸戦闘機F-35B「ライトニングII」を艦載する能力について、かねてより議論があります。防衛省が公式の場でF-35Bの艦載について言及したことはありませんが、各種メディアなどではたびたびF-35B搭載論が登場します。

結論から言うと、いずも型にF-35Bを搭載すること自体には何ら物理的な障害はなく、可能であると推測されます。戦闘機を運用する上で阻害となる飛行甲板に設置された20mm機関砲「ファランクス」の移転や、必須ではありませんが船首に勾配を設けた飛行甲板「スキージャンプ」を設けるなど、それほど大きくない改修のみで対応は可能とみられます。

可能であってもそれを実行しないワケ

いずも型にF-35B戦闘機を搭載することは可能でしょう。
ただ、それだけでは戦力として機能しないので、戦闘機以外にも緊急脱出したパイロットを救助するためのMCH-101やV-22といった救難捜索機または輸送ヘリ・ティルトローター機を3機から4機、さらにMCH-101ないしV-22を原型とした早期警戒管制機3機から4機、加えて既存のSH-60K哨戒ヘリが3機から4機必須であり、また可能ならばV-22空中給油機型が1機から2機欲しいところです。
以上のように、少なく見積もっても戦闘機以外に十数機程度のヘリを搭載しなくてはならないので、いずも型で実際に運用可能なF-35Bは8機程度、ヘリを減らしても12機が限界となるでしょう。

ただしこれらはあくまでも物理的な話であり、日本の安全保障においてはいずも型でF-35Bを運用する合理的な理由はまったくありません。なぜならば本国から遠く離れた地に対して戦闘機を派遣する必要が無いからです。
日本およびその周辺において戦闘機を運用する必要があるならば、陸上の飛行場を使えばこと足ります。たとえば那覇基地から約400km離れた尖閣諸島で有事になったとしても、超音速巡航が可能な通常離着陸型F-35Aならば片道20分で到着できます。

さらに、海上自衛隊には戦闘機運用の基盤がありません。いずも型に対して8機ないし12機の戦闘機を搭載するならば、60年にわたる戦闘機運用の基盤がある航空自衛隊において、F-35Aを一個飛行隊(約20機)増強するか、KC-767やKC-46といった空中給油機を数機増やしたほうが、はるかにコストパフォーマンスに優れた選択であるといえるでしょう。
以上はしかし、すべてを合理的に判断した場合の考察です。

合理的ではなくとも可能ならば実行しかねないワケ

「守るも攻めるもくろがねの 浮かべる城ぞ頼みなる」
『軍艦行進曲』でうたわれる「頼みなる城」とは、かつて巨大な戦艦でした。そしていま、城の役割は空母へと移り変わっています。城は純粋に要塞として機能するだけではなく、ときに国家の威信や象徴としても機能します。

戦闘機を搭載する本格的な空母を導入し一国一城の主となることは、海上自衛隊ひいては日本政府にとって悲願であり、ペーパープランに限っても、古くは1950年代の海上自衛隊創設期にまでさかのぼることができます。また1970年代に入ると、イギリスにおいて実用化された画期的な垂直離着陸(VTOL)戦闘機、ホーカー・シドレー「ハリアー」と空母はセットで語られるようになります。

これまでこうした計画はすべて潰えてきましたが、安全保障に限らず政府による政策のすべてが合理的であるとは限らないことを考えるならば、「いずも」「かが」という器を手にした日本が、F-35Bという酒を注ぎこむ未来は十分にあり得ると言えるのかもしれません。


昨年2月5日の記事で紹介した、かわぐちかいじ氏の架空戦記マンガ『空母いぶき』の中では、いずも型護衛艦をモデルとした架空の航空機搭載型護衛艦(軽空母)で、主人公達が乗艦する「いぶき」は、専守防衛のための対潜水艦用の名目で、F-35JBを15機艦載しています。
興味深いのは、操艦は海上自衛隊が、航空管制は航空自衛隊がそれぞれ担当し、洋上での「いぶき」は海上自衛隊と航空自衛隊により協同運用されているのですが、もし、「いずも」や「かが」に実際にF-35Bが現実に艦載されるとしたら、現実世界でも、そのような形で運用される事になるかもしれませんね。

もっとも、前出(緑文字)の記事中で「いずも型でF-35Bを運用する合理的な理由はまったくありません」と述べられているように、F-35Bを護衛艦の艦載機として運用するのが合理的であるのか否かを突き詰めて考えると、現時点では、それが実現する可能性はかなり低いであろうと思いますが。
我が国の安全保障の観点からは、F-35Bを艦載機として導入するよりも、老朽化が進んでいる古参機のため「じいさん」と称される事もある空自のF-4EJ改の全機を、早急にF-35Aに置き換える事を優先したほうが、ずっと合理的であろうと思います。

護衛艦「かが」

上の写真は、今月22日に就役したばかりの、いずも型護衛艦の2番艦「かが」です。海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦(DDH)で、1番艦の「いずも」と共に海上自衛隊では最大の艦艇です。
将来もし、F-35Bが護衛艦に艦載されるとしたら(今の所はされない可能性のほうが高そうですが)、このいずも型護衛艦に艦載される事になりそうです。



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サバイバルゲームの思い出

今回は、いつもこのブログで取り上げる戦闘機や国家の安全保障などとは特に関係のない話題となり恐縮ですが、一応、ミリタリー繋がりの話題という事で、かつて私がプレイしていた(本格的にではなく、あくまでもちょこっとかじった程度でしたが)サバイバルゲームの思い出等について、少しお話しさせて頂きます。

もう15年程前になると思いますが、私は一時期(多分1~2年程の期間だったと思います)、小中学校時代の同級生でもあるサバゲー好きの友人に誘われて、その友人達と一緒にサバゲーを楽しんでいた事がありました。

サバイバルゲーム(スウェーデン軍装)

上の写真は、その当時の私の装備(スウェーデン軍の軍服を着て、ドラムマガジンを付けたアメリカ軍のM16自動小銃を持っていました)で、以下の写真4枚は、いずれも、北海道石狩支庁北部の厚田村(その後の市町村合併により現在は石狩市厚田区となりましたが)の野外フィールドでのゲームを終えた直後に撮影された、当時の私達のチームの集合写真です。
同一チームであるにも拘わらず、アメリカ軍、東ドイツ軍、中国軍など、チーム内の軍装はバラバラでした(笑)。

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サバゲーについて全く何も知らない、そもそもそんなもの興味も無い、という人にとっては、「サバイバルゲームって、よくは知らないけど、なんか軍服とか戦闘服みたいなのを着て、銃を持って走り回ったり、本物の銃では無いとはいえ、銃で人をバカスカと撃ったりとかする遊びでしょ。なんか野蛮だよね。やーねー」みたいな偏見を持っている人も、意外と少なくはないかもしれませんが(笑)、サバゲーの知識が全く無いまま突然その世界に入り込んだ私にとっては、実際のサバゲーは、野蛮どころか、むしろかなり紳士的と言えるゲームでした。

まず、サバゲーには厳然としたルールがあります。つまり、野蛮とは対極の“秩序”があり、ただ闇雲に銃で撃ち合いをするわけでは決してありません。
ゲームの目的(勝敗の判定)は、団体戦の場合は敵陣営のフラッグを奪う事だったり、個人戦の場合は自分以外の全員を殲滅する事だったりと、そのゲームによって変わりますが、「弾に当たったら失格となり、失格は競技者が自己申告する」という基本的な根幹は、どのゲームでも変わりません。
自己申告という事は、つまり、被弾したか否かの判断は、そのゲームに参加している各自の良心に託されているという事であり、弾が当たった人は、周囲の人達に聞こえる声で「ヒット!」と宣言し、両手を高く上げて(バンザイをする)、その格好のままフィールドから退場するのです。勿論、両手を上げている人を撃つのは、いかなる場合でも厳禁です。

その根幹のルールを守れない者、例えば、自分に明らかに弾が当たった(ゲーム上では死んだ)のに、当たっていないふりをしてフィールドから退場する事なくゲームを続行するような者は、所謂“ゾンビ”として、他の競技者から嫌われ、その態度が度々続くようであれば、主催者によりゲームから強制的に排除されます。
また、もし、自分に弾が当たったかどうか判然としない場合、例えば、自分の着ているものが分厚かったり、もしくは、遠方からの射撃や跳弾等で勢いの無くなった弾に当たったりすると、「今自分に弾が当たったような気もするけど、もしかして気のせいだったかな」と思うような事もたまにあるのですが、そのような場合は、「当たった」ものと判断して、自ら失格を申告します。
他のスポーツやゲームのように、第三者(審判)が判断したりはせず(私が知らないだけで、もしかすると最近は審判がいるサバゲーもあるのかもしれませんが)、あくまでも競技者自身が、自らが失格である否かを公正に判断・申告し、競技者全員によるその公正の積み重ねによって、楽しく健全なゲームが成り立っているのです。
これは、実に紳士的ですよね!?

サバゲーをする人達の職業も実に様々で、医者であったり、学校の先生であったり、宗教家であったり、私がサバゲーをしていた短い期間に見た範囲でも、いろいろな人達がいました。
また、以前のサバゲーでは、競技者はほぼ男性だけでしたが、最近は、女性もかなり増えてきています。職業や性別だけではなく、年齢層も様々です。

そして、これは私の主観になりますは、サバゲーをする人達は、自分をきちんと“律する”人達が多いです。
例えば、文具店で消しゴムを一個万引きしたとして、その犯人が一学生や一会社員である場合は(勿論それは明かな窃盗事件ではありますが)現実には些細な出来事として、犯罪事件として報道されるような事はほとんどありませんが、もしその犯人が、警察官や、聖職とされる人達(学校の教師、宗教家など)であった場合は、扱いは小さくても世間に事件として報道される事が有り得ます。
また、もし、車の運転中にスピード違反をして警察に捕まったとしても、それが一般の人であれば、特に事件として扱われる事はありませんが、もしその違反者が、普段は取り締まる側の警察官であったり、交通法規を教える自動車学校の教官であったような場合は、やはり事件として報道される事があります。
それらの事例と同じように、普段からサバゲーをする人達は、模擬のものとはいえ自ら銃火器を所有し、しかもそれらの銃をゲームで実際に使う機会があるだけに、万一何らかの問題を起こすと、「これだからサバゲーなんかをする奴らは!」と世間からバッシングされる事が有り(実際、平成10年代には極端にパワーアップされたエアガンによる事件が頻発するようになって世間からの批判が高まり、それを受けて平成18年に銃刀法が改正されました)、それだけに普段から、自らに自制と自重を課している人達が多いのです。

まぁ、ユーザー全体の1%にも満たない、ルールを守っていない極少数のならず者の言動によって、真面目にルールを厳守している大多数のユーザーが同一視されて不利益を被る、というのは、残念ながらサバゲーに限らずどこの世界でも同じですよね。
というわけで、結局私は初心者のまま卒業してしまいましたが、かつてサバゲーをプレイしていた者として、今回はサバゲーを擁護する立場でいろいろと言わせて頂きました。もしサバゲーに対して「野蛮な遊び」とか「単なる戦争ごっこ」みたいな偏見をお持ちの方がいらしたとしたら、これを機会にそういった誤解を改めて戴ければ幸いです。

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ちなみに、私はもうサバゲーはしていませんが、十数年前に私をサバゲーに誘ってくれた友人(当時の私達のチームの隊長)は、今でもサバゲーを趣味として続けております。以下のURLの記事は、その彼が一昨年11月に自分のブログにアップした記事で、内容的に、今回のこの記事とリンクする所もありますので、もし宜しければこちらの記事も是非御一読下さい。
http://nanshiki.militaryblog.jp/e709890.html



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ロッキード社、トランプ氏の批判を受けF-35を大幅値下げ

アメリカの航空防衛機器大手ロッキード・マーティン社のマリリン・ヒューソン最高経営責任者(CEO)は今月13日、アメリカの第45代大統領に就任するドナルド・トランプ次期大統領と会談し、その直後に、F-35戦闘機を大幅に値下げする事と、アメリカでの雇用を拡大する事を発表しました。
ヒューソン氏は昨年12月にもトランプ氏と会談し、F-35のコストを削減すると説明していましたが、値下げを明言するのは今回が初めてで、価格が高過ぎるとしてF-35の値下げを迫っていたトランプ氏の圧力に屈した形になりました。

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ロッキード・マーティン社では、今までトランプ氏からの批判に対しては、F-35は世界の他の戦闘機と比べて高くはない事や、新世代の戦闘機であるため価格に見合う性能を持っている事などを説明し、値下げには慎重な姿勢を示してきましたが、トランプ氏は今月11日に行った記者会見でも、「価格を引き下げもっとよい戦闘機にする。競争も必要だ」などと述べて、ロッキード・マーティン社への批判を繰り返していました。

ヒューソン氏は今回の声明の中で、「軍の能力を最大限引き出し、価格を最も安く抑えることが必要だという認識を共有出来、素晴らしい会談だった」と述べた上で、「次の90機について、大幅に値下げした新契約の締結間近であることをトランプ氏に伝えた」と説明し、新たに契約するF-35を大幅に値下げする(但し値下げ幅についての具体的な言及はありませんでした)と共に、雇用を1,800人増やす事もトランプ氏に伝えたと明らかにしました。

アメリカの企業の間では、自動車メーカーのフォードなど、トランプ氏の批判を受けて事業計画を見直すケースが相次いでおり、20日に行われる大統領就任を前にして、各企業に対するトランプ氏の影響力はこのように更に強まってきています。
それにしても、F-35の値段が高騰している事については、平成24年3月31日の記事平成26年10月2日の記事などこのブログでも度々取り上げてきましたが、トランプ氏が数回抗議した程度でそれがあっさり覆るのですから、トランプ氏が、というよりも、アメリカ大統領に就く者の影響力(この場合は影響力よりももっと露骨な圧力ですが)というのは、やはり強大ですね!


ちなみに、トランプ氏の圧力を受けてF-35が大幅値下げされるというこのニュースに対して、日本国内のネット上の掲示板などでは、以下のような意見が呟かれていました。

「安くできんだ。いまさらですね」
「どんだけぼってんだ」
「日本向けが高くなる予感wwwwwwww」
「その代わり消耗部品がお高くなると」
「まだ就任もしてないのに次々と結果出してんな」
「ビジネスマン大統領w F3開発を急ぐしかない」
「大統領ってこんな権限でかいの?」
「なんでも言ってみるもんだなw」
「いくら値下げするとはいって無い 1ドル値下げするだけで約束は守ったことになる」
「日本はさっさと独自の戦闘機開発に全力で取り組め」
「オバマよりこいつの方が色々とCHANGE!しそう」
「開発中にかかった経費をなんでもかんでも機体コストに上乗せして回収しようとするから馬鹿高いんだよね」
「今現在の完成度でもF-35ですらチート性能なのにコストまで下げたら、導入国以外との戦力差が開くな」
「これって パワハラ以外の なにものでもないんじゃないの?」



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平成二十九年 年頭の御挨拶

平成29年 謹賀新年

謹んで新年の御祝辞を申し上げます

昨年は、前年に引き続き中国軍機が日本の領空に接近したり自衛隊機に対して接近・挑発を繰り返すなどして尖閣・沖縄の空で一層緊張が高まり、また、中国は年末に空母「遼寧」を太平洋で航行させて各国に軍事力を誇示し、北朝鮮も、大規模な弾道ミサイル発射実験を複数回行うなど、一部の近隣国が日本に軍事的挑発を行い、我が国の安全に対して重大な脅威となる事案が数多く発生した一年となりました。
近年は、領土・主権・経済権益などをめぐり、純然たる平時とも有事とも言い難い所謂“グレーゾーン”の事態が増加・長期化する傾向にあり、それに加え、周辺国による軍事力の近代化・強化や軍事活動などの活発化もより顕著となってきており、我が国を取り巻く安全保障環境は様々な課題や不安定要因がより顕在化・尖鋭化してきております。

第1次世界大戦の開戦からは102年、第二次世界大戦の開戦からは77年、同大戦の終戦からは72年、そして、日本が国家として独立を回復したサンフランシスコ講和条約の発効からは65年という、ある意味で節目の年となる本年も、日本にとっては依然として厳しい状況が続きそうな様相にありますが、新年の年頭に当たり、日本の国土防衛がより強靭とならん事、日本国民の生命・財産と日本の領土・領空・領海を守り抜く陸海空自衛隊を始め日本の安全保障を担う各機関・部署の更なる前進と発展、そして、昨年から航空自衛隊への引き渡しが始まった最新鋭の「F-35A」戦闘機の更なる拡充や、昨年ついに初飛行を果たした我が国初の国産ステルス実証機「X-2」の各種実験の成功、また、日本の空を護る“蒼き空を翔る守護者達”(戦闘機等)の維持・運用に関わる方々やいつもこのブログを読んで下さる読者の皆様方の御健勝・御繁栄・御多幸を、心よりお祈り申し上げます。

当ブログは開設から漸く5年を迎えたばかりの、まだ若く未成熟なブログですが、読者の皆様方に於かれましては本年も何卒一層の御指導・御鞭撻を賜りますよう宜しくお願い申し上げ、新年の御挨拶とさせて頂きます。

平成二十九丁酉年
西暦二千十七年
元旦

中国軍機による挑発が続き、尖閣・沖縄の海は緊張が高まっています

防衛省統合幕僚監部の発表によると、今月10日、戦闘機を含む中国軍機6機が、沖縄本島と宮古島の間の公海上空を通過し、これを受けて航空自衛隊の戦闘機が緊急発進(スクランブル)して警戒監視に当たりました。

具体的には、Su-30戦闘機2機、H-6爆撃機2機、TU-154情報収集機1機、Y-8情報収集機1機の、中国軍機計6機が、東シナ海から南東に飛行し宮古海峡を通過しました。
日本への領空侵犯は無く、6機は太平洋へ抜けた後、Su-30戦闘機2機は反転して東シナ海に引き返しましたが、残り4機は南西に針路を変えて、台湾とフィリピンの間のバシー海峡の方へと向いました。

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ちなみに、Su-30戦闘機は、一昨年5月12日の記事で詳述した大型邀撃戦闘機「Su-27」を発展させた、複座多用途戦闘機です。
機体形状は基本的に複座型のSu-27UBと同じですが、Su-27が「第4世代ジェット戦闘機」に分類されるのに対し、Su-30は「第4.5世代ジェット戦闘機」(大枠としては第4世代ジェット戦闘機に分類されるものの、第5世代ジェット戦闘機の一部の性能をも備えている戦闘機)に分類されております。

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そして、防衛省統合幕僚監部からこの発表があった同日、中国国防部からもこの件について発表がありました。以下がその内容で、日本側に一方的に問題があったとしています。
「中国軍機が宮古海峡上空から西太平洋に出る遠海訓練を実施していたところ、自衛隊のF-15戦闘機2機が近距離で妨害飛行を行い、妨害弾(ミサイルを回避する装置)を作動させた。中国機と人員の安全を脅かすもので、日本側に厳正な申し入れを行った。宮古海峡は国際飛行ルートであり、中国機による今回の訓練は国際法と国際慣例に適合している。自衛隊機の行為は、危険かつ未熟で、航行と飛行の自由を損なうものである」

これに対して我が国の防衛省は、以下のコメントを発表して、中国に反論しました。いつも穏やか(それ故に甘く見られてしまう事も多々あるわけですが)な日本にしては珍しく、今回はかなり強い反論で、これは“猛抗議”と言っても差し支えないないと思います。
「自衛隊機は国際法及び自衛隊法に基づく厳格な手続きに従って対応した。中国機に対し、近距離で妨害を行った事実は無く、妨害弾を発射し安全を脅かしたという事実も一切ない。事実と明らかに異なることを中国国防部が一方的に発表したことは関係改善を損なうもので、極めて遺憾だ」

このように、日中双方がお互いに非難するコメントを発表し、東シナ海や、尖閣・沖縄の海は、以前にも増して、確実に緊張が高まってきています。
以下の鉤括弧内(緑文字)の文章は、今月13日に「乗りものニュース」に配信された、航空軍事評論家の関賢太郎さんによる記事で、これを読むと、中国側の主張の不自然さや矛盾などが、より理解しやすいです。


空自機フレアに「脅し」は無理? 中国「妨害弾」主張が苦しいワケ

2016年12月10日、中国国防部は航空自衛隊の対領空侵犯措置について、「妨害弾」により安全が脅かされたと発表しました。しかしこれには大きな矛盾があります。そもそも「妨害弾=フレア」とは、どのようなものなのでしょうか。
(中略)
中国語における「妨害弾」とは「フレア」のことです。フレアとは赤外線誘導空対空ミサイルが備える赤外線検知器(シーカー)を欺瞞するためのおとりであり、航空機から射出されたのちに発火、強烈な赤外線を放出してミサイルの追尾をフレアへと引き寄せ、航空機がこれを回避するために用います。
フレアは一時的に千数百度の高熱となりますが、その時間は射出後せいぜい数秒間であり、すぐに燃え尽きてしまいます。したがって多少の燃えカスは残ったとしても、フレアによって何らかの危害を加えることは不可能です。

そもそも、2016年11月上旬に中国の珠海市で行われた「第11回中国国際航空宇宙博覧会」では約1週間の会期中、飛行展示において観客の頭上でフレアを数百発、毎日のように射出しています。もしフレアが安全を脅かすようなものであるならば、絶対にこうした使い方をすることはなかったでしょう。

防衛省は「近距離で妨害を行った」ことと、「妨害弾(フレア)によって安全を脅かした」ことは否定しましたが、「フレアの投下自体」は否定していません。よって、実際のところどのような状況であったのかは不明ですが、少なくとも中国国防部が主張する「フレアの射出によって安全が脅かされた」という点は、フレアの特性上、発生しようがないことは明白であると断定でき、中国国防部の発表は矛盾しています。

もし仮に、本当に航空自衛隊のF-15戦闘機からフレアが射出されていたとしたならば、それはF-15のパイロットが何らかの脅威を認識したからであると推測されます。今回の中国空軍機の編隊には戦闘機が2機(防衛省はSu-30戦闘機と発表)、確認されています。おそらくこの中国軍の戦闘機が、F-15に対してレーダー追尾(ロックオン)を仕掛けたのではないでしょうか。

F-15には国産の自己防御システムが搭載されており、レーダー電波を逆探知することでパイロットはロックオン、すなわち攻撃される寸前の状態であることを認知できます。
もし「レーダー誘導ミサイル」が発射された場合、F-15はやはりレーダー電波を逆探知し、パイロットはミサイル接近中であることを認知できます。
ただし「赤外線誘導ミサイル」は電波を出さないので、ミサイル接近警報装置を搭載していないF-15には、同ミサイルで攻撃されているかどうかを知ることはできません。
そのためF-15のパイロットは、「赤外線誘導ミサイルによる攻撃があったかもしれない」という最悪を想定し、予防的措置として早めにフレアを投下したのかもしれません。
実際に、攻撃される前からフレアを投下することは、特に携帯型地対空ミサイルの脅威にさらされる低空での作戦ではよくあるやり方です。

ただフレアは、正直なところあまり効果がありません。現代のミサイルは誘導性能や囮を見破る能力が非常に高いため、ミサイルを撃たれたら高い確率で撃墜される運命にあります。戦闘機対戦闘機は「先手必勝」です。

世界には台湾海峡における「中国空軍対台湾空軍」、エーゲ海における「ギリシア空軍対トルコ空軍」など、格闘戦で相手をロックオンし、脅して追い払うといった、撃墜にまではいたらないまでも、戦闘機対戦闘機の実戦が多発する地域が存在します。
今回の事件の真実がどのようなかたちであっても、中国軍戦闘機が沖縄諸島を超えて進出するようになった事実を考えると、東シナ海もドッグファイト多発地帯になる運命は避けられないといえるのかもしれません。


中国の戦闘機が沖宮海峡を通峡したのは、今年の9月と11月に次いでこれが3回目で、今回は、爆撃機の護衛との戦術的合理性を踏まえた上での日本に対しての挑発行為、と解してほぼ間違いないでしょう。
ちなみに、平成25年10月26日の記事翌26年2月5日の記事などで紹介した百田尚樹さんは、中国軍機による今回の挑発行為翌日の11日に、ツイッターで、以下のようにツイートされています。

これは大事件だ!中国の挑発は度を超えた。もはや戦争一歩手前。なぜマスコミは大ニュースにしないのか!
後の歴史家たちに、「あの時、日本が毅然とした対応をしていたら、大戦争は起こらなかっただろう…」と言われるほどの事件だと思う。



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