イタリア代表の2014年、ブラジルワールドカップはグループリーグ敗退。ここでは、2012年のユーロで準優勝したチームが、なぜワールドカップで早期敗退したかについて、ピッチ上のことだけから考えてみたい。バロテッリ、カッサーノの内紛騒動については考えない。

プランデッリの不運
 2012年のユーロでチームの中心の一人として活躍した、モントリーボが大会直前に負傷したことは不運だった。さらにプランデッリに選択の余地はあったにせよ、セリエAで目覚しい活躍をしていたジュゼッペ・ロッシが長期離脱によって間に合わなかったこと。また、大会直前にレギュラーの一人である、モントリーボが怪我で離脱。これらの怪我人が出てしまったことは、イタリア代表にとって大きな痛手だった。

 さらにグループリーグの組み合わせでも、イングランド、ウルグアイ、コスタリカと同組になり、死のグループに入ってしまったことも、不運だった。

コスタリカという波乱
 さらに驚くべきことは、コスタリカ代表というチームの躍進だろう。後から考えても、予測するのは難しかった躍進だった。
イタリア代表4-1-4-1                   
FW             バロテッリ                        

MF    マルキジオ ピルロ モッタ カンドレーバ                   

MF              デロッシ                                  
 
DF  デシーリョ キエッリーニ ボヌッチ アバーテ  

GK              ブッフォン                                       

コスタリカ代表5-4-1
FW              キャンベル

MF     ボラニョス              ルイス

MF            テヘダ   ボルゲス

DF ディアス ウマーニャ ゴンザレス ドゥアルテ ガンボア

GK                ナバス 


 この試合では、序盤に何度かバロテッリにチャンスが訪れたものの、決めきれなかった。このチャンスは、プランデッリの狙い通りの展開だった。ポゼッションから、ピルロ、モッタのパスで相手のハイラインの背後をバロテッリで狙うということ、バイタルエリアでマルキージオがボールを受けることなど、プランデッリの狙いは成功していた。しかし、前半にディアスのクロスをルイスがヘディングで合わせて、コスタリカが先制する。このことについては、高い質のクロスを得意とする、ディアスへのスカウティングが足りていなかった部分もある。また、イタリア代表の中盤、右CMFにピルロがいるので、起点となったコスタリカの右サイドから、ディアスへのロングフィードが通ってしまったことは、布陣のミスだったかもしれない。

 しかし、私がこの試合の敗因としてあげたいことは、先制された後だ。その後にカッサーノをモッタに変えてトップ下にいれ4-2-3-1に布陣を変更した。この采配のねらいはコスタリカのMFとDFの間にクサビのパスをいれ、そこから相手の守備を崩していくことだっただろう。そこが上手くいかなかった。さらにカンドレーバ、マルキージオに変えて、カットイン型のWGであるインシーニェ、チェルチも投入し、間を狙うカッサーノを助ける采配をみせたが、ここでも攻撃が改善されることはなかった。

 プランデッリに采配は失敗だったとはいえ、狙いははっきりしていた。ここで私が指摘したいのは、途中交代で入った選手のボールロストの多さだ。とくにセリエでは活躍しているインシーニェ、チェルチがコスタリカに通用しなかったこと。このことはイタリアサッカーのアタッカーとポゼッション重視という戦術の相性の悪さをあらわしている。また、力不足だったともいえるだろう。ポゼッションでは力不足のアタッカーと、そこを認識していなかった采配。このことがコスタリカ戦の敗因といえるだろう。