今回はイタリア代表だけでなく、日本代表にも通じる、プレースタイルやポジションについての話です。

日本サッカー界の憧れ、愛着、模倣、連続
 スポーツでは、憧れや愛着によってプレースタイルが流行する場合があると考えています。 具体例を出すならば、セリエAで活躍した中田英寿の登場や小野、中村など、中盤のトップ下を得意とする選手たちが日本代表で活躍しました。その後も日本代表には、香川、乾、清武、本田など、トップ下で個性を発揮する選手が登場しています。高い技術、広い視野、アシスト能力を持った選手たちです。

 ここで彼らは中田英寿や日本代表の黄金世代というスター選手たちに憧れて、そのスタイルに愛着を覚え、直接的、間接的に影響された選手ではないかという仮説です。直接的にならば、本人が憧れて、影響され、間接的にならば指導者がプレースタイルに愛着を覚えて、影響されたと見ることができると考えています。そして、憧れ、愛着、影響は模倣となり、プレースタイルを模倣した、同じようなタイプの選手が多く登場する。

 もちろん、彼らは細かくプレーを見ると、異なる個性を持った選手たちです。しかし、トップ下で高い能力を発揮する点では、中田英寿と共通するところがあります。日本にはトップ下に適した選手が多く出てくる理由のひとつに、中田英寿、黄金世代の影響がある。そして、現在も香川、本田は海外で活躍している。この事実は次世代へ、憧れ、愛着、影響と模倣を連続して繰り返すのではないかと考えています。海外で活躍するスター選手の登場、それに影響されて同じタイプの選手が登場し、また第二世代が海外で活躍すること。

日本野球では、
 また、野球の世界でも、似たような現象があります。それはイチローの登場以降、右投左打、俊足巧打の選手が連続して、多く登場した現象です。イチローのような左打ちで自身の巧打、俊足をいかすプレースタイルは、日本人にとって愛着ある、憧れるプレースタイルとなりました。そして、これに憧れる次の世代の選手たちが登場します。メジャーでも活躍している青木選手や川崎選手が、その次の世代にあたるのではないでしょうか。

 このようにスターの登場、そして、スターのプレースタイルに対して愛着や憧れがうまれ、それを模倣し、次の世代のスター選手が登場し、連続する。これはどのようなスポーツの世界でも、起きている現象ではないかなぁと感じます。

イタリアでも・・・。
 そして、このブログは一応イタリア代表を応援するブログなので、イタリアサッカーのことも、触れてみる。今回召集されたイタリア代表や、セリエAを見ていると、ピルロというスター選手が大きな影響力を持っていることがわかります。ピルロはクラブ、代表で世界一になったスター選手です。このピルロのように、低い位置でゲームメークする選手は、ヴェラッティ、ヴェルディフィオーリ、ヴィヴィアーニ、クリセティグなどがいます。このようなレジスタと呼ばれる選手の系譜は、何もピルロから始まったわけではなく、ミランのアルベルティーニなどの先人がいたことも、注視しなければならないでしょう。ここにも、レジスタへの愛着、憧れによって連続性をみることができます。

 少し残念なのがバッジオ、デルピエロ、トッティなどのアタッカーの後継者が少なくなってきていることです。彼らのようなトップ下でファンタジスタと呼ばれていた選手たちは、世界的にみても年々減少していっていっているように感じています。彼らのプレースタイルでは、あまりにも効率が悪いと判断されたのか、たまたまなのかわからないですが、現代サッカーでは全選手に攻守への関与が求められていることは、減少の要因になっていることが考えられます。つまり、ファンタジスタたちへの愛着よりも、戦術的な合理性が求められて、減少したのではないでしょうか。

 しかし、近年イタリアサッカー界ではファンタジスタと呼ばれていたトップ下の減少と同時に、以前には少なかったWGの選手が増加しています。今回のイタリア代表では、カンドレーバ、チェルチ、ガッビアディーニがそれにあたるでしょう。それ以外にもエルシャーラウィー、インシーニェ、ベラルディ、などWGの選手たちがセリエで活躍しています。彼らが新たな連続性をもたらすのか、今後注目していかなければならないでしょう。

 そして、このような連続性が、その国のサッカー文化を作り出していくのかもしれません。