今度はU21ユーロ予選の試合感想。アンドラホームでの試合でした。

スタメン
U21ユーロ予選、アンドラ対イタリア、スタメン

 イタリアは選手を何人か入れ替え。というかカタルディ、バッレーカが出場停止かもしれない。

前半
 アンドラは完全にイタリアにボールを保持させる姿勢でプレー。4-4-2で後退して守る。CBを捨てて、縦にも横にもコンパクトに守る姿勢のアンドラ。さらにサイドバックの裏へFWを走らせる。敵陣でファールを受けたら、セットプレーはエリア内で入れる。これを徹底していた。

 アンドラの試合に入る姿勢もあって、イタリアのボールポゼッションは70%を超える時間帯もあった。ただ、イタリアが保持はできるが、繋ぎながら有効な攻撃を見せていたかというと、そんなことはなかった。

 U21イタリア代表の戦術については、何度も説明しているのでテンプレ画像を作成した。現在は以下の形が多い。
U21イタリアテンプレート1基礎布陣

U21イタリアテンプレート2

U21イタリアテンプレート3

U21イタリアテンプレート4

U21イタリアテンプレート5

 ただし、今回はアンドラホームの試合で、ピッチのボールの跳ね方を見ていると保持するチームにとって難しい環境だった。なんでもない繋ぎのボールもポンポン跳ねている。そのためイタリアはフィード、DF裏へのフィード、アーリークロスなどが多くなり、クサビへボールなどは少ない。

 そして、イタリアはサイドチェンジや対角線へのフィードでミスを連発し、まったく攻撃でリズムを作れない。チャンスになったのはコーナーからのマンドラゴラのヘディングシュート。さらに23分に左サイドでベナッシ、マンドラゴラ、マシーナのコンビネーションからベナッシが中央のロッセッティへクサビをいれ、そのままロッセッティが反転しミドルシュートを打った場面くらいだった。

 イタリアの攻め手としてはベラルディがサイドで受けてからDFライン裏へアーリークロスを入れる攻撃が可能性を感じさせた。

 しかし、時間の経過とともにイタリアのフィードにミスが増え始めて、そのままボールが繋がらない状況、攻め手が繋がらない状況が続いて前半終了。試合感想を書く身としては、非常に何を書けばいいかわからない試合になった。ただ、裏へのフィードやアーリークロスが合えば決定機も作れそうだった。

後半
 立ち上がりからイタリアはサイド攻撃への意識が高くなる。おそらくはハーフタイムの修正なのだろう。また、前半と比べフィードのミスが減少し、CHがサイドへボールを大きく動かしてからのサイド攻撃が機能し始める。できるだけピッチを広く使ったボール循環を心がけていたように見える。

 後半5分にモナケッロを下げて、ガッリターノが投入される。ガッリターノは左利き右利きで本職はサイドアタッカー。U21ではベルナルデスキの控えという立場なのだろう。この交代の狙いは全体を4-2-3-1にして、前線の役割をハッキリさせること。この試合でのロッセッティとモナケッロは、動きがかぶることが多かったための修正かもしれない。

 7分にはサイドチェンジからベラルディ、コンティのコンビでアーリークロスからロッセッティがバー直撃のヘディングシュート。徐々にイタリアの勢いが増していく。

 イタリアの左サイドではベナッシ、マシーナにマンドラゴラも加わって、クロスまで持ち込んでフィニッシュを狙う攻撃を見せていくが、最後のクロスが中と合わない。

 時間の経過とともにイタリアはサイド攻撃だけでなく、サイドからの飛び出しや、ライン間へベナッシ、ベラルディが入ってからの攻撃など、攻撃のオプションが増えていく。

 それでもアンドラのGKのセーブやアンドラDFがクロスを跳ね返し、イタリアに得点はうまれない。

 後半20分、苦しいアンドラは8番を下げて17番を投入。前線の人員交代。それでもイタリアのCHを中心としたボール循環は止まらない。

 イタリアも後半26分にロッセッティを下げて、チェッリを投入する。これでイタリアの攻撃に190センチを超えるチェッリへの放り込み攻撃が追加される。

 30分にアンドラが7番を下げて23番を入れる。やられている右サイドにフレッシュな選手を投入した形。

 そして、33分にマンドラゴラからチェッリへの放り込みで、チェッリがDFに競り勝って落としたボールをガッリターノがシュートするもアンドラGKがセーブ。ミドルなどをキッチリセーブしていたアンドラGKはのっている。

 しかし、その直後のコーナーでアンドラGKが飛び出してパンチングをミス。それを見逃さずにチェッリがボレーで叩き込んで、イタリアが待望の先制点を決める。

 その後、イタリアはサイドからの攻撃だけでなくチェッリのポストプレーからの突破から、ガッリターノが再びシュートを打つがアンドラGKに防がれて追加点ならず。

 後半40分にはベラルディを下げて、グラッシを投入。布陣も4-1-4-1へ変更し、MFを分厚くしてボール保持と守備の安定を図る。その後はアンドラにチャンスを作らせずに試合終了。苦しんだイタリアが勝ち点3を獲得し、グループ首位の座をキープした。

感想
 イタリアは前半と後半で違うチームかのようにフィードのミスが減り、攻撃の意図もはっきりした。逆に言えば前半はイタリアが攻略するのにてこずったといえるだろう。

 個人的には監督のハーフタイムの修正が良かったように感じる。相手が中を意識した守備だからサイドへ大きくボールを動かしてからサイド攻撃など、相手にあった攻撃をしっかりと実行させた試合だった。また、モナケッロを下げてガッリターノという交代やサイド攻撃が機能し始めたからチェッリを投入するなど、選手交代も的中していたのでディビアッジョ監督の采配が光った試合とも言えるだろう。
 
 アンドラは4番のサイドバックのドリブル突破が記憶に残った。また守備の意識などもしっかりとした好チームだった。ただし、もう少しメリハリをつけてプレスと後退を繰り返したりしなければ、90分間後退し続けてミスなく終えるのは難しいだろう。

 さて、イタリアはこれでグループ首位で、次の試合はセルビア戦となる。ここに勝てば、ほぼグループ首位通過は確定だろう。イタリアホーム開催の試合でもあるので、なんとか勝って欲しいところだ。