GK
ブッフォン ユベントス
マルケッティ ラツィオ
シリグ PSG
DF
バルザーリ ユベントス
ボヌッチ ユベントス
キエッリーニ ユベントス
オグボンナ ウェストハムユナイテッド
MF
ベルナルデスキ フィオレンティーナ
カンドレーバ ラツィオ
ダルミアン マンチェスターユナイテッド
デ・シリオ ミラン
エル・シャラウィ ローマ
フロレンツィ ローマ
ジャッケリーニ ボローニャ
モッタ PSG
パローロ ラツィオ
ストゥラーロ ユベントス
FW
エデル インテル
インモービレ トリノ
インシーニェ ナポリ
ペッレ サウサンプトン
ザザ ユベントス
思えば2014年のコンテ監督就任当初のイタリア代表は、ユベントスと同じような3-1-4-2システムでスタートした。デ・ロッシがアンカー。ジャッケリーニ、マルキージオのインサイド。両サイドにダルミアン、デ・シーリョ。ザザ、インモービレの2トップだった。
そして、現在でもメンバーは変化したものの、3-1-4-2システムを基本形として、機能性に磨きをかけている状況だ。これについてはスコットランド戦で少し語っているので、そこを読んでいただきたい。
メンバーとシステムのかみ合わせ
選ばれた23人のメンバーを見ると、決して3-1-4-2システムだけを想定して選考されたわけではなく、さまざまな試合中の状況に合わせてシステムの変更も、攻撃の狙いどころの変更も想定されているのかなと感じている。コンテ監督になってからのイタリア代表が見せたシステムは3-1-4-2の他に、4-1-4-1、4-4-2、3-4-2-1などだ。そして、メンバーを見ると、ある程度はそれに合致した選手を選考できている。
ただし、守りの駒という意味では薄さを感じる。特に本職が左サイドバック、左ウイングバックの選手は選出されていないので、そこが穴になる可能性がある。ただ、コンテ監督はユベントスの3バックが揃っていればなんとかなる、と計算しているのかもしれない。また試合中に4バックに変更して、サイドバックにキエッリーニを起用することも考えられるだろう。
ただし、守りの駒という意味では薄さを感じる。特に本職が左サイドバック、左ウイングバックの選手は選出されていないので、そこが穴になる可能性がある。ただ、コンテ監督はユベントスの3バックが揃っていればなんとかなる、と計算しているのかもしれない。また試合中に4バックに変更して、サイドバックにキエッリーニを起用することも考えられるだろう。
ピルロ、ジョビンコの不在、デ・ロッシのラストダンス
今回の代表メンバー発表で最も驚いたのが、ピルロの落選だ。個人的にはこの大会がピルロの最後の国際大会になるのではないかと想定していた。また、コンテ監督自身はユベントス時代にピルロというイタリアサッカー界の歴史上でも屈指のゲームメーカーを中心に、セリエA、3連覇を成し遂げた過去がある。そのため今回のイタリア代表でも、コンテ監督のピルロへの信頼は揺らがないだろうと考えていたのだ。ただ、逆に言えばコンテ監督が、ピルロの年齢や彼がアメリカでプレーしていることなども考慮して不選出という判断を下したのなら、情や過去に流されなかった冷静な判断だと言えるかもしれない。
また、ジョビンコはアメリカでゴール、アシストの両方で最多を記録するなど、怪物級の働きを見せていた。しかし、イタリア代表のメンバーに彼の名はない。これについては単純にコンテ監督がセリエAのレベルで活躍していてジョビンコと同じようなプレーが可能なインシーニェを選出したということなのだろう。
普段からレベルの高いところでプレーしているというのは、ベルギーで活躍していたオカカも選出されなかったことを考えても、今回のイタリア代表選出の中でキーになったのかもしれない。
そして、僕個人が期待しているのが、この大会で代表でのキャリアを終えそうなデ・ロッシの活躍だ。どうしても今までは、ピルロの影に隠れがちだったが、攻守の両面での貢献ではピルロに勝るとも及ばない能力の持ち主だと考えていた。思えば2012年ユーロでイタリア代表が準優勝したときには、デロッシがキープレーヤーの1人だった。そして、今大会はキープレーヤーではなくて、攻守に渡ってチームの中心として活躍してもらいたい。
ヴェラッティ、マルキージオ問題とハードワーカーたち
代表メンバーの発表前に話題になったのは、イタリア代表の核となるマルキージオ、ヴェラッティの負傷による離脱だ。これによって今回のイタリア代表メンバーが小粒だという印象が、強いものになってしまった。
そして、改めてイタリア代表メンバー23名を見ると、MFにはジャッケリーニ、フロレンツィ、パローロ、ストゥラーロのようなハードワーカーが多く選出されている。ここはある意味でイタリアらしいところなのかなと考えるところだ。
余談だが、イタリアサッカー界では基本的にMFの真ん中を3センターのような形で構成するのが、ここ数年にわたってのトレンドだ。コンテのユベントス、アッレグリのユベントスもMFは3枚がよく見られる形だった。また2015-2016シーズンに躍進したナポリもMFは3枚だった。さらにトレンドというだけではなくて、そこを目標に育成をしているクラブユースが多い印象もある。MFが3センターの形で、インサイドには運動量を求め、アンカーにボールを動かす能力、ボールを進める能力を求めるのがイタリアらしさの1つなのかもしれない。
さて、イタリア代表メンバー23名にハードワーカーを多く招集した理由は、間違いなくマルキージオだったり、ヴェラッティのような選手の不在だ。そして、彼らの不在をハードワークできる選手で攻守にカバーするのが狙いなのだろう。
特にフロレンツィなどは、インサイド、ウイング、サイドバックと3つのポジションをこなせるため、戦術変更にも柔軟に対応できる選手だ。彼もまたイタリア代表を救うような選手になるかもしれない。
運
コンテ監督就任からイタリア代表を見ている身からすると、前述したハードワーカーの枠にソリアーノ、ベルトラッチの名前がないのは残念だ。
ソリアーノはサンプドリアから動かなかったものの、結局はシーズン中に目立った活躍を見せることができなかった。逆にベルトラッチはジェノア時代にはMFとして大活躍を見せていたものの、ミランへ移籍してからはいいところがなくなってしまった。シーズン最後にはミランでのポジション争いに敗れて、イタリア代表どころではなくなってしまった印象だ。
また、ソリアーノにしろベルトラッチにしろ、能力的にはイタリア代表に値するのかもしれないが、23人という枠の中で考えた場合には、インパクトに欠けるシーズンだったり、移籍したことが裏目にでたり、という印象だ。さらに言うと、イングランドのサンダーランドからイタリアへ戻ってきたジャッケリーニがボローニャで活躍を見せたことも、ソリアーノ、ベルトラッチの代表チーム入りを左右した出来事だったと考えている。
そう考えると代表チームに選出されるというのは、ピッチ上での実力だけではなくて、ピッチ外での状況判断だったり、運としか言えない何かに大きく左右されるのだなぁ、と改めて考えさせられた。もしかすると今シーズン、ナポリでイグアインの歴史的なパフォーマンスによってポジションを失ったガッビアディーニや、マンチェスターシティから移籍して以来、移籍先でまったく能力を活かされないシーズンが続いているバロテッリなどにも、同じことが言えるかもしれない。
最後に
さて、最後に今回のイタリア代表チームのキーマンについて紹介しておこう。
コンテ監督が就任してからのイタリア代表は、細かく崩すことは得意ではなくて、外から多少強引にでもクロスをゴール前へ入れていくのが攻撃での特徴だ。そのため、カンドレーバのようなドリブル、クロスが得意な選手はキープレーヤーになり、そこまでボールを動かすことに関与する3バックの選手やデ・ロッシもキーマンとなる。前線では高さが武器になるペッレの活躍はイタリア代表が勝ち抜く上で必要になるだろう。もしペッレの調子が悪ければ若さと強引さが魅力のザザが出てくるかもしれない。そして、彼らのようなフォアードと相互にカバーし合いながら中央で脅威になってほしいのが、エデル、インシーニェといった選手だ。とくにエデルは今シーズン途中にサンプドリアからインテルへ移籍して以降は、あまりいいところを見せられていない。そのため、今大会でも調子が悪ければ、インシーニェがレギュラーとなる可能性もある。
全体的に今回のイタリア代表チームは小粒だとか、低迷しているとか、言われているが、それに対しての反論はない。正直言って、このブログでも数え切れないほど、欧州強豪と比較してタレント不足だと語ってきた。しかし、タレント不足でも、守備の堅さだったり、戦術だったり、組み合わせの妙などで勝ち抜くところがイタリアサッカーの醍醐味の1つだと考えている。なので1番のキーマンといえるのは結局のところ監督であるコンテということになるのかもしれない。
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