YEN蔵のFX投資術-ドル、円、ユーロ、ポンド、オーストラリアドルで世界に投資

外資系銀行の為替ディーラーとしてマーケットをサバイブしてきた知識をすべて公開. 外国為替、債券、株、オプション、デリバティブをファンダメンタルズ分析、テクニカル分析で解説。 投資、経済についてやさしく解説し資産運用のお手伝いをします。

2008年07月

月末の円売り需要

2008









おはようございます
昨晩はロンドン時間から、ファンド、米系証券、スイス系がドルスイスの買い、ユーロの売りを大量に持ち込みました。
ニューヨークにはいり米7月のADP雇用統計の数字が9000人増加(予想は65000人減)となりドルの上昇を加速させドル円も108.30付近まで上昇しました。

しかしEIAによる米週間在庫統計で原油在庫が81000バレル減少したことを受けWTIが121ドル台から127ドル台まで急上昇し、これがドルの上昇を抑えました。

昨晩はFRB,ECB,SNBから金融市場の逼迫と9月末の資金繰りを考慮したあらたな資金供給支援の追加策が発表されました。
・PDCF(プライマリーディラー信用供給制度・証券会社向けの資金供給です)、TSLF(ターム証券貸出制度)の期間を2009年1月30にまで延長。
・TAF(ターム金利入札貸出制度)の28日もの貸出の補完策に84日もの貸出を導入
・FRBとECBとの通貨スワップを500億ドルから550億ドルまで拡大、2009年1月30日まで延長
・FRBとSNB(スイス中央銀行)との通貨スワップを2009年1月30日まで延長
・TSLF(ターム証券貸出制度)で500億ドルのオプションプログラム入札の設定

最後のオプションの導入は資金繰りが厳しい月末、期末などにあらかじめ落札の権利を購入でき資金繰りに備えることが有効な手段です。

欧米の中央銀行3行は、ドルの大量供給を継続させることにより金融機関の資金繰りをサポートする決意をしめしました。
これらの資金が金融機関の経営を安定化させ、抜本的な解決までの時間稼ぎをし、いずれリスク市場(株式等)に流れ込んでくるパターンになれば、株式市場等の安定も可能なのではないでしょうか。

ドル円は依然として108.30-109.00にかけては輸出勢、オプション取引のガンマに絡むドル売りオーダーが大量にあるといわれています。

しかし本日は月末のドル買い重要、海外物投信の大量設定があるためにドル円の買い、クロス円の買い需要があるとおもわれます。
朝のフィキシングは終わってしまいましたが、このあとロンドン8時、ロンドン16時のフィキシング等の時間帯は注目したいと思います。

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オプション取引とレンジマーケット

2008









ドル円が108円を挟んだレンジで動きがとまっています。
原因としては108円台から109円にかけては、前回の高値ということもあり輸出のドル売りオーダーが並んでいること。
また108円にオプションの権利行使があることなどが噂されています。

実際オプションの権利行使があるかどうか別として、オプションのガンマトレーディングに関して書いてみたいと思います。

オプションにはデルタ、ガンマ、ベガ、セータという指標があります。
デルタは0〜1であらわされ、オプションの原資産(この場合はドル円)の価格変動に対するオプションプレミアム(オプション価格)の変動率をあらわします。
デルタが0.5なら原資産が100変動すればオプション価格は50変動します。

ガンマは原資産の変動に対するデルタの変動率をあらわします。

ガンマロングというのはオプションのロング(買い持ち)、ガンマショートいうのはオプションのショート(売り持ち)と考えてください。

たとえば108円のドルコールオプションを持っている投資家は108でドルを買い持ちになるのでその分ドルを売ることができます。
そのためにドル円が108を超えてくると、ドルを売りますからドル売りの需要となります。
しかしオプションの期日まで時間があり、ドル円があまり下がらないと思えば売ったドルを買い戻します。

そのような取引をオプションを持っている人は繰り返しますから、108円を挟んだレンジを形成する傾向があります。

このようなとる引きをオプション期日の直前まで行います。

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ユーロドルのポイント

2008










昨晩はドル買い、原油売り、株上昇の流れが加速しました。
原油は一時120台まで下落、高値からは約27$、19%近く下落しました。
またS&P/ケースシラー住宅価格が-15.8%と予想の-16.0%を下回ったこと、消費者信頼感指数が51.9と予想の50.0を大きく上回ったことでドル買いが加速しました。



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チャートはユーロドルの4時間足です。
6月13日の安値1.5303からのサポートを、7月22日に1.5820付近で下方ブレークしました。

昨晩は1.5303と7月15日の史上最高値の1.6037の38.2%である1.5770付近をトップに下落しました。
1.5885が618.%付近になります。
ここから戻りのめどとしては50%戻しの1.5670、38.2%の1.5770付近が考えられます。

今週は金曜日に雇用統計というイベントがあり、マーケットはすでにドル買い方向に仕掛けています。
この流れが継続するかどうか雇用統計は重要なイベントになりそうです。

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夏枯れ相場

レンジ7.28










まさに夏枯れ相場という様相のマーケットになりました。
ナイジェリア、パキスタン、インド、トルコで爆弾、テロ騒ぎがありましたが、地政学的リスクの高まりという反応はありませんでした。

一方米金融市場へ対する不信感が米国株安、ドル売り方向への動きになりました。

IMFのリポートで金融機関の連鎖倒産がありうる、米国投資銀行の更なる損失拡大などに反応し金融株、ドルの下落を後押ししました。
2008










チャートは銀行株指数です。
先週は71.53まで上昇しましたが3日連続の下げとなり60.0近辺まで下落してきています。
やはりドルの反発には金融株と金融市場の安定が不可欠ではないでしょうか。

昨晩は米国株安となりましたが、ドル円、クロス円は大きな下げとはなりませんでした。
今週は金曜日に米国雇用統計があり、週末に向けて変動が予想されますが、オプションのボラティリティー(変動率)は低下しています。
通常マーケットの変動が予想される雇用統計などのイベントをはさむ権利行使日の場合、オプションを買いたいという需要があるためにボラティリティーはソン藍低下しないのですが、この部分も低下しています。
まさに市場が変動を予想していなし、夏枯れ相場の始まりなのかもしれません。

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今週の材料

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おはようございます
金曜日はマクロファンドがドル円、クロス円に大きな買戻しをいれドル円、クロス円ともに急上昇しました。
本日もその流れを受け108にのせました。しかし108円台は輸出のオーダーが並んでいるようでここから上も簡単ではないようです。

今週は重要指標が並んでいます
29日 米消費者信頼感指数、米SP/ケースシラー住宅価格指数
30日 ADP全国雇用指数
31日 米第二四半期GDP速報値、第二四半期個人消費、新規失業保険申請件数
01日 米雇用統計、米ISM製造業景況指数、米建設支出

また31日は本邦投信の設定が集中します
世界インフラ株式債券分散ファンド、中央三井、上限300億円
中国株ファンド、三井住友 、上限200億円
HSBCブラジル株式、上限500億円
三菱地球環境ビジネス株、上限500億円
グローバル資源株、みずほ、上限500億円
プラザワールドコモディティ、プラザ、上限200億円
新光インド株、上限500億円
ロシアバランスオープン、岡三 、上限500億円

などがあります
また31日は月末要因もあり週末に向けて相場の変動が予想されますので、注目していきたいと思います。


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今週のマーケット

金曜日のレンジ
レンジ7.25.2008










今週のレンジ
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今週を振り返るとドルのリバウンドが目立ちました。
ニュージーランドドルは、7月24日8.25%から8.00%の利下げの影響もあり、またRBNZでの声明で更なる利下げの可能性を示唆したことから、対ドルで2.5%、対円で1.7%の下落となりました。

スイスフランも対ドルで1.4%、ユーロで0.47%、対ポンドでは1%の下落となりました。

先週から始まった米国の銀行決算が、ほぼ予想を上回り(とはいえもちろん各行とも悲惨な結果でしたが)、また米国下院本会議でGSE支援法案が可決、銀行株に対する(その後全株式を対象として)空売り規制、原油投機に対する規制などの対策が徐々に効いてきたというところでしょうか。

根本的解決は、本当に危ない金融機関に対する公的資金投入、不動産市況の回復、実体経済の回復というパターンはまだ始まっていません、
空売り規制などはショートのあぶり出し、急落への防止には効果がありますが、根本的な解決パターンに入るまではまだまだドルと米国金融市場に対する信頼は道半ばなのではないでしょうか。

とはいえ少しドルの反転が力強かったのもたしかです。
次のチャートはWTIの週足です。
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先週に引き続き今週も4.8%の下落で、高値から24.6$、16.6%の下落になりました。
昨年の51.03$からの上昇で2週連続下落は5回目、3週連続も1回あります。
しかし今回以外の下落時で2週目、あるいは3週目での下落はほとんど下落幅がなく、下ひげをつけてリバウンドするパターンでした。
しかし今回の原油の下げはかなり力強く、来週以降原油の値動きに注目したいと思います。

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ポンド円の反転

2008












2008












チャートはポンド円の時間足と日足です。
昨晩215円台から下落したポンド円は211.50近辺をサポートしてリバウンドしています。
本日は短期のモデル系などがドル円の106円台、クロス円を激しく売っていましたが、それら短期筋のショートカバーと、ロンドン10時のフィキシングがらみの買いがでた模様です。

24日行われた英国の下院補欠選挙では労働党が衝撃的(英国メディアによる)な敗北を期しました。
選挙が行われたグラスゴー(中村俊輔のいるグラスゴーセルティクのホームタウンでスコットランドの首都です)東地区はもともと労働党の基盤であっただけにブラウン政権にとっつては痛手が多きい敗北です。
ここら辺の英国事情はロンドンFXさんのブログに詳しくでていますのでぜひご参照ください。

経済がスローダウンでも政治が波乱でも落ちないポンドは本当に難しい通貨です。

ポンド円の日足は依然サポートラインと38.2%のレジスタンスラインのトライアングルの中にありどちらに抜けるか微妙な状況です。

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クロス円の下落

レンジ7.24.2008









おはようございます
昨晩は欧州通貨を中心に欧州通貨売りドル買いのなりましたが、ニュヨーク時間に入ると株価の下落からドル円の売りも加わり結果クロス円の売りとなりました。

まずはドイツ7月のIFO景気動向が97.5(予想100.0、前回101.2)と弱い数字でユーロドルが1.5780から1.5730まで下落し欧州通貨の下落が開始しました。

続いて英国6月の小売売上高が−3.9%(予想-2.6%、前回+3.6%)と弱い数字のためポンドドルが1.9940から1.9850付近まで急落しました。

ドル円は107.80が重くなり結果クロス円の売りが加速しました。

ニューヨーク時間に入ると米新規失業保険申請数の増加、6月の米中古住宅販売件数が486万件(予想494万件)と悪い数字がでてドル円も107.50近辺まで下落し、クロス円がさらに下落しました。

米国株式市場も金融株を中心に下落、ダウは-283.10、銀行株指数も-6.7%と下落し株価下落、ドル下落、円高という流れになってしまいました。





ユーロ円7.24









チャートはユーロ円の4時間足です。
170を抜けることができず169円台で膠着した後ボリンジャーバンドの収縮から下方ブレークという典型的なパターンとなりました。
一昨日ポンド円の215ブレークでクロス円、ドル円の上昇を予想しましたが、見事に完敗しました。

ユーロ円は7月16日の安値165.31から7月23日の高値169.95の61.8%戻しが168.15で現在のレベルです。
50%戻しが167.60付近、38.2%戻しが167.05付近になっています。

ドル円も107.20近辺まで下落し当面107.-107.20付近がサポートできるかどうか注目しています。


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ドルの上昇と米国金融市場

レンジ7.23









おはようございます
昨晩海外では、銀行株の買い戻し、原油下落、ドルの買戻しという危機回避3点セットの発動となり、ドル上昇となりました。

ロンドン時間でドル円の107.50のショートの損切りをつけて107.80近辺までの上昇となりました。
ここで出ていたニュースは東京海上ホールディングによる米国中堅損保の買収の話題でした。
買収金額は47億500万ドル(約5000億円)です。
国境をまたいだ買収案件の場合、必ず為替市場では話題になります。
買収の方法も株式交換等、必ずしも全額ドルキャッシュで行なわれるわけでもなく、今回も手続き等はまだ先の案件です。
それでも為替市場ではそれらの話題をネタに、市場がそちらのほうに動くのはよくあるケースです。
そのため大型の買収案件に関しては注意が必要となります

昨晩は英国の銀行のHBOSがスペインの銀行に買収されるのではないかとの噂でHBOSの株価の上昇、ユーロポンドの売りの動きがありました>
スペインの銀行が英国の銀行への買収なので、ユーロ売りポンド買いの動きになります。




銀行株7.23













チャートは米国銀行株指数です。
特別具体的な解決策が出たわけではありませんが、決算を好感して46.52を底に70.0ドル近辺まで上昇して、急落前の75付近の手前で止まっています。
やはりSECの銀行株への空売り規制が効いてるようです。

日本が金融危機のときも、空売り規制、公的資金の銀行への注入、外国資本の日本の金融機関への買収、資本注入等がありました。
それから10年を経て、米国は公的資金の注入議論、空売り規制、日本企業による米金融機関の買収とまるで同じことが起こっています。

ここから米国の不動産、金融が立ち直るまでは今しばらくの時間が必要でしょうが、その過程は世界の金融マーケット、為替に大きな影響を与えることは間違いありません。

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ポンド円のターゲット

ポンド円日足







ポンド円が昨日書いた214.00のレジスタンスを超えてきました。
214.00付近は1月25日以来の高値になっていた場所で何度も止められていたレベルです。

また昨年7月20日の高値251.09から、3月17日の安値192.56の38.2%戻しが214.90−215.00付近になり、今まさに抜けつつあります。
217.85というのが1月2日に220.00割れしてからの戻り高値としてのポイントがありますが、ここを抜けると50%戻しの221.70付近がターゲットとして見えてきます。

ここのところユーロポンド、ポンドスイスも強く、ポンドクロス全面高でポンドが強い状況です。(ドルに対しては昨晩下落しましたが)
ポンド円がもしこのまま220円を目指すような展開になれば、ポンドドル単体で上昇というのも考えずらいので、ドル円が109−110近辺まで上昇する可能性も捨て切れません。

ポンド円とドル円のチャートを比べると下値を切り上げてきてレジスタンスで止められている(ポンドは214−215のレジスタンスをブレークしつつあります)、負けーとの噂では108円台はかなり売りがあるようですが、そするとドル円のレジスタンスである108.60−70付近が重要なポイントになってくるでしょう。

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