Daniel Johnston

というのは、インディーミュージックで有名なポップミュージシャン。有名といえば有名で、ある種、神格化されている人でもある。

1980年ごろ(ダニエルが20代前半頃)、彼は自宅で録音したテープレコーダーを配るという形で音楽を展開した。「インディーミュージック」の走りとしてよく語られる。 もうひとつ語られるのが、ダニエルの精神性で、彼の性格は幼く、セックスや、悪の匂いがない。

宅録特有の音質の悪さと、チューニングすら完璧でないことから来るズレと、終始漂う調子っぱずれな揺れが内包された音楽で、僕は面白く聴ける。セックスや、悪(暴力とか、憎しみとか)が無いところを抜きに考えれば、良い音楽の部類だと思う。初見で思うようなところを越えて、もっと深い、本質的なところで、「ポップアート」な人だと思う。



上のyoutubeにあるように、テープレコーダーの表紙を自分でデザインし、ダニエルは人に配った。

思うのだけど、明らかに嘘のないダニエルの、「人に自分の音楽を聴いてもらいたい」という純粋な想いを、人は感じてこの人を好むのだろう。有名になりたいとか、金が欲しいとか、女にもてたいとか、そういう想いをつい抱きがちなインディーズの世界で、子供心に似た純粋さで、「人に聴いてもらうために」として音楽を配るその純真さは、確かに胸を打つものがある。

売れるか売れないという観点でしか考えられない現代の音楽世界のなかで、自主制作でなにかを作って配るということの目的は、本来こういうところにあるように思う。