2007年12月17日

絡みはじめる意図(2)

その日は、なかなか布団から出られなかった。
もう秋も深まり、日が沈むとかなり外気温は低くなる。

寒さは闇の中で少しずつ勢力を伸ばしたようで、
朝には完全に空間を支配していた。

まだ暖房をつけるには早すぎるように思えたし、
ストーブの点検もしていない。

水城藍は誘惑を振り切るようにすばやく起き上がり、布団からキッチンへ向かった。
とりあえずコーヒーを飲んで身体を目覚めさせ、体温を上げることにする。


今日は水曜日。仕事は休み。
土日にきっちり休みをとれる仕事ではないため、なかなか
友達と時間を合わせて遊びに行くことができない。

しかし、平日の空いている時に買い物ができるというメリットがある。
それに、パチンコ店も土日に比べれば空いているので、ゆっくり打てる。

(今から準備すれば、開店に間に合うか・・・)

寒さとコーヒーで一気にクリアになった頭の中では、
すでに今日一日の予定が決まっていた。

給料は出たばかりだし、懐には余裕がある。


こうして朝から打ちに行くようになったのは、つい最近のこと。

それまでは休みの日でも夕方から、早くても昼過ぎから打ちに行っていた。
なんとなく、開店前から並んで打つことに抵抗があったのだ。

しかし、夕方から行っても自分の打ちたい台はふさがっていることが多く、
席があくまで待たなければならなかった。
いつも、その時間がもったいないと思う。

朝から打てば待つ必要もないし、ゆっくり楽しめる。
そう思い、ほんの少しの勇気を出して朝から打ってみた。

その日は、勇気が手伝ってくれたおかげか、
普段の3倍ぐらい勝つことができた。

それ以来、大勝の感触が忘れられなくなっていた。


パチンコ店に到着したのが、8時30分を少し過ぎたころ。
1ヶ月ほど前から通うようになった店で、同僚に勧められた店だ。

それまで通っていた店では、右も左もわからなかったせいもあるが、
まったくと言っていいほど勝てなかった。

同僚にそのことを話すと、彼女はこう答えた。


「それは、店の相性が悪いんだよ。気分転換に店変えてみたら?」

「店の相性?そんなの関係あるんだ。」

「うん。わたしも勝てなくなった時は違う店に行くよ。
それでけっこう勝つことがあるしさ。」

「ふぅん・・・」

「とりあえず、あそこの店がいいんじゃないかな。ほら、国道に面してて
すぐ隣にファミレスがある店。」

「あ〜、あの店ね。良い店なの?」

「わたしはあんまり相性良くないんだけど、雰囲気は明るいし、
勝ってる人もけっこういるみたいだし、評判良いんじゃないかな。」

「そっか。わかった、行ってみるね。」


初めて入る店なので少しドキドキしながら仕事帰りに寄ってみると、
確かにいつも行ってる店より雰囲気が明るいし、客の数も多い気がした。
なんとなく出てる気もする。

ためしに、と思って打ってみた。


「教えてもらった店に行ったら、勝てたよ。相性いいみたい。」
翌日、早速同僚に報告する。

「へぇ、やっぱりあの店勝てるんだぁ。わたしも今日行こうかな。」


それから1ヶ月通い続けている。
はじめて朝から並んで打ったのも、この店だ。


(この前は負けたけど、今日はイケる。)

並ぶには少し早かったし、まだ肌寒かったので車の中で
待ちながらそんなことを考えていた。

駐車場から入り口が見渡せるが、すでに30人ほど並んでいるようだ。
その中のひとりに目が止まる。

(あ、あの人やっぱり朝から打ってるんだ・・・)


それは、この店に通うようになってから度々目にする男だった。
休日に昼から行っても、仕事帰りに行ってもたいてい見かける。

最初は意識していなかったが、通い続けるうちになんとなく
常連の顔は覚えるものだ。

とくに、その男はいつもドル箱を積んでいる印象があった。


元彼がそうだったように、パチスロで生活している人がいるのは知っている。
もっとも、彼は借金を作っていたので、みんな実は借金だらけなのでは、と
半分以上疑っていた。

あの人はどうなんだろうか。


開店10分間になったので、車から出て列の後方につく。
近くで並んでいる人を見ると、いろんな種類の人間がいることに気づく。

獲物を狙うような、するどい目つきの人。
顔がくたびれていて、目の下にくまをつくっている人。
主人を仕事に送り出し、今日は夕方まで打とうと思っている主婦。
仕事帰りなのか、目が充血気味な金髪にスーツのホスト。
朝の講義をサボって友達ときている学生。
恋人と楽しそうに話しているカップル。

自分は、いったいどう見られているんだろう。


少し身体が冷えてきたところで、開店時刻になり、
並んでいた人々は勝ってここから出て行く自分の姿を思い描きながら、
次々と店内に足を踏み入れはじめた。


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2007年12月13日

第1章 絡みはじめる意図(1)

(やっぱり、あの時やめておけばよかった…)


水城藍は、そう後悔しながら車を運転していた。
もう夜の11時近く。
流れていく夜景の中に人影はほとんど見当たらない。

常夜灯と自分の車のライトだけが夜道を照らしている。

自宅近くのコンビニに寄るか、少し遠回りして24時間営業のスーパーに行くかで迷っていたが、
負けた帰りはたいていコンビニで弁当とお菓子を買ってヤケ食いするのがいつものパターンだった。

今日も例外はなさそうだ。


このおきまりのパターンの原因となるパチスロを始めたのは、ちょうど1年前ぐらい。


パチスロを始めた元々のきっかけは、以前付き合っていた彼氏だった。

最初、パチンコ店に連れて行かれた時は、あまり面白いと思わなかった。
面白さがよくわからなかった、というほうが正しいだろう。

それよりも、はじめて店に入ったときの音に驚いた。
こんな騒がしいところに長時間いて、耳がおかしくならないのだろうか。

隣で打っていたおじさんが耳にパチンコ玉をつめていたのを、今でも時々思い出す。


当時彼氏はフリーターで、出会ってからほどなくして同棲をはじめた。
半ばむこうが強引に転がり込んできた、といったほうが正しいかもしれない。

その頃はちゃんとバイトをしていたのだが、バイト仲間の影響でパチスロに没頭するようになり、
3ヶ月ほど経ったある日、急にバイトをやめてきた。

「バイト1ヶ月分の給料を1日で稼げるんだから、アホらしくてやってられんて。」
それからは、毎日規則正しくパチンコ店に“出勤”するようになった。


まだ若いんだし、生活ができるならそれでも良い、と思っていた。


実際、当時の自分の給料より稼いでいたようだし、勝って帰ってきた日は機嫌が良く、
食事に連れて行ってくれたり、記念日でもないのに服やアクセサリーを買ってくれた。

しかし、負けた日は八つ当たりされることが多く、次第にその回数も増えていった。


挙句の果てに、実は借金があることが発覚した。


「なんで借金なんか作ったの?パチスロで稼げてたんじゃないの?」

「いや、最近ちょっと調子が悪くてさ。でも、一発当てればすぐ返せるんだし、
そんなに大したことないって。」

「一発当てられないから、こうなってるんでしょ!?借金いくらあると思ってんの!?」

「うるせーな、家賃は払ってるんだし、お前に関係ないだろ!」


別れる直接の原因はむこうの浮気だったが、それ以前に借金が引き金となって
些細なことで喧嘩を繰り返すようになり、お互いあまり干渉しないようになっていた。

結局、稼げるどころか借金を作っただけ。
そのくせ浮気までして、アパートの壁に八つ当たりの跡を残して出て行った。

それを見るたびに腹立たしくなるので、ポスターで隠してある。
自分の視覚を一瞬だけ騙す効果しかないが、何もないよりは多少ましだろう。


所詮、ギャンブルは負けるもの。
胴元が必ず勝つもので、パチスロもそれと同じ。
彼氏がそう証明してくれたおかげ、といっては変なのかもしれないが、
藍がパチスロにのめりこむことはなかった。


しかし、パチスロを打つ機会は、意外に早く訪れた。
職場の同僚の車が壊れて、自宅が近い藍が家まで送って行くことになり、
そのときにたまたま、パチスロでもしていかない?と誘われたのだ。

「パチスロってあまり打ったことないし、好きじゃないんだけど・・・」

「1時間だけ付き合ってよ。ね、そんな何万円も負けることないんだし。
ちゃんと覚えれば、けっこう楽しいよ。」

何をちゃんと覚えるのかよくわからなかったが、
誘われると断りきれない性格のため、結局帰り道の途中にあるパチンコ店に寄ることになった。

彼氏に連れられて行った店とは違うが、新聞のチラシでよく目にする名前だった。
同僚はよく来ているようで、車を降りてさっさと入り口のほうへ向かって行く。


そのときに打ったのは、同僚が勧めてくれた、ボーナスに当選すればランプが光る機種で、
彼女いわく、これが一番わかりやすくて大負けもない、ということだった。

とりあえず3千円ほど打って、あとは見ていようと思ったのだが、
千円分のメダルがなくなりかけた時に、隣で打っていた同僚が興奮して指をさしてきた。

「ほら、当たったよ!」
彼女の指さすほうを見ると、自分の打っている台のランプが光っていた。

「う、うん…。え?これって、何か当たったの?」
そもそもどういう仕組みなのかよく理解していなかったし、
まわりの音の騒がしさと若干の緊張のせいで喜んで良いのかもわかっていなかった。

「当たり前でしょ!とりあえず、7を狙ってみて。見える?」
そう言われたものの、リールはただ目の前でぐるぐると回っているだけで、7どころか何も見えない。
適当に押してみたが、7はそこになかった。

「あー、ダメじゃん、ちゃんと狙わなきゃ。」

「だって、全然見えないんだもん」

「ちょっと席変わって。押してあげるから。」


同僚が藍を押しのけるように席につき、慎重にストップボタンを押してリールを止める。
7が一直線に揃ったかと思うと、いきなり大きな音が流れ出した。

「ただ普通に打っているだけでいいからね。」
そう言って同僚は元の席に戻る。

(普通に打つって、どういうことなんだろう?)

おそるおそるゆっくり打っていると、下皿にみるみるメダルがたまっていった。
しばらくすると音が鳴り止み、台は何もなかったかのように静まり返る。

「これって、この後どうするの?」

「まだ10分ぐらいしか経ってないし、わたしも負けたままやめれないから、
そのまま打ってなよ。ビギナーズラックでまた光るかもよ。」
真剣な眼差しで打っていた彼女は、こちらを見ずに答える。

「うん・・・、わかった」


結局、その日は約束の1時間を超え、2時間ほど打っていた。
藍はドル箱いっぱいのメダル、同僚は何もなし。1万円以上負けたようだ。


「あ〜あ、1万円も負けちゃったよ。」
帰り道の車内でうらめしそうな顔でこちらを見てきた。

「なんかドキドキしてよくわからなかったけど、でも、ちょっと面白かったかも。」

「そりゃ、あんたは勝ったんだから面白いさ。」

「いつも仕事帰りは打ちにいってるの?」

「ほぼ毎日かな。休みの日とかは朝から行ったりね。
勝ったり負けたりでプラマイゼロだから、給料日前とかは行きたくてもいけないけど。」

「そうなんだ・・・」



あれから、もう1年。
まさか自分が仕事帰りに毎日打ちにいくようになるとは思っていなかった。
たぶん、同僚と打ったときに負けていたら、これほどのめりこむことはなかっただろう。

いや、過程は違っても、結果は同じだったのかもしれない。
今は借金を作ってまで打っていた彼氏の気持ちが、すこしわかる気がする。

さすがに仕事を辞めようとは思わなかったが、数時間で勝てる金額を考えると
働くなるのが馬鹿らしくなるという気持ちも理解できる。

幸い、あのときの同僚と同じように、勝ったり負けたりの繰り返しで趣味の範囲内。
たぶんプラマイゼロぐらいだとは思うけど、不思議と財布にあまりお金は入っていなかった。


やっぱり、あの時やめておけばよかったんだ。
たぶん800枚ぐらいはあったんだから、やめていれば3千円ぐらい勝っていたはず。

欲張って200ゲームまで回そうとか考えるんじゃなかった。
3千円あったらコンビニ弁当よりはマシなものが食べれたのに・・・。


テレビを観ながらお菓子をヤケ食いして寝る。
そんないつもと変わらない1日が終わっていった。


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2007年12月10日

プロローグ

この世は、確率で成り立っている。
すべての事象は数字で表すことができる。

人間の思考も心も、電子の移動に過ぎない。
0か1の組み合わせ。

60億の人間がいれば、60億通りの考え方が存在するものの、
いくつかのパターンに分類することができる。

意思の決定や行動パターンも、確率をもとに予測することができる。


たとえば、あなたが食事中に、目の前にいる彼女にいきなり水をかけたらどうなるだろう。

彼女は怒るかもしれない。単に驚くだけかもしれない。
喧嘩をしているわけでもなく、ただ食事中に何の前触れもなくいきなり水をかける。

彼女の中では予測しえない事態かもしれないが、
あなたは彼女の行動を予測することができる。

それは、過去の経験則と、彼女の性格などを考慮すれば簡単に導き出せる。

誰でも、水をかけられれば怒るか、驚くかだ。
あまりの出来事に泣き出すかもしれない。

しかし、笑い出す確率は低い。

一方、水をかけられた彼女にとって、食事中に向かいの席に座っている彼氏に
ただ水をかけようを思ったことはないだろうし、かけられるとも思っていない。

そんな光景を見たこともない。

激しい口論の末、目の前にあるコップに入った水を相手にかける確率は高くても、
何もないのに水をかける確率など、ゼロに等しい。
ゆえに、予測することができない。

もし、これが海で遊んでいる時だったらどうだろう。
今度は水をかけられても、怒ったり驚く確率は低くなる。
逆に楽しそうに笑う確率が高くなるかもしれない。

彼女も、水をかけられることはある程度予測することができる。


このように、過去の経験に基づいて、また相手の性格や周囲の状況を考慮にいれれば、
確率から思考や行動を予測することができる。


人間ではなく、機械が相手なら、予測はさらに容易となる。
もともと人間が作ったものだし、たとえバグの可能性を考えても予期し得ない
事態に遭遇することは少ないからだ。

ハード的な面を考えれば、防水加工を施していない限り、水をかければ壊れる確率が最も高い。

ソフト的な面を考えれば、ランダム処理するプログラムでも、予想範囲内で収まる。


ただし、機械を扱う人間側の知識が不足していれば、
その予測も間違った方向に向かうことになる。


サイコロのように、1から6の数字をランダムに出力する機械があった場合、
各数字が出力される確率は1/6である。

しかし、必ず6回に1回の割合で均等に出力されるわけではない。
「3」が5回連続で出力されることもある。

試行回数を増やせば、1/6に収束していくのだが、それは「3」が5回連続で出力されたから、
「3」の出る確率が一時的に低くなった、ということではない。

確率は、常に一定。

「3」が5回連続で出力されても、次に「3」の目が出る確率は変わらずに1/6なのだ。
これを知らなければ、次に3が出ることはないだろう、という間違った予測を立ててしまう。


通常、機械相手にこんな予測を立てる必要はない。
しかし、一部の人間は毎日機械相手に予測をしている。
その予測だけで生計を立てている人間もいる。


わたしも、そのうちの一人だ。

しかし、予測が必ず的中するとは限らない。


わたしにとって、ある女性との出会いは、過去の経験や周囲の状況から見ても
まったく予測することができないものだったのだ。


あなたには、予測できるかもしれない。

既に結果の一部を記述しているし、時系列に沿って順番に記述しているからである。


この物語はあなたにとって役に立つかたたないのか、
これもわたしには予測できない。

少なくとも、あなたは機械ではないのだから。



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Posted by slot_novel at 00:00Comments(0)TrackBack(0)clip!プロローグ 
2007年12月01日

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はじめに

はじめまして。神風 隼人です。
当ブログにアクセスいただき、ありがとうございます。

このブログは、“パチスロで楽しく勝つためにはどうすればよいのか”
を小説形式でご紹介しています。

パチスロ5号機時代になり、残念ながらパチンコ店もパチスロ人口も
どんどん減少しています。

しかし、5号機でも勝つことは可能です。
あなたが本気になれば、パチスロの収入で生活することも可能でしょう。


その方法が随所に散りばめられているので、参考になれば幸いです。


なお、個人の経験や友人から聞いた話など、実際にあった事柄を基に執筆していますが、
作中に登場する個人名・店名・機種名等はすべて架空のものです。




関連サイトやメルマガも合わせてご覧ください。

>> 勝てる!パチスロ講座
>> パチスロシークレットマニュアル『破』
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