学生S&C日記

大学の博士課程に在籍しながら都内の大学でストレングス&コンディショニング(Strength and Conditioning : S&C)コーチ活動をしている学生のブログです。 ご連絡等はプロフィールの「メッセージ送信ページ」からお願いいたします。

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 先日、筋肉バカドットコムさんのパワーリフター特集にて、そうそうたるトップリフターに混じってインタビューをしていただきました(記事はコチラから)。この場を借りて、関係者の皆様にお礼をさせてください。ありがとうございました。インタビューのトップ画像が「ろくろを回しているように見える」とのことで「陶芸家」というあだ名がつきました。 

 ところで、先のインタビューにて僕はBIG3の重要性を語っています。詳細は先の記事をご覧いただけるとわかると思いますが「パワーリフターのBIG3と他の競技選手がやるBIG3は違うだろう」という意見も出てきそうなので、少し補足させていただきます。 

【こだわりがすんごい】
 SQだけを例にとってみても、基本的にパワーリフターのSQはいわゆる「ローバーワイド」が主流だと思います。ですが、SQは担ぐ位置、スタンスなどによってキネティクスが変化するのは自明の事実で、もちろんこれを他の競技へ当てはめる場合はそれを細く調整して目的にあったSQを処方するのが普通です。 
 だけど、いつも仲良くさせてもらっている伊勢崎さん、シダさん、渋谷さん、木下さんなどのトップ選手から話を聞いていると、みんな核となる部分を持ちつつ、こだわりを持ってSQをやっているというのが垣間見えて、SQを研究している身として痛く感動しました。自分がSQを指導するときそこまで細かいことを気にして指導しているだろうか、と。

【方法は違えど、目的は同じ】
 確かに選手へ指導するSQは必ずしも「ローバーワイド」ではないかもしれませんが、彼らのBIG3へのこだわりはそれを通り越してみんなに伝えたい、伝わらなければいけないものだと思うようになりました。
 SQの方法は違うけど「強くなりたい」と思う気持ちは皆同じのはずです。それが同じ「BIG3」を通して達成されたらそれほど素晴らしいことはないですよね。もちろん「BIG3だけやりなさい!」という極端なことを言っているわけではありません。「BIG3とか、そういう基礎的な種目をやらないで変なトレーニングに流されちゃうのはよくないよ」ということです。
 以上、掲載報告とつぶやきでした。

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こんにちは。くぼです。こっちのブログは久しぶりです。急に待ち時間ができたのでブログを更新しようと思います。
私は基本的に選手個人にくっついて活動する、いわゆる「パーソナルトレーナー」です。過去に何度かチームのS&Cとして某競技のチームに所属していましたが、現在はパーソナルだけです。
で、一応チームのS&C、パーソナルとしてのS&Cを経験した身として、二つの立場のおおまかな違いをつらつらと書いていきたいと思います。

【パーソナル】
 まず、パーソナルですが、選手個人個人につくわけなので、その選手の長所、短所を分析してメニューを組むことができます。オフの指示こそできませんが、トレーニングに関する全権を委ねられているわけなので、ある程度選手と自分の理想にトレーニングメニューを合わせることができます。面談したり、メールで話し合ったり。また、そういった時間を選手と持つことで、自分の考えを選手にシェアする時間が大幅に増えます。そうすると、じぶんがどんなポリシーを持ってメニューを組んでいるのか、などを知ってもらうことができます。
 ですが、パーソナルでつくというのはそれすなわちその選手の競技成績にも直結して責任を持つ立場になるので(正確には、世間からそういう目で見られる)、結果が出なかった時の風当たりはもちろん強くなるとおもいます。けど、そういった中で「いずれ結果はついてくる」といって選手が付いてきてくれるかどうかは選手との信頼関係次第ってところでしょうか。また、経済的には安定できるとは言い難いのが現状です。

【チーム専属】
 チーム専属になると、選手個人個人に丁寧に教えてるような時間はパーソナルに比べて大幅になくなります。というのも、チームの練習時間にあわせてトレーニングが組まれることが多い(僕のいたとこはそうでした)ので、例えば朝8時から90分おきに各ポジションがウエイトしにくる、という感じです。そうすると、時間時間でセッションが区切られるので、こまかーーく指導できる時間が減ってしまう。ということです。そうすると、誰がサボっていた、誰がやっていたの判断がつかなくなりますし、そこまで目が行き届かなくなってしまう、ということがありました。
 また、特に日本のチームの場合、相当お金を持っているチームでない限り、トレーナーが分業しているところは少なく、ATとS&Cを掛け持ちした「ハイブリッドトレーナー」さんがいたりするので、S&C専属、というのはまだまだ国内では認知度が低いみたいです。また、コーチや監督との関係上、自分が思ったようなトレーニングを指導できない場合がありますし、いわゆる「チーム内の政治」に大きく関わらなければいけません。なので、チーム専属S&Cが目指すものはいわば「チーム全体の平均値の向上」であると勝手に思っています。
 しかし、チームにつくというのはそれなりに得るのもの多くて、チーム内でのつながりや、チームが勝利した時のなんとも言えない高揚感、同業でのコネクションの広がりなどが挙げられるとおもいます。あと、経済的に安定します。これは結構ポイントが高い点だと思います。

【職業としてのS&C】
 以上にあげたように、同じS&Cでも立場によって置かれる状況は大きく違ってきます。どちらがいい、悪いではなくて、S&Cとしてどちらもできるに越したことはないと思うので、僕なりに感じたことをシェアさせていただきました。S&Cを専門で職業とするのがまだまだ難しい日本ですが、頑張っていきましょう。 

【あとがき】
 たった今、去年の年末あたりからトレーニング指導をしている選手が某選手権で優勝してくれました。記録はだんだんと伸びてきていたので手応えは感じていましたが、「ダークホース」と紹介されたみたいでなんか嬉しいですね。コーチと二人三脚でみてきた選手なので、嬉しさも人一倍です。おめでとう。

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こんにちは。久保です。

自分は立場上、トレーニング指導をするアスリートの競技が多岐にわたっていて、冬はスノーボードから夏は陸上まで指導にあたることがあります。ですが、同じように筋力、パワーの向上を示しているはずなのに選手からのフィードバックは「トレーニングの成果が感じられました!」と言ってくれるアスリートがいたり「トレーニングの成果、あんまりよくわかりません、、、」としょぼくれるアスリートもいます。そんな中で自分なりに答えをいろいろ導き出してみました。

【競技力が目に見えてわかるものか、そうでないか】
ふと振り返ってみると「トレーニングの成果が出ました!」と言ってくれるアスリートがしている競技は、自分の競技力が目に見えてわかるものだったりします。例えば陸上短距離であれば、トレーニング前の記録が11.00でトレーニング後が10.80だったら、選手からすると「わぁ、ウエイトの効果でたな」ってなると思います。もちろん、他の要素も込みでってことです。
ですが、野球とかソフトボールとか、競技力が目に見えてわかりづらい競技のアスリートに関しては「何が良くなっているんだかわからない」となってしまうんだと思います。 例えばバッティングを良くしたいがためにトレーニングをしてスイングスピードが上がっても、ボールがバットに当たらなきゃ話にならないわけですから。しかも、残念ながらトレーニングはある一つの競技を「直接的に上手く」させる力は備わっていないので、なおさら「あんだけトレーニングしたのになんでなの!?」となってしまいます。

【そのようなアスリートに対してどのようにアプローチをするべきか?】
そういうアスリートに対して「トレーニングは大事なんだよ」っていうのをいくら吹き込んだところで「だって、効果でないし」と一蹴されてしまうので、どうするべきかなと思っていました。

対策①:パフォーマンステストを実施してみる
そういうアスリートは「目に見えた効果がパフォーマンスに現れない」ことを不安要素としているのでしょう。ですので、トレーニング前後での(適切な)パフォーマンステストを実施して、単一の動きだけでもいいので何かが向上している証拠を見せてあげるだけでも不安要素は取り除けますし、同時に競技練習の重要さも再確認させてあげられると思います。
その代わり、単一の動きですら向上していないのなら、プログラムの再構成をするべきだし、それはトレーナーの責任であると思います。また、そういう自信のない人が変なトレーニングに身を売ってしまうんでしょう。

対策②:理論武装をする
「人に何かを教える人は教えられる人の◯◯倍知識がなくては〜」ということをよく耳にすると思いますが、選手が持つ疑問に圧倒的な知識で理論的、かつ冷静に答えてあげることもまた選手を納得させるためには重要な要素だと思っています。感情的に「筋トレしてりゃいいんだYO」というのはあまりにも極論ですし、また、論破と性格が異なるものだと思いますので、注意しましょう。

【指導って難しい】
特にチームスポーツはそうですが、一人の成績が極端に良くても、チーム全体が弱くてはそれをまるっきり否定されてしまう場合があります。しかも、それをトレーナーのせいにするコーチだっています(「トレーニングがしっかりしてないからだ!」とか「あのチームが弱いのはトレーナーが悪い」とか)。よくあるのは、ピッチャーが抑えてるのに打線が沈黙してたり、その逆も然りです。
トレーニングが重要なのはもはや言わずもがなですが、それをいかに選手たちに納得してもらうか。つくづくトレーナーっていうのは対人商売なんだなと感じるこのごろです。

【雑記】
誰かmatlab使える人いませんか?

 

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