partial-squat

スクワットの話題になると必ず出てくるのが「スクワットがフルがいいの?それともパーシャル?」というものです。今回は双方の特徴、および自分なりの考えを書いていきたいと思います。

【フルスクワット(FSQ)のメリット 】
①柔軟性の向上 
レジスタンストレーニングを可能な限りの可動域で行うことによって柔軟性が向上することが報告されています(3)。この可動域改善によって技術面の改善を望むことができ、障害の予防につながります。FSQのメリットはここに集約されているかもしれません。

②股関節伸展群の筋活動増加
股関節伸展群の筋活動を増加させる一つにしゃがみを深くすることが挙げられています。
股関節伸展群を上手く扱えるアスリートが少ないので、こちらも大きなメリットがあるのではないでしょうか。

【パーシャルスクワット(FSQ)のメリット 】
①高重量を扱うことができる
当然のことなのですが、しゃがみが浅い分高重量を扱うことができます。また、最近の研究では、スクワットのしゃがみの深さを補うために、高重量を扱えば筋活動が増加することが報告されています(1)。

②ドヤれる
重いの持ちあげてるぜ!ドヤァ!ってなってモテます。

【デメリットは? 】
考える限り、FSQのデメリットが思いつかないので、PSQのデメリットを書こうと思います。

①必要以上の高重量を扱うことによる障害リスク
上記の通り、PSQでは通常より高重量を扱うことができますが、自分の能力以上の重量を扱えばそれだけ障害のリスクも増えます。たまにプルプルしながら高重量のPSQをしている選手を見かけますが、危なくて見ていられません。やめてー!ってなります。

②制限された可動域による柔軟性の低下
制限された可動域内でトレーニングを行なっていると、当該関節可動域での発揮パワー等が向上する、「関節可動域特異性」が観察されます。現に2016年にHuman Movementに掲載された論文では、ジャンプ高、およびショートスプリントの能力はFSQよりPSQの方が向上率が高いことが報告されています(4)。しかし、それと同時に制限された可動域内での動作を繰り返し行っているため、新しい可動域を得るのが難しくなり、すなわちそれは新しい可動域内での動作を得られなくなるということを意味しています。

【結局、どっちをやればいいのさ? 】
弾性バンドを用いたトレーニングによって、今までのFSQで力学的な負荷を得にくかった関節可動域(膝関節角度90°以上)での力(N)、パワー(W)、挙上速度(m/s)、筋活動が向上することが明らかになっています(2)。
つまり、ピーキング時に関節可動域特異性を得るためにわざわざ高重量でのPSQを行わなくてもいいということです。
自分の場合、PSQをやってはいけない理由(e.g. 障害リスクの向上)は沢山ありますが、FSQをやってはいけない理由が見つからないので、FSQを推奨しています。
オフの時にFSQを行って、ピーキングの時にPSQを行う手もなくはありませんが、わざわざ選手を危険にさらすこともしたくはありません。

【まとめ】
FSQには柔軟性、可動域向上といった、他に変えようのないメリットがあります。また、唯一PSQに劣っていた点もバンドを用いることによって改善されます。
たまに、「この可動域でしか〇〇の動作は行わないから」という理由でPSQをやっている人がいますが、「その可動域でしかトレーニングをしていないから、動作がその可動域になっちゃうんじゃないの?」って思います。

《参考文献》

1. Contreras, B, Vigotsky, AD, Schoenfeld, BJ, Beardsley, C, and Cronin, J. A Comparison of Gluteus Maximus, Biceps Femoris, and Vastus Lateralis Electromyography Amplitude in the Parallel, Full, and Front Squat Variations in Resistance-Trained Females. J Appl Biomech 32: 16–22, 2016

2. Israetel, MA, McBride, JM, Nuzzo, JL, Skinner, JW, and Dayne, AM. Kinetic and Kinematic Differences Between Squats Performed With and Without Elastic Bands. J Strength Cond Res 24: 190–194, 2010.

3. Morton, SK, Whitehead, JR, Brinkert, RH, and Caine, DJ. Resistance Training vs. Static Stretching: Effects on Flexibility and Strength. J Strength Cond Res 25: 3391–3398, 2011. 


4. Rhea, MR, Kenn, JG, Peterson, MD, Massey, D, Simão, R, Marin, PJ, et al. Joint-Angle Specific Strength Adaptations Influence Improvements in Power in Highly Trained Athletes. Hum Mov 17: 43–49, 2016.