EBM(Evidence-based Medicine)
直訳すれば「根拠に基づいた医療」であり、内容としては、「入手可能な最新最良のエビデンスと患者の個別性を考慮して行う医療」のこと。
むかしから「入手可能な最新最良のエビデンスを重視する医療」のあり方は変わっていないと言えます。新しい知見が出ても無視して、自分の経験だけに頼る医者がもしいたとして、それは間違いだと誰でも認めるでしょう。
しかし近年はその「最新最良」が、別次元のものになったと感じます。昔なら学術論文として発表され、追試され、ある程度確かなものになってから教科書にも記載され、厚労省も認可する、そんなスピードだったと思います。その場合も、早い人はいくらでも早く取り入れることはできるわけですが、確実性については劣ることになります。
ところが最近のように医療データベースを世界的規模で構築するようになると、まったく違う世界が発生します。仮説、実験デザイン、結果、問題点まで一挙に入手できます。

まず検索の前に疑問の定式化を行うことが推奨されています。
1.どのような患者で(Patient)
2.どのような介入が(Intervention)
3.何と比較して(Comparison)
4.どのような帰結をもたらすか(Outcome)
頭文字をつなげてPICOとなります。

次に文献検索をして、みつかった論文について「内的妥当性」の検討をします。こで実験デザインの知識、統計学手法の知識が必要になります。たとえば、「複数のランダム化比較試験のシステマティック・レビュー/メタ分析による」が最も信頼性の高い情報と評価されます。有名な話では、心筋梗塞後の抗不整脈投与が、実は患者さんの死亡率を高めていたと証明された事例があります(Cardiac Arrythmia Suppression Trial)。

ここから実際の診療ですが、「論文の外的妥当性」の評価に入ります。この施設で、この患者さんの状態で、この家族を抱えながら、患者さんの人間観も考慮しつつ、どうするか、と検討します。
患者さんの精神世界に寄り添うことはNBM(Narrative-based Medicine)の領域とも考えられますが、現実に患者さんにどのような治療が最適化を考える時には、EBMにおいても不可欠なものと考えられています。
一方、医学教育の場面でも、教科書としてまとまったものを理解するだけではなくて、日々更新されるデータベースの中から真に意味のある情報を選び出す方法の教育こそ大切なのだろうと考えられています。