主様との大切な思い出のある、赤い大きな筒状のロウソク。

初めてあれを見たのは、まだSMの世界をよく知らない私が、主様と仮想世界のアバターでチャットしながら、彼に言われるままに自分の身体を触り気持ち良くなって「私の身体を好きにして下さい」と主様に屈伏して「おめでとう。今からナッチは九尾の奴隷ちゃんだよ」と認められた後。
でも正式なご挨拶を教わる前。
今年の始めの頃だったと思います。

壁際でのプレイが終わり、主様がまだ壁の方に向かって立っていた私に自分の方を向くように声を掛けました。
振り返ると、片手に赤くて、長くて、太い、家庭ではまず見ないであろう大きなロウソク、もう一方の手にはライターを持って火をつけながらこちらに近付き「ナッチ、見てて」 と言ってロウソクを傾け、主様自身の手に垂らそうとしたので、私は「え?熱いですよ。ええ〜?」と心の中で叫びました。

「あちちちっ」

案の定、主様はその場で飛び上がりそうな声を上げました。

ほら、やっぱり熱いでしょう?
私は花火の点火用に立てたロウソクを誤って触り火傷した憶えがあるので、熱さと火傷の痛さを知っています。絶対ロウソクなんて垂らしたらダメですよ。 

「だ、大丈夫ですか?」

オロオロしている私に主様は更に近付くと私の左手を取って「ほらっ」と大きな声で言って、そのロウを垂らしました。

「あついっ」

私は反射的に手を引いて、目で手の甲の、ロウが垂らされた部分を見つめました。
私の手の甲に垂れたロウソクは、あっという間に花びらを散らしたように、点々と赤黒い固まりになりました。

主様はロウソクをテーブルに置くと笑いながら私に「そんなに熱かった?」と聞きました。

そう聞かれると、この赤いロウソクが垂れたところは、花火の時火傷したのとは様子が違いました。あの時は熱さの後すぐにどうしようもなく痛くなり、水ぶくれになったのですが、少なくともこれは痛くない。
「熱かったですけど・・・??」私はわけがわからなくなり、変な受け答えをしてしまいました。

「・・・・これは、低温ロウソクって言って、融点の温度が低いんだよ。60℃くらいで溶けるから垂らすと熱いけど、ほら、火傷してないし、痕にもなってないだろ?」
主様は私の手の甲のロウをはがしながら更に続けました。
「ふつうの、バースデーケーキについてるロウソクに間違って触っちゃったことがあるけど、これよりよっぽど熱いんだぞ。融点が100℃くらいで高いからね。こっちは、肌に垂らせるように低温で溶けるようになってるんだよ。SMのプレイにはこういうのを使うんだ。まぁ、垂らせば熱いけどね。普通のロウソクでやったら、それこそ拷問だろうね」

私はその時、ちゃんとそれ用のロウソクがあると聞いて、縄を縛る時と同様、SMは安全に配慮しながらするんだな、と学んだのでした。

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長かった子供達の夏休みが終わり、主様とただただお互いの身体を貪りあった、その翌週のことです。

「今日は、ナッチに久しぶりに新しいことを教えようかな」

主様はそう言って、裸で立つ私にまず目隠しをしました。前にした目隠しよりも、キュっと閉まる感じ。これならズレてしまうことがなさそうです。

暗い中で聞いていると、何かコツンとテーブルのガラスに当たる音がしました。
足音が近づき、私の頭に何か帯みたいなものがのりました。

「口を開けて」

主様の声が顔の前でしました。
私がはいと返事をして口を開けると、そこに何か丸いものが嵌められました。プラスチックの匂い。表面は少しザラッとしていて口で息をすると少し抵抗がありながらも空気が通ります。舌で触ると所々に小さい穴が開いているのがわかりました。

あ、あれだ。

私は前に主様が見せてくれた、あれを思い出しました。名前は確か「クツワ」だった。

私が目隠しされた真っ暗な中で考えていると、主様は私の腕を背中で交差させて高手小手で縛りました。
そのあと身体に縄が巻付けられていきます。匂いと、シュルシュル、という音。それからこの肌触り。
これは私が好きな麻縄だな・・・。
今日は上半身をたくさん縛っています。

縛っている途中、突然乳首にギュッと刺激が走ったり、首もとや耳元に主様の舌の感触がきます。
その度にキュンとして、身体が反応してしまいます。 

縛り終わると、私の背後にあった、ベッドまで誘導されました。膝から下を床に下ろしたまま、まずベッドに腰掛けました。その後、身体を後ろに倒し仰向けになって寝かされました。足音が少し離れます。少ししてシュッと音がしました。

足音が近づいてきます。
次の瞬間、私は下腹部にピシャッとした熱さを感じ、思わずビクッとしました。
突然同時に何箇所も熱い。何をされているのか、よくわかりません。
私は混乱しました。

するとまた、ピシャッ。
ビクッ・・・。

それを何度か繰り返しました。
すると私は起こされて、クツワを外されました。

「あのさ、何かされたら、反応するのな。何も言わないんなら、これ、いらないだろ?」

私はこれをされて何も言えないようにされているのだから、主様に何をされても声を出してはいけないと思っていたので、その言葉が意外でした。
喚き、叫ぶ人の口を塞ぐからクツワの意味があるのか・・・。

クツワを外すと、私は後ろを向かされ、ベッドにうつ伏せにされました。
主様は私の腿の外側に膝をついたか、立っているようでした。斜め後ろから声がしました。

「ほら、今度はどうだっ」

今度は腰からお尻にかけて、熱いものがピシャッとかかりました。
腰の部分は、さっきよりも熱い。私はさっきよりもビクッとしました。
でも、歯を食いしばってしまい、また何も言えませんでした。

「声を出せ!熱いなら熱いと言え!」

主様はそう言いながら、私の腰からお尻に、今度はビシャビシャとたくさんかけました。

「あああ、あっつい!あついです!」

私はたくさんの熱さにビックリして思わず声を出しました。

「そうか。ははは。じゃあこれは?」

今度は笑いながらかけました。

「ああ、あっつい!いやぁ」

「いやか。もっと喚け、もっと大きな声で!」

ボトボトボト

「あー、あっついです!あっつい!」

私は喉が痛くなるくらいの大きな声を張り上げました。私を苛んでいる主様に助けを乞うような気持ちでした。
少し置いて、主様が言いました。

「・・・声出るんだろ?」

「はい。出ます」

主様がそういったので、これで終わりにしてもらえるのかと思いました。

主様は私の腰に縛った縄を引き、お尻を突き出した状態にしました。

「足を開いて」

私は膝を開きました。主様はあらわになったわたしのクリトリスを指でいじりまわしました。すぐに主様の指があそこの真ん中へ滑り、指で叩くようにしました。ピチャピチャと音がして、ヌルヌルしているのがわかりました。

「ほんとにいやらしいおまんこだな。すぐこんなになって・・・九尾に犯されたいんだろ?」

こんな格好でいやらしくあそこを濡らして・・。なんて恥ずかしい女なんだろう。それを今見られている・・・。
私がゾクッとしたその時、またポタポタとお尻にロウが垂らされました。まだ終わりではなかったのです。

「ああっあついっ!は、はいっ・・・犯してほしいですっ」

「誰に!」ポタポタ

「ああっ    ぬ、主様に」

「誰を!」ボタボタ

「な、奈緒美を犯して欲しいです」

「犯してください、お願いしますだろっ」ボトボトッ

「あ、あついっ!ど、どうか主様、奈緒美を犯してください。お、お願いします」

「・・・そうか、よく言えたな。じゃあ、犯してやるよ。ほら」

主様のものが私のあそこに、挿入されました。ロウを垂らしながら。

「ああっ、あつい!ああぁ」

私は熱さと快感が入り混じり、わけがわからなくなってしまいました。そのあと主様がロウソクをどうしたのか、私はイッたのか。よく思い出せません。

目隠しを外された後、そこここにロウが散らばっていたのを見ました。
私の身体にも、主様の身体にもそれは飛び散り、熱いのは自分だけでなかったことも知りました。

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クツワを嵌めて声を出せないようにされそれでも騒ぐ。ロウを垂らせば熱い熱いと喚く。自分が思っていることや気持ちを口に出して言う。

自分の痛みや苦しみを、我慢して強がらなくていいんだよ。
人は弱いものなんだから。

自分の気持ち良くなりたいことを素直に言っていいんだよ。
もっと自分を曝け出して。

こうやって主様は、いつもわたしをそのまま受け入れてくれているです。

自分の身体にロウがかかって熱くても、決してやめずに。