2018年02月18日

日本のライターも一部聴衆も、あてにはならんな(笑)~チョンさんと東フィルの1月の幻想交響曲、今日放送~NHK・FM

なんか聴きに行かれた方が皆さん、いいと言ってらしたし、ライターもやたら誉めてたから、取り敢えず期待して聴いたが、今日放送されたオペラシティのやつに関して言えば、確かに良かったけど、最後の最後の狂乱が良くない。

大ドラムが入る所から意味もなく一瞬テンポを落とした上、強く出るべき金管もそれ程でもないし、最後の雪崩れ込みでは、アマチュアオケでもここまでバラバラはないというぐらい、リズムが決まってない。決まってなきゃこの曲の場合、実は本当の迫力は出ない。

本当に壊したいなら、かつての来日公演における
プレートルとパリ管ぐらい壊してれば、それはそれでまた面白いが、あそこまでの破壊とメリハリも勿論ない。

これぐらいのなら、失礼な言い方だが、来月のコバケンさんと読響なら楽勝だろう。もっとも、音楽が情念から祈りに昇華している今の小林研一郎さんが、幻想交響曲をどうやるかという事に、私は今、あまり関心を持てないけどね。

いずれにせよ、こういうのを大騒ぎするんだから、大神田ブログが存在する意味はあるよな(笑)


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2018年02月12日

小林研一郎の本当の良さとは何か~PEOとの「春の祭典」は、彼にしか出来ない世界~12(月)サントリー

いくらフィルハーモニック・アンサンブル管弦楽団が、レベルの高いアマチュアだとはいえ、以前にはマーラーの5番の様な“大失敗演奏会”もやってるし、ベト7と春祭というのはいささか無茶だと思ったが、それは半分は当たった。

いくらアマチュア相手とはいえ、コバケンのベートーベンでの棒は、刻みとテンポが慎重に出過ぎている。第3楽章が象徴的だったが、いかにも慎重に踏み締めて歩いてますというのが丸分かりなのだ。だから躍動感がどうしても足りない。まあテンポが慎重だった分、第2楽章ではいい叙情が生まれたという部分はあるが、フィナーレでもコバケンは盛んに煽ろうとはしているんだけど、コントラバスなんかよくやっていたとは思うが、今一乗り切れないベト7となった。

こんな調子で春祭をやられたらたまらないと思ったが、そりゃ勿論プロよりソルフェージュ的な意味で、発音発色の甘い所はあるに決まってるけど、コバケンが求めているのは音楽的に“正しい”音ではなくて、“命を賭けた”音だ。今回一番面白く、また凄かったのは、曲の一番最後に向かう中で、決してシャープではない、慎重に踏み締めながらも入魂を持って進むコバケンに対して、PEOが地鳴りする様な気迫で食い下がって、コバケンと同化した事である。

あれがもし、正しさだけを追い求める指揮者だったら、もっとシャープなリズムで、縦横を整理整頓した音になるまでオケを鍛えていただろうから、あそこまでド迫力な結末にはならなかっただろう。

たとえアマチュアくさいたどたどしさがあったとて、またたとえ、洗練を欠いているとはいえ、命を賭けたアマチュアの音を、枠に収まりきらない重量感として認め、前向きに肯定するという、小林研一郎さんの人生観の勝利である。

でもティンパニの御姉さんなんかは、なかなか切れ味もあったし、春祭に関しては総じてPEOは大健闘であり、御客様もみんな満足して家路に着いていた。

コバケンの偉いのは、人間の前向きな業を、気迫と共に肯定出来る事なんだろうね。


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2018年02月04日

物事の本質は、汐澤先生を尊敬する人達との交流でこそ得られる(笑)~音泉室内合奏団 第53回~3(土)第一生命ホール

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というか、そこでしか得られない(笑)

汐澤先生と行動を共にする人々を、中核メンバーに多く抱える、壮絶無比な迫力を持つ室内オケ、音泉室内合奏団は、軟弱な弾き方を一切拒絶しているかの様な、渾身のメリハリと入魂で音楽に向かう、硬派の音楽集団である。

珍しいウィンナ・ワルツを取り上げる事でも有名だが、交響曲においては彼らのを聴くとどんな場合でも、そこまで壮絶に弾くから、何気無いリットや静寂がそんなにも生きるのかとか、ああやはり、西洋音楽の肉食人種的な闘争性って、ここまでやらないと分からないのかと、彼らの演奏じゃないと教えてもらえない事に出会うのである。

特にシューマンの交響曲演奏などは最近、本場でも洗練が進み過ぎており、ここまで力強く壮絶な「ライン」の演奏は、今や日本の彼らのとこじゃないとないであろうという、何とも感慨深いものに今回も出会った。

実は“ヘングレ”前奏曲というのも、書法的に分厚いので有名で、安っぽいメルヘンでは済まない曲なのだが、音泉だと流石の迫力で、最早何も言う事はない。

ウィンナワルツ・ポルカは、彼らの渾身かつ美しい、しかし珍しいのをいっぱい御馳走になった後でドナウとかを聴くと、やはりちょっと安心してしまうというか(笑)、有名にならなかったものって、やはりそれなりに理由があるなとも思ってしまうのだが、それでも今回、ポルカ・マズルカの「女性賛美」というのは、やたら陰りが多く、どういう女性を賛美してるのか全然分からないのが面白かった(笑)。ちなみに、ある主要メンバーの奥様が、とても幸せそうなお顔をして客席にいらっしゃったので、「さぞかし御家庭では、いつも旦那様は奥様を賛美なさってるんでしょうね」と御伺いしたら、「とんでもございません(笑)。そんなものは、かけらもございません(爆)」だってさ(笑)。

私は昔、女が分からなければ、音楽なんか分かる訳ないと言われた事があるが、あんまり関係なさそうである(爆)

汐澤先生も元気にトロンボーンを吹いてらしたので、新年の御挨拶を済ませて帰路についた。今回のメンバーは来月3/4(日)の足立シティオーケストラのシベリウス1番のメンバーとも大分だぶる。これだけ壮絶に弾く人達だからこそ、真の炎の指揮者、汐澤安彦だけが出せる、「物事の核心、本質」に付いて行くのだろう。

今年は「愛」の小林研一郎と、「本質を抉る」汐澤安彦グループの、勝利の年になろう。写真は、音泉の最強グループね(笑)


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あなたの祈りは、天に届くか~2週連続“歴史的名演”をやったコバケンが、楽屋で私に語った事~東フィルとの「我が祖国」~3(土)文京

826abd62.jpg本来なら、一行も書く必要がない演奏会だ。名演過ぎて、かえって書き様がないのだ(笑)。

一応無理矢理書くと、冒頭のハープの弾かせ方がかつてより決然としている「高い城」、テンポの急ぎ過ぎが若干修正されている為に、格調の高さも発生した「モルダウ」、結尾に至る切れ味はそれ程でもないが、それがかえって騒然とした生々しさを出している「シャールカ」、東フィルの色彩感が極上だった「ボヘミアの森と草原から」、かつてより力強さに品格が加わっている「ターボル」、そしてその品格が、ラストの、コバケン特有の音符の伸ばしで、それまでにない結果を生んだ「ブラニーク」という事になる。

何が違う結果なのか(笑)。

実はコバケンは、昨日私にこう言ったのだ。「最後はああなるべきよね(笑)」。これを皆さん、傲慢だと思うか。これについて、先のブルックナー批評で「本質を抉った」(小林研一郎)大神田が(笑)、彼に代わって語ろう。実はコバケンさん自身も、ひょっとしたら御自分の御成長を分かってらっしゃらないかも知れないから。

もしコバケンが、「こうなるべき」と言った意味が、最後の音符を単に伸ばすべきという意味だったとすれば、私もその場で、ハイそうですねとは言っていなかった。

コバケンがああいう事を始めたのは実は、以前、東フィルとサントリーの定期で我が祖国をやった時である。都響と読響とのちょうど間の時期だ。

その時もかなり大胆な伸ばしだったが、その後、読響でのがCDになった時、何で最後の音符をこんな風に伸ばすんだという意味の事を書いた人がいた。

それは、その人の勝ちだった。つまりそれは、「伸ばしてる」若しくは「誇張してる」という風にしか聴き取ってもらえない、余計な音圧と情念の押し出し方が、コバケンの側に未熟としてあったという事なのだ。

昨日の東フィルとコバケンのそこは、正に奇蹟だった。伸ばしてるんだろうけど、伸ばしが透き通っていて、祈りが天に向かう様に、スーっと消えて行ったのだ。コバケンにかつてより、“心の脱力”がある証拠である。

過去の全てを上回る、歴史的名演の評価は、この瞬間に私の中で決定した。今回の場にいなかった人が、真のコバケンファンと言えるかどうか大変疑わしいのだが(笑)、まあ後でラジオ放送もあるみたいですから、よろしくお願いいたしますね(笑)

コバケンを真に愛する者は、今、人生の絶頂にあると言っても過言ではあるまい。


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2018年01月29日

これぞ、世界一の「ドナウ」(笑)~ニューイヤー史上最高の名盤 ムーティVPO2018~ソニー

428a5e94.jpg解説無用。微細な緩急が素晴らし過ぎる。カラヤンBPO60年代と対を成す、音楽の豊かさの最高峰


smj_ohkanda at 00:40|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 告知(演奏会など) 

2018年01月28日

一生忘れ得ぬ、歴史的名演~小林研一郎&日本フィル 第697回 東京定期演奏会 二日目~27(土)サントリー

6ddf46e3.jpg皆さんは、弱音を吐くという事をどう思うだろうか。

先に結論から言おう。弱音を吐くという事は、己れと状況が分かっているという事だ。どうしようかと模索しているという事だ。別に降伏を宣言している訳ではない。大丈夫だよねなんて強がりを言われて、実はボロボロでしたなんて事より、遥かにましだ。

初日の26日(金)でも充分感動してらした人がいたら申し訳ないが、初日のブルックナー交響曲第7番が終わった後の、コバケンの会場でのスピーチは、自分の年齢に関する事、明日もう一回来て下されば的な言い方も含めて、事実上の敗北宣言だった。

冒頭のチェロは、一度下に降りてから上行が始まるが、その下の音が何とも幅があり過ぎる。決まってないのだ。またザッツの微細なズレは今回ちょっと多目だったが、仮にそれを全部不問にしても、フィナーレ冒頭のリズムをバイオリン群が奏でる時、何弾いてんだか分からないぐらい発色不明の人が何人か瞬間的に出たのは、今時アマチュアオーケストラでも上級なら殆ど有り得ない不手際だ。

「今日は大神田さんには怒られちゃうかな」が、初日のコバケンさんの楽屋での第一声だったが、私は怒ったらそもそも楽屋には行かない。楽屋ってのは揉める為に行くのではない。激励の為に行くのだ。

彼が昔日本フィルとこの曲をやった時は、私は本気で怒った。まあ、ティーレマンと小澤さんの同曲を見た頃と重なったせいもあって、弦が総量としてまるで鳴ってない上に、金管だけギャアスカ鳴るブル7は迷惑至極で、2階で拍手していた広上さんまで睨み付けて、勿論楽屋にも行かずに退館した覚えがある。

実は今回、コバケンの解釈は、極度の普遍妥当性を持つ、万全とも言えるものだった。全体のテンポは割にカラヤン70年代に似ているとも言えたかな。逆に言えば、コバケン的特色って特になかったんだけど、例えば後半楽章のトランペットの最高音なんて、初日は明らかにドルチェな抑制をかける棒を振ってらして、かなり万全な指揮だった。

つまり、少なくともブルックナーの第9番の初日の時の様な固さは、実はコバケンにはなかった。しかし、弱音を吐いただけ私は見込みがあると思ったから、「音楽にもう少し、微笑みを入れてみませんか」と申し上げたのだ。つまりコバケンさんには悪いけど、あなたがまだ固いんだという意味で、悪者になってもらった。明日もう一回おんなじ事の繰り返しでは無意味だからだ。

コバケンさんは二日目は、名誉も恥も捨てて、楽譜を見ながらやった。これは楽譜を見る為では勿論なくて、自分の中に安心感を作り出し、それによって動きを更に軽くする為だったそうだ。今回の彼の解釈は妥当だけどすこぶる重厚だから、オケはその緊張感だけでも大変なはずである。

確かに初日、一部に疑問があったとはいえ、日本フィルは昔とは弦の鳴りがまるで段違いだった。またゲストコンマスの徳永二男さんはかつての印象とはまるで別人で、ギコギコ弾く様子がなく、バイオリン群全体の美しさも隔世の感があった。

そこに二日目は、初日とは大変な違いの、コバケンの柔軟かつ雄大な動きが加わった。だから悪かろうはずがない。悪くないどころか、最後の、会場に充分余韻の間があってのブラボーは、あの小澤&サイトウキネンの時とまるで同じで、朝比奈さんでも経験出来なかった、歴史的名演誕生の証左にもなった。実は所謂ブルックナー指揮者より、コバケンの方が繊細なレジストのセンスを持っているから、バランスや音色とかも絶妙なのである。若杉さんもそうだったけどね。

とにかくもう、二日目はコバケンの歓び方も御客様の興奮もまるで違って、それは彼のこの、嘘のない笑顔に表れている。

アレクサンドラ・スムさんとのシベリウスのバイオリン協奏曲は、両日共に、最早何も申し上げる事のない硬軟自在の名演。彼女が長野のコバケンさんの音楽祭に出てくれたら、どんなにいいだろう。

私は自分の生涯を終える時、今回の演奏会の事を多分思い出すだろう。自分を応援してくれる人々へあそこまでの感謝が出来る方、ちょっと見た事がない。


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和田一樹の作り出す音楽は、拡がりを持つ。何故か(笑)~大成功の豊島区管弦楽団ニューイヤーコンサート~21(日)東京芸術劇場

32cf721c.jpg大阪フィルと名古屋フィルの大成功の直後だから、正直キツいかと思ったが、豊島管の「ローマの松」は、別に総人数がやたら多い訳でもなかったんだけど、知る限り、迫力では史上最大級だった。

冒頭だけやたら慎重な点の置き方をしてたから、オケに不安でもあるのかと思ったが、要は意図的に対比を作りたかったようだ。ボルゲーゼの終盤では、例の、彼しか出来ない、所謂「和田ラッシュ」が始まる(笑)。

彼の課題は、この“対比”以外にはなかった。大切に運ばねばならん所までワーッと行かれると、音楽は何だか分からなくなる。その意味で、彼自身の変化もそうだが、ローマの松の繊細さにも寄与した、豊島管の奏者の方々は表彰ものだろう。

レスピーギの、あまり演奏されない、リュートの為の古風な舞曲とアリア「第2組曲」は、聴いていてうっとりする、和田さんの別の部分を見た気がするが、ドナウ、ラデツキー、こうもり序曲、雷鳴と稲妻、それにオケマンのおふざけが楽しかった鍛冶屋のポルカは、今、日本でこれだけ夢心地で出来る人間は、和田一樹以外有り得ない。常識を破る緩急のセンスがドナウにはあったが、そういう事だけではなくて、彼程、音楽を楽しんでいる指揮者はいないからだ。

実はこれは、シリアスな音楽をやる時にも大事な事で、別に運命交響曲を爆笑しながらやれとは言わないが、彼がシベリウスの1番をやっても、至る所で普通じゃないぐらい音が拡がるのは、楽しんでるからだ。楽しい奴と音楽やれば、弾いてる方も楽しいだろう。そうじゃなきゃ拡がりなんか出る訳はない。

実はこれが、私には、後のコバケン、ブルックナーの第7番の時に、一つのヒントになる(笑)。

思いつめるだけでは、道は開けない。人生で何かに悩んでる人がいたら、和田一樹と豊島区管弦楽団を聴くと良い。それが多分、正解だろう(笑)


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2018年01月23日

兎が亀を抜く時(笑)~天才・小泉和裕、名古屋フィルと共に、遂に「春の祭典」演奏の頂点に立つ~20(土)市民会館

64c41f93.jpg春祭コバケン世界最強説を採る私の視点は、馬鹿げた程単純である。切れ味があって重量感があるか、ただそれだけだ。

ところが、どちらの皆さんもそれがないのだ(笑)。当たり前だ。両者はそもそも、原理的に矛盾する。

実演なら最近ではシャイー、以前ならブーレーズ、ゲルギエフ、デュトワ、道義さんと、色々聴いて来て、結局コバケン日本フィル1997及び、2000(CDになったもの)を凌駕するものは見当たらないので、当分彼の王座は安泰かと思ったが、演奏面では遂に抜かれた。今回の小泉和裕さんと名古屋フィルにである。

実はコバケンが最強になったのは、あの曲に初めて切れ味を入れた1997年からであり、それまでは重いけど鈍かった。小泉さんも実は以前、都響とやった時は、あの天才(小林研一郎さんの表現)がどうしたの?ってぐらい、躍動感に乏しかった。

今回は、前プロの、ベルリオーズ・序曲「海賊」から、例の天才的切れ味の棒が爆発していた。男性よりマルカートな事で知られる、小川典子さんとのグリーグの協奏曲でも、彼の棒でなきゃ出てこない雄大な世界を、オケやソリストと共に作り上げた。

今回は、昨年のカルミナの時と同じで、ゲストコンマスである元・東フィルの荒井さんが頑張ったが、名古屋フィルの音はとにかく密度、つまり重さがある。それに小泉さんの、それこそ神業の切れ味が加わると、理想的なカミソリダイナマイトが発生するのだ(笑)。特に、ティンパニの窪田健志さんの、強靭な鋭さは忘れられない。

象徴的なシーンがあった。私が最強と信じて来た、小林研一郎・日本フィルの、春祭2000年バージョンは、エクストンもおそらく史上最大級の、入れ込んだ謳い文句(これぞコバケン!、決定盤だ!)で世に出したのだが、実演、CD共に、日本のマスコミからは、これ以上ない程、暴虐的なまでに批判された。中でも最も象徴的だったのは、CS-PCMミュージックバードでの新譜紹介放送の折の、東条さんのこのセリフである。ほぼ、こういう内容だったはずだ。

「こういう声を、指揮者が入れる権利があるんでしょうか。私は否定しますね。しかし、こういうものを出す権利ぐらいは、私、コバケンさんに差し上げたいと思います」

まあ、歴史上これ以上嫌味ったらしい批判もなかったが(笑)、つまりここで言う“声”とは、特に曲の最後の終止の音の直前の、コバケンの全身からの気合いに代表される、数々の入魂の唸り声の事だった。

私はその時、東条さんを憎んだが、今回の小泉さんは唸りに頼らず、華麗な予備動作だけでコバケン以上のビシッとしたフイニッシュを作る事に成功した。それは正に神業であると同時に清々しく、「コバケン、負けたな」と素直に思うと同時に、東条さん正しかったな、とも思ったのである。

実は小泉さんは、既にチャイ5でも、コバケンを遥かに凌駕している。弦の鳴り方なんか比較にならない。やはり天才は天才なのだ。

しかし、だったらまた抜けばいいじゃない、コバケンさんが。それでいいんだと思うよ、音楽の世界って。


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2018年01月21日

若武者・角田鋼亮、“二刀流”開眼(笑)。大成功の大阪フィル定期デビュー~19(金)フェスティバルホール

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それこそ彼が20代前半の頃の、世田谷の市民オペラ「ヘンゼルとグレーテル」からの御縁である角田鋼亮さんは、当時から歌心はあったけど、反面凄くキッチリ振る人でもあった。

だから今回マーラーの交響曲第1番をやると聴いた時、拍節感をキッチリとるという所を更に越えて、音楽が縦横無尽に柔軟に聴こえて来るかなあという心配は実はしていた。

但しちょうど1年前、都民芸術フェスティバルで日本フィルと、東京芸術劇場に登場した時、左手で招き入れるその柔らかい動きに感心していたので、いっそああいう柔らかさが、全身で出てくればいいなあと思ってはいた訳。

そしたらやってくれたねえ彼は(笑)。第2楽章の途中で曲想が変わって、音楽がより柔らかく歌い出さねばならない所で、彼は棒を置いて、“両手で”招き入れる様に、身体ごと踊り出したのだ。

これには本当に驚いた。そもそも彼は棒のメリハリは、恐らく日本で一番強い。音楽もそれだけ、鋼鉄をも断ち切るぐらいのハツラツさがある。あとは柔らかい所、ゆったりした所を、どれだけ愛をもって歌えるかだったんだけど、どちらかと言えばインテンポ感覚の強い指揮者だった彼が、今回はそこに限らず随所で、本当にしみじみとじっくり歌った。激しい所との落差は凄かったが、移項も極めて自然で、結果として物凄い大きな音楽が出来上がった。大阪フィルの迫力、美しさも大変なものである。私は涙腺が本当に潤んでしまった。

前プロの、竹澤恭子さんとの、コルンゴルトのバイオリン協奏曲も、染み入る様な竹澤さんの美しさと、角田さんの大きな指揮が、素晴らしい雄大な叙情を作り上げた。

「自分としては、指揮のバリエーションを増やしていきたいと思ってましたが、そこをちゃんと聴いていて下さるのが嬉しい」と彼は言ったが、嬉しいのはこちら(笑)。勿論楽譜にない事をして、何事かを付け加えている訳ではない。それでこの新鮮な音楽の聴こえ方。

新しいスターの誕生である。


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2018年01月15日

今年の小林研一郎は、いいぞ!(笑)~東フィルとのフレッシュ名曲コンサート2連チャン~13(土)文京,14(日)練馬

1597dc48.jpg書くのが楽でいいや、ノレテる演奏会は(笑)

文京でのドナウにしても練馬での「春の声」にしても、コバケンさん、肉体的にもいい意味で弛緩してるし、リットの時に、前なら情念しか匂わなかったが、今は祈りしか匂わないから、こっちもスーッと音楽に入っていける。

文京でのタイスの瞑想曲における木嶋真優さん、練馬でのチャイコのバイオリン協奏曲における福田俊一郎さん、いずれも極めてピュアなバイオリンで、特に福田さんの表現の在り方は、禁欲的と言ってもいい程だが、彼らの様な奏者がコバケンと組むと、音楽での内省的表情は、いやでも深くなるから、若い人にとっても大事な指揮者さんだろう。

文京での宮里直樹さんのロドルフォでの最高音は見事だったが、共演の森麻季さんは、頑張ってはいたけれど、音色がシックに変わってしまった。今後どう立て直して来るか、なかなか大変かも知れない。

コバケンの場合、文京でのボレロも、練馬での新世界交響曲も、勿論世界一である。彼のボレロは昔、そう90年代あたりよりは2分ぐらい速いが、ボレロにしても新世界にしても、その表情の豊かさ、歌心の豊かさ深さで、コバケンを凌駕するものは見当たらない。特に今回の新世界は、うねる様に振りきれている、鮮やかなコバケンを久々に見た。既に頂点であるにも関わらず、新しい歌と表情も沢山あって、そういう事に対する、いわば“歌える”東フィルの柔軟な感性は、シンフォニーオケとして必ずしも全てがパーフェクトなコンディションではなかったにも関わらず、指揮者に対する反応の良さという意味では、やはり流石である。

とにかく久々に、ビシッと決めてかっこよく舞う様に、存分に歌うコバケンを見た。それだけでもこちらはとても幸せである。写真は練馬の方です。カメラの名手でもある、コバケンさんの奥様による撮影(笑)


smj_ohkanda at 21:26|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 音楽