2017年08月21日

せいてんのふりま

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函館市は千代台(ちよがだい)公園にてフリーマーケットが開催されましたので、時間を設け訪れてみました。

道南は久々の晴天下にあって、咲き始めている紫陽花たちも生き生きとした感じです。
花は満開のものもありますし、まだまだのものもあります。

ここ最近の道南は天候があまりよくなくて涼しかったりやや寒かったりしたのですが、今日は久々に夏真っ盛りという雰囲気の一日でした。
観光に来た方も喜ばれたことでしょう。
野苺みたいな実も艶やかに成っております。

開催場所の陸上競技場では屋台がちょろっと出ていたりして、手作り感満載です。
自由市は競技場のごく一部を使って開催されていましたが、けっこう熱気があって特にご年配のご婦人勢が熱心な感じでした。
開始直後に行ったのですが、そこは既に過酷な戦場化しています。
バーゲン会場で鍛えに鍛え上げられた、歴戦のスパルタ戦士たち。
或いは、食料品店での値引き時間帯に慣れ親しんだ魔界戦士たち。
暑い日が更に暑くなりそうな気配です。
殺気さえ感じられる方も見られました。
丁々発止且つ意気軒昂という感じです。
道南の方々はもっと淡泊かと思っていたので、ちょっこしびっくらしました。

文房具は……殆ど出品されていないようです。
少しこわそうな感じのお兄さんが樹脂製の籠にばらばら入れていたボールペンやらなんやらの中から、三点撰びました。
そのあにさんは目付きが鋭く、パンピーぽく見えません。
さっさと買いましょう。

合計一〇〇圓。
◎ぺんてるのエナージェル
替芯は二〇一一年一一二二日製造
日本製
◎第一生命が配布していたらしきボールペンのミッキーマウス仕様
替芯は製造年月無記入
日本製らしいです
◎トンボ鉛筆はモノの消しゴム
ヴェトナム製

これらを『呼び水』にするつもりで買いました。
いわゆるわたしなりの験担ぎですね。
猛将揃い踏みの激戦地を新兵の如くふらふらさ迷います。
ピンとくる出店がなかなか見当たりません。

それでも、ここはどうかと思われる出店を発見しました。

洒落た箸置きを幾つも売りに出されているお姉さんがいて、お菓子の匣だったらしき仕切りの中に煌めくように様々な品々が置かれていました。
ヘイスティングス、これはいずれもよいものですよ。
のんびりこんびりと品定めしつつ見ていたら、隣にいるご年配のご婦人がなにやらごちゃごちゃ言われていてご主人さんからたしなめられていました。
せからしかお人やけん。
ん?
わたしに言われている?
何度も繰り返している?

「私は腰を曲げることが出来ないので、早くこちらにその箱を渡しなさい。」
「今こちらの人が箸置きを選んでいるのだから、もう少し待っていなさい。」

意訳するとそんな感じの会話が連環して、わたしの周りでぐるぐる廻っています。
なんとはなしに嬉しくない感じですから、さっさと撰んで買ってしまいましょう。
文句を言うのも縁起がよろしくないので、素早く品を買って撤収なのであります。
こうした場で怒るのは不正解です。
選択したのは四点。
手前二点が一個五〇円で、奥の二点が一個一〇〇円。
棒二森屋や丸井今井に置かれていてもおかしくないような品々ですが、計三〇〇円で購入出来ました。
エクセレント!
よい買い物が出来たと思います。
験担ぎは大成功です。
ちなみに上述のご婦人は匣を手にするや否や、二個三個と無造作に握り締めてはお姉さんの用意した籠にガバッガバッと入れてゆきます。
あっという間に減ってゆく匣の中身。
他の人も買えるようにしようとか、これだけあれば充分というような配慮は一切感じられません。
ご婦人を除く、周囲の全員の目が点になりました。
ええっ、なんやのん。
うわー、エグい。
根こそぎじゃん。
それはもう、大量に買われていました。
ご主人さんは苦笑い。
なんとまあ、こすかっちゃん。
いや、彼女は老練な狩人。
熟練のハンター。
わたしのように他者へ配慮するが如きぬるい者は、パキューンパキューンと撃たれるだけなのであります。
でも、おそらくこのようなやり方を繰り返してきた彼女に悔いは無いのでしょうか?
彼女にとっては、こういった行動が昔から『当たり前』となっているのでしょうか?
「大人買いですね。」と言ってみたのですが、無視されました。
私の買ったものもじっと見ておられましたので、どうやら危なかったようです。
狙われていた?
急かすことで動揺を誘っていた?
危機一髪ナリ。
こういう場は一期一会で早い者勝ち。
なんであろうと手を引いた方が負け。
そう、感じました。
いやはや、ご年配のご婦人の購買欲って、まっことおっとろしかものですたい。
真っ黒い気配が蜃気楼の如く、夏の会場の中をゆらゆらと立ち昇ってゆきます。
わたしのようにひ弱で大人しくて会話術に乏しく内気な者には厳しい戦場です。
フリーマーケット開始後の四半刻で、よいものはあらかた売れてしまったのではないでしょうか?
逆に言うと、それだけ盛況だったということでしょう。

自由市での買い物を終えた後はピッツァ三〇〇圓也を購入し、菓子パンや乾パンを買いました。
ピッツァは素朴な感じでした。


結果として、よい買い物が出来ました。
2017年08月20日

鞘不要系萬年筆に土筆的インキを詰め込むこと

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以前お買い得価格で購入したパイロットはキャップレスの金ペン仕様が何故か見つからなくて、代わりに以前商業施設に於いて半値で買ったキャップレスの鋼ペン(鐵ペン、特殊合金ペン)仕様が見つかりました。

千夜一夜物語に出てくる王様の如く無理無茶無謀を言う利用者のため、改善策を練って改良型を次々作るパイロット。
地味地道に頑張るパイロット。
地味だと言われるパイロット。
商売上手にあまり見えないパイロット。
稀に本気を出し過ぎちゃうパイロット。
文句を言われたりしてへこむこともあるだろうけれども、それでも飽くなき追及を止めないパイロット。
不器用な詩人の如きパイロット。
其処に痺れる憧れる。
なんちて。

ペン先はF(ファイン)の硬めの細字。
二〇〇七年八月製。
購入後、数年眠りについていた鋼ペン。

『萬年筆? なにそれおいしい?』的な意識だったのに、お買い得価格になっているからという理由で買ってしまった製品。
勢いで買っても、使わないモノは使われないままです。
他の萬年筆は殆ど確認しないままに購入したのですが、その当時現在の知識があったらなにを購入していたことでしょうか?
同社のカスタム系か、セーラー万年筆の製品か、はたまたプラチナ萬年筆の製品か?
わたしにはこれまで、三度半値で萬年筆を買える機会がありました。
地元で一回。
函館で一回。
盛岡で一回。
『半値で買える』ということと『それが買いたい』ということの間に齟齬が無ければ、高級品をお買い得な値段で買えることでしょう。
買っても使わずに放置はしたくないのですが、やたらに増えるとなかなかそうはいかないものです。
モノを増やさないのが一番だと、頭ではわかっている筈なのですが……。

閑話休題。

さて、折角発掘した押し込み式(ノック式)萬年筆です。
インキを呑ませてみることにしましょう。
パイロットは色彩雫(いろしずく)の土筆(つくし)を詰めてみることにしました。
キャップレスでは、ペン先(ニブ)とインキカートリッジやインキ吸入器(コンバアタ、コンバーター)を接続する部分がノック式の為の構成単位(ユニット)になっています。
メカニカルペンシル(シャープペンシル)の構成単位みたいな感じですね。
購入時から構成単位に接続されている金属部品と模擬カートリッジを抜き、別口で購入したインキ吸入器のCON-40を嵌め込みます。
これのペン先をインキ瓶に突っ込み、液体を吸入してゆきます。
最初だからか、吸入量がやや少な目に見えます。
点眼器なスポイトで追加するやり方もありますが、先ずはこのまま使います。

書いてみると、すらすら書けます。
当たり前のことかもしれませんが。
ボールペンと違って、即戦力になれるとは言い難いモノが少なくない印象のある萬年筆。
最初からきちんと書けるのは好印象です。
長時間筆記に向いているようには見えませんが、ちょっとしたメモ書きに強い力を発揮出来そうな雰囲気はあります。
持ち重りのある金属製軸ですので、それを活かした書きやすさが強みなのでしょう。

『キャップレスでは金ペンが正義! 特殊合金製ペン先(いわゆる鋼ペン)よりも、こちらの方がずっと使いやすい!』という意見もあるようですが、ボールペンに慣れた方だと鋼ペンでも十分書けるのではないでしょうか?

萬年筆は多種多様な異見の錯綜するセカイです。
個人的感覚が公的感覚と合致するとは限りませんし、慎重に聞かなくては危ういです。
思い込みによる失敗は、すべて自己責任になるのですから。

予算と好みに応じ、試筆を重ねてから購入されるのがたぶん吉でしょう。
わたしは試筆もなにもしないままに購入しましたが。
『試筆もしないで万年筆を買う人なんているの?』と疑問に思われる方がおられるかもしれませんけれども、ここにおります。
試筆を何回もしたからといって購入後もその書き味とは限りませんし、萬年筆はそもそもずっと付き合っていく内に開花して本領を発揮する類いの筆記具。
最初が今一つだからもうダメだ、では短慮が過ぎるように思われないでもないです。
この頃のセカイは即戦力になれないモノをすぐ斬り捨てる傾向にありがちですから、余裕の無い時代だなあとの感じはあります。
もっともっとじっくり付き合ってもいいのではないでしょうか?
わざわざ、萬年筆を使うという酔狂な選択をされたのですから。

中古は他人の癖が附いているから厭だという意見もありますが、使いやすくしてくれているという点で考えたら有難いのではないでしょうか?
違うんですかね?
で、他人の癖ってそんなに酷いモノが多いのですか?
中古で入手したカスタム67も742も書き味滑らかなのですが、以前の遣い手が優秀だったという話なのでしょうか?
さほど酷いモノに出会っていないだけの話かもしれませんが。

鈍感なる指先の持ち主にも合うや、萬年筆
感覚の鈍い持ち主に悩まされるや、萬年筆

はてさて、わたしはキャップレスを使いこなせるでしょうか?
2017年08月19日

とある『かもしれない運転』の風景

「路上では、『かもしれない運転』を心がけてください。」
「もしかすると、教官は私の運命の人かもしれませんね。」
「いきなりなにを言い出すんですか。」
「そして近々結婚するかも知れない。」
「後でケーキをおごりますから、今は運転に集中してください。」
「そのお出かけでは、私が運転してゆくかもしれないんですね。」
「いいえ、絶対に私が運転します。」
「そんなとこも素敵かもしれない。」
2017年08月18日

鎌倉名菓を一日に一、二枚

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先日立派な缶に入った鳩サブレーをいただきまして、一日に一、二枚ずつ食しています。
好物を食べられることはありがたいなあ、と思いつつ。
2017年08月17日

萬年筆初心者的初期目標

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たかだか萬年筆を使い始めて間もない者がなにを言うかと思われる方もおられるでしょうが、これから万年筆を使ってみようかなと思われる方と大体似た位置にいるとも言えます。
そうした観点から、少しばかり述べてみたいと考えます。

そもそも万年筆とはなにか?
昨年国立歴史民俗博物館で開催された『万年筆の生活誌』のチラシにはこう記載されています。
『万年筆は明治時代に日本に輸入されはじめてから、それまでの毛筆に代わって、公的な筆記具として広く用いられてきました。いわば近代日本の筆記を支えた道具ということができます。(後略)』
八〇年代から万年筆は衰退の道を歩み、二一世紀に入って一時期流行し、今また新しい世代を取り込むべく各社がしのぎを削っている状況です。


『万年筆を使ってみたい』と思われた際、先ず考えたらいいと個人的に考える項目は以下の五つです。


◎万年筆を買うお店の選定
◎インキを買うお店の選定
◎紙質のよいノートの選定
◎手入れ方法を理解しよう
◎頼りになる店を見つける

「万年筆かあ。なんか偉い人がピカピカの高級で重厚なのを使っているっていう印象があるけど、なんだか安いものも出ているみたいだし、ちょっと試してみようかな? ええと、万年筆って、普通の文房具屋さんでも売っているのかな? インクはカートリッジ式に吸入式にコンバーター式に両用式? なにそれおいしい? インク瓶ってキレイなのがあるんだね。万年筆って普通のノートでも書けるのかな? そうだ、お手入れ方法を教えてもらわないと。そう言えば、今まで行ったことがないけど、万年筆を何本も飾っているお店を商店街の外れで見たことがあったっけ。先ずはあのお店に行って聞いてみよっと。」

そういうお店があったら、わたしも行ってみたいです。


何年か前に立案計画実行した第一次萬年筆日用品化計画が頓挫し、現在それを修正改正した第二次萬年筆日用品化計画が進行中です。

現在では実用品というよりも、嗜好品に近い存在と思われがちな万年筆。
この慌ただしきセカイでは、のんびりしたことなどやっていられません。
万年筆の情報が虚実共に、溢れ返らんばかりに満ち満ちている電脳世界。
その中で、自分自身にとって真に有益な情報を入手することは意外と難しいです。
いろいろなことを様々な人が言われていますけれども、一番大切なのは予算です。
お金です。
オゼゼです。
お銭(あし)です。
先立つものなくして買い物は出来ません。

二〇〇〇円台のウィスキーを探しているのに、幾ら高品質だからといって一〇〇〇〇円台のウィスキーは買わないものです。
そこら辺を勘違いされている方もちらほらいます。
まあ、たぶん日本人は金持ちになったのでしょう。

一部の方々は。

国産品でこれだけ多分野に渡って高性能品が存在している国は日本だけとしばしば聞きます。
その恩恵は文房具の分野にも及び、激戦をくぐり抜けてきた各社が高性能な万年筆を比較的良心的価格で提供しています。
それはとても素晴らしいことです。
日本の工業製品を馬鹿にされる人も実在しますが、高性能的国産品を使わない理由が特に無いならば活用した方がお得です。
しかも、ペンクリニックという催しまで開催されて万年筆の具合を診断してくれます。
その上、それは無料。症状によっては手術代と長期入院を余儀なくされますが、良心的だと考えます。
日本の会社でもえげつないところはちらほらあります。
文房具の分野はまだ良心的な会社が多いです。


『万年筆初心者に勧めるこの品』的な記事はちらほら見かけますが、こいつら万年筆を使ったことねえんじゃねえの? という感じで企業の説明文引き写しを恥ずかしげもなく載せているものも散見されます。
『万年筆? なにそれ書けるの?』的な方が、数百円の初心者向け万年筆を使い始めた記事を読むのは興味深いものです。
そうした方が一年もしない内に一万円級の金ペン万年筆を買われていたりすると、相性がよかったんじゃのうと感じます。

そう。
万年筆には相性があります。
万年筆を使うには、筆圧をかけずにふわっと使う必要があります。
『万年筆破壊者』的な方もおられて、そういう方々は容易にペン先を壊します。
『万年筆破壊者』に対抗すべく、最近作られている万年筆のペン先は硬めに仕上げているものが多いそうです。
逆に、昭和の頃の品だと柔らかめだとか。

初めての万年筆になにがよいかとあちこち検索してみた限りでは、パイロットのカクノを挙げておられる方が多いです。
後はペリカンのペリカーノ・ジュニアやプラチナ萬年筆のプレッピー(プレピー)やラミーのサファリなど。
わたしは現在、パイロットのペン習字ペンをその位置に充てています。
特にカクノは新しく透明軸を八月より戦線投入し、しかもEF(極細)まで揃えました。
大容量のインキ吸入器(コンバーター)のCON-70まで使える仕様とあっては(現時点、非公式)、大人気の超売れ筋商品になりそうです。
流石はパイロット社。
のんびりしているように見えて、満を持しての登場ですか。
ボールペンだと透明軸は馬鹿にされがちな印象があるのですけれども、万年筆だと許される不思議。

高級商標のお高い万年筆だからこれはいいものだ、という思考停止的な考えに陥ることなく愛用品になり得るものを選定した方がより良いように見えます。
如何な高級品を持とうと、使いこなせなくては宝の持ち腐れです。
単純に(自粛)万歳もいいのですが、それが他の製品を排斥する行為につながることはよろしくないです。
自称高級萬年筆愛好家の方々が書く記事には、たまさかそういう傾向のものが存在します。
『他人は他人、私は私』という感覚を忘れないことが肝要と存じます。
そんなに難しーく考えなくても、万年筆の本来の懐は広いのですから。
ややこしい方々もおられますが、それはそれ。
どの分野でも、マニアックな方々はややこしいものです。
あと、何万もする万年筆を一年の間に何本も購入して半年経たない内にペンクリニックに持ち込まれる方もいます。
余程普段酷使されておられるのか、或いは高筆圧で痛め付けておられるのか。
興味深いことに、そうした方々が自己反省されることはあまりないようです。


万年筆を新たに購入し、日用品的な扱いを行うと仮定します。
それを為すにあたって、五つの項目に分けてみました。

【なにを目的にされますか?】
【予算は幾らくらいにしますか?】
【計画は立てられましたか?】
【頼りになるお店を見つけましたか?】
【毎日使うことこそ最良の手入れ】

では項目別に考えてゆきます。



【なにを目的にされますか?】
なんのために万年筆を買われるのか?
それをある程度明瞭にされないと、意外と早期に引き出しの奥に仕舞い込む破目になりかねないかもしれません。
『公』のみで使われるのか?
『私』のみで使われるのか?
『公私に渡って』使われるのか?
使う場面が異なれば、使われる道具も変わります。
おうちで日記帖を書かれるならば、なんでもあり。
人前で使われるならば、その環境に応じた製品を。
自分自身にとって使いやすいモノを求めることが重要です。
幾らあちこちで絶讚される高級品でも、自分自身にとって使いにくいモノを使い続けるのは困難です。
沢山置いてあるお店で偵察するのもいいでしょう。
最初はふわっとした感じででも、ある程度目標を立てた方がいいと愚考します。


【予算は幾らくらいにしますか?】
予算は一番大切です。
幾らくらい万年筆関係でお金を注ぎ込むのか、よくよく考えた方がいいと思います。
わたしはボールペンなどで散々やらかしましたが、万年筆でやらかしだすと洒落にならない底無し沼が待ち受けています。
万年筆本体、インキ(インク)、万年筆を入れる筆箱、帳面手帖、修理修繕費用、エトセトラエトセトラ。
どこまでが大丈夫なのかを考えないと、何十本も購入されて途方に暮れることになるかもしれません。
何十本も毎日毎日書くことは実に至難の業です。
おそらく、一軍二軍めいた扱いになることでしょう。
そして、使わないものはとことん使わなくなります。


【計画は立てられましたか?】
買う前に充分情報を集め、実際に買われる時は慎重且つ計画的に。
毎日使える本数には限度があります。


最初に買う万年筆
主力にしたい万年筆
趣味に走った万年筆
鉄ペン金ペン硝子ペン
字幅は極細か細字か中細か中字か太字か
樹脂製軸金属製軸木製軸
国産品舶来品
カートリッジ式コンバーター式吸入式
インキ
ノート手帖
吸引器(ブロッター)
一本差し二本差しの筆入れ
つくしペンケース


【頼りになるお店を見つけましたか?】
万年筆を巡る環境は様々です。
万年筆の入手経路も様々です。
人から万年筆を貰ったのだけど使い方が全然わからなくて、引き出しの奥に眠っていることもあるでしょう。
万年筆に関する様々な問題を解決するに当たっては、専門店や詳しいお店の手助けがあると非常に便利です。
試筆が可能で普及品から高級品まで一通り揃っており、無料業界誌のブンツウが置かれていて年一回もしくはそれ以上ペンクリニックを開催されているお店ならば、おそらくは有益な助言をしてくれることでしょう。そうだったらいいな。


【毎日使うことこそ最良の手入れ】
万年筆は毛細管現象を利用して筆記可能にする筆記具です。
その特性のため、毎日なにかしら書くことが最善の手入れになります。
使わない万年筆はインキを抜いてよく洗い、乾燥させて仕舞うことが大切です。



とある調整士(ペンドクター)の発言より。

※何故このインキを使うのか?
※万年筆は何本持っているのか?
※所有品の中で一番高価な万年筆はなにか?
※一番多く持っているメーカーはどこか?
※初めて買った万年筆はなにか?
※何故(好きな製品名をどうぞ)を買ったのか?

万年筆の所有数が一〇本になると二〇本になるのはすぐ、二〇本以上になると感覚が麻痺するそうです。
更に増えると、理由をつけて自己弁護を始めるとか。
ボールペンに置き換えたら、わたしも当てはまりますね。
耳が痛いです。


『物欲と如何に向き合うか?』
それは理性との戦い。
つまりアレですかね。
心の中で、シスの騎士とジェダイの騎士とが光剣で激しく打ち合っているようなものですか?
で、常々シスの騎士が勝っていると。
人によってはシスの騎士しかいない、と。
成程。


「パイロットのカスタム742は私に合わない気がする。買うならカスタム743か74だな。」
「はあ、そんなものですか。」

数ヵ月後。

「742を買っちゃったよ。」
「は?」
「いやー、限定色だっていうからさ。思わず手が伸びちゃったよ。」
「お、おう。」



わたしは本来の手順をかなりすっ飛ばして萬年筆使いの端くれになっているのであまり大きなことが言えませんけれども、これから万年筆を買われようとされる方々への一助になりましたら幸いです。


レトロモダンな東京駅から歩いて一〇分ほどの距離にある日本橋高島屋。
その五階にあるはセーラーフレンドリーショップ。
そこにnt氏の中の人がおられるそうで、そういう方にお会いしてみたいものです。
インク沼のヌシサマらしいので、その私物のインク帖を見てみたいものです。
なんでも、『日本橋の万年筆屋はヤバい』とか『初対面の相手を瞬時に看破し、なにも言っていないのに書き癖から好みまですべて把握していた』とか『気づいたらこれくださいと言っていた』とか『俺は二本買っていた』『いや、俺は三本だ』とか、なんとも人外ぽいようですので今から楽しみです。
どんなサトリなのでしょう?
巨体が唸るぞ空飛ぶぞとか、東方なんとかにやたら詳しいとか、提督だとか、未確認情報がかなり多いです。
この人間世界にそういった人外めいた方が実在されるのは、大変興味深いことです。


あと、調整士だと女性の方。
サンライズ貿易の方ですね。


使いやすいことこそ、モノの本領。
2017年08月16日

普及品系萬年筆に深緑を詰め込むこと

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萬年筆を巡る謎のひとつ。
欧州で学生たちが普段から萬年筆(万年筆)を使っているとは聞くものの、具体的な商標が今一つわかりにくです。
そりゃあ、日本ほど高性能なボールペンがありませんからねえ。
選択肢がごく限られてくるので、致し方ないことなのでしょう。
それを逆手に取って欧州の人々が萬年筆を普段使いしていると散々宣伝し、それにひきかえ日本人はという論調が大嫌いです。
日本でだって、四〇年ほど昔は萬年筆を普段使いしていたのです。
それが高性能なボールペンに駆逐されただけの話です。
事実を自分たちの都合のよいようにねじ曲げ、持っていきたい方向に論を曲解させる方式は酷いです。
それは正しくない道です。
また、一部の情報は溢れんばかりに提供されるものの、少し本筋と違うことを調べようとすると困難が生じたりします。

そういった情報に需要が無い?
或いはあまり知られたくない?

イギリスの学校で使われているのはプラティグナムのようですし、ドイツではたぶんペリカン辺りなのでしょう。
では、イタリアやフランスなどは?
イタリアだとボルギーニ辺り?
フランスだとウォーターマン?
どうもはっきりとはしません。
欧州では学生たちが普段から萬年筆を使っているのは事実のようですが、その彼らにとって日常的に存在する製品がどんなものかは一部しか判明しません。
この情報過多の時代に於いてなお。
なんだか釈然としません。
皆が持っているのはわかりました。
では、そのみんなはどんなものを使っているのですか?
みんなみんな、って、そのみんなとは誰のことですか?
相当しつこく調べたら或いは判明するのでしょうが、逆に言えば、それくらいしないとわからないのはなんだか変です。

以前、イタリアのローマの学校を舞台にした映画を観ました。
そこでの学生たちが使っている筆記具の多くはボールペンに見えました。
事実、作中ではボールペンが物語の中で重要な小道具の役を果たします。
勿論、一事が万事ではありません。
ありませんが、モヤモヤとします。
フランスのスーパーにあるとかいう、低価格帯萬年筆とはどんなものですか?
欧州の学生たちがよく使う普及品的萬年筆は、国際的有名商標以外にどんなものがありますか?
真に知りたい情報はなかなかわからないものです。
ネットが万能?
いやですね、なんと酷いご冗談を仰るのですか。
本当に知りたいことを調べてもわからないのに。



先日購入したパイロットの普及品系萬年筆ですが、同社は色彩雫(いろしずく)の深緑(しんりょく)を詰め込むことにしました。
軸とインキを合わせた方がよかろうもんと思ったからです。
予備役のつもりで入手したら、思いがけずインキを入手しましたので最前線です。
そうか。
皆さん、こうして萬年筆沼やインキ沼などに沈むのですね。
ペン先(ニブ)の字幅はF(ファイン、細字)。
JIS規格の昭和の鋼ペン(鐵ペン)。
今頃は作られていない雰囲気の普及品。
萬年筆が斜陽に向かいだした頃の商品?
当時一〇〇〇圓で販売されていた製品。
パイロットの組立万年筆と似た形をしていますが、あちらの上位互換型?
或いは同じ品?
実物を見てみないとなんとも言えません。
透明軸の方は、現役を引退して教官になった歴戦のつわものみたいです。
一〇〇〇圓で販売しても元が取れない製品の可能性がありますから、お値段以上の価値があると思います。
萬年筆講習会では税込五四〇圓のようですが、元値を考慮するとたぶん赤字です。
『損して得取れ』の製品なのかもかも。
プラスティッキーな商品を安物扱いされて忌避される方々もおられますが、わたしはこうした感じが割と好きです。

える、しってるか?
これ、カクノとおなじねだんではんばいされていたんだぞ。

首軸も緑ですし、やわらかい雰囲気がいいです。
金属軸は長時間持つと口の中が何故か苦くなりますし、なんだか持っていたくない気持ちが強くなります。
個人的症状なのかもしれません。
金属アレルギーではない筈なのですが、なにか原因があるのかもしれません。
プラスティック製品万歳!

現行品のインキ吸入器なコンバアタ(コンバーター)たるCON-40を取り附け、くるくる廻しインキを軸内に取り込みます。
昭和の製品が平成の製品と手を組んで使える姿は嬉しいものです。

さて、書いてみましょう。
これぞ、筆下ろしナリヨ。

普通にサラサラ書けます。
水性ボールペンみたいに。
サインペンと似た感じで。
力を入れなくても書けるのがいいですね。

インキの流量(フロー、湧出量)が少し多めのようですが、『渋い(少ない)』よりはいいのでしょう。

現行品ではこうした製品が売られていませんので、貴重な品と考えます。
使いこなせるようになりたいものです。
2017年08月15日

北の國南廻り観光マニアックス

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今回は、道南を観光される方に向けているのかいないのかやや不明のマニアックな記事です。
通常の観光案内系記事ではありません。
予めご了承ください。


【服装】
防水仕様または撥水仕様のパーカや鞄や靴は、基本装備と思われた方がいいです。
道南は風が強い傾向にあり、夏でも朝晩涼しいを通り越す時があります。
特に南国の方は気を付けた方がいいでしょう。
冬は逆にそれほど寒くありません。
函館本線は遅延が多いと考え、余裕ある行動を心掛けた方がよろしいかと存じます。


【汽車】
函館から木古内方面または登別方面へ鈍行の普通列車で行くのは、ある意味浪漫かもしれません。
ただ、本数が少なく接続もかなり悪いです。
特に函館から札幌まで普通列車で行くのは、余程時間が無い限りはやめた方がいいです。
時刻表を見たらわかりますが、一日がかりになります。
仮に函館から札幌小樽などを経由して旭川へ極力普通列車で行かれたいとしても、函館札幌間は特急にされた方が賢明です。
そういう構造になっています。
ちなみに札幌から旭川へは、逆に普通列車で充分往復が可能です。
旭川駅舎から旭橋まではそれなりの距離がありますので、ご注意ください。


【接触的集積回路式証票】
イコカ、トイカ、ハヤカ、スイカなどの接触的集積回路式証票を北の国で使えるのはとても便利です。
函館周辺でも、列車以外では一応使えなくもないです。
最近はバスでも使えるようです。
だがしかしばってん。
チャージ出来る場所が、コンビニエンスストアだったりツルハドラッグだったりします。
北の国へお越しの際は、事前に補充されますことをオススメします。
乗り物関係で使えるのは、あくまでも札幌周辺だけです。


【豆壱】
函館はかつて東京以北最大の街で、文化的大都市でした。
その名残のひとつが珈琲。
函館は珈琲の激戦区です。
その中で最もマニアックなのが豆壱。
実際に行かれたら、その質と値段に驚かれることでしょう。
豆は毎日焼いて、標準価格のおよそ半額。
午後五時までは、中で珈琲を飲むことも出来ます。
函館へお越しの際は、是非ともお立ち寄りをお勧めします。
リコリスやテーラードコーヒーも個人的にお勧めの店です。


【ラッキーピエロ】
地元系多店舗型ハンバーガー屋さん。
最近はメディア露出し過ぎのように見えなくもないですが、気軽に行けるお店です。
ハンバーガーだけではなく、オムライスやハヤシライスやカレーライスも販売しています。
ソフトクリームもあるでよ。
代表的なチャイニーズチキンバーガーセットはオススメです。
ポテトはミートソースとホワイトソースの双方が掛けられています。
飲み物は烏龍茶。
普通のハンバーガーもおいしいです。


【函館バス】
函館バスは道南唯一のバス会社であり、独占企業です。
正直、函館の方々は運転の荒い運転手が散見され、それはバスに於いても同様です。
急発進急制動当たり前の運転手もいますけれども、そうでない人もいます。
函館市内で乗ると、二一〇円始まりです。
少し困ったところもちらほら見えますが、道南を巡る際の足にもなります。


【トラピスト修道院のソフトクリーム】
函館を含む道南はソフトクリーム天国です。
美鈴(みすず)珈琲でも上述のラッキーピエロでも当たり前のように販売されています。
スナッフルスのソフトクリームもおいしいです。
自由市場の喫茶店でも出されています。
たぶん、トラピスト修道院のソフトクリームは全国でもかなり手間暇かけたものだと考えます。
バター好きの方ならば問題なしの深い味わいが特長で、コーンはトラピストクッキーを使用。
樹脂製の匙代わりに、トラピストクッキーを一枚下さいます。
期間限定品なので、最近出来た公式サイトでご確認願います。


【餡掛け焼きそば】
函館の方々は餡掛け焼きそばをよく召し上がります。
拉麺だと塩をよく召し上がるのだとか。
ホタテ入りは正直観光向けであります。
たっぷり海の幸が入った仕様の品です。


【中島廉売】
地元でも苦手な人がいる市場。
少しひなびた雰囲気がいいです。
ここのオカラや惣菜もおいしいです。
シゲちゃんすしはオススメです。
近くの定食屋さんの料理もおいしいです。
この市場の近くにはおいしいパン屋さんもあります。


【石田文具】
函館市の隣の北斗市にある老舗文房具店。
大企業に蚕食されつつある北の國の文房具業界にあって、路線バスの中でも宣伝放送が聞ける存在です。
品揃えはかなりいいと思いますし、年に一度はペンクリニックも開催されています。
文房具好きの方は是非一度行かれてみてください。
七重浜の駅舎からてくてく歩けば、一〇分か一五分ほどで辿り着けます。


【百貨店】
◎棒二森屋
駅前老舗百貨店で、昭和の雰囲気を今に残す存在。
最近、文房具部門が格段に縮小されました。

◎丸井今井
現在の函館市内の繁華街に位置する老舗百貨店。
昭和の雰囲気を今に残す存在其の弐。

◎テーオーデパート
一応、百貨店。
個人的にはショッピングセンターみたいな感じの商業施設。


【蔦屋書店】
道南に文化拠点を、という名目だかなんだかでコーチャンフォーに先んじて建設された複合型商業施設にして文房具店兼書店。
地味に蔦屋書店二号店。
午前七時から午前一時の営業時間で、宵っ張りの北の國の人々に対応しています。
個人的にはオサレ系道の駅って感じのするお店。
表示がオサレ優先で見にくいので、慣れが必要っぽいです。
スターバックスコーヒーが中にあるので、休憩には丁度いいでしょう。
たまに意識高い系っぽい人がちらほら見えますが。
小さなお子様連れの方にやさしい構成なのは、大変よいことかと存じます。
行き方としては、函館本線で桔梗(ききょう)駅まで行ってから向かう方法がひとつ。
これだと桔梗駅からおよそ徒歩三〇分。
旅に浪漫を求める方向け。
風の少し強い晴れた初夏や初秋ならば最高の気分を味わえるかもしれませんが、雨天時や降雪時は避けた方がいいと思います。
蔦屋書店直行便が以前はあったようですが現在はよくわからないので、直行便で行きたい方は函館バスにお問い合わせください。この辺は不明。
もうひとつの方法としては、函館バスで『昭和ターミナル』の停留所まで行き、そこから徒歩で向かうやり方。
徒歩約一五分か二〇分ほどで到着出来ます。
これが個人的にお勧め。
ちなみに蔦屋書店の近くにはおいしいケーキ屋さんが一軒あります。


【ちいさなぱんや】
個人的にお勧めのパン屋さん。
どれも旨いでよ。
『ちいさなしあわせパン』もみんなおいしいです。少しお高いですが。
函館はパン激戦区なのであります。


【大沼公園】
大沼だんごと山川牛乳で知られる公園。
観光客がやたらにいますので、静かに訪れたい方はオフシーズンに訪れる方がよいかも。
二〇年以上昔しか知らない方は、再訪されると驚かれることでしょう。
駅舎近くの観光案内所で、山川牛乳やパンなどが買えます。


【牛の乳】
山川牛乳(函館のあちこちで買えます。五稜郭タワーが意外とお得な金額)、駒ヶ岳牛乳、元山牧場牛乳(八雲駅舎キヨスクで買えます。珈琲牛乳もオススメ)、そして函館牛乳と道南は牛乳天国です。
ちなみに、お土産屋さんやコンビニエンスストアなどで函館牛乳などを買われるよりも、棒二森屋地下本館地下の食料品売り場で買われた方がお得です。


【江差】
かつて江戸にも勝るとも劣らない繁栄を謳歌していた町。
今では鉄道(江差線)も廃止されましたが、函館駅から直通バスが走っています。
時間が限られていますので、行かれる際はご注意ください。
お蕎麦や鰊(にしん)蕎麦、それにおいしいパン屋さんもあります。
ひなびた雰囲気がお好きならば、行かれて損はありません。
江差追分会館は、時間がありましたらオススメです。けっこう力が入っています。


皆様、よい旅を。


ご不明点が御座いましたら、コメント欄からお問い合わせください。
お答え出来る範囲でお返事します。
2017年08月14日

透明系六角カクノMの開封

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パイロットはカクノの透明軸字幅M中字を無事に入手出来ましたので、最近電脳界隈にて流行りとやらの開封の儀に取り掛かるのであります。

この樹脂製容器と意匠を『安っぽい』と怒られている人が電脳界隈におられましたけれども、たぶんその方が好まれるような容器と意匠だとここまで売れなかったかもしれません。
おっちゃん好み風の製品は少年少女に忌避されやすい傾向にあると思ったら、さほど遠い話ではないでしょう。
どの道、変に高級感を狙ったようなちゃちくてチャラい感じでないのでこちらの方がいいと考えます。
焼酎学生……間違えました、小中学生辺りが初めて萬年筆を購入すると想定したら、如何にもな感じよりはこちらの方が好ましく思えます。
この辺りからも、パイロットの本気が窺えます。
右も左もわからない少年少女に向けての仕様ならば、このような感じの方が受け入れられやすいでしょう。
年経てひねこびた高級萬年筆好き好きおっちゃんを対象にしていないのは、致し方ないことと愚考します。

商品は誰を対象にしているか、明確化していないと売れるものも売れなくなります。
焦点がどこかズレた製品は、どれ程よいモノでも早々に市場から駆逐されるのです。
しばしば引き合いに出される『よいものは必ず売れる』という言葉ですが、『これはよいものなのだから、売れたらいいなあ』の方が実情に近いと愚考します。
過去記事でも書いていますが、よいものだから必ず売れるとは限らないのです。
それは数々の品で証明されているのに、理解しようとしない人が未だ多いです。
理解したくないだけかも?

とある方がパイロット本社でカクノについて取材されていますけれども、『お茶と筆記具は、人類の積み上げてきた文化そのものなのだ。』と書かれていて微妙な気持ちになりました。
紅茶と珈琲の歴史は血まみれなんですが、それをご承知の上で書かれているようには見えなかったからです。
あの茶壺道中をご存知のようにも思えないです。
モヤモヤするで御座る。
今も両者は問題点だらけですが、それらに比べて舶来品の筆記具のえげつない商いの方が遥かに可愛らしく見えるのですから不思議なものです。

昔は上流階級の嗜好品で今は庶民も飲んでいるお茶。
昔は実用品で今は嗜好品の色合いが見られる萬年筆。
『セイロン紅茶』や『モカ珈琲』みたいなインキがあったら、面白いのではないでしょうか?

ところで、万年筆を使うことと知的であることに因果関係はあるのでしょうか?
巧妙極まる印象商法のことを差しておられるならば、わからなくもないですね。
そーゆー妙ちくりんなインキ詰まりみたいなものを取っ払うのがカクノの役目。
使命。
突破口。
なんとなく、そんな気持ちになりました。

二〇一〇年から開発計画が始まり、『ジュニア世代に向けた万年筆』という明確化された指標を持って二〇一三年一〇月より発売されたカクノ。
同社のペン習字ペンで採用されているペン先の字幅EF(エキストラ・ファイン、極細字)がカクノのペン先としばしば交換されていることを知ったためか、もしくは子供向けと謳っているのに嬉々として購入する大人へ向けての本気売りなのか、今度の透明軸発売に合わせて通常展開のF(ファイン、細字)やM(ミドル、中字)に加えてEF仕様も発売に至りました。
お仕事で手帖に細かく書きたい人も細く書きたい人も安心して使えますよ、という善意の表れでしょうか?
腰が重く柔軟性に欠ける面も感じられるパイロットですが、やる時はやり過ぎるくらいに本気になります。

一旦燃えちまったら止まらねえんだぜ、オレたちはよ。
エンジンがぶっ壊れちまうまで、走り続けるしかねえ。
それが、文房具を作る会社の心意気ってもんなんだよ。

アニメーション版『プラネテス』くらいに本気なのです。
……なんか違う。

閑話休題。

匣から出して、確認確認確認。
本体とカートリッジと説明書。
至れり尽くせりの説明書附き。
懇切丁寧な仕様で明快な感じ。
ここにも本気を感じるのです。

『カートリッジインキをまっすぐしっかりと差しこもう。』を読んで、わざわざ捻って差し込んで低価格萬年筆を壊してしまってメーカーに無料修理させた人を思い出しました。
そういう記事を電脳上で発表して恥とも思わぬ頭の中身に、なんだかモヤモヤしたものを感じました。
その方はたまたま保証書を附けてもらったからよかったのですが、使い方を間違えたことを反省しているようにはとても見えませんでした。
そういった人が意外に多いのでしょう。
他者ばかり責め立てる人はどこにでも存在します。
しかも、そうした人々は相手を非難することは多々あっても滅多に反省しようともしません。
こーゆー感じの人は注意書を読もうとしませんし、わかってもいないのに屁理屈は上手です。
自尊心が肥大しているかに見えます。
わからぬままに怒る姿は変なのです。
嗚呼、恥を感じないって素晴らしい。

あと、電脳上でしたり顔に「今時はボトルインクと呼ぶのが普通だよ。」と宣(のたま)われている方を見掛け、その方は『インク瓶』と呼称される方へ注意だかなんだかやらかしていましたが、説明書によると『ビンインキ』『インキビン』『ビン入りインキ』の呼称を使われています。
どこにも『ボトルインキ』のような表記は見られません。
彼の『普通』とは一体なんでしょうか?
謎なのです。

嗚呼、電脳上ではフリーダムな方のなんと多きことか。
また、そーゆー方々がなんと大声を出されているのか。
変な流れに捲き込まれないことが肝要と存じ上げます。


さてさて気を取り直し、実際に使ってみましょう。
大型回転式インキ吸入器のCON-70を首軸後方に装着し、パイロットは色彩雫(いろしずく)の天色(あまいろ)を入れましょう。
けっこう多めに入るみたいです。
ちなみにこの大型回転式インキ吸入器を使うことは現行品に於いて可能ですが、パイロット社では対応品とされていません。
その点、ご注意ください。
使えなくもないけど、使う場合は自己責任でねってところでしょうか。

さて、いざ書き書き。
これぞ、筆下ろし也。

カクノ カクノ 書きやすい
カクノ カクノ 読みやすい
カラフル展開 カクノ

ゼブラのサラサやぺんてるのサインペンみたいにサラサラ書けていいです。
中字とありますが、大きめの字を書いた場合は細字とあまり変わらないような気がしないでもないです。
こんまか字を書く時は流石に違うみたいですね。
書く人によって、字幅も変化するのでしょうか?

書いてみて、これは売れるだろうと思いました。
わたしのような萬年筆初心者でも普通に最初からサラサラ書けるのですから、たいしたものです。
萬年筆遣いになるための入門篇的製品として売り出し、想定外に大人の方々へ売れているのも頷けます。
しかも、今度の新製品は透明軸。
萬年筆界隈では大人気の透明軸。
ボールペンだと透明軸は好まれなかったり馬鹿にされたりすることもあるのですが、萬年筆では何故だか許される不思議。

腰の重たいパイロットがインキの色彩雫並に本気を出しまくり、やらかした感まで見えてくるカクノの透明軸。
ペン先を極細字(EF)・細字(F)・中字(M)と三種類も揃えています。
しかも、ペン先は三〇〇〇圓級のプレラに使われているものと同等のペン先。
大変お得感のある鋼ペンであって、ちょっち暴走気味のようにさえ見えます。
流石、やる時はやり過ぎるくらいやるパイロット。
期待を裏切りません。
これは相当売れるでしょう。
市場を正しく理解し需要に充分応えようという気持ちが、当方にも伝わってきます。
わかっているのかいないのか今一つわかりずらいパイロットの本気が感じられます。
勿論、儲けることも重要な要素です。
儲け度外視にも見えるカクノ透明軸。
斯くして、パイロットの挑戦は続くのであります。


気持ちが伝わる カクノ
2017年08月13日

直液式水性筆記用品或いは耐水性筆記用品に非萬年筆対応系インキを詰め込むこと

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直液式水性ボールペン、或いは耐水性ペンにインキを詰め込む第二弾。
今回の改造は完全非推奨です。
何故ならば、今回はかなりペンにとってよろしくない実験だからです。
ペン先をダメにする可能性すらあります。
それなのに、何故改造するのか?
それは浪漫のためです。

ちなみに今回は初めての混色にも挑みます。


使う軸ですが、ロットリングはゾノックスのローラーポイントEF。
前回同様、工具を使ってペン先と一体型になったペン芯を外します。
ペン芯の外側は口金というか口プラというか、覆いになっています。
この覆いを外し、ゆっくりゆっくりとペン芯を引き抜いてゆきます。
ゴムを巻いてその上に塵紙を巻いたのですが、傷が附いてしまいました。
噛むところがゴムか樹脂になっているものを買った方がいいかもしれません。
ペン芯にはまだインキ(インク)がかなり残っていますので、ぬるま湯に浸けます。
軸に残ったインキをキレイに洗い落とします。
一晩経ったペン芯と共に乾燥させます。

今回使うインキはウィンザー&ニュートンの青林檎(アップルグリーン)と青(ブルー、ブリュー)。
本来は、つけペンとか水彩筆とかカリグラフィーなどで使われるインキです。
乾燥が早いそうで、それ故にもしも萬年筆で使えばペン先を傷めやすいことでしょう。
だが、敢えて試してみるのです。
そう、直液式水性ボールペンで。
独英共同ですな。

では、混色開始。
スポイトを二つ用意し、青林檎三に青一くらいの割合で軸内に直接注ぎ込みます。
ある意味、アイドロッパー式ですね。
お互いをちょこちょこ注いで、その後ペン芯をゆっくりゆっくり嵌めてゆきます。
口プラも嵌め直し、取り敢えず完成。

書き始めてみると、まだ前のインキが残っていました。
これを使いきり、緑が出始めます。
鶯(うぐいす)色っぽい感じです。
インキの特性のためか、流量(フロー、湧出量)が所謂(いわゆる)『渋め(少なめ)』です。
それでも書けるようになりました。
今後は日々使いながら、変化があるかどうかを追っていきたいと考えます。


三日くらいはそれなりに書けました。
そしていきなり書けなくなりました。
ウンともすんとも言わなくなりぬる。
ニードルポイントが購入時から潰れ気味だったのでそれがいけなかったのかと、ゼブラの同様なペン先を移植手術したのですが失敗。
どうにもこうにもならなくなりました。
むむむ。

電脳上をさ迷っていたら、サクラクレパスはピグマの改造記事を見掛けました。
ピグメントライナーでミリペンで耐水性ペンなピグマを、其処ではホワイトボード用マーカーに改造されていました。
よし、これを参考にしてみよう。
やらまいか。

早速、所有しているピグマの〇.三ミリを分解します。
工具でグリグリやって尾栓を外し、樹脂製筒に入った中綿を抜き出しました。
こうして見ると、構造は簡潔簡素です。
着脱可能な留め金(クリップ)附き鞘(キャップ)、ペン先附き胴軸、筒入り中綿、尾栓。
ペン先の後方に筒受けがあり、尾栓でパチンと止めることによって乾燥を防ぐ構造のようです。
なんとも単純で合理的。
鞘と胴軸には穴が開いています。
尾栓をネジ式にすればインキの補充も中綿の交換も出来てよかろうにと思ったのですが、それだと利益追求の点や商品管理の点などでよろしくないのかもしれません。
また、とある絵描きさんによるとペン先は意外に壊れやすいとか。
むう。
あくまでも消耗品のようですね。

中綿に染み込ませてあるインキを洗い流します。
ドバドバ出てきました。
けっこう濃い状態です。
上述の改造では筒に切れ目を入れて中綿を取り出していましたが、強度と漏れと乾燥の問題を考えて筒はそのままにしました。
セロテープ程度では漏れや乾燥の事態に対応出来ないでしょう。
あくまでも中の綿を抜くなら、同様の筒を別途用意した方がいいと思います。
少し揉んだので、筒に傷が附きました。
致し方なし。

オーブントースターの余熱で水分を飛ばし雑菌を殺したつもりになって、いざウィンザー&ニュートンの非萬年筆用インキを詰め込みます。
今度は日英同盟です。
使うは青林檎と群青(ぐんじょう、ウルトラマリン)。
若草系の淡い色合いになりました。
書いてみると、なんだか薄いです。
相当濃いインキでないとダメなの?
直液式のゾノックスでもやや淡い色合いになりましたが、中綿式だからか更に淡く薄き色合いでした。
うーん。
これは可読性の低い色合いですね。

二色混色から三色混色へ進めます。
混迷への道に続いている感じです。
ドローイングインク自体は混色が大丈夫なため、安心感はあります。
第二次混色では青を追加。
今度は老竹色(おいたけいろ)とでも呼べそうな感じになりました。
相変わらず、淡く薄き色合いです。
インキの乾燥が早いのか、旧くて発色が今一つになっているのか、そもそも軸に詰めて書く性質ではないのでこうなってしまうのか?
そもそもこーゆー系統のペンではインキの発色が薄すぎるのか?
相性がよさそうには見えません。
むむむ。

軸をメラミン系スポンジで少しこすり、注意書やバーコードなどを消しました。

発色の薄さに辟易したので、第三次混色の開始です。
混色可能な仕様でよかったのじゃ、と内心思いつつ。
ピグマから中綿を抜き出し、青林檎と青をスポイトで注入しました。
敷いた塵紙が垂れてゆくインキで染まります。
……漏れとるやん。
ぐっちょんぐっちょんの状態にして、軸に詰め直します。
今度は青緑系の濃くなった感じ。
おーおー、これはよかろうもん。

ところがぎっちょんはっちょん。
一時間ほど経ったら、また淡く薄き色合いになりました。
ウガーッ!
なんでやねんな!
化学変化で変質するのか、中綿の特性なのか、それともなにか別の要因でこうなるのか?
相性があまりよろしくないから仕方がないのか?

もっと発色の強い緑系のインキを購入し、混色して確かめるのがいいのかもしれません。

となると、緑柱石(エメラルド、エメロード、翠石)か蜥蜴(ヴィリジアン、ビリジャン)か蛙(ブリリアントグリーン)か。
或いは黒系を混色するか?
ピグマの構造が単純なのとドローイングインクが混色可能なのとで、実験継続出来るのがありがたいです。
尾栓は度重なる開け閉めで傷附いていますけれども。
上手くいくかどうかは不明瞭ですが、更に試してみようと考えます。


えっ?
ウィンザー&ニュートンの白(白熊)と黒(カートゥーンめいた蜘蛛男)は顔料インキなんですか?

緑柱石を購入し、第四次混色に挑みます。
緑柱石を筒の前後双方から注ぎ入れます。
さて、書いてみましょう。
…………。
何故、オリーブドラブになるのでしょう?
もう、訳わかんないです。
ええい、更に青林檎と群青を加色してしまえ!
…………。
なんです、この色?
イングランド製(青林檎、青、群青)とフランス製(緑柱石)の染料インキを使ったのに、なんだか和色っぽい感じです。

日英仏連盟は難局を迎えています。

柳染(やなぎそめ)或いは柳葉色、が比較的近い色合いとも言えそうです。
混色すればする程訳がわからない色合いに変化してくるみたいに見えます。


一旦ここで実験中止です。
様子見に移行するのです。
経過を見て、更に混色するかどうか考えましょう。
書けなくなるよりはマシなのかしら?



※改めて書きますが、今回のインキ(インク)を使っての実験は完全非推奨です。
真似をされた結果、筆記具をダメにされたとしても当方は一切関知致ししません。
これはこういう大たわけ者がいるという一例を示しているのに過ぎない事例です。
予めご了承ください。
2017年08月12日

お菓子を幾つか半値にて

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ある日、コンヴィニエンス・ストアにて半値になった菓子を少し多目に購入しました。
明治のチョコレートのお高い系もお買い得価格です。
これで当分大丈夫です。
2017年08月11日

真夏のステーショナリー的戦利品七重浜篇弐

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やたらと舶来品の高級ボールペンばかり褒め称えるブログ記事を某所にて見かけたので、ちょっとそれは酷いんでないかいと抗議のコメントを書き込んだらいつの間にか削除されていました。

余程都合が悪かったのでしょう。


北斗市七重浜は石田文具のツイッターにてパイロットはカクノの透明軸が先月末より発売されていると知り、急遽時間を設けて小遠征しました。

向かうは道南文房具店双璧が一軒!
いざいざ出陣!

七重浜駅に到着。
夕暮れの町をてくてく歩きました。
お腹が空いたため、途中で拉麺屋さんに立ち寄って醤油拉麺と炒飯小盛りの組合せで頼みます。
頼んで一〇分もしない内に我が卓へ届きました。
早っ。
韮(ニラ)の唐辛子漬けが付け合わせで附いてきます。
ほほう、そういうのもあるのか。
旨し。
一〇八〇圓也。


石田文具に到着。
先ずはウィンザー&ニュートンのインキを買いましょう。
緑色を。
発色よき緑色を。
二階へ上がり、ピグメントライナーも覗きます。
ロットリングは高いのです。
西ドイツ製ファーバーカステルのモノがありました。
流石で御座る。
硝子棚の中にW&Nのインキが鎮座しています。
蜥蜴(とかげ)のヴィリジアン(ビリジャン)と蛙のブリリアントグリーンと緑柱石(エメラルド、エメロード、翠石)のいずれにすべきか?
各色を硝子棚から取り出し、己が目で調べます。
ちなみに黒と白は顔料で、他は染料と説明文が附いていました。
それぞれインキ瓶を直接見比べた結果、翠星石……じゃなくて緑柱石にしました。
発色のよさに期待しましょう。
税別三二〇圓。
後で確認したら、フランス製。
ふーん。
将来的なことを考え、つけペンを所持することも想定した方がいいかもしれません。

一階に下りて、店内を巡ります。
不意にお買得価格になっていることもあるので、油断大敵なのです。
デザインフィルはミドリの三層式A六クリアホルダーが、旧番のために半値となっていました。
ほら、言わんこっちゃない。
空港仕様(二〇一一〇二、日本製)を二枚と手紙と萬年筆仕様(二〇一五、日本製)を一枚購入。
元値は一六〇圓。

ロットリングのゾノックスが四五〇圓とかなんちゅーかほんちゅーか。

一階にあるインキを眺めます。
ローラー・ウント・クライナーがあるのです!
ひとつはヴァーディグリーズ(ギリシャの緑)?
パイロットの色彩雫(いろしずく)が試筆出来るとあったので、少し書き書き。
パイロットのお高い萬年筆も試筆出来るようですが、ちょっと畏れ多くて断念。
ではいざいざ本命のカクノを探します。
◎EF(エキストラ・ファイン、硬めの極細字)
◎F(ファイン、硬めの細字)
◎M(ミディアム、硬めの中字)

EFにするか、それともMか?
試筆も出来るので、ここで書き書き。
ファイナル・アンサー!

大型の回転式インキ吸入器(CON-70)を使うことが前提とされるため、これは字幅が太目のものにしようと思いました。
B(ブロード、太字)を持っていますが、そんなに太いとも感じられませんし、字幅がかぶらないようにしましょうということで結局Mに決定。
税別一〇〇〇圓。

カクノの透明軸は残り少な目で御座候。

硝子棚のデッドストックな萬年筆を眺め、精算しました。


駅舎へ向かう途中、食料品店にて伊藤園の清涼飲料水税別五八圓を五本購入。

駅舎へ着くも、まだ一時間ほど間があったので旧ダイエーの大型商業施設へ。
文房具販売区画を覗いて、半値になったパンを九個買いました。計七二〇圓。
書店では、半値三割引きの文房具に混じってセーラー万年筆のGフリーが大量に投げ売り。
まあ、ジェットストリームやサラサなどの人気商品や定番商品みたいな訴求力はありませんし、価格競争でも他社の地盤を揺るがすまでに至らなかったのでしょう。
魅力的な面も特に感じにくいので、セーラー万年筆が如何に努力しようとそれは消費者へ通じなかったのだと愚考します。
宣伝も足りなかったのかもしれません。
商いは難しいです。


汽車に乗って、帰途につきました。
よい買い物が出来ました。
2017年08月10日

真夏の夜の烏賊天

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ある日、夜歩いていると道に迷いました。
明かりが見えたので近づくと、其処は蕎麦屋さんです。
まだ開いていましたので、なにか食べてゆきましょう。
烏賊の天麩羅を載せた蕎麦が七三〇圓で、よさそうな感じです。
てくてく歩いたのて、冷たい蕎麦を大盛りにしてもらいました。
追加料金は良心的な一〇〇圓。
おはぎの持ち帰りも出来るそうです。

蕎麦が来ました。
烏賊の天麩羅はこんまく斬ってあります。
可愛らしいです。
つるつるしこしこした麺に弾力的な烏賊。
よかたいよかたい。


おいしかったです。
2017年08月09日

真夏のステーショナリーと典籍的戦利品蔦谷書店篇

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某日、蔦谷書店函館店に行きました。
ラミーのペトロールのインキ(インク)が無いかどうかを確認するためです。
あと、パイロットのカクノの透明軸が入荷しているかどうか知るためですね。
有ったら買おうかなかな。

到着。
夜間なので、割合ひっそりとしています。

文房具が半値だったり三割引になっている区画を見附けました。
幾つか見繕って、いざ高級筆記具区画へ。
む!
むむむ!
半値になった筆記具があります!
ボールペンも萬年筆もお買い得!
インキまで半値になっています!
ヤバス!
ヤバス!
ヤバス!
え……えと、ラミーのインキは?
ありました。
これが限定品なんやね。
ダーク・ライラックが売れ残っています。
ん?
これは?
これはターコイズなのかペトロールなのか?
ちとわからぬものがあります。
なにやら紛らわしい感じです。
どっちやねんな?
ペトロールが全国津々浦々に於いて完売御礼状態ですから、たぶんこれはターコイズでしょう。
しっかし紛らわしい感じです。
匣書きに色のことはなにも書かれていませんし。
利用者の利便性を考えようという感じは見えず。
結局、お店のお姉さんに確認してもらったところ、ターコイズと判明。
アルスターの方かっ!
買わず。

インキを見ると、先日長期休業に入ったデルタやら、ペリカンのエーデルシュタイン(ドイツ語で宝石の意、これはお高いです)やら、グラフ・フォン・ファーバーカステル(ここのは全般的にお高いです)やら、エルバンやらセーラー万年筆やらのインキがあります。
イタリア、ドイツ、フランス、日本と様々な国のインキがお買い得価格になっています。
ははーん、インキ沼とやらに片足とか両足とか全身とかが浸かっているとこれらを大人買いしてしまう訳ですな。
ふっ、だが、わたしは負けない!

そう思っていたのです。
その筈、だったのです。

気がつくと、パイロットは色彩雫(いろしずく)の天色(あまいろ)と深緑を帳場に持っていっていました。
あっれー?
おっかしいなー?
税別一五〇〇圓の品が半値なのはありがたいことですが、使いきれるかしらん。
いや、使いきらねば。

カクノの透明軸はまだ入荷していないとのこと。
まあ、北海道の扱いはこんなものです。
お盆過ぎくらいの入荷になりそうです。
或いは下旬?

ええい、インキ吸入器のコンバアタ(コンバーター)を買っておくか。
カクノは大型コンバアタが使えるので、CON-70も購入しておきました。
他の戦利品は以下の通り。

測量野帳みたいなナカバヤシのレベリングノート。表紙にはイタリア語でなんちゃらオサレ風に書いてあります。
方眼三ミリ、四〇枚。
本文用紙は撥水加工済み。
水性系筆記具は適していないとのこと。
日本製。
元値は税別五〇〇圓。

双眼鏡や望遠鏡で知られるヴィクセン(ビクセン)がデザインフィルなミドリと手を組んで作ったクリアホルダ。
日本製。
元値は税別四〇〇圓。

ライフが昔から販売している、レイド入り高級筆記用紙の便箋。
七〇枚。
中性紙。
日本製。
元値は税別六〇〇圓。

萬年筆の型録を貰えませんか、とお姉さんに訊いたら沢山貰えました。
なんだか大変なことになっちゃったぞ。

シアトルに本拠を置く某珈琲屋さんに行き、ライムの搾り汁みたいな飲み物を頼みました。
氷は少なめで。
シェーカーでシャカシャカ振った液体をそれでも沢山の氷の中に注いで、ライムを二切れ入れてくれました。
飲んでみると…………薄っ!


文房具のところでポイント五倍券をいただいたので、文庫本も買っておきましょう。
なんという計略。
はっ!
これが孔明の知略?

酒見賢一氏の『泣き虫弱虫諸葛孔明』第参部(文春文庫)と筒井康隆氏の『創作の極意と掟』(講談社文庫)と同氏の『偽文士日碌』(角川文庫)を購入。
酒見氏の三國志の第四部は先日旭川で買いましたが、内容が先に進み過ぎているようなので改めて店頭で第参部の冒頭を読むと読んだ覚えの無い内容。
あっれー?
おっかしいなー?
そういうことで買いました。


赤壁の戦い。
魏をパイロット、呉をセーラー万年筆、蜀をプラチナ萬年筆に例えると一気に生臭い話になりますな。
魯粛ってけっこう大切な位置にいるんですよね。
彼の働きかけがなければ劉備軍団も拠点を得られなかったですし、蜀が成立しなかったかもしれません。
作者ではありませんが、お人好しのお間抜け様的描写はどうにかして欲しいです。
好きな登場人物は極めて有能にして周りの人物たちを貶めるやり方は好きじゃないのですが、それはなんちゃって欧州中世風異世界小説でもしばしば見られる光景です。

今も昔も人は変わらぬものよ。

せめて、これから買う萬年筆の選択は慎重且つ熟慮を重ねたいものです。
一部を褒めて他を蹴倒す人たちの、後塵など拝することなど無きように。


それは兎も角、よい買い物が出来ました。


【追記】
何気なく北斗市七重浜は石田文具のツイッターを見ていたら、七月二三日の時点でカクノ透明軸入荷のお知らせがっ!
にゃんですとーっ?

おそるべし、石田文具。



2017年08月08日

入浴用製品容器的再利用

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以前使いきったドイツは薬用入浴剤クナイプのカミーレ(カミツレ)。
雰囲気のある容器ですが、再利用となるとなにに使えるか難しいです。
ペットボトルの容器を筆記具立てに転用されておられる方を参考に、容器へ鋏を差し込んでみました。
ズブリ、とな。
なんだか斬り刻みにくいですね。
カッターナイフでやった方がいいかも。
すこし不恰好になった斬り口にはマスキングテープを貼り附け、筆記具が傷附かないようにします。
完成。
これで大きめのペン立てが出来ました。


使用後の花王のバブの匣を見ると、ウィンザー&ニュートンのインキ(インク)瓶が入りそうに見えます。
試して合点。
おお、匣ごと入ります。
まるで誂えたようです。
合計八個入ります。
マスキングテープを貼ったりするのもいいかもかも。
気に入らないなら、ばらして表裏逆にされるとか同じ大きさで作られるとかも出来ますね。
W&Nのインキも、これでしっかり仕舞えます。
2017年08月07日

かすたむななよんに、ふっとーい

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パイロット社はカスタム742の字幅B(ブロード、太字)の中古品を某所にてお値打ち価格で入手しました。
長く使われなかったようで、現在は書けないとのこと。
カスタム67初期型を入手した経緯に少し似ています。

入手後首軸へ水道の蛇口から流水を通してみると、出るわ出るわインキ(インク)がドバドバ出てきます。
ぬるま湯に浸けての二時間後の様子が一枚目画像。
ただ、カスタム67ほどインキ詰まりしていなかったようで、意外と早くインキが抜けました。

ペン先(ニブ)の左下に製造工場と製造年月が彫られています。
【B1195】
平塚工場Bラインで九五年一一月製造のモノと判明しました。
ちなみにTは東京、Hは平塚(ABラインに別れる前)、Aは平塚Aラインです。
どうやら初期型のように思えました。
手元のカスタム74の星二個仕様ボールペンが九五年製なので、出始めた頃の品のようにも考えられます。

さて、ペン先や首軸内部などに溜まっていたインキも抜けたようです。
乾かした後、別で購入したコンバアタ(コンバーター)のCON-70を使い、パイロットは色彩雫の山栗を吸入しました。
そして、書いてみます。

おお。
ぬらぬらすらすらなめらかしゅらしゅしゅしゅ。
こいはおそろしか。
字幅は確かに太めなのですが、すらすらぬらぬらとなめらかに書けるこの書き心地こそが、萬年筆愛好家が求めてやまない書き味なのかもしれません。

同社のペン習字ペンを新人教育の如く苦戦しながら慣らしているのとは、まったく異なるセカイです。
あちらは字幅がEF(エクストラ・ファイン、極細)の鐵ペンなので致し方ないのかもしれませんが。
前所有者が以前から慣らしてくれたこともあるでしょう。
まるで直液式水性ボールペンやサインペンみたいですねと言ったら高級萬年筆愛好家の方々から怒られるかもしれませんが、最初に感じたのはそうした感覚でした。
感覚の逆転現象とでも言えばいいのでしょうか?

カスタム67の鞘(キャップ)が一回転とおよそ四分の一なのに対して、カスタム742はおおよそ二回転です。

『萬年筆は太字こそ本来の書き味』と聞いたことがありますけれども、これがそういうことなのかもしれません。
ボールペンで言うと一.六ミリくらいの感じでしょうか?
字幅がもう少し細かったらよいような気もしますが、これはこれでいいかも。

これこそ萬年筆、というモノを手に入れました。


参考までの四枚目画像は、現在所有しているパイロットのカスタム系製品群です。
右から。
カスタム74のボールペン星一個仕様
カスタム74のボールペン星二個仕様
カスタム742(星二個仕様)
カスタム67初期型
カスタム67のボールペン二本(初期型一本と中期型もしくは後期型一本)
2017年08月06日

真夏のステーショナリー的戦利品港町篇

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某日、函館市内のとある文房具屋さんに行きました。
古い萬年筆があるかどうか探すためです。
行ってみると、流石に古いものは無いとのことです。
直液式水性ボールペンも探してみましたが、パイロットのVコーンみたいなモノはありませんでした。
その代わり、プラチナ萬年筆のプレスマンのボールペン版を発見しました。
BBP-200。
九四年一二月製替芯が入っています。
書けません。
そのため、二〇〇圓のところを一〇〇圓にまけてもらえました。

ウィンザー&ニュートンのドローイングインクなインキも見附けました。
匣絵がいいですね。
流石は英国製品也。
お店のお姉さんによると、つけペン用だとか。
まあ、兎に角買ってみましょう。
やたら匣絵が褪色していたり樹脂製の蓋が割れていたりインキの量が格段に減っているモノもありますから、そういうのは避けましょう。
五色買ってみました。
画像一番上から。

969-ウルトラマリン
956-カーマイン
952-ブルー
961-アップルグリーン
965-オレンジ

すべてイングランド製。
容量一四ミリリットル。
お値段税抜三〇〇圓也。


函館港まつりを少々見学し、メロンのスムージーをちゅうちゅうやりつつもんじゃ焼きと焼きそばを買って撤収しました。


帰宅後調べてみると、上記のW&Nのドローイングインクは二五色展開。
長年に渡って販売されている模様です。
手持ちの970-ヴァーミリオンとシルヴァーを加えると計七個になりました。
カリグラフィー向きのカラーインクで、公式ツイッターでは絵筆を使っています。
お店のお姉さんには濁されたのですが、絵筆はどうやら問題ないように見えます。
非萬年筆用インキ。
現在価格は税込三四六圓(世界堂参照)で、金銀は税込四〇〇圓。
乾燥性は早い模様で、密閉しても蒸発する可能性がある?
同名製品同士の混色制限無し。
蒸留水で薄めるのも可。

爪楊枝を使ってなんちゃってカリグラフィーっぽく書いたのが、五枚目の画像です。
芯ホルダーの先に爪楊枝を装着してつけペンもどきにされていた方を電脳上で見かけて試してみたのですが、どうにも上手くいきませんでした。
今度は箸ペンを用意して書いてみましょう。
2017年08月05日

真夏のステーショナリー的戦利品七重浜篇

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某日、七重浜の石田文具へ行きました。
狙いはパイロットのコンバアタ(コンバーター)のCON-70。
一通り店内を廻り、お店の商品を眺めます。
ほほう、硝子棚にある高級筆記具の一部が半値になったり三割引になったりしています。

デッドストックが陳列されている棚を見ると、古い万年筆が何本か並んでいました。
パイロットの製品もあります。
この緑の軸はよさそうですね。
お値段も一〇〇〇園と手頃也。
JIS規格の印がペン先(ニブ)にありますので、昭和の頃の品でしょうか?
首軸も緑色なのがいいですね。
字幅はF(ファイン)の細字。
日本製。
現行品でこういう感じのものがあったらいいのに。
コンバアタのCON-40が使えることをお店のお姉さんに確認してもらい、CON-70と共に購入。
流石にCON-50はありませんでした。

パイロットのペンクリニックのチラシがありましたので、業界無料情報冊子のブンツウと共にいただきました。
ペンクリニックは萬年筆の無料診断・調整の場です。
萬年筆のお悩み相談所みたいなものと考えたらいいでしょう。
一〇月二一日の土曜日と、二二日の日曜日の二日間開催です。
お一人様二本限定。
部品交換は要実費。
札幌の大丸藤井セントラルのペンクリニックとこちらの両方で、手持ちの萬年筆を見てもらう方もおられるとか。

行けたら行きましょう。

帰宅途中、函館港まつりを少し見学。
ソーセージなどを買いました。


おいしかったです。


帰宅後確認してみたら、この緑軸萬年筆の首軸はパイロットのカスタム67初期型の軸と互換性がありました。
逆はダメでした。
手軽に持ち歩ける感じの普及品系萬年筆があるかな有ったら緑軸がいいななどと考えていたのですが、丁度そんな雰囲気の品を見附けました。
同期性というかシンクロニティっぽいことはたまさかあるのですが、それでも不意に出くわすとびっくりします。

さて、何色に染め上げましょうか。


2017年08月04日

二桁の白き星

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先日、モンブランが六〇年代に作っていたボールペンをたまたま入手しました。

No.38という、スライド・レバー方式の製品です。
ハンマー・レバー方式やハンマー・トリガー方式などと呼称されることもあるようですが、スライド・レバー方式が正しいそうです。
留め金(クリップ)の中央に設けられた切り込みを介して、レバーが往き来する作りになっています。
作られた年代によっては、レバーにギザギザな刻みがあるとか。
わたしが入手したものには刻みがありませんね。
この替芯(リフィル、レフィル)を繰り出すための作りは意外と簡潔で、シェーファーの古いボールペンの留め金を連想させます。
天冠にはモンブランを象徴する白き星がありますけれども、附けた人がおおらかだったのか大雑把だったのか位置がずれたような感じで取り付けられています。
繊細な方ならば許せないところかもしれませんが、変にキチッとさせたくない反撥心からこのようにしたのかもしれないと想像したらどうでしょうか?

発売当時の売り手の思惑としては中学生高校生を対象にして萬年筆とメカニカルペンシル(シャープペンシル)との組み合わせで販売することを狙っていたようで、この品自体は普及品のようです。
装飾過多な気配なき、実用的な作り。

専用替芯のリーゼンミーネは現行品に補助具(アダプター、アタッチメント)が附いた状態でしたが、書くことは出来ませんでした。
……あれ?
この補助具、現行品に附くの?
てっきり附かないものとばかり思っていました。
おそらく、これは孔明の策略。
やられてしまいました。
なんと遠回りをしていたのでしょうか。
それは兎も角、手持ちの現行品に補助具を附けて作動させてみましょう。
動くぞ、こいつ。
無事に替芯が出てきました。
よかたい、よかたい。
眠らせていた古い型のリーゼンミーネを取り出して書いてみると、驚くことに書けるではありませんか。
書けるぞ、こいつ。
夏場故にでしょうか?
現行品のリーゼンミーネに下駄を履かせていたノブレスへ、補助具を附けてノッキングしてみると滑らかに動きます。
少し細すぎる金属軸のために出番の少ないノブレスですが、中の部品に樹脂製品を使っていないために耐久性は抜群。
いつか活躍出来る時が来るかもしれません。
そう、いつか。


年代物ではありますが、使い方次第で有効に活用出来るでしょう。
手仕事的で職人たちが一本一本作っていた時代から脱却し、『工芸品』から『工業製品』へと大きく舵を切った頃の品。
当時の売り手たちの思惑や所有していた人たちに思いを馳せつつ、日々使うのも乙なものでしょう。

画像三枚目の一番右に写っている替芯はファーバーカステルの普及品系ボールペンに使われているものです。
現行品と互換性があるので、載せてみました。


2017年08月03日

クリアファイルを二枚

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某絵画を取り扱っている場所にて、ロドニー・A・グリーンブラットの絵のクリアファイルを二枚購入しました。
元値は税込三一五圓。
消費税率五パーセントの時代の品です。
在庫処分という感じで一枚一〇八圓に。
商いは厳しいで御座る。
ちなみに日本製。
近年に於ける藝術界隈の作品はよくわからない上に造型的な美を感じないものが増えていますけれども、これは可愛い感じがしていいですね。

これの葉書大のモノがあってもよさそうです。
2017年08月02日

萬年筆ミッターナハト

「たとえ安物万年筆だと笑われても、オレはこいつがいい。ただそれだけだ。」

「やっぱ、経験だよな。自身の頭の中で組み立てた理屈じゃあなく、自分の目で実物の万年筆を見て触って書いて使って体でわかってゆく。大事なことは教えられない。経験でしかわかっていけない。」

「インキを知ってる人間はゴマンといるし、万年筆を知っている人間もゴマンといる。だけど両方知ってる奴は意外といない。」

「七〇年代から八〇年代へ。万年筆屋からボールペン屋へ。町の文房具屋から万年筆カフェへ。飲食とペンクリニックを通じての万年筆販売がビジネスとして成り立ってゆく、こんな時代が来るなんて思いもしなかった。」

「万年筆をイジる、万年筆の筆先を走らせる、万年筆を持って遊びに行く、お前はそういう万年筆でなにかをする人間じゃないんだよ。ただ、万年筆そのものが好きなんだよ。」

「プロもアマも同じ、体で感じた万年筆はいい。間違いなく、それは正しい。だが……それが本当に体で感じた体感なのか……それともただの思い込みなのかわからなくなる時がある。慣れる程に、レベルが上がる程にそれはわからなくなる。」

「だけど! それでも! オレはこのドルチェビータなんだ!」

「やっぱり一度にみんなわかろうなんてムリだって。少しずつ少しずつ万年筆と仲よくなっていかなきゃ。」

「終わりのない万年筆狂になってしまった。戻れない、もう……。あと一行、もうあと一行。どっちだ? だから、どっちが書きやすいんだ? パイロットか? それとも、セーラーか? それだけが知りたいんだ。」

「万年筆を自分にいかに合わせるか、自分と万年筆の距離をいかに詰めるか。ペン先調整はそういう微調整なんだよ。」

「で、いろいろあって、今じゃウンチク満載の万年筆評論家ヨ。理論武装じゃ誰にも負けないってね。で、気づくのよ。また、アレコレ知ってからまた……。正しいコトとか本当のコトって案外つまんないなって。少なくても、オレは正しいことを求めてなんかいないんだって。」


※『湾岸ミッドナイト』の萬年筆ヴァージョンです。まあ、なんて親和性が高いのかしら。
2017年08月01日

わたしと萬年筆

※某随筆のパロディです。



一本の萬年筆が、一体全体どれくらい長く使えるだろうかと考える。
こないだ横濱の方で、ペン先はまだまだ可なりよいが軸が傷んできたからそれ丈変えて欲しいという話があったそうだ。
その人は二〇年程前に一本買ったきりで、
その一本を今日まで絶えず大切に使用してきたのだというから、これはまあとても長い例らしい。

そうして見ると、普通の場合では幾ら残酷過酷冷酷に扱っても大抵数年の保証を附けられるのが、一般的な萬年筆の運命黙示録らしい。
一本で何年も使えるものが廉価なものも加えて日に何千本も売れていると聞けば、萬年筆の需要は非常なまでの勢いを以て拡がりつつあると見ても満更見当違いの観察とも言えないだろう。
実用品から嗜好品へとその立場を変えた萬年筆は、これからも趣味の筆記具として生き続けるのだと考えられる。

もっともこの世の中には萬年筆道楽という人たちがいて、一本を使いきらない内に飽きが来てまた新しいものが欲しくなり、これを手に入れてしばらくするとまた種類の違った別のものが欲しくなるといった風に
、それからそれへと各種のペン先や軸を試みて嬉しがる
そうだ。

これは今の日本に沢山あり得る道楽のひとつとなっていて、西洋ではパイプの大小長短いろいろ取り交ぜた一組を綺麗に暖炉の上などに並べ立てて愉悦に浸る人がいる。

単に蒐集狂という点から見れば、このパイプを集める人も、盃を寄せる人も、瓢箪を溜める人も、好きな人の使ったものや爪などを集める人も、皆同じ興味に駆られるので、同種類のものの内で素人にはわからないような微妙な差違を鋭敏に感じ分けるという比較力の優秀さを愛するに過ぎない。

萬年筆狂も性質からすれば、多少なりとも実用に近い点で以上の事柄と区別出来ないこともない。
強いて無くても済むものを五〇本も六〇本も取り揃えるのだから、今挙げた蒐集狂とたいした変わりのある筈がない。

ましてその数に至っては、少なくとも目下の日本の状態では西洋のパイプ狂を遥かに上廻る人数がいると思う。
だから、人気の萬年筆店で売れる日に佰本の萬年筆の九本くらいは、尋常の人間の必要に迫られて机上もしくはポッケット内に備える実用品であったらいいなあと思いたいところだ。

萬年筆が我が國に輸入されてから今日までに何本売れたか見当も附かないが、兎に角
高価なものも割合普通に売れているのは争うべからざる事実のようである。
個人文房具店はどんどん潰れていって不便を感ずる人もいる筈だが、大都会の人々にとっては些事のようだ。
田舎の萬年筆使いにとって、今が世知辛い世界であることは間違いない。

萬年筆の最上等になると一本で三佰萬圓も するのがあるという話である。

おそろしいことに、もっと高いものさえあるそうだ。

高級萬年筆店へ取り寄せてあるものでも、既に六十五萬圓とかいう高価なものがあると聞いた。

もとより一般の需要は仟圓内外の低廉な入門篇的種類のものか、壱萬圓内外のすこぶる優秀な国産金ペンが多いのだろうが、それにしても一本佰圓くらいの高性能な国産ボールポイントペンや一本三佰圓ほどの低価格帯萬年筆に比べると数倍くらいから数佰倍という高価に当たるのだから、それが人気店とは言え単店でも日に佰本売れる以上は、我々の購買力がこの便利かどうか今一つわからない 嗜好品的贅沢品を愛玩するに適当なくらい進んできたのか、または座右に欠くべからざる必要品として価格の廉不廉にかかわらず重宝がられているのかどちらかでなくてはならないだろう。

自白するとわたしは萬年筆にあまり深い縁故もなければ、また人に講釈するほど精通している訳でもない。
最近萬年筆を用い始めてから僅か二週間も 経っていないので、親しみの薄いことは直ぐに明らかにわかる。

もっとも数年前に萬年筆を試そうと国産の廉 価なものと舶来の中古品を手に入れたが、国 産のものは書き味がガリガリして今一つな為にじきに使わなくなり、舶来のものはまだ使わぬ内からコップの水をインキで 青く染める ばかりでとても使い物になり
そうにはなかった。

それからは常にボールポイントペンを使って事を足していたし、長い文章を書かなくては ならない時も、下手な字をペンでがしがし書いて済ませていた。
それで先月になって何故萬年筆を使おうと思い立ったか、その理由は複数の要因があれこれこれそれと絡み合ってしまっているが、第一に様々なインキが使えるという嗜好品的動機に支配されていたのは間違いない。 直液式水性ボールペンに萬年筆のインキが詰め込めることを知ったのも一因である。 萬年筆についてなんらの経験も持ち合わせていないわたしは、札幌の商店でパイロットの入門篇的鐵ペンを購入し、別の場所からパイロットの中古の金ペンを手に入れた。 そうして、それを用いて毎日なにかしら書いているのである。 最初、わたしのパイロットに対する感想はあまりよろしくなかった。 鐵ペンのペン習字ペンはカリカリしてたまさか文字がかすれ、金ペンのカスタム67初期型はなかなか印気なインキが出なかった。 特に金ペンの方はさらさら書けると見せて色がはなはだ薄かったり、時にインキの供給が途絶えた。インキを吸い込むための吸入器であるコンバアタはスポイトを使って充填したものの、ペン先の湧出量のフローがなかなか安定しない。 後で考えると、原因はインキ詰まりだったのだろう。 コンバアタを捻っても、それはろくに動こうとはしない。 一度ええいとコンバアタをぐいっと逆時計廻りに捻ったら要求もしないのにインキを無闇矢鱈と周囲に撒き散らし、ノーテン・ブッフなノートブックをインキまみれにした。 もっとも持ち主たるわたしの方でも、この金ペンを厚遇しようとしなかったかもしれない。 ブリュー・ブラックを使ったことがないわたしは、入手した色彩雫の深海を遠慮なく金ペンに呑ませた。 その上、一部の高級萬年筆蒐集狂たちが扱うようには金ペンを扱っていない。 それでも、以前の持ち主を思わなくなったのかなにかしら諦めたのか気持ちを変えたのか詰まりが解消したためかわからぬが、段々と金ペンは豊かにインキを湧出させるようになった。 今度は出しすぎである。 極端なところがそこはかとなく持ち主に似ていて、なんだか苦笑した。 潤沢なのはいいことであろうが、今度はインキ漏れが氣になる。 これは昭和末期の製品だから、現在のピカピカの最新鋭な現行品を主力としていないわたしは旧弊というか退歩しているのかもしれない。 書きやすければなんでもよかろうとは思うのだが、上記の高級萬年筆道楽者たちによるとそこいら辺がかなり異なるらしい。 わたしの如く機械的の便利にはそれほど重きを置く必要なきことばかり書いている者ですら、または買い損なったか使い損なったため、或いは萬年筆にかなり手こずっている者ですら、いよいよ萬年筆を全廃するとなるとなんとはなしの悲しみを感ずるであろう。 遠く伊太利亜の会社が長期休業するからといって、直訴に行けないのはなんだかモヤモヤすることだ。 価格の如何にかかわらず萬年筆使いへの道を歩むのは其処へ向かう気持ちがあるからで、財力ある貴公子や貴婦人や道楽者やスノッブやデカダンなどの玩具に都合のよい贅沢品だからだけで売れるのではあるまい。 萬年筆の需要をそう解釈したわたしは、執拗なまでの微細に至る各種萬年筆の比較研究やら、それぞれの一々の利害得失やらについて一言の意見すら述べられないことを知った。 実に大いに時勢後れである。 酒呑みが酒を解する如く、筆を執る人が萬年筆を解しなければ済まない時期が来るのはそう遠い先ではないかもしれない。 違うかもしれない。 古い昭和の名機の金ペンと入門篇的廉価系鐵ペンだけの経験で萬年筆がどうこうと言えば、矢鱈と詳しい人がそこかしこにいるような電脳世界界隈で虚仮にされて笑われることだろう。 だとすれば、少しは他の萬年筆を試してみるのも悪くない判断と考える。 確かに今手持ちの金ペンは入手してすぐの頃に比べ、心持ちよくすらすら書けてくるようになった。 愉快までにはまだ感じない。 おそらくは、人に比べてその辺りの感覚が鈍いのだろう。

すらすら書けると人は感動するそうだが、まだその境地には達していない。

その内、そうした感覚を身に附けるのかもしれない。

よくわからないままに、模索してゆくしかなかろう。



2017年07月31日

ふにゃふにゃ塩拉麺

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とある夜、屋台っぽいお店で塩拉麺を食べました。
麺がふにゃふにゃだったこと以外はよかったです。
お値段五五〇圓也。
2017年07月30日

萬年筆初心者、低価格帯入門編的萬年筆を迎えてサファイア詰めたること

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並木製作所(パイロット)のコンバアタ(コンバーター)のCON-40を再入手出来ましたので、同社のペン習字ペンにインキ(インク)を詰めてみることにしました。

俺色に染めてやるぜっ!
なんちて。

詰めるのは、欧州独逸のペリカンはエーデルシュタイン(ドイツ語で宝石の意)のサファイア。
シャーロック・ホームズ的に言うと、『青い紅玉』です。

そう言えば、独逸のヤンセン博士(ドクター・ヤンセン、ドイツ語やったらドクトル・ヤンセンちゃうの?)が『サー・アーサー・イグナチウス・コナン・ドイル』というインクを手作りされていて、とても興味があります。
色はオリエント・レッド。
『緋色の研究』なのか、煉瓦の色なのか、アフガニスタンの大地の色なのか、それとも血……。
その名もずばり、『シャーロック・ホームズ』というインクもあるとかで、悩ましいです。
ジュール・ヴェルヌ(ディープ・シー・ブルー)やヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(ボルドー・レッド)やエドガー・アラン・ポー(グリーン)にも興味を惹かれます。
二〇〇四年には三〇CCで税抜一六〇〇圓だったインクも、今は二〇〇〇圓。
嗚呼、輸入品は悩ましい。
札幌の大丸藤井セントラルでも扱いがあるとか。どおっしようかな?
日本でも、夏目漱石とか江戸川乱歩とか販売されたら面白そうです。
漱石先生はブリュー・ブラックで、乱歩先生は宵闇の色合いで如何?


では、インキ詰め込み作戦開始なのです。
首軸の後方の穴へとコンバアタを挿入し、嵌め込んできちっと固定します。
ブスッとな。
インキ瓶を開けるとなんだか独特のにおいがします。
嗚呼、これが独逸のにおいなのね。
……なんか違う。

仕切り直して。
インキ瓶にペン先をズブッと突っ込んで、コンバアタをくるくる廻します。
…………。
先生、インキを殆ど吸入出来ません!
おっかしいなあ。
コンバアタってこういうものかしら?
何度かインキの出し入れを繰り返し、スポイトでちょぼっと入れてなんとか形は調(ととの)えました。
その内普通に吸入出来るようになるでしょう。
そうあって欲しいものです。
さて、実際に書いてみましょう。
ペン習字ペンのペン先(ニブ)はEFなエクストラ・ファインの極細のみ。
同社のプレラやカクノと同等の品質のニブだそうです。そう考えるとお得?
カリカリカリカリカリカリカリ。
……えーと、これでいいのでしょうか?
なんだか三菱鉛筆はシグノの〇.五ミリで書いているような……。
まあ、シグノの〇.五ミリもガリガリとカリカリがありますし、〇.三八ミリを大層好まれる方もおられますし……。
ううん。
正直、あまり好きな感じじゃないです。
いつか書き慣れた頃に書きやすくなる?
そのいつか、っていつ頃になるですか?
二年ですか? 三年ですか?
原稿用紙に五〇〇枚も書いたらいいの?
それまで延々と書いて慣れるしかない?
ううん。
特段感心出来る気持ちも無いままに、水樹奈々氏の『深愛』の歌詞を書いてゆきます。
かなり細い筆記線ですが、世の中には更なる細さを求める方もおられるようです。
これ以上の細さ?
米粒に般若心経でも書かれるつもりなのでしょうか?
わからん。
わたしにはわからん。
力を抜いて、筆圧が強くなり過ぎないように書くべし書くべし。
これに慣れたら、もう少しは滑らかな感じになるのでしょうか?
どれくらい書いたなら、書きやすくなってくれるのでしょうか?
何年書き続けたら、今以上これ以上の書き味になるでしょうか?
歴戦のカスタム67の使い込まれた金ペンとはまるで異なる書き心地なのは当たり前ですが、筆下ろししたばかりの少年めいた鐵ペンではこれが普通なのかもしれません。
別段書きにくい訳でもありませんが、これは慣れるしかないのでしょう。
堪え性の無い方だと、あっという間に低評価を附けそうな感じはします。
最近の萬年筆は強い筆圧の方々に対応したペン先のものが多く、それで昭和の名機と現行品の長期生産品では書き味がかなり異なるのでしょう。たぶん。


萬年筆とは奥深いものです。
即戦力に成り得るボールペンの強さも改めて感じました。
ううむ。
『儀式』を受け入れる余裕があるかどうかは肝要ですね。

ところで、ペン習字ペンの鞘(キャップ)が仮面ライダーフォーゼに似ているようにも見えるのはわたしだけでしょうか?
え?
スカイゼル?
なんです、それ?
2017年07月29日

マルカツ興産製炭酸飲料

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某日、函館駅舎内店舗にてマルカツ興産製炭酸飲料を購入。
二一六圓也。
その名はハコダテニキテクダサイダー。
駄洒落かよっ!
原材料は果糖ブドウ糖、液糖、酸味料。
内容量三三〇ミリリットル。
製造元のマルカツ興産は函館市豊川町に本拠を置く会社。
味は悪くないです。
2017年07月28日

萬年筆初心者と毎日なにかしら書き記すための帳面に関する試案

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二〇世紀までの価値観が普通にどんどん壊され、昭和の風景がさりげなく完膚なきまでに駆逐されゆく今日この頃。
八〇年代から社会進出したり地位向上してゆく女性に合わせたかのように、その社会的地位を下げていった萬年筆。

性能向上著しいボールペンの勢いはますます強くなるであろう社会に於いて、萬年筆遣いは酔狂な人扱いでしょう。
この頃は低価格入門編的萬年筆が多彩なインキ(インク)との組み合わせで若年層を魅了し、裾野を拡げています。

そうした中、萬年筆遣いにとって必須とも言える『毎日なにかしら書き記す』という条件を如何に満たすかは急務。
では、実用品としてどのような帳面(ノート、ノート・ブック、ノーテン・ブッフ)を撰んだらいいのでしょうか?

日々探求者の如く帳面探しに余念無き方々のようには参りませんが、ひとつの考え方を提案してみようと考えます。


日用的に使う帳面が国産品で入手難易度が低いことは、とても大切だと愚考します。
何故国産品推しかというと、長年作られていて安定的高品質で買いやすいためです。
いくら素晴らしい品質の帳面を見附けようとも、高すぎたり買いにくかったりすると日用的に使いがたいことになります。
そうした点で考えると、コクヨやアピカやライフやツバメノート辺りが候補でしょうか。
勿論、お気に入りが既にあればそれを使われるのが最もよいと思います。

わたし個人が現在萬年筆用雑記帳として落書きしているのは、コクヨはキャンパスの帳面です。
画像のものがそれです。
型番はス-TS37AT-LB。
大きさはA5。
七〇枚綴りのリングノートで、大日本文具(ぺんてる)のグラフ1000の〇.七ミリを輪のところに引っ掛けています。
七ミリ罫。
表紙と裏表紙は固めのもので、持ち歩きにも容易に対応出来ます。
固くない表紙と裏表紙の帳面の場合は、覆い(カバー)を被せたらいいと考えます。
並木製作所(パイロット)の色彩雫(いろしずく)の深海や冬柿を使っていますが、特に裏写りすることもなくて普通に使えます。
中に書いている文字や言葉は、よく歌う曲の歌詞や萬年筆関連の情報であったりします。
何故この作詞家はこのような表現を用いたのだろうと考えながら書くのも乙なものです。

ちょっとしたことを日々書くための帳面。
こんな選択肢もアリではないでしょうか?
2017年07月27日

萬年筆初心者、新古典派昭和浪漫系製品と邂逅し復活を試みること

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直液式水性ボールペンの改造と同時進行で中古品から始まる萬年筆生活というものも考えたのですが、以前プラチナ萬年筆のプレジール新品とパーカーの萬年筆中古品で挑み失敗した記憶が苦々しく蘇ります。
ガリガリして書きにくいプレジール(ハズレだった?)、二週間経過してもインクがなかなか抜けないパーカー。
あの時は大変でした。

気分一新して、萬年筆の情報を探します。
いろいろ集めた結果、並木製作所(パイロット)のカスタム74か67がよいのではなかろうかと考えました。
カスタム67のボールペンはよい作りの品なので、こちらにしてみることにします。
ボールペン側から萬年筆を評価する人はあまりいないかもしれませんが、こういう人間がいてもいいでしょう。

本当は新品の萬年筆を購入して、なんて素敵なファウンテンペン! 嗚呼、萬年筆ってなんて素晴らしいのかしら! と手放しで絶讚すればよいのかもかもですが、たぶん天の邪鬼な気質なのでしょう。
やっていることが滅茶苦茶無茶苦茶な氣がしないでもないですが、他の方々とはまるで異なる路程から開始してみましょう。

カスタム67の萬年筆を更に調べた結果、どうやら初期型がよいとの情報を得ました。
書き味や握った時の均衡性などが大変良好とのことで、ニブと呼ばれるペン先にJIS印が彫られているのが目印です。
そう言えば、カスタム67のボールペンにもJIS印の入った替芯が装填されていました。

紆余曲折の末、パイロットはカスタム67の萬年筆の初期型を入手。
軸は鞘(キャップ)を含めて傷だらけ。
画像には写っていませんが酷いものです。
うん、実に歴戦の品ですね。
どれだけ酷使されたら、こうなるのでしょうか?
そして、いったい何年放置されたのでしょうか?
経歴不明で御座る。
しかし、持ち主のために懸命に戦い続けた雰囲気が漂っています。
カスタム67である故に、持ち主の戦線を維持出来たのでしょう。
信頼されていたのか?
或いは道具と割り切られて過酷な扱いを受けたのか?
お話の書き手としては妄想がとめどなく拡がります。
これこそが、いわゆる萬年筆の本領なのだと愚考します。
果たして、わたしはこの子を復活出来得るのでしょうか?

ぬるま湯に首軸ごとペン先を浸けると、数分でドバドバ青インキが出てきました。
数時間ごとにぬるま湯を取り替え、翌日も空いた時間を用いて似た行動。
ようやく、ほんのりうっすらとぬるま湯が染まる程度になりました。
これから乾燥に移ります。
その間に、軸や鞘をにぎにぎして指先研磨したり布で磨いたりしました。

充填するインキですが、パイロットの色彩雫(いろしずく)の深海にしました。
本来はペン習字ペンで用いる予定だったコンバアタ(コンバーター)のCON-40を首軸後方にブスッと装着し、インキの吸い上げ作業開始です。
…………。
先生、この子、インキを吸いません!
なにがなんやらちんぷんかんぷんだったので、スポイトを使ってインキを補充しました。

よし、これで形だけは調(ととの)えました。

さて、書いてみましょう。
…………?
先生、書けません!
待て待て、これは孔明の策略に違いない。
そうだ、スポイトで水をペン先にちょちょいと垂らしてみましょう。
よし、書けるようになりました。


これでどんどん書けたならいいな。
そう思っていた時期がありました。


書けたり、書けなくなったり。
原因がさっぱりわかりません。
インキの湧出(フロー)量が安定していないようにも見えます。


四苦八苦の連続。
ペンクリニック?
なにそれ、おいしい?
川口先生にだったら見て欲しいですね。
持ってきた人を威嚇し萎縮させて自分自身のやりたい方向に手繰り寄せるクリニック担当者もごく稀に存在するようですが、そういう方には当たりたくないです。
医者でもそういう人がいるので、余程の自信家なのでしょう。
たぶん。

ええい、コンバアタを捻ってみるか!
とおりゃあ!
吸い込みの逆もまた真ナリヨ!
くいっとな。
途端、ペン先から飛び出すはインキ!
梨汁プシャー! って感じです。
おのれ、ディケイド!
……って自業自得ですやん。
広げていたキャンパスのノーテン・ブッフ(串田孫一氏曰くのドイツ語的ノートブック)は、当然ながらインキまみれに。
あやや。


当面は日暮れて道遠しな状況が続きそうです。



画像五枚目は手持ちのパイロットのカスタム群。
右側から。

◎カスタム67の萬年筆初期型
今回お買い得価格で入手した製品。
いわゆる金ペン。
伝統的造型とパイロットの持てる技術をあらん限り投入した昭和末期浪漫的名品。
セーラー万年筆のプロフィットの好敵手として開発され、人気を博したそうです。
その意匠の多くは後継機種のカスタム74に引き継がれ、現行品のパイロットの萬年筆の基幹部分を作った製品とも言えるでしょう。
字幅は細字のF。
14K-585表記ありで、軸に錘(おもり)が入っています。
歴戦だったためか金ペンなためか、インキの湧出量が安定している時はなめらかな書き味を誇る名品。
しかし、時にポンコツ。
ゆっくりゆっくりと向き合うしか無いのでしょう。
慣れない内からすらすら書けたのには、正直驚きました。
これがずっとずっと続いたら驚愕の事態だったのですが、流石にそんなに都合よくは無いです。
その後書けたり書けなくなったりしたので、なんとなく微妙な感じ。
それでも期待の新人系中古品。

◎カスタム67のボールペン
これは最近埋もれていた品々の中から発掘したもので、どうやら初期型みたいに思えます。
その証拠にBRFN-30系の金属製替芯は使えるのですが、BRFN-10の樹脂製替芯が使えません。
おそらくは、このボールペンの発売後くらいに樹脂製替芯が発売されたため、替芯が適合しないのでしょう。
たぶん、おそらくは。

◎カスタム67のボールペン
こちらは中期型または後期型。
樹脂製替芯も普通に使えます。
使いやすさと高品質の双方を兼ね備えた樹脂軸ボールペン。
二本共外見上は変わりが無いように見え、軸交換可能です。

◎カスタム74のボールペン
星一個仕様。
カスタム67のボールペンを土台にして、合理化を進めたと思われるボールペン。
使いやすいです。

◎カスタム74のボールペン
星二個仕様。
上記三本のボールペンはキャップスライド式で天冠を押し込むことによって芯先が出てくる仕組みですが、こちらは回転繰り出し式になっています。
軸の塗装や鍍金(メッキ)が異なるのか、上記三本より高めに見えます。


斯くて萬年筆初心者の困難は続く。


ちなみに先日色彩雫の冬柿を詰めたパイロットのハイテックポイントV5Cは、快調そのもの。
すいすいすらすらと書けます。
ああ、直液式水性ボールペンってなんて便利な筆記具なのでしょう。

氣になることが二点あります。
一点は書いた字が他の方々のそれに比べ、暗い色調のこと。
渋柿というか、柿染めの品みたいというか、なんちゅうか。
本来の色合いと異なりますが、まあこれは許容範囲内です。
どうやらまだほんの少し、ハイテックポイントの黒インキが残っているようにも見えます。
微妙に混色しているのかもしれませんが、これは致し方なし。
もう一点は日が経つにつれて気泡が増えていること。
気密性が保たれておらず、どこかからか空気が流入しているのかもしれません。
ニードルポイントなペン先の根元の接合部分からごくごく微量のインキ漏れが確認出来ますが、これは構造上仕方無いことでしょう。
氣を附ければいいだけの話です。

欠点があってもそれをきちんと理解して対処出来れば、特に問題は無い筈です。
引き出しの奥底でゆるりゆるりと朽ち果てるよりは、ましなようにも思えます。


ヒエーヒエードヒードヒーとなりながらもどうにかこうにか書き続け、二回目のコンバアタによるインキ補充(継ぎ足し)は無事に成功。
……てゆーか、これが普通なんですよね?
インキのプシャーが効いたのでしょうか?
最初に補充しようとした時は抵抗が大きくて出来なかったんですが、あれはもしかしたらインキ詰まりだったのかもしれません。
現在、少々インキ漏れ気味な湧出量になってきました。
ここからが本番ですな。


ちんぷんかんぷんなままに、萬年筆初心者は悪戦苦闘してゆくのであります。
……首軸からインキがじんわり漏れているのですけれども、少し不安ですね。
普段便利極まるボールペンを使っているので、手間暇かかる物は難しいです。
2017年07月26日

花は咲きかけ

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道南では紫陽花の花が咲き始めました。
花の咲きかけに氣が附ける、そんな心向きでありたいものです。
2017年07月25日

食品的容器的筆記用品的転用

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サンドウィッチ用の容器がなんとなく筆記具を収納するのに転用出来そうだったので、実際に収容してみました。
割といい感じです。
視認性も良好なので、中身も一目瞭然。
これぞエコロジー。
なんちて。


橙色の軸が特長的なドルチェビータゆう万年筆で知られる、イタリアのデルタが長期休業に入りました。
これは、北斗市にある石田文具の公式サイトで知りました。
作り手の不在って……職人さんたちに離反されたのか、逃げられたのか。
派手に活動されていたようですが、案外内実は火の車だったのかもしれません。
イタリア本国に送っての修理が出来なくなったとかで、限定軸を持っている人は大変そうです。
わたしもデルタの製品は何本か持っていますが、ボールペンや芯ホルダーなのでその辺は大丈夫です。

昨年はオマスが倒産しましたし、イタリアの万年筆業界には逆風が吹いているみたいです。

びっくりしたなあ、もう。







しかしまあ、びっくりしたなあ、もう。
2017年07月24日

直液式水性筆記用品に萬年筆インキの冬の柿を詰め替えること

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※以下のボールペン改造記事は、それを推奨するものではありません。
また、この記事を参考にされましての問題発生に関しまして、当方は一切関知致しません。
もしも改造なされる時は、自己責任にてお願いいたします。



並木製作所(パイロット)の直液式水性ボールペンのハイテックポイントV5C当時価格一五〇圓也を所持しているのですが、活躍させる場が無くて半ば隠居状態でした。
これ、いつ頃の製品なんですかね?
ある日のこと。
電脳上をさ迷っていたら、直液式水性ボールペンのインキ(印気、インク)を萬年筆のものへと改造する記事に出会いました。
おお、これぞ好機。
そういう訳で、萬年筆インキを入手してこのボールペンに詰め替えてみることにしました。
パイロットの色彩雫(いろしずく)を何個かお買い得価格にて入手出来ましたので、試してみたいと思います。

先ずは、ハイテックポイントの中にあるインキをすべて出して乾燥させる作業。
使用済みのレターパックの上に塵紙(ティッシュペーパー)を数枚敷いて、工具で口金ならぬ口プラをゆっくりゆっくり引き抜きます。
力を入れすぎず、ゆっくりと慎重に。
無事に引き抜けました。
塵紙を何重にか巻いて作業したのですが、少し傷が入ってしまいました。
残念。
次回は護謨(ゴム)も巻きましょう。

鞘(キャップ)内部のペン先のチップ部分を受け入れる部分がバネ構造になっていて、これが動くことを発見。
簡易的衝撃緩和装置なのですね、わかります。
目に見えない部分へのこだわりと工夫に、思わずニヤリとしました。

意外と残っているインキが多く、ドバドバと出ます。
中身を出した後、軸は簡単に洗えました。
ペン先の方もドバドバとインキがすぐに出て、早めにきれいになりました。
こういった簡便性はいいですね(と、その時は思ったのです)。
詰め替え前提でないのが残念なくらい、興味深い構造の品です。

ハイテックポイントを乾燥させたら、今度は萬年筆インキを中に詰めます。
用意したインキはパイロットの色彩雫の冬柿。
名前の妙味とさらさらした書き味と発色のよさにて、巷で大人気の製品のひとつです。
瓶は手作りだとか。
お手軽に試すための小瓶もあり、パイロットの意気込みが伝わってきます。

萬年筆インキは戦国時代なのでしょうか?

約二ミリリッターの吸い上げが出来る便利な目盛り附きポリスポイト浅井商事製を使い、慎重に液体を軸内に垂らします。

くくく、満たされるがよい。

およそ二CCのインキを詰め、ペン先をゆるりゆるりと差し込んでパチンと音がしたら挿入完了。
ある意味アイドロッパー式で点眼器式でスポイト式な、改造型直液式水性ボールペンの完成ナリ。
無理な改造が無いので、不安感があまりありません。

試し書きを始めると、中に少しばかり残っていたのか黒いインキの筆線です。
あやや。
こりゃ、よろしくありませんな。
冬柿の色合いが出てくるまで、どんどん書くしかなさそうです。
やがて出てくる冬の柿色。
秋の華やかな成熟の時を終え、鳥たちに喰われることも無く樹上に佇む姿。
朽ち果てるを待つのみか。
地に落つるを待つのみか。
それか、或いは…………。
せつない感じの名前です。
この名を考えついた方は、おそらく詩人なのでしょう。
パイロットも、よくぞこの名で販売しているものです。

枯れた感じの色合いです。
茶色の強い赤系の色合い。
もっと赤みの強い色かとも思ったのですが、案外そうでもなさそうです。
筆記具によっても色合いが変わるのでしょうか?

今のところはインキ漏れ無し。
後は実戦にて確かめる所存也。

旧い皮袋に新しい酒を詰めるようなものかもしれませんし、自己満足の行為に過ぎないかもしれません。
しかし、これこそ酔狂。
そう思ったりしました。


数時間後に再度書いてみたら、インキの湧出量が安定して増えたためか、より濃い色合いに変化しました。
奥深いのです。
2017年07月23日

北の國中央的ステーショナリー的戦利品

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地理的に函館含む道南は孤立気味だなー、と改めて感じた今回の旭川への旅。
距離が遠い故に致し方ないとは言え、経済が札幌中心で廻っているのは確か。
旭川からは鈍行の汽車でおおよそ二時間の距離になる道庁所在地の巨大都市。
函館本線の終点は旭川ですが、函館のどれ程の方が訪れているのでしょうか?
逆のことも言えます。
交流ろくに無いよね。
特急列車を乗り継いでも片道五時間ほどかかる旅程では、余程の目的が無ければ訪れないでしょう。
北海道のことを新たに考える契機を与えてもらえたことは、実にありがたいことだと思います。
その恩恵を如何程の方が受けられたか、知りたいところであります。

函館も、もう少し交流を広げる方向性を持てたらいいのになあ……。

それは兎も角、旭川市内の文房具屋さんと札幌のロフトで文房具を購入しました。
以下にその内容を記述します。


画像一枚目左側から。
旭川市内の文房具屋さんで入手したもの。

◎ステッドラーの二ミリ芯ホルダー用芯研器
ドイツ製。
小型で持ち運びやすいのですが、出先で使用することを想定するならば塵紙(ティッシュペーパー)必携です。
刄が錆び出しているので、かなりの年代物と推定。
裏にそれぞれ『10』『11』とありますが、製造時期を表しているのでしょうか?
一個一〇〇圓と言われてそのまま購入しましたが、帰宅後電脳上で調べてみると一個七〇圓。
……まっ、いっか。

◎ロットリングのゾノックス ファインライナーEF
ドイツ製。
留め具の金属部分が樹脂製に置き換えられた、直液式水性ボールペン。
鞘(キャップ)の天冠は青色ですが、実際に書くと紫。
ちゃうやん!
ペン先がインク漏れっぽいので塵紙で拭いたらかなり色が附いたので、少し湿らせた綿棒で鞘の内部をぐりぐり。
ダメやん!
長年店頭で寝かせたまま放置されたからこうなったのか、或いはハズレなのか?
もしかしたら、個体差の大きな製品なのかもしれません。
やかまし屋のドイツ人だと相当文句を言うのではないでしょうか?
購入時はそんなことなど思いもよらなかったので、普通に購入しました。
二〇〇圓。
少しお買い得?

◎ロットリングのゾノックス ローラーポイントEF
ロットリングのこの種の直液式水性ボールペンは、名前を何度か変更しているらしいです。
現行品はテッッキーの名前を冠しているのだとか。
なんとなく、流浪の番組タモリ倶楽部みたいです。
ドイツ製。
留め具が金属製なので、こういう部分がよいと思うのです。
こちらはインク漏れが殆ど無し。
二〇〇圓。


画像二枚目。
札幌ロフトのぴかぴかした高級筆記具売場にて。

◎並木製作所(パイロット)のペン習字ペン
少なくとも二〇年以上製造されているらしい、長期生産品。
教官系入門用万年筆というか、なんというか。
直液式水性ボールペンに万年筆インキを詰め替えるやり方を知ってあれこれ調べている内に、廉価系万年筆に興味を持った次第であります。
以前導入に失敗した万年筆ですが、改めてやり直したいと考えてパイロットの製品に手を出してみました。
いわゆる鐵ペン。
EF表示なので、極細のようです。
税抜き五〇〇圓。

◎CON-40
初めて聞くとなんのことやらさっぱりわかりませんが、つまりは万年筆用コンバーターのことです。
これを使うと、インキ壺やインキ瓶から直接液体を汲み上げられるのです。
ペン習字ペンは本来カートリッジ式ですが、このコンバーターならば使えます。
廃番品になったCON-20や50も使えるのだとか。
旧くてカートリッジしか使えない同社の萬年筆も、これを使うことが出来るのだとか。
むむむ、やるな、パイロット。
コンバーターを使える意義は大きいと思います。
容量があまり大きくないのでマニアックな方々からはさほど評価が芳しくないようですが、実際に使ってみて評価したいと考えます。
税抜き四〇〇圓。

◎大日本文具(ぺんてる)のトラディオ07
ロフトのワゴンセール内にやたらとあったボールペン。
日本製。
中にはエナージェルの青インキの替芯が入っています。
作り自体はよさそうですが、北の國の人たちにとって中身と外見と価格が合致しなかったのでしょう。
たぶん。
税抜き二五〇圓の品ですが、投げ売り価格で一〇〇圓。
二〇本以上ありましたが、わたしが立ち寄った時点で手を伸ばしている人は見当たりませんでした。
替芯は二〇一四年一〇月一日製。
二年半以上売れなかった訳です。
商いって、実に厳しいで御座る。
これが個人文房具店になると、店によってはもっと古い替芯が……。
諸行無常。


旭川市内の個人文房具店は事実上ほぼ潰滅。
駅前のMARUZENや駅舎近くのコーチャンフォーが、実際に文房具を見ることの出来る少ない場所になっていました。
書店や雑貨店や紙店などが頑張っていたら話は別ですが、観光案内所の方々が頚を捻っていたので望みは薄いでしょう。
札幌も個人文房具店はかなり厳しいみたいですし、そう考えると石田文具が北斗市にあって個人文房具店がちょっこし残っている函館近郊はまだ恵まれていると言えるのかもしれません。
秋田市にあったアウフヘーベンみたいなお店が、道南にもあればいいのに。
子供がお小遣いの入った財布を持って、真剣に文房具を探す個人のお店は幻想になりつつあるのでしょう。
子供の頃から個人のお店で買い物を行うのは重要に思われますが、もはやそのような時代ではなくなりつつあるのかもしれません。
道知事の勧めに従って旭川まで遠征しましたが、様々なことに思いを馳せる契機となりました。