SとMの不思議な世界 小説館

『あー、もう最悪~』
『なに、どうしたのよ?』
翌日の大学の教室。
急遽講義が休講となったため、
そのまま教室に居座っての雑談。
昨夜はあのあとどうだった?とさやかが菜々子に問い合わせしたところ
返ってきた返事がこれだった。
『いや、結構盛り上がったんだけどさ。
つい、勢いで…』
『えっ!』
さやかと恵美の言葉がハモる。
『違う違う。
なに考えているのよ。
イヤらしいわね。
つい勢いで電話とメール教えちゃったんだよね。
軽い女と思われるかなって』
『そう?それくらいなら軽いとは思わないんじゃない?』
『菜々子は仕切り屋だと思うかも知れないけどね』
恵美のフォローにさやかが茶々を入れる。
ひとしきり笑ったあと
『そういやさ、向こうにまた飲みたいって言われたら来る?』
『えっ』
不意の質問にさやかも恵美も戸惑う。
違った意味で。

『そういやさ、なんか不思議な人いたね、一人』
さやかのその一言が、幸せの絶頂にいた恵美を現実に引き戻した。
『不思議な人って?』
言いながらも、分かっている。
『あの陽平って人。
あんな人も居るんだね…』
『まあ、いろんな人が居るからね~』
分かる。
さやかの心にあの男が刻まれている。
でも、まだ。
まだまだ大丈夫だ。
きっともう会うこともないだろうから。
『それよりさ、今度服を買いに行きたいんだけど、付き合ってくれない?
さやかアドバイザーの率直な意見を聞きたいの!』
『私より恵美のほうがおしゃれじゃない』
笑いながらもさやかが応じる様を見て
とりあえずはこれで一安心と
恵美は心中で安堵した。

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