January 05, 2007

第7話「PEEPING TOM」 1/3

長らくお待たせしました。第7話いきます。


とりあえず人気のない公園までツトムを担ぎつつエリを先導する
「ナナナナナマアシ・・・」
己の妄想が産んだ桃源郷から抜け出れず、いまだもって夥しい血を流しているツトム
このままでは彼の命が危ない
顔中包帯でグルグル巻きにして止血を図る
それから公衆トイレの掃除用具入れの中に押し込んだ、我ながら完璧な処置方法だ
「これでよし」
「それはどうかと」
エリの突っ込みは実に的を得ていた、タイミングといいキレといい素晴らしい、最高のショーだとは思わんかね

仕方がないのでツトムを引きずり出して藪の中に横たえた
人が来ても怪しまれないようにツトムの上に枯葉をぶちまける、カムフラージュは完璧だ
しばらくトイレ脇のベンチに座り、ツトムの蘇生を待つ

冷えた空気の中を、吐く息が力無く舞う
本格的に冬が訪れたようだ
吐く息が闇に消えてゆく
遠くでディーゼルの廃棄音が聞こえる以外は至って静かな冬の夜だ
そんな俺のポエミーな世界は一瞬で消し飛んだ
上等な料理にハチミツをぶち撒けるかのような発言がエリの口から出てきたからだ
「なんだか、さ・・・いいね、こういうふいんきって」

あいや暫く
可哀想に、こいつはドラマの見すぎだと思われる
あるいは安っぽい恋愛を描いた少女漫画あるいは「BOYS BE...」の読みすぎか
まあ百歩譲ってもそれはスルーしよう
しかし「ふいんき」との発言は神が許しても俺が許さない
こいつは必ず誰かに「なぜか変換できない」と漏らしているに違いない

俺の脳内攻撃も通じないエリはなおもトップギアで走り続ける
「ね、イチロー・・・冬って好き?」
「それ何てエロゲー?」
その時、確かに背後で誰かの声がした
俺は気配を殺しつつゆっくりと振り返り、声の方向を伺った

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