すごい。
面白すぎる。
ミステリーを読んでいるようだ。
過去の歴史を、パズルを解くように、解きほぐし、そして繋げて一つの絵にしていく。我々にとっては、単なるばらばらな事柄、メディアによるイメージだけで認識していた事柄(そしてその多くは事実に反していた)だったことが、すべて繋がって、一つの物語として浮かび上がってくる。
まるで、ダヴィンチコードのようだが、こちらは、真実の歴史であり、我々の生きてきた時代そのものなのだ。
ぞくぞくする。
そして、それが、島田裕巳という、この時代を宗教の学問的専門家として、時代の寵児として、そして文筆家として生きてきた人物が、客観的に淡々と描写する。さらに、その描写は極めて客観的でありながら、島田裕巳自身が、歴史の登場人物として描かれる。それは、主観としてではなく、島田の心持を別人たる今の島田により客観的に描写されている。
この描写の躍動感は、ジョージソロス自身がポンド危機やアジア金融危機を描写しているような感じだ。
これは、ドキュメンタリーであり、ドラマであり、壮大なる歴史物語である。そして、語り手は、語り手自身が魅力的な登場人物であることも活かし、我々を引き込んでいく。しかし、それはあくまで淡々としている。
私も、この歴史物語の登場人物になり、20年の人生を振り返る。私の大学入学からの20年間が鮮明によみがえる。そして同時に、社会構造にも思いを馳せる。
平成という時代が宗教の時代であり、それが中心ではないものの、大きな影響を政治、経済、社会に与えた。いや、むしろ、中心でないにもかかわらず、大きな引力を持っていたために、政治、経済、社会が、楕円形にさせられていた。その歴史、社会構造も、この歴史物語により、初めて私の頭の中で明確になった。
この本が世に出ることで、新宗教と社会の関係が変化するだろう。それは、ソロスの言う再帰性(reflexibility)そのものだ。この本が世の中を動かしてしまうかもしれない。
