2010年09月16日

為替介入 ここからが勝負

昨日の介入は見事。

自分の予想が当たったから言うわけではないが、トレーダー達の裏をかき、完璧だ。そして、その後も一気に多額の介入、ロンドンでも介入と徹底している。

やるなら徹底しないといけない。

完勝だ。

私は、介入そのものには反対だが、やるのなら、昨日の介入は素晴らしいPerformanceだと思う。

海外勢を中心とした仕掛けトレーダー達に勝つこと、それが介入だ。

介入とは戦いで、敵をやっつけないといけない。この場合の敵は、為替相場を弄んで儲けているやつらのことで、中小企業のために介入するのではない。

感覚的な議論になるが、84円から下は、単なる仕掛けによる円高だから、不当な動きを是正したとはっきりいえるだろう。民主党代表戦を材料に遊んでいただけだ。

さて。彼らも、このまま負けるわけには行かない。この屈辱を何倍にもして跳ね返してくるだろう。

切り返しに万全の備えをしないといけない。

しかし、トレーダーたちは基本的に日和見だから、とりあえず、この流れに乗るだろう。少しは円安の流れに乗り、ポジションを整理しつつ、損した分を少しずつ取りかえしてくるだろう。

力をためて、逆襲してくると思う。

まずは、催促相場。一旦当局の手が緩んだところで、もう一度円高に仕掛ける。そして、論調は、介入は悪であると広める。国際的な包囲網も築く。

そこで、激しく仕掛ける。もし介入してきたら、今度は準備万端だから、それに対抗してくるだろう。今回は、仕掛け側も、民主党を甘く見て、調子に乗って仕掛けすぎた。しかし、次は、心して仕掛けてくるから、当局は、というか、この政権では勝てないだろう。

82円という防衛ラインを記者会見でしゃべってしまうようでは(あれが本当であろうとなかろうと)そこを利用して、その発言を失言とするように仕掛けてくるだろう。

そして矛先は日銀に向かうだろう。

介入はマーケットを乱すもの。悪だ。よくない。そしてエコノミスト達も、根本的には金融政策の問題でデフレ解消の努力をしない日銀が悪い、金融緩和の催促相場となるだろう。

そして、もし、日銀、政府が対応を小出しにするようなら、何度も、繰り返し、往復びんたのように、仕掛けて対応を引き出し、その直前に一旦円売り戻し、対応が出たところで、今度は売りでモーメンタムを作り、一旦落ち着かせて、ポジションを整理し、もう一度円買いを仕掛ける。これを繰り返してくるだろう。

今回の敗戦をとことん恨み、とことんしゃぶりつくし、弄びつくすだろう。

そうならないように、介入をどこで一旦手仕舞うか。そこがポイントだ。

私は、もう一旦手仕舞うべきだと思う。短期には、攻められないだろう。そこで、日銀とも暗に協議し、次の決定会合にあわせられれば一番よいが、そうではなくても、日銀の政策効果が発揮できるような状況で、84円前後に円が上がってきたときに、まさに円買いを仕掛けてきた瞬間に、金融緩和策と介入と同時に行うべきだ。

そこでもう一度完勝し、円は85円から86円で定着させる。

それが唯一の勝てるシナリオだ。



この記事へのコメント
面白い筋書きですね。
水面下での各国との話を得てここに至ったと思いますが
今月は何が何でもある程度を維持しなければならないはず。
アメリカの貿易赤字が少し減ったということもお許しを得ることができたのでは?
アメリカは小沢さんでなかったことに安堵しているとのニュース。小沢さんだったらスムースに行かなかったのでは?
行ってもその反動は倍になされたと想像します。
Posted by VXiona at 2010年09月16日 07:46
日本は中国政府を目指しているようです
900兆円の借金が902兆円になっても大したことはない
昨日だけでなく,これからは無制限に介入すると思う

必要なのは,「政府の覚悟を示すこと」金額は関係ない.
尖閣諸島で漁船をつかまえたのとおなじように毅然として国益を守ることが民主党の政策か

政府の意図で為替をコントロールするというのは
中国政府の人民元と同じだが
今はそれは必要なことなのかもしれない

このツケが怖いですが
がん患者にジョギングや禁煙を進めても意味はない.
当面必要なのはコカインなどの痛みどめだ
Posted by Kekeke at 2010年09月16日 08:28
小幡先生、昨日の読み脱帽です。

またこのコメントにも賛成します。
介入は負けてはいけません。勝つためには兵力の全体(規模)、戦術(時期やレベル)を明らかにするとそこを攻められます。

VXionaさんのコメントにもある通り、当然関係各国との事前の協議もなされた上での介入と思いますが、昨日の欧州の紳士的な反応に比して、米国ではちょっとちゃちゃが入ったとモーサテで聞きました。

さすがアメリカ言ってくれます。
Posted by トホホ at 2010年09月16日 08:33
Dear,Dr.Obata
In 日本橋、銀座不二家のペコちゃん・ポコちゃん、
興和製薬のカエル、エスエス製薬のウサギは街の店先で客を迎えます可愛らしいオーナメント。
1980年代当時、
ご近所で金利の良いコスモ信用金庫(エスエス製薬系で破綻)にお世話になりましたが、
30年後、日本振興銀行の破綻モデルとは違うタイプでは、無いでしょうか。  かしこ


Posted by mayumi at 2010年09月16日 12:20
米国もユーロも金利を下げ
意図的に自国通貨安に誘導しています。
これこそ、為替市場に対しての本格的介入です。


「為替介入は悪」だという事が不思議です。
積極的に効果的に介入すべきです。

それと並行しながら円高の根本的な解決
「日本の貿易黒字」による円高の是正を図る必要があります。

外貨投資への誘導
個人投資家が大怪我しないような環境整備を急ぐべきです。
(FXのレバレッジ規制を強化、10倍を上限にするなど)

たかが個人投資家ですが
塵も積もれば結構大きな山になります。
Posted by SST-α at 2010年09月16日 13:05
私は 今の財務官がどういう人か知らないのですが、為替がわかる 頭のキレる人なんでしょうか?
Posted by タカ at 2010年09月16日 14:45
おもしろい意見ですね。

為替をコメントする評論家は皆さん、円高好きのようで。
でももともと日米金利差から乖離していたことは黙ってい
ながら、介入が効かないとか言うのは、どうかと思います。

基本的に彼らはポジショントークですから。
日本株関係者は、上がっているときは、より強気な
ことを言います。それがさも当たり前のような口調で。

為替の「専門家」は似てますね。カスが大半です。

日本はこれまで不況下の円高で耐えてきました。世界の
景気回復を一手に引き受けていたのです。
最近の日本株のパフォーマンス、円高、どれも世界一です。

これからは各国に少し分担してもらいましょう。
Posted by よし at 2010年09月16日 22:32
3
おもしろい筋書きですね。

欧米はサブプライム問題のときに相当やられているし、
今はあまり力がありません。
日本はほとんど影響を受けなかったので、これだけ円高が進んだわけです。

それだけ、恐怖心もある。レビン委員長の発言はそれで「非常に憂慮すべき事態だ」となったのだと思います。

問題は中国です。

今回仕掛けてきているのは、かなり中国系ファンドも含まれていると思います。

そろそろ人民元を切り上げることで、さらに円高を進ませると思います。
人民元切り上げのリスクヘッジが、日本国債だとしたら、それこそ憂慮するべき事態です。

そうとう介入しているようですが、85円、86円を維持するのにやっとのようです。

予想としては、介入を一旦やめたとき、中国の人民元切り上げがあり、
一気に円高が進み、それを機に相当の損失を抱えた欧米のファンドが、なりふり構わず仕掛ける。

それで円高に拍車がかかり、70円前半を目指す。

70円ほどになったら、そこで日本の政権に異変がある。

要するに中国をはじめ欧米諸外国は、日本のファンダメンタルズが良好なのが気に入らないのです。

日本の体力を徹底的に奪いたいと思っているのでしょう。

中国は相当景気が良いが、反日感情はハンパじゃありません。
昔、中国人留学生を教育してるとき、私は、なんでこんな日本に反感を持っているのか、と思いました。
第二次世界大戦中に日本が行った蛮行を、中国人はしっかり覚えています。

中国はこれからますます力をつけるでしょうが、
反日感情を徹底的に教育された若者たちが、
今の中国のトレーダーの世代だとおもっているので、
日本を徹底的に叩いてくるだろうと思います。

今回の介入の効果は、短いでしょう。

Posted by hiro at 2010年09月16日 22:40
しかしマーケットというのは、暗闇の中でボクシングしてるような感じで、匿名性が少し不気味ですね。
その相手にするターゲットが、群集ですし、それも様々な個の集合なんでしょうが、分析、予測するのは、個を相手にしているのとは大きく異なるな感じがいたします。
通常の一般的な心理学と、行動ファイナンス、経済心理は似て非なるもので、全く別物、流用などできないという感じですね。
マーケットの感覚、本で勉強もしておりますが、体に染み込んでくるのにはまだまだ時間がかかりそうです。
                  かしこ
Posted by kamahiro at 2010年09月16日 23:31
Dear,Dr.Obata

映画「ひまわり」ソフィアローレン(イタリアの大女優)さん、
第22回高松宮殿下記念世界文化賞受賞おめでとうございます。   かしこ
Posted by mayumi at 2010年09月17日 00:46