2020年01月02日

箱根駅伝が日本をだめにした

という主張は、私は学生の時から主張していたが、近年コンセンサスになり、その後変化があり、箱根のプラスの面も見受けられるようになった。

今朝は久しぶりに見たが、第一区から極めて興味深いシーンが続いた。

まず、1区で創価大学の米満選手が素晴らしい走りで1位。2位も残り3キロで早めのスパートをして最後に米満選手とデッドヒートを繰り広げた国学院の藤木選手。二人とも素晴らしい走りだった。さらに、米満選手のインタビューが素晴らしく、テレビ解説をしていた早稲田の元監督の渡辺選手の走りを超えたことについて感想を聞かれると、特に何も、昔とは靴も進歩して比較はできない、と落ち着いたコメント。

この二人が素晴らしかったのは、後半集団の中から下手な駆け引きをせずに早めに集団を引っ張ったこと。まず米満選手が出てペースをさらに上げ、その後、藤木選手が思い切ったスパート。そして、最後に冷静に米満選手が狙い通りに逆転。

もっとも興味深かったのは、彼ら二人が、いわゆる名門校の選手ではないことだ。

駅伝が選手を駄目にする最大の理由は、個人競技の長距離走に無駄なチームプレイを持ち込むことだ。

集団の底上げや選手の裾野を広げるにはよいが、本当に強いランナーを強くする機会を失ってしまう。本来、駅伝は感動のレースになってはいけない。8分から9分の力で走って後半余力がありそうならペースを上げるという走りが必要だ。なぜなら、たすきをつなぐことが最優先だからギャンブルしてしまってブレーキになることが最も避けるべきことだ。しかし、高校生や大学生は伸び盛り。監督としては、オーバーペースぎりぎりのところで走らせて、潜在力を引き出すことで実力以上の勝利をもたらすところに醍醐味があり、また大ブレーキやそれをカバーする物語を期待するテレビ視聴者にとってもそれが望ましい。だから、競技ではなく、ドラマが生まれるのだ。ビジネスとしては最高だが、若い競技者を伸ばすレースとしては最悪の目標レースなのである。

しかし、学生たちにとっては憧れのレース。箱根をテレビでやらなければ長距離を走らなかった選手は多いだろう。それはプラスではあるが、実はそうなると名門校ほどマイナスが生まれる。それは、レギュラーになること、箱根に出ることがもくてきになってしまうということだ。エリートチームのエースともなれば、それだけで偉いし、憧れられる。それに満足してしまうのだ。かつて、マラソン選手で監督になった中山竹通も社会人チームに関してそういっていた。アフリカからの選手だけが、その先を目指していたと。

だからこそ、今年の1区のように、名門校でないところで、断然早い選手ほど伸びるのだ。チームのエースは当たり前、他のエリート校の選手に負けないように、そしてチームの誰かに追いつく練習ではなく、周りとは違って、自分の目標を自分で立て、自分で考えながら練習しないといけない。もちろん、箱根優勝ではなく、その先の世界選手権、オリンピックが目標になる。だから、考え、頭も良くなり、伸びていくのだ。

最近は、エリート校でも、先を目指す、箱根はワンステップ、その先のマラソンでのオリンピックを目指す選手が増えてきたことが、箱根が再度意味を持ち始めた理由である。私が知る限りでは、早稲田の竹澤選手あたりからではないだろうか。彼は北京オリンピックに出場した。

さて、日本の長距離をだめにしたのは、オリンピックをだめにしたIOCと同様に、組織団体の有力者たちである。彼らだけではないが、目立つ人々に、マラソンでは、有名なテレビ解説者たちがいる。女子マラソンでは、高橋直子をアテネオリンピックに出さなかった永久戦犯の彼女は、楽しそうに無駄なエピソードをマラソン解説として披露し、レースの解説を一切しないのに、テレビ局には引っ張りだこである。また、今日の一番のクライマックスは、素晴らしい競技者ではあったが、頭が悪すぎて、その後、男子マラソン界を低迷させた某氏が、1区で3年連続区間賞と期待された東洋大学の西山が遅れ始めたときに、「これは作戦ですね、ペースが早すぎると見て、あえて後ろに下がったのですね、表情も変わらないですし」と言った2秒後、中継車に乗った陸上素人の局アナから、「違います、西山の顔が歪んできました、明らかに失速しています」と言われた場面だった。彼の解説は当たった試しがない。この二人の重鎮はテレビ解説だけして、競技者の育成には関わらないでほしい。

しかし、これが日本の特徴である。

組織幹部、監督、コーチに対して競争メカニズムが働かず、優秀な指導者が育たないことだ。これは経営にも、政治にも、大学などの教育機関にも言える。

今年2日目から、日本の弱点をテレビで見ることができて、今年は良い年になりそうだ。



この記事へのコメント
厚底靴すごいな。時計が異常に速い。イノベーションだな。
昔からそういう靴の方が速く走れると思っていたが、固定観念があったり、そもそもそういう靴がなかったから、選択できなかった。騙されてた気分。
Posted by めんそ at 2020年01月02日 14:26
新年明けましておめでとうございます。
2020が小幡先生とご一統様にとって輝かしい年となりますよう祈念致します。

≫日本のxxxをだめにしているのは…組織団体の有力者たちである ⇒御意!
⇒「彼らはエリートも非エリートも黴症候群(郷原信郎さん)を病んでいる」
…と診た方が「事態の深刻さ重篤さ」が生々しく伝わるでしょう。処方が定まる鴨。
Posted by ん at 2020年01月02日 14:50
 郷原信郎さん≪黴症候群が発症中 いつでもどこでもだれにでも…5W1H≫
日本の刑事司法は国際的な批判に耐えられるのか〜ゴーン氏出国は単なる刑事事件の「被告人逃亡」ではない
https://bit.ly/2Qina5W
≫日本人が北朝鮮や中国で不当に身柄を拘束された場合と同様に考えれば、何とか国外に脱出しようと考えるのは、
(ボーっと生きてる茹で蛙ではなく)普通の人間であれば自然なことと言えるのではないだろうか
⇒ゴーンさんのあれは、21世紀に常識的な人権と正義を求めた ≪愚猿国からの政治亡命≫ 以外になかろう。
⇒ゴーンさんのあれは、稀有な特殊ケース故普遍性はないが、黴症候群から逃れるための処方の一つではある。
Posted by ん at 2020年01月02日 15:54
  ≪極東の島国、上級も下級も黴症候群に罹っている≫
「ゴーン氏はどんな手を使ったのか?」 https://toyokeizai.net/articles/-/322811
≫日本の入国管理局がどれほどの屈辱を受けているか‥。この大失態をどう説明するのだろうか。日本は、海外に行く人が少ない国でもある。パスポートを持っているのは人口の僅か23%に過ぎない。 ⇒げっ!四人に一人??
⇒極東島国の政治権力者には黙秘権がある。やりたくなければ説明なんかしなくてもいい国である。

≫日本の捜査当局は日本人への対処には慣れていたが、ゴーン氏のようなグローバル・セレブへの対応は不慣れだった。フランスなど多くの先進国は容疑者の海外逃亡リスクが高いため、より洗練された手段が使用されている。
⇒♪洗練されたSophisticated♪。己の無知に無知で無学無恥な愚猿に国家の舵取りを任せちゃ駄目。
折角、いいお頭を与えられ最高学府で学んだのに、愚猿に土下座し屈膝し忖度する丁稚に狎っちゃ駄目。
Posted by ん at 2020年01月02日 16:41
瀬古はモスクワオリンピックのマラソン代表で、日本が参加していれば金メダルを取る可能性は高かった。
この時イギリスは西側でありながらモスクワオリンピックに参加。男子1500mで金メダルを取ったのが、今の国際陸連会長のセバスチャンコーだ。
もし瀬古がモスクワで金メダルとっていたら、今頃は国際陸連の重鎮になっていたかもしれない。
そうなればマラソンコースを札幌に変更されたりしないで有利にイベント運営できたかもしれない。
彼もまた日本社会、組織の犠牲者であり、個人に犠牲を求めた結果、未来の社会もショボくなっている。
Posted by めんそ at 2020年01月02日 19:39
>競争メカニズムが働かず

なんでも競争させればいいと思ってる、思い上がった思考回路。

維新の橋下も同じように競争競争である。

だがいったいお前らは競争しているかと言えば何もしていない、やらせておいて高みの見物である。

ではなんで競争を否定するかと言えば簡単で、
見合った報酬がないからだ、
駅伝で優勝して大金持ちになった話など聞いたことがない。

金メダル取ってもナンボのもんじゃい、
錦織圭の年収は28憶で国内最高だ、
マー君も大谷も、八村、白鳳も、渋野も及ばない。


駅伝など損得抜きで好きでやってるんだだからどうでもいいではないか、彼らには彼らのロマンがあるのである、それを温かく見守り、尊重しようじゃないか。

今の日本にかけているのはこうした思いやりである。

Posted by への字 at 2020年01月03日 08:24
ある.一人のうら若き夢も希望もある女子が、
一生懸命頑張って東大出て電通入って過労死自殺しても労災さえ認めない国なんぞ

発展途上国以下である。
Posted by への字 at 2020年01月03日 08:38
米国アメリカンフットボールのプロリーグNFLの監督・コーチの競争原理は
監督の下に攻撃コーチと守備コーチの2名がいる事。

あるチームが攻撃力で強くなると監督と攻撃コーチの評価が上がる。
監督は当然続投することとなるが、
攻撃コーチはシーズンオフに他のチームから監督要請オファーがあり、別のチームに移籍し新監督となる。

優秀なコーチが他チームの監督に移籍することで、全体のレベルが上がる仕組みなのだ。
Posted by . at 2020年01月04日 03:19