先日、長引く風邪の病み上がりで体調は最悪でしたが、北海道は上川の士別市に行ってきました。
風邪で店にでていなかった蕎麦屋親爺が、治ったとなったら店を空けるのか、とスタッフの目線が鋭く背中に突き刺さる。(^^)
小樽から電車を乗り継いで4時間半で、なんとか士別市に到着。
秋晴れで空気が澄明。
天塩川と剣淵川が合流する名寄盆地の南端、真っ平らな地形の向こうに緩やかな丘陵が連なり、空がどこまでも広い。
士別は屯田兵制度最後となる兵村としてスタートし、農業の集散地と交通の要衝として発展し、今はビート精糖やサフォーク羊の牧畜に力を入れている。
その士別市博物館学芸員となったM氏から、士別で開催されるフォーラムのパネラーに来てくれと依頼された。
三年前、小樽市博物館で臨時職員として頑張り、昨年社会人採用で士別市職員になった若者。
小樽繋がりの若者がかわいがられている士別のまちづくりであるならば、そういう若者から頼まれればいやと言えなくて。
初日のフォーラムも済んだ翌朝、わざわざ見送りに来てくれたM氏がお気に入りのポイントを案内してくれるという。
しかし、その日の朝は、士別でもあまりないという朝霧が。
もうもうと沸き立つように流れ、家屋も丘も雑木林もすっぽり覆い尽くす朝霧の世界。
町をすっぽり覆い尽くした朝霧のなか、市民が星空を見にいく丘に向かうのだそうな。
波打つ丘陵地の沢からもうもうと朝霧が沸き立つ。
朝霧に煙る利休鼠の空と朝霧越しに輝くおおきな太陽とそして地平線・・、それしかない。
まあるい地平線のような丘の頂きが現れてはまた現れて、ひたすら登る。
やっと頂きに。
・・・何か不思議な気分。
この七ヶ月、奥底に居座るFUKUSHIMAのシコリとそれを抱える病み上がりの気だるい身体が、早朝の冷気でびりびり引き締まる。
周囲の利休鼠の空に澄明さが湛えられてはらわたの隅々まで染み入ってくる。
脂肪のよどみや蛋白の濁りと居座るシコリが、全身から雲散霧消していく気がしてくる。
朝靄とおぼろな雑木林と鈍い輝きの太陽のなかで、時が止まったような感覚になる。
電車の時間が迫り、我に返る。
晴れわたる景色も当然素晴らしいのだろう。
見たかったらまた来いや、といっている。
が、貴重な朝霧の世界を楽しませてもらった士別行でした。
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