koage_ajitsuke

 前回紹介した町の豆腐屋さんの小揚の、味付け完了写真。
 明後日、小揚100枚が初入荷するので、その前のテスト味付け。
 どうです、この分厚さ!

 大鍋に水を張り火にかけ、その水のままの状態のうちに小揚をひたひたに入れ、落とし蓋をしいぇゆっくり沸騰しないようとろ火から中火で煮ます。
 水が湯になって沸騰し吹きこぼれてしまっては、若い衆は思いっきり叩かれます。(^^)
 沸騰するお湯の勢いで小揚が傷んでしまうからです。
 茹がき終わったら網笊に小揚を移し、鍋のお湯を全て捨てて改めて水を張り、一回目の油抜きで少し油の抜けた網笊の小揚を再投入し、また火にかけます。
 その作業を3〜4回繰り返します。
 そのときどきの「町の豆腐屋さんの小揚」の揚げ加減が強いと、その作業が更に増えます。
 この「油抜き」をいい加減にやると、熱々の蕎麦に盛りつけても小揚の油分が蕎麦つゆをはじいてしまい、蕎麦と蕎麦つゆと小揚の絡み合いが出ず互いにそっぽ向いてそれぞれ自己主張しすぎ、バランスがわるいメニューになってしまうわけです。
 小揚に含まれた余分な油分をすっかり抜いたら、その作業は終わり。
 スーパーで売っている大量生産の小揚はこの「油抜き」作業だけでクタクタになり、裂けて使い物にならないのです。
 この「油抜き」に耐えてしんなりした「こんくらい」加減の小揚になると、思い通りの味付けになってくれて、実に愛おしく可愛いのです(^^
 そうなって、やっと味付けです。
 蕎麦つゆをベースに砂糖や色々・・・・、まったり、もっちり。
 それでやっと「揚げ力そば・うどん」として盛りつけられる小揚になります。
 町の豆腐屋さんが深夜早朝から額に汗してつくる(大方の豆腐屋さんは奥さんが小揚を揚げます)小揚だからこそ、私たちも一手間かけて味付けをするのです。

 蕎麦屋ってこういう作業が多い。
 醤油を大量に使って蕎麦つゆを作りますが、要は醤油臭さを取るために取ったダシで割る作業があり、鰹節類を大量に使いダシをとりますがダシ臭さを取るために醤油ベースのカエシと合わせて蕎麦つゆにする。
 同じように、小揚を使うがその油臭さを抜くために「油抜き」をする。

 使う材料の個性をうち消すことに血道をあげるわけですから、まあある意味変ではあります(^^)
 その作業の時に「節電」だなんていわれても・・知らない。(^^)

 要は、その材料が本来持つ味を消さずに、しかし一つの材料の味だけが
  「とんがらない
ようにバランスを取るってことをする。
 日本人の味って、こういう作業が積み重なってあるのです。

 際だたせたい味のためには、周りの味はすべてそのバランスのために協力するってわけです。
 ダシが利いていてダシがとんがっちゃだめ、
 醤油が利いていて醤油がとんがっていたらだめ、
 で蕎麦つゆが出来あがり、それに打って茹がきたての蕎麦と絶妙に絡み、
 「のどごし」てぇいう外国の方にどう説明していいかわからん感覚を醸し出す。

 まあ、そんなことに夢中になるのが蕎麦屋なんですな。