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墨田区の万里の長城・白髭団地に行ってきた。新宿ロフトプラスワンで最初に行った「団地ナイト」の出し物として林さんと真島会長を連れて行ったこともある、高層団地マニアの聖地だが、今回は石川さんと団地界の勝ち組:小林さんに加え、「ぽむ企画」の桂さんフリックスタジオ小園さん、そして過日ここで紹介させていただいたあの「新スケープ」の著者のおひとりである中央アーキの上領さんとその彼女さん、という、もうなんというかコレ系最強布陣で挑んだのだった。「コレ系」ってなんだ。
実はこの催しにさかのぼって、石川さんが中央アーキのみなさんに声をかけ会合が実現し、その席に上記メンバーが同席。どういう話の経緯だったか忘れたけど「白髭団地すごいよ」って言ったら「じゃあ行こう」ってなった、という次第。ちなみにその席では中央アーキのみなさんに石川さんと二人して「『新』じゃないんじゃないか」とか「後半部のコンテンツは…」とか初対面で失礼なことばかり言って詰め寄ってしまいました。すいません。熱くなりすぎました。というか、石川さんって詰め寄りがちだよね。石川さんは先生もやってるけど、学生さんの心中をお察しする。このときの様子は同席された藤村さんによるレポートで。

ぽむの桂さんといえば、もうこれはぼくのアイドルといってもいい。かつてぼくがまだほんのり建築に情熱があった頃からのあこがれの人。4年前に初の写真展大団地展をやったときにおいでいただときいて緊張したことを覚えている。そんな人を白髭に連れて行く日が来るとはねえ。

あとフリックスタジオは、最近実に縁があってほうぼうでメンバーの方にお会いする。主宰の高木さんはかつて「SD」という雑誌で「テクノスケープ:テクノロジーの風景」という特集号(367号 1995年4月)を編集されていて、この雑誌こそぼくが工場にのめりこむ決定打となった一冊なのでした。「工場萌え」の先輩だ。

などなど、因縁のメンバーで臨んだのだけど、当日は東京に台風が直撃した日。大雨のなかいい大人が団地を鑑賞するという図になりました。


白髭3D

まさに墨田区の「壁」なわけですが、これは実はファイアウォール。災害時に火の海になる周辺地域の延焼を食い止める名実共に壁の団地。すばらしい。ディテールももはや住宅ではなく防災装置。放水銃がいたるところに付随してる団地だよ?すてき。防災拠点としての団地に関する情報は集合住宅物語
に詳しいので、興味のある方はぜひご一読を。こういうものがほかに数カ所作られるはずだったとか。それはぜひ作るべきだったよ。

あまりにすてきなのでそのうちデイリーポータルZに記事として載せようと思ってる。ので、詳細はそのときに。

さすが、と思ったのは石川さんが当日大量の資料を配付していて、それが白髭団地周辺の地形図や古地図。

白髭地形図

最寄り駅である鐘ヶ淵から団地に向かう道が上り坂になっているのは、ここが自然堤防だからとのこと。そのほか綾瀬川が付け替えられたあとが読み取れたりなど、文字通り「淵」であったこと、そしてすぐ北にある堀切の地名もおそらくここからか。ちなみにこの地にあった「鐘ヶ淵紡績」はのちのカネボウ。

ひさしぶりにだらだらと書いたが、今回みなさんと話してようやく分かってきたことをひとつ。それは、ぼくが惹かれるのは「現にいまそこにあることの素晴らしさ」とでもいうものなのでは、ということ。つまり今回のメンバーはみなさんどちらかというと「作る側」の方々なわけだけど、ちょっと嫌な言い方をするとそういう街の風景を変えることができる「特権的」な場所にいる方々にとって風景を批判的に眺めることはこれはもう本能のようなものかもしれないけど、そうじゃないふつうの人にとっては街の風景は「現にいまそこにあるもの」であってそのオルタナティブが存在するだなんて思いもしないんじゃないかな。建築家にとって街の風景はパラレルワールドのひとつかもしれないけど、ぼくにはそうは見えない。あきらめでもなんでもなくて批判的に他の可能性を表すより、ぼくは「現にいまそこにあること」のパワーを愛でたい、と。白髭団地の土木とも建築ともつかない佇まいを見つつ、そんなことを思ったりしたよ。