きたる平成26年5月10日(土)の18時30分から「ふぁんしーナイト〜人はなぜPOP体を使ってしまうのか〜」というイベントをやります。【チケットはこちら

「ふぁんしー」とはなにか。今回一緒に登壇する前川さん(かの伝説的なウェブサイト「スレッジハンマーウェブ」のあの人だ。ぼくがあこがれ、団地のサイトはじめるときに「このサイトのようにしたい」と思ったあれだ)がその名も「ふぁんしー」というサイトで「プロがデザインしたかわいらしいものではなく、市井の人びとがついうっかりかわいらしくしてしまったもの」と定義している。さしずめぼくが10年にわたり観測している「浮かれ電飾」などはそのひとつだろう(イベントではこのクリスマス時期になるとなぜか家を電飾してしまうことについてまとめて考察してみるつもりだ)。

いろいろな「ふぁんしー」があるが、イベントサブタイトルにあるように、なぜかPOP体を使ってしまう、というのはその代表事例だと思う。

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↑こういうやつ
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↑同様にシリアスな訴求でPOP体(今回一緒に登壇するデイリーポータルZライター仲間である伊藤さんの報告

お役所系が、シリアスな場面でやっちゃうのが目立つ。たぶん「訴求したい(太い書体にしたい)」「でも親しみやすさ大事!」の結果、あらかじめパソコンに入っているフォントから選ぶとこうなるんだと思う。もしかしたら彼らが見ているPOP体は、ぼくらが見ているPOP体のようには映っていないのかもしれない。ただの太い書体ぐらいの認識かも。

おそらくそのパソコンにあらかじめ入っちゃっているPOP体は「創英ポップ体」というものだと思う。このフォントを作っている株式会社創英企画という会社はどういうところだろう、と思って検索したらそのホームページがちょうすてきだった。

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株式会社創英企画ホームページ

「ホームページへようこそ」がちゃんとPOP体だ。末永くこのままのテイストでいて欲しい。

お役所系以外でぼくが気になっているPOP体使ったばかりに、シリアスなのにうっかりふぁんしー、の事例は「探しています」だ。

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↑こういうやつ

ここ数年、こういう「探しています」を探しているんだけど、昨今はみんなDTPできちゃうのですごくこぎれいなのだ。

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↑これも

さぞかし飼い主の方は心配しておられるはずだが、POP体でその深刻さがマイルドになっちゃってる感じがする。やめた方がいいと思う。また、街の看板やサインは出来合いの書体で溢れているので、パソコンで貼り紙作っちゃうと埋没しちゃうという欠点もあるように思う。いまこそ手書きの方が視線をとらえやすい。たとえばこんな↓

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視界の端ですごく存在を主張していた。必死さが伝わってくる。この絵で特定できるのかという問題は別として。

さて、冒頭の書影写真だが、今回のイベントの準備として『まちモジ〜日本の看板文字はなぜ丸ゴシックが多いのか?』を読んだ。すごく面白かった。フォントデザイナーの第一人者である小林章さんが、日本と海外の豊富な看板や標識の書体事例を分かりやすく説明している。デザインに詳しくない人にこそお勧めの楽しい本だ。

で、日本以外では丸ゴシックが標識で使われることはほとんどないのだそうだが、なぜ日本では多いのか。その謎解きが目から鱗だった。これはパソコンなどを使ってフォントを使う前の時代からの傾向だそうだ。つまり、看板職人さんたちが手書きで書いていた時代から。詳しくは本を読んでほしいんだけど、つまり丸ゴシックのほうがコストが低いのだ。これはびっくり。

それで、はっと気がついたんだけど、POP体も同じように「そのほうがコストが低い」という理由でつい使われちゃうのではないかと。前述のように「あらかじめパソコンに入ってる」という環境も要因のひとつだ。

ぼくは「意図的なファンシー」は好きじゃないが(白樺を斜めに輪切りにしたものに「けんちゃん」とかいう字が貼ってある観光地の土産物とか、ああいうやつ。ってこの説明で意味通じるかな)、こういう「意図せず/やむなくファンシー」には興味がある。目的にかなったデザインはそう簡単にできるものじゃなくて、訓練が必要だし時間もかかる。手早く仕上げたい、となったときに着地する先が「ふぁんしー」なのだろう。

だとすると、なぜてきとうにやるとふぁんしーに行き着くのか、というのが問題だ。われわれの感性と道具の一番谷底に「ふぁんしー」がある、ということではないか。おそろしい。

という感じで、単にPOP体など「ふぁんしー」事例を楽しむだけでなくかなりうがった「ふぁんしー論」が展開されるはずです。5月10日はぜひ東京カルチャーカルチャーへ。前記前川さん、伊藤さんに加え、「ピクトさん」の内海さんという豪華メンバーでお待ちしております。

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  • ふぁんしーナイト 〜人はなぜPOP体を使ってしまうのか〜
  • 2014年5月10日(土)18:30〜21:00 (予定)
  • 前川ヤスタカ/大山顕/伊藤健史/内海慶一
  • 前売券2,100円
  • チケットはこちら


ぼくは「浮かれ電飾」の他に「7人ぐらいのこびと」についてプレゼンテーションする予定です。こういうやつ↓

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↑6人

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↑5人(これも伊藤さんより

玄関先にいるんだけどさー、たいてい6人とかなんだよねえ。