現在「マニマニ」でオンライン販売中です2015年1月31日ゲンロンカフェで行われる「石川初×大山顕×東浩紀『庭・オアシス・ユートピア――ショッピングモールから考える #4』」にも持って行きます
今回は(も)自信作。これは良い。自分で言うのもなんですが。中身は下のような感じ。例によって全ページお見せしちゃいます。画像クリックで大きなものをご覧いただけます。




























ご覧の通り、モールの吹き抜け写真集。バンコク、香港などの海外事例も収録。自分でもすごく気に入っている一冊。にやにやしちゃう。
2014年はぼくにとってモールに開眼した年でありました。ぼくは全国の工場や団地を見て回り写真に収めてきた一方、ずっとショッピングモールも撮りたいと思っていたんだけど、どうしてもうまく撮影できなかった。なぜ撮れないのかその理由が分かったのは昨年・2013年のこと。作家・思想家である東浩紀さんと「ショッピングモールから考える」(トークの内容収録は→こちら)という対談を行うための準備をしていたときに気がついたのだ。「モールには外部がないんだ!」と。
ぼくはそれまでの被写体と同じように、モールの外観を観察していたのだけど、それがまちがいだった。存在しない外部を撮ろうとしていたのだからうまくいくはずがない。モールは内部に理想的な街を内装として実現する施設だ。東さんの言葉を借りれば「内と外が逆転した空間」なのだ。建築はふつうモニュメントとしてのデザインを施されるが、モールは外に対して無頓着である。外から見た巨大モールの姿が宇宙船のように見えるのは、外壁がバックヤードになっているからだ。つまりこれは何もない宇宙空間に浮かぶスペースコロニーなのだ。
さて、それでは内部のどこを見ればいいのだろう?ぼくがいきついた結論が吹き抜けだった。本写真集はその成果というわけ。モールは建築というよりは倉庫だ。内部空間は内装デザイナーがつくり上げる。入るテナントは経済が支配する。そのようななかで、唯一建築家が腕をふるえる対象が吹き抜けだ。だからそこに「理想的な街」のエッセンスが込められているのではないかと思った。
ぼくは本写真集を前述の対談をまとめた書籍「ショッピングモールから考える 〜ユートピア・バックヤード・未来都市〜」(ゲンロン新書・2015/01)のビジュアル資料としても位置づけている。ちなみに本書の表紙は、この対談でひらめいた「モールのイスラム庭園起源説」によっている。実にエキサイティングで知恵熱が出ること間違いなしの内容なので、ぜひ読んでください。