
『住宅双六』というおもしろいイラストがある。

これは建築家・上田篤が作ったもの。1973年に朝日新聞掲載された。当時の住宅の住み替えを双六に見立てていて、上りは「庭付き郊外一戸建て住宅」だ。73年はぼくが生まれた翌年だが、確かに子供の頃見聞きした理想の住まいは「庭付き一戸建て」だった。
興味深いのは団地は終の棲家ではなく、「上り」のためのワンステップでしかない、という点だ。こんどのイベント『団地団』(2020年2月27日(木)19時30分から阿佐ヶ谷ロフトAにて。詳細・チケットは→こちら)ではこの話をしようと思う。
ちなみに、73年は関東大震災から50年目で、ちょっとした「地震ブーム」の年だった。過日の美術展『慰霊のエンジニアリング』に出品した、長さ1.2kmの巨大防火壁団地・白鬚東アパートの写真(→こちら)のテキストにも書いたように、同時期に地震学者河角広の「大地震69年説」が発表されて都民に大きなショックを与えた。郊外の庭付き一戸建て信仰には地震への怖れも影響していた気がする。子供心に「都心のビルはやばい」と思った記憶があるから。そういう報道が盛んになされていたのではないか。
続きを読む