「住宅都市整理公団」別棟

ここは団地マニアのためのウェブサイト「住宅都市整公団」の総裁のblogです。団地だけじゃなくて工場やジャンクションや高架下建築や。

熱中時間

富士塚めぐろうぜ!

先日、NHK BS2の「熱中時間」の収録で富士塚マニアの有坂蓉子さんにお会いする機会を得ました。会いたかったんですよこの方と。

ていうか、みんな富士塚知ってる?

富士塚というのは、いわば富士山のミニチュア。見た目は築山のような感じのもの。江戸時代後期に庶民の間で「富士講」という富士信仰が流行ったのですが、当時は気軽には訪ねることができない。そこで、この富士塚を作り、それに登ることで実際に行ったのと同じ「御利益」を得よう、というもの。

で、この有坂蓉子さんの出演の様子を熱中時間のブログに書いたので、ぜひ読んでいただきたい。

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熱中倶楽部ブログ:NHKブログ | 熱中人リポート | おもわずめぐってしまいました「富士塚熱中人」

あんまりに富士塚が面白かったので、今回は、収録レポートだけでなく、ひとりで富士塚行ってみた。詳しくは上のブログ読んで欲しいんだけど、びっくりなのはこれ↓
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なんと、歌舞伎町に富士塚!

以前から富士塚の存在は知っていたけど、関東に300以上もあって、こんな新宿のど真ん中に現存するとは知らなかった。興味ある人は、有坂さんの富士塚ブログを見てみて。あと、彼女の本、『ご近所富士山の「謎」』も実に興味深い。

近々、ぜひ有坂さんには富士塚ツアーをお願いしようと思っているところ。みんな行きたいよね?

6月27日(土)必見。熱中時間に円筒分水

entoぼくも出演させていただいている、ご存じ熱中時間ですが、今週末6月27日(土)の回は必見。というか、毎回必見だけどな。

この回には、以前萩原さんのダムイベントに出演させていただいた際にご一緒した、ozavskiこと金山さんが出演するのだ。もちろん話題は円筒分水。DPZで萩原さんが記事を書いた記憶も生々しいが、その親玉たる金山さんの登場だ。

どんな感じかは熱中時間のブログを読んで予習してほしい→【熱中倶楽部ブログ:実物の美しさを伝えたい!「『円筒分水』熱中人」

そう、ぼくがレポートしているのだよ。この熱中時間のブログでは毎回の収録の様子をぼくがレポートしているので、みなさんぜひご覧いただきたい。週一で書いてます。ていうか、見ろ。出てくる人たちすごいから、ほんとに。

収録で金山さんがしゃべったことで一番面白かったのは、ブログにも書いたけど、さらりと「1メートルの落差があれば5キロメートル先まで水を運べるところを、こういう仕組みでその落差を消費しちゃうのは、起伏が多い日本ならではですね」って言ったところ。水門の佐藤さんとか萩原さんとか、水回りの方々には常識かもしれないけど、それ、誰も知らないから!現に出演者のみんな、スルーだったから。

これで円筒分水の虜になっちゃった人は、金山さんのウェブサイト円筒分水・堰堤の鑑賞/ozavski-webをじっくり読むように。

あと、金山さんは近いうち「円筒分水ツアー」を開催するように!(金山さん、よろしくお願いいたします)

蛾屋さん

蛾ぼくがレギュラー出演させていただいてる熱中時間が先日の放送で100回目を迎えた。めでたい。毎回すごい「熱中人」が登場して、収録のたびに感動を覚えるのだが、ただひとつの不満がこの熱中時間の番組内で関連情報のURLが紹介できないことだ。サイトでもリンクなど貼られていない。熱中人の多くは自分のウェブサイトを持っているのだが、それが紹介できない(大人の事情ってやつだ)。mixiにはコミュもあって、出演された方がときどき書き込みを行っていたりするのだけれど、そこでも情報は十分とは言えない。

そこで、ここで勝手に紹介しようと思う。

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まずはその2007年6月10日の100回記念に登場した「蛾屋さん」川上さん。彼女のサイトは

今夜も!Gavyori web版
採集兵器☆カノジョ

番組に登場するのは特番含めてたぶん3回目。いちどぜひお会いしたい方なのだけれど、今回の放送でもなぜか藤岡弘さんが取材に。ぼくはスタジオでVTR見ただけでした。ぼくが行きたかった。

蛾を観察・採集する人を「蛾屋さん」という。昆虫採集系の世界では「〜屋さん」てよく言う。もともと何の分野でも研究の世界で同じような呼び方をするので、それと関係があるのかもしれない。つまりまじめな研究の世界とつながっている。団地とは違うな。

番組内でも触れられていたが「蛾」というのはイメージまみれで、しかもよいイメージではない。だけど、それはあくまで「イメージ」。蛾はよく見ると美しいよ。蠅もよく見るとすごい洗練された形していて、蛾に限らず昆虫というのはすべてとてつもない機能美なんだけれども。

よく蝶と比べられて、蝶が「陽」なら蛾は「陰」という感じだが、イメージを取り払って造形だけ見てみれば、素人目にはイメージほどたいして違いはない。蝶が「きれい」なら蛾も「きれい」だし、蛾を「きもちわるい」というなら蝶も「きもちわるい」はずだ。

アメリカの生物学者エドワード・O. ウィルソンは、生物や生物同士が作り出す様々な関係性に魅了されてしまう人間本来の性質をバイオフィリアと呼んだが、スタジオに出てきた川上さんの蛾の標本を見ていると、自分の中に確かにバイオフィリアがあるのが分かった。ぼくなんかにしてみればそういうのに魅了されちゃうのは当たり前で、逆になんでみんな蛾とかに夢中にならないのか、のほうを研究して欲しい。

上の絵は「百蝶図」で有名な円山応挙(1733-95)の絵。実物の「百蝶図」は彰考館徳川博物館にあるらしい。見てみたい。この「百蝶図」タイトルは「蝶」だけど蝶と同じぐらいの蛾が描かれている。蛾だろうが蝶だろうが、応挙にとっては同じ美しさだったんだろうと思う。

さて、ぼくがざっと調べた限りでは、蛾屋さん関連のサイトは以下。

みんなで作る日本産蛾類図鑑
写真がとても充実していて素人にもとっつきやすいサイト。画像掲示板もすごく面白い。あたりまえだがみんな蛾に夢中。ぼくがネットを始めたときに思い描いた情報交換の桃源郷がここに。それにしても、蛾屋さんはみんな写真がうまい。

ある蛾屋の記録
蛾に関する基礎知識が非常に面白く読めた。蛾は蝶より圧倒的に種類が多くて、かつ同じ種類のはずなのに違う形や色をすることもあるそうで、採った蛾が「何の蛾なのか」を特定することが一苦労のようだ。鱗粉取り除いた羽の「翅脈」調べると分かる、とかすごい。

Digital Moths of Japan
すごいデータベース。門外漢にはなんのことやら分からない解説ばかりだけど、気がつくとずっとページ追っている自分。

日本蛾類学会
その名の通り、蛾の学会。「現在、日本産の鱗翅目は、蝶類が6科で約250種、蛾類が79科で約5,900種が記録されています」とかすごい。しかもまだ何千も特定されていないらしい。

まだたくさんあるけど、こんなところで。あんまり見てると自分も蛾屋さんの世界に足踏み入れそうになるので、このへんで。

あと、川上さんが番組内で「小一時間問いつめたい」と口走っていたのは、ちょっとどうかと思った。編集でもわざと残したのか、この慣用句がなんなのか知らなかったのか。

「趣味ではなくて使命である」

熱中本ぼくが出演させてもらっているNHK BS2の「熱中時間」が本になりました。その名もそのまま「熱中時間―忙中“趣味”あり」
巻末にはこれまで登場した熱中人のリストも載っていて、これがいい。サイト持っている人はそのURLなんかも載ってると良かったと思うけど。そうか、それやるか、個人的に。ここで。

NHK「熱中時間」がすばらしいのは

かすみっこレギュラーで出演させて頂いているNHKの「熱中時間」

いわゆるマニアと呼ばれる、あるものごとに「熱中」している人々とその内容を紹介するこの番組。ぼくは一度「団地に熱中している人」として出演し、それが好評頂いたようでそのあとも「熱中人の気持ちが分かる人」として出演させてもらっています。

とある出来事があったので、いささか偉そうですが「なぜこの番組に出演するか」を書きたいと思います。


■霞っ子クラブの災難
先日ぼくも出演した回にご出演されたのが「霞っ子クラブ」のお二方でした。分かりやすく言うと「裁判傍聴マニア」とでもいうべきこの方々のサイトは、番組以前から尊敬しよく拝見していたのでご本人にお会いできてたいへんうれしかった。番組自体はすでに放送されたのでご覧になった方もいらっしゃると思いますが、ひじょうに面白くかつためになる回でした。団地の回とは全然違うよさすが霞っ子クラブ、と思ったものです。

とある出来事というのはこの霞っ子クラブが別のテレビ番組に出演し、そこでの発言が元で2ちゃんねらの突撃を受けたというもの。
彼らの反感を買った発言は、ご本人によればテレビ局による編集によるものであり、ご本人の発言したことが歪曲された結果であるとのこと。
http://unio-n.cocolog-nifty.com/blog/2006/11/113_b444.html
http://unio-n.cocolog-nifty.com/blog/2006/11/post_7ec5.html

■最近多いマニアTV番組
最近、テレビ番組から出演の依頼を受けることが非常に多い。たいへん失礼な言い方をさせて頂くと、マニアのサイトというのがネット上にたくさんあるので「ちょっと変わった人」をさがすのが昔に比べてとても簡単になったからだと思う。

そのことは良い。なんであれ本人が望むのであれば露出の機会が提供されるのはとても良いことだとぼくは思う。ただテレビはマニアを「変わった奴」としてとりあげるきらいがある。これ要注意。

ぼくは出演依頼をいただいたときには、しつこいぐらい詳しく番組の趣旨をうかがうようにしている。そして「変わった奴」としてしか取り上げてくれない場合はお断りさせて頂いている。ほとんどの場合がそうだ。そして例外が「熱中時間」と山田五郎さんの番組だった。

■なぜ熱中時間に出演するか
熱中時間はマニアを絶対に「変わった奴」としてだけでは紹介しない。TVではめずらしく時間をかけて「なぜ熱中するのか」を聞き出す。安易に「分からないけど好きなもんはしょうがないですよね」では終わりにしない。出演者に「好き」とはなかなか言わせてくれない番組だ。

生い立ちや熱中するまでの経緯や家族友人関係などいろんな角度から切り込んで「好きなんです」を封じる。そこが素晴らしい。簡単に言うとマニアに対して愛がある。こういうマニア番組はなかなかない。そこが気に入って出演をさせて頂いている。

これは内幕だが、霞っ子クラブの出演された回では、事件をただおもしろがって見ているのではない、ということをいかに伝えるかを時間をかけて打ち合わせました。こういうスタンスはテレビではなかなか伝わらないのですが、この番組制作に関わるすべての人がそれにチャレンジしていて、毎回ちょっと感動すら覚えます。

今回の出来事のあと霞っ子クラブの方は「やはりテレビ取材には応じないということが一番だと思います」とおっしゃっていて、たいへん残念に思う。

マニアにも紳士的に対応して欲しい。そういうことです。
tw fc
カモ
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