2020年06月

2020年06月30日

坂上行男写真集『水のにおい』 (蒼穹舍、2020年6月29日発行)

坂上行男写真集『水のにおい』
蒼穹舍/2020年6月29日発行
A4変型/カラー/装幀:塚本明彦
上製/76ページ/写真点数:72点
定価:4000円 + TAX

「上毛かるたの一枚に「鶴舞う形の群馬県」とうたわれる その図形のくちばしに位置する邑楽郡明和町。 利根川と谷田川にはさまれる田園の町である。 ここに生まれ育ち、ここに生きている私にとって永い馴染みの景色は、 過剰な好意をもって私を迎えてくれるわけではないが 昨日も終えて今日もここにいてくれる」(あとがきより)
坂上行男写真集『水のにおい』

坂上行男写真集『水のにおい』1

坂上行男写真集『水のにおい』2

坂上行男写真集『水のにおい』3

坂上行男写真集『水のにおい』4

坂上行男写真集『水のにおい』5



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2020年06月19日

蒼穹舎スタッフのお勧め 11 吉江淳写真集『地方都市』

蒼穹舎スタッフのお勧め 11 吉江淳写真集『地方都市』

ギャラリーに観に来る人が少なく、時間ができたことから始めた蒼穹舎スタッフのお勧め本ブログの第11弾は、2014年刊行の吉江淳写真集『地方都市』。今回もギャラリーに久しぶりに来てくださった作家さんの本の紹介です。好きな写真家さんなので少し前の作品ですが紹介したいなと思いました。

吉江淳さんは1973年群馬県太田市生まれで、中央大学卒業後に建築事務所に1年ほど在籍した後、牧場で働き、そこで撮った「乳牛」が最初の個展だそうです。その後フリーの写真家になり、2010年代に入り、コンパクトカメラから67に変えて、地方都市を撮り始めます。この写真集はそれらの地方都市をまとめたものです。

「地方都市」を撮り始めるとき、吉江さんは水平に撮ることやスナップにしないなど、いくつかの制約を課しつつカテゴライズされない作品化を目指したそうです。実際出来上がった写真集を手にすると、よくある風景写真とはどこか違った印象を醸し出していて、意図は実現されているなあと思います。この写真集は吉江さんが生まれ、今も暮らす大田の街の写真が多いのですが、私には、伯母がかつて太田に住んでいたこともあって、馴染みのある風景だったはずなのに、記憶にある、どこにでもあるようなありふれた風景が、こんなに見に行きたくなるような街だったかなと思えるようになっているのが不思議でした。ありふれた道具立てが妙に活き活きした世界に様変わりしていくその写真の謎に妙に惹かれました。その後の自費出版の「川世界」もそうですが、単純でありふれた世界がそうではない何かを身に纏い始める風景に見えてくるのを見るのが毎回、吉江さんの写真を見る愉しみになっています。そうした不思議な世界を体感してください。オススメの一冊です。




蒼穹舎スタッフのお勧め本:
吉江淳写真集『地方都市』
蒼穹舍/2014年6月6日発行
A4変型/カラー/上製
128ページ/作品点数:122点
定価:4000円+TAX
* 著者署名本

地方都市をテーマにした個展を重ねてきた吉江淳の初の本格的写真集。

『地方都市という町は存在しない。それは首都圏以外のあらゆる都市のことを指すのだという。にもかかわらず日本全土に無数にあるこの相対的な都市に僕はいつしか惹き付けられるようになっていた。ここであると同時に、ここではないどこかの都市を内包している、そんな架空の都市への憧憬がどこかにあったのだろう。だが実際には、各地域で時間を積み重ねて出来た独自の集合体が均一化されたまちづくりシステムに侵食されていると言えるような光景がどこまでも続くなかで、カメラ片手に彷徨うほかはなかった。(中略) それでも日々の中で歩いていると、目の中に飛び込んで来る光景が妙に生々しい存在感を放っていることもある。それは光のせいかもしれないし、またその地域に張りつめる空気感かもしれないし、前景と背景のバランスのようなものかもしれないし、あるいは長い時間を帯びた建物がそれでも目の前にあるという驚きからくるものかも知れない。いづれにしてもそのとき僕にとって大事なことは、その光景をいかに自分の思考を加えずに受け入れられるのかということだ。そうすることによって写真が、見慣れた空間の中にあって、その土地の隠れた凄みを持つ世界へと連れて行ってくれる。そしてそのときにこそ地方都市という実体のない町が、少しだけその顔をのぞかせているような気がしてならない。(吉江淳によるあとがきより抜粋)』

吉江淳写真集『地方都市』
吉江淳写真集『地方都市』1
吉江淳写真集『地方都市』2
吉江淳写真集『地方都市』3
吉江淳写真集『地方都市』4
吉江淳写真集『地方都市』5
吉江淳写真集『地方都市』6
吉江淳写真集『地方都市』7

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2020年06月12日

蒼穹舎スタッフのお勧め 10 橋本勝彦写真集『凪』

蒼穹舎スタッフのお勧め 10 橋本勝彦写真集『凪』
コロナによる自粛で時間ができたことから始めた蒼穹舎スタッフのお勧め本ブログも第10弾。緊急事態宣言が解かれたせいか、今月に入りギャラリーの方に作家さんが来てくださることが増えてきました。なるべく近刊を紹介しようと始めたこのブログですが、先日来た橋本勝彦さんの写真集『凪』は去年の刊行だなと思い、好きな写真家さんなのでもあり紹介しようと思いました。

橋本勝彦さんは1942年東京生まれで、30代の頃からアマチュア写真家として撮り続けていたそうですが、本業は別にあってということでした。2012年に70歳の記念にと、大西みつぐさんの紹介から大田さんに制作を依頼した「もう一つの風景」からじわじわと知られるようになり、ロングセラーを続けています。そして写真家としての活動が本格化してこの「凪」は3冊目の写真集になります。

橋本さんの写真集は「もう一つの風景」「遠い日」「凪」といずれも日本全国を旅して撮り歩いた風景の写真です。この「凪」では2015年から2018年にかけて、北は岩手から南は福岡までを旅して撮った写真が収録されています。これだけ様々な地域が撮られているのもかかわらず、まるで一つの場所で撮ったかのような錯覚に陥るような風景が並びます。そこにあるのは寂れた、時代の流れから取り残されたような街並み。ところがページを捲って1枚1枚を見ているとそれぞれが別の顔を持ち、それぞれの時間の堆積が滲んでくる。煤けた壁を持ち、それでいてまだ人が暮らしているらしい、生き続けている建物。いつの間にか同じように思えた写真たちがそれぞれの声を発し始める。ゆっくりと写真集を手に取る時間が増えた今こそオススメの1冊です。

蒼穹舎スタッフのお勧め本:
橋本勝彦写真集『凪』
蒼穹舍/2019年4月1日発行
A4変型/上製/装幀:原耕一
モノクロ/78ページ/写真点数:71点
定価:3800円+TAX
橋本勝彦4年ぶり3冊目の写真集。
『寂れた好きな場所があって、いつかまた出会えたらいいと思いながら年月が経った。ふとある日、立ち寄る機会があり風景を眺めた。整備された美しい道路と公園がそこにあった。思い出のイメージは過去への忘却となり、一枚の写真だけが記憶を残してくれる。
昔が懐かしくて旅に出ても寂れた風景を探してしまう。知らない街の裏道を歩く好奇心や、道に迷って出会った街並みのそんな思い出が追憶となっている。風が止むと凪になる、穏やかに時を止めて寂れた街角に又静かに時間が過ぎて行く。』(あとがきより抜粋)
橋本勝彦写真集『凪』

橋本勝彦写真集『凪』1

橋本勝彦写真集『凪』2

橋本勝彦写真集『凪』3

橋本勝彦写真集『凪』4

橋本勝彦写真集『凪』5

橋本勝彦写真集『凪』6

橋本勝彦写真集『凪』7



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2020年06月09日

GRAF PHOTO BOOK 1  – 瀬戸内・山陰 –  (GRAF Publishers、2020年4月3日発行)

GRAF PHOTO BOOK 1  – 瀬戸内・山陰 – 
GRAF Publishers/2020年4月3日発行 
作家:GRAF Publishers(本山周平・國領翔太・小林正秀・関田晋也)
GUEST:松岡美紀(写真同人誌九州)
カラー&モノクロ/20.3×25.4cm/中綴じ/36ページ/写真点数:27点
装丁:関田晋也
定価:2000円 (税込)
GRAF Publishers、2020年第一弾の活動のお知らせです!4月3日(金)より、岡山のギャラリー722にて写真展『GRAF PHOTO BOOK 1 -瀬戸内・山陰- 』を開催いたします。ゲスト写真家に松岡美紀氏(写真同人誌九州)を迎え、同タイトルの写真冊子も刊行いたします!(版元の告知記事より)
GRAF PHOTO BOOK 1  – 瀬戸内・山陰 –

GRAF PHOTO BOOK 1  – 瀬戸内・山陰 –1

GRAF PHOTO BOOK 1  – 瀬戸内・山陰 –2

GRAF PHOTO BOOK 1  – 瀬戸内・山陰 –3

GRAF PHOTO BOOK 1  – 瀬戸内・山陰 –4

GRAF PHOTO BOOK 1  – 瀬戸内・山陰 –5

GRAF PHOTO BOOK 1  – 瀬戸内・山陰 –6



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小川節男写真集『明日なき我が身』 (イニュニック、2020年7月10日発行)

小川節男写真集『明日なき我が身』
イニュニック/2020年7月10日発行
モノクロ/B5/PUR製本、ガンダレ表紙
100ページ/写真点数:94点
定価:1,800円+TAX
『脳出血で倒れ、半身不随で彷徨った13年。末期の胃がんで、余命1年と宣告されたのが去年の四月。
 痕跡を残しておきたいと思った。少なくとも写真集はぼくが死んだあとも残る。今回の写真集の中の写真は、すべて脳出血で倒れてからのものだ。縦位置の写真が一枚もないのは、横位置しか撮れないからだ。首からカメラをさげて、杖をついて足を引きずって写真を撮った。
 『写真とは何か』。結局わからなかった。ただ、写真というのは必ず、その写真を撮っているぼくがこちら側に居るということ。ぼくの存在が想像できるのだ。ぼくがやられた左脳は理論的なこと、残った右脳は感覚的なひらめき、と聞いたことがある。カメラマンにとっては少しの救いではあった。』(あとがきより抜粋)
小川節男写真集『明日なき我が身』

小川節男写真集『明日なき我が身』1

小川節男写真集『明日なき我が身』2

小川節男写真集『明日なき我が身』3

小川節男写真集『明日なき我が身』4


sokyusha at 16:50|Permalink 写真集新刊 

2020年06月05日

蒼穹舎スタッフのお勧め 9 大塚浩二写真集『Snap out of it』

蒼穹舎スタッフのお勧め 9 大塚浩二写真集『Snap out of it』
コロナによる自粛で時間ができたことから始めた蒼穹舎スタッフのお勧め本ブログ第9弾は、4〜5月のギャラリーで展示していただいた大塚浩二さんが、2016年に刊行した初写真集『Snap out of it』です。緊急事態宣言期間中の展示であったことから見ていただく人がとても少なかった事が残念でしたので、久しぶりに見返した写真集について紹介しようと思いました。

大塚浩二さんは福岡県生まれで、22歳の時にニューヨークへ渡り20年近くアメリカでフリーランスのフォトグラファーとしてエディトリアルや広告の仕事をしてた人です。9.11の事件後は全くそういった写真が撮れなくなって、ただひたすらニューヨークでの日々の生活のスナップ写真を撮っていたそうです。このあいだの展示はその時期にニューヨークのロッカウェイビーチの海によく行っていた時の写真で構成したものでした。波の写真など海の様々な表情や街の風景の中に内省的な感じが印象的でした。初写真集『Snap out of it』は同時期の写真で、人や街を中心に日常の風景の写真で構成されたものです。展示の写真とは対称的なニューヨークの雑多な雰囲気が印象的です。特に多くの写真がブルックリンという街で撮られていて、個人的にも父親の育った街だったので、この街を撮った写真集はいつも気になります。99年に私がブルックリンに行った時の記憶と同じ風景が、違う街に見えました。大塚さんが撮った街が9.11以後の人々の内面の変化を感じ取っていたからかもしれません。見たことのある風景や街を撮っているのに、同じ形なのに別の姿に見えるというのは、それはその写真の力なのかなとこの写真集を見た当時思ったことを思い出しました。是非一度印象的なこの本を手にとってみて下さい。



蒼穹舎スタッフのお勧め本:
大塚浩二写真集『Snap out of it』
蒼穹舍/2016年8月25日発行
A4変型/カラー/装幀:加藤勝也
上製/104ページ/写真点数:98点
定価:4000円 + TAX

『今回、この本にまとめた写真は、ポスト9・11期の2001ー2008年にニューヨークで撮った写真である。 あの事件以降、僕はいろいろな事に懐疑的になっていた。特にコマーシャリズムの偽善的な性質には、本当に嫌気がさしていて、写真の方ではそれと完全に決別したところだった。でも生活していく中で、常に自分の周りにはコマーシャリズムが溢れていて、不必要に人間の欲望を煽っていた。 それを恨めしく思いながらも何処にも行けない。そんな八方塞がりのストレスの中で、いつしか自分を、 あの日の舞い散った焼灰だと思うことで、活路を見だしていったような気がする。』(あとがきより)

大塚浩二写真集『Snap out of it』

大塚浩二写真集『Snap out of it』1

大塚浩二写真集『Snap out of it』2

大塚浩二写真集『Snap out of it』3

大塚浩二写真集『Snap out of it』4

大塚浩二写真集『Snap out of it』5


sokyusha at 18:18|Permalink 蒼穹舎スタッフのお勧め 

2020年06月03日

石毛優花写真集『MIX BITS』 (私家版、2020年6月9日発行)

石毛優花写真集『MIX BITS』
私家版/2020年6月9日発行
カラー/A5/48ページ/写真点数:39点
定価:2500円(税込)※ 著者署名本
自身の手による手製本の写真集を作り続けている石毛優花の2019〜20年撮影の新作写真集。
石毛優花写真集『MIX BITS』

石毛優花写真集『MIX BITS』1

石毛優花写真集『MIX BITS』2

石毛優花写真集『MIX BITS』3

石毛優花写真集『MIX BITS』4


sokyusha at 15:05|Permalink 写真集新刊 

2020年06月02日

中嶋勇樹写真集『残響』 (PHOTO STREET、2020年5月15日発行)

中嶋勇樹写真集『残響』
PHOTO STREET/2020年5月15日発行
A4/並製/ケース/モノクロ
68ページ/写真点数:64点
編集・装丁:川口和之
編集協力:大田通貴
定価 : 2700円 (税込)
中嶋勇樹写真集『残響』

中嶋勇樹写真集『残響』1

中嶋勇樹写真集『残響』2

中嶋勇樹写真集『残響』3

中嶋勇樹写真集『残響』4


sokyusha at 17:12|Permalink 写真集新刊 

甲斐啓二郎写真集『骨の髄―Down to the Bone』 (新宿書房、2020年3月20日発行)

甲斐啓二郎写真集『骨の髄―Down to the Bone』
新宿書房/2020年3月20日発行
25.7×25.0cm/上製/カラー/132ページ
定価 : 5300円+TAX※ 著者署名本
『2012年から2018年に、世界の5つの祭り、イングランド・アッシュボーンのShrovetide Football、秋田県美郷町の竹打ち、ボリビア・マチャで行われるTinku、ジョージア・シュフティのLelo、長野県野沢温泉村の道祖神祭りの「火付け」を撮影した写真集。連続する写真からは、肉体がぶつかり合う音、ほとばしる汗と立ち昇る湯気、言葉にならない音声が聞こえる。スポーツの始原と言ってもいい、格闘する祭り。』(版元の紹介より)
甲斐啓二郎写真集『骨の髄』

甲斐啓二郎写真集『骨の髄』1

甲斐啓二郎写真集『骨の髄』2

甲斐啓二郎写真集『骨の髄』3

甲斐啓二郎写真集『骨の髄』4



sokyusha at 16:39|Permalink 写真集新刊