2005年06月29日

人生ベストテン


人生ベストテン
角田光代

角田さんの本を読むのは初めてでした。「対岸の彼女」の評判もいいみたいだし、テレビで角田さんを見たときにとても好感を持ったので、すごく楽しみでした。「人生ベストテン」というタイトルにも惹かれたし。
でも、どの短編も「だからなんなんだ・・」という印象しか抱くことができなかった。日常の中のちょっとした出会いというより、異物との接触で、自分の中の見ることを避けてきた部分を見ることになったり、自分の気持ちに気づいたりということはわかる。主人公たちのゆるくてかっこ悪いところは、わかるどころか、自分にもこういうとこあるよね・・と、自己嫌悪すら感じた。部屋を案内してくれる不動産屋の営業マンとの新生活をふと思い浮かべたり、マンションを買えば元妻に勝てると思ったりする思考回路、自己紹介のバージョンをいくつか用意してしまうところとか、すごくリアルだなと思う。ラストだってそれなりに、ちょっとした希望や前向きな気分がある。
なのに読んだ後どれもすっきりしないのは何故なんだろう。主人公たちのゆるさのせいだろうか。心情が丁寧に書いてあって、よくわかるんだけれど、自分が旅する間に恋人に今後の選択をさせるところとか、不倫相手の家庭のことはシャットアウトしてしまうようなところ、人生のベストテンの上位に13歳の出来事が来ちゃうところとか、ささいだけれどそんなところが、なじまないのかもしれない。ちなみに自分で人生のベストテンをつけるとしたら(これ読んで自分の人生ベストテンを考える人多そう)、ほとんど高校卒業後の出来事になるのだけど、いくらゆるく流れるように暮らしていても、大人になって自分で自分のことを決められるようになってからベストテン入りするような出来事が起こらないってあるんだろうか・・・。
それでもこの中で好きなのは「人生ベストテン」と「貸し出しデート」です。
soleil1 at 22:12│Comments(9)TrackBack(8) 角田光代 

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この記事へのコメント

1. Posted by なな   2005年06月30日 07:26
juneさん。おはようございます。
確かに読んだ後スッキリ爽快!なお話ではなかったですね。
だけど、忘れっぽい私が読んで暫くしても殆どの話を覚えているんです。不思議だ。
私も中で好きだったのは「人生ベストテン」と「貸し出しデート」です。
2. Posted by ゆら   2005年06月30日 10:25
juneさん、こんにちは。

「だからなんなんだ…。」の印象、わかるなーと思いました。
私はこの本を読んだことはないのですけど、でも角田さんのお話を読んだ後って、いつもそんな感じが残ってもやもやしてしまいます。

角田さんの「空中庭園」はすごーく面白かったのですけどねぇ。
でも「だからなんなんだ…。」的な印象もやっぱりあったような気がします。

3. Posted by june   2005年06月30日 13:16
>ななさん こんんちわ
印象の薄い短編って、私もよく内容を忘れちゃいます。
自分の記憶力の問題ではなく、それくらいのものだったと勝手に思っていますが(笑)。
これは暫くしても、覚えているのだろうか。
って、それを思い出すことすら忘れていたらどうしようー。

>ゆらさん こんにちわ
そうなのです!もやもや!それが言いたかったー。
もやもやした読後感なのです。これが角田さんの持ち味なのでしょうか。
テレビで角田さんを拝見した時は、すごく好感を持って、読むのが楽しみだったので、ちょっとがっかりしてしまったのです。
「空中庭園」今度読んでみます。
4. Posted by かの   2005年07月02日 00:19
juneさん、こんばんは。
(ご挨拶が遅くなってスミマセン)

テレビでの角田さんに好感を持たれたのなら、
エッセイはいかがでしょう?
「いつも旅の中」や「しあわせのねだん」は
角田さんの庶民的(?)な日常を垣間見ることが
できると思います。
5. Posted by june   2005年07月02日 21:51
かのさん、こんばんわ。
TBだけでもOKなので、気にしないでくださいー。

なるほどエッセイというのがありましたね。
そういえば私、江國さんの小説はちょっと苦手なのですが、
絵本やエッセイは好きなのです。
そういう相性もあるかもしれないな・・と思いました。
彼女の一人旅のようすとか、おもしろそうだなと思います。
「人生ベストテン」の中の「観光旅行」の一人旅の女性を
勝手に角田さんに重ねてしまってますが・・。
6. Posted by chiekoa   2005年07月05日 11:11
お気に入りの二つがいっしょでうれしいです♪
私はいまだに角田さんが直木賞を獲れた理由がわからない…。これ読んでもあれ?って思っちゃいます。
「対岸の彼女」を読まねばだめでしょうかね??
(肝心の受賞作を読んでいないわたくし。)
7. Posted by june   2005年07月05日 19:34
Chiekoaさん、こんばんわ!
私もChiekoaさんのレビューを読んで、「一緒だー!」とうれしくなりました。

読んですっきりしなかったのは、内容だけじゃなくて、
期待が大きすぎたというのもあるかも・・。
私も「対岸の彼女」まだ読んでないので、すっきりするためにも、読まねば!と思ってます。
でも図書館の予約がすごくて、すっかり腰が引けてしまい、予約すらしてません。
いつになったら読めるやら(買う気はないらしい 笑)。
8. Posted by Spica   2006年10月16日 15:57
こんにちは!
図書館の棚にあったので借りてきて読んだところです。
さらりと読みましたが確かにどれもすっきりしないところで ぶつっと切れるというか・・・それで?みたいな感じですね。で、先を考えようと思うんですが何かリアル過ぎて考えたくない(苦笑)。
角田さんは「空中庭園」につづきまだ2冊目なので他の作品も読んでみようと思いました。
9. Posted by june   2006年10月16日 22:25
>Spicaさん
こんばんわ!
リアルすぎて先を考えたくないってわかります!ぷつっと切れるラストもリアルといえばリアルです。何だかこの本は私にとってすごくグレーな印象があります。
「空中庭園」は未読なのです。映画化もされてて気になってるんですが、角田さんの作品って後味悪いのも結構あるので、躊躇してました^^;

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