2006年09月09日

「幸福ロケット」山本幸久

幸福ロケット


「笑う招き猫」の主人公の女漫才師コンビ「アカコとヒトミ」がちょこっと出てきますよ、というのを教えていただいて、その勢いで読み始めたんですが、途中からそんなことはすっかり忘れて夢中になってました。すごくよかったです!自分の小学生時代ってよく覚えてないんですが、何だか懐かしいような、気恥ずかしいような、あたたかい気持ちがこみ上げてきました。そしてラストもすごくいいんです!思わずじわっと涙があふれてしまいました。

クラスで八番目にカワイイ「あたし」(山田香な子、小五♀)と深夜ラジオ好きでマユゲの太いコーモリ(小森裕樹、小五♂)のおかしくて切ない初恋未満の物語。
ふたり、同じ未来を見てた。京成電車にガタゴト揺られながら 〜帯より

自由なようでいて、自分で選べることは少なくて、知りたいことは「子どもだから」って教えてもらえなくって子どもなりに不安になったり・・。そういえば子どもの頃はそうだったなぁ・・と、香な子の小学生生活を読みながらあらためて思い出しました。そして一年がものすごく長くて、大人になったら・・というのは、永遠にこない遠い未来のことに思えていたこととか、初めて感じる切ない気持ちが恋だってわからなくて不安になったりしたことも。なんかもう読みながら心は小学生になってました。

で、はたと気づいたんですが、この子たち10歳じゃないですか!学年はひとつ上ですが、うちの子達と一緒です。それがちょっとショックでした。いえ、子どもの気持ちがどうとか、大人として私は・・っていうんじゃなくて、彼らと彼らのいる世界に嫉妬してしまったとういうか・・。これから初恋とかするんですよね。初恋だけはもうできないですから、いいなぁ・・と思ってしまいます。ずっとということを信じることができるのもうらやましいです。でも香な子やコーモリみたいに、こどもなりに色んな思いを抱えてがんばってもいるんですよね。コーモリまで過酷な状況じゃなくても、香な子が家に帰る夜道の途中にある壊れた乗り物を怖いと思う気持ちとか、家族とかお父さんに対する気持ちもなんかは、子どもなりにあるんだろうなぁ。子どもたちにいつもより暖かい視線を注ぎたくなりました(本を読んで気づくのもどうかという感じですが・・)。
目の前に小4の男女がいるので、香な子とコーモリの外見とか雰囲気はなんとなく想像できるのですが、うちの息子もマユゲが太くて早食いなんで、コーモリとちょっとかぶってしまいました。ま、彼はコーモリよりも子どもだし、コーモリよりももてないでしょうが、それで風呂敷を背負ってるところとか、駅で香な子を探してるところとか想像して、ぐっときてしまいました。

ところでアカコとヒトミが、出てくるシーンは、そこにきて「あ、そうだった、これが読みたかったんだっけ」と思いだすような状態でしたが、彼女たち活躍しているようでうれしかたったです。
soleil1 at 00:59│Comments(17)TrackBack(7) 山本幸久 

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この記事へのコメント

1. Posted by すの   2006年09月09日 06:54
決して評価できないわけではないのですが、山本幸久はついつい辛口の評価になってしまいます。
うまさと余裕を感じるからでしょうか?
新人なんだからもっと冒険して欲しい、と。
この作品もとてもいい作品だと思うのですが・・。juneさんのお子さんが読んだら、どんな感想を持たれるのでしょうね?あ、俺、コーモリじゃん、とか?(笑)
個人的にはデビュー作を、いまだ越えない山本幸久、まだまだ期待の作家です。
初恋?まだまだ、何度でもできますよ(笑)
2. Posted by まみみ   2006年09月09日 07:02
5 個人的に大変大変好きな作品でした。山本作品の中では「笑う招き猫」とこれがわたしの一押しです。
わたしは思い切り香な子に感情移入してましたが、母視点で読む人も結構いるみたいです(うちの母しかり、ななさんしかり)。
…母視点で読むようになる…のかな?わたしもいつか。

そしてjuneさんのお子さんとコーモリ、似てるんですね!?
ああ…会うと惚れるかも(←危険)。
3. Posted by す〜さん   2006年09月09日 08:44
アカコとヒトミがかすんじゃうほど(?)面白い作品だったと思います。
自分が小学5年生の頃なんて、ここまで進んでなかったような気がしますが・・・
まぁ、田舎だったからなぁ〜。
でも何となく甘酸っぱい記憶を思い出させてくれる作品でした。
でも、アカ・ヒトも元気そうで何よりでしたよね。
4. Posted by june   2006年09月09日 21:34
>すのさん
たしかに「笑う招き猫」はすごく好きです!でも、これも同じくらい好きなんです。小学生男子が出てくるからかなぁ・・。(小学生男子に弱い)

これはうちの子供は、まだ読めないんじゃないかと思います。意味もそうだけど、読んでもよさがわからないんじゃないかなぁと。たぶん振り返る立場の方がじーんとくるような気がします。
初恋はもうできないですよ・・。サザエさんに初恋は似合いませんから。だからこんなにまぶしくみえるんでしょうか
5. Posted by june   2006年09月09日 21:42
>まみみさん
女の子が出てきても、娘とかぶったりはしないんですが、男の子が出てくるとついつい母親視点になってしまって・・。
まみみさんの母親視点、興味あります(笑)。

息子がコーモリに似てるのは眉毛と早食いだけで、内面はほぼ日下くんです。うまい棒が価値観になってるとこも、(全てうまい棒何本分で換算してます)う○こネタが大好きなところも・・。まみみさんはきっとほれるどころか、ひくと思います。
6. Posted by june   2006年09月09日 21:48
>す〜さんさん
そうなんです。アカヒト目当てだっていうの、途中で完全に忘れてましたから。

それにしても、塾通いとか寝る時間が遅いこととか、都会の小学生ってみんなこんななのでしょうか。
うちの子供たちを見ていても、とても電車に乗って塾にいくとか、1人でお母さんの病院に通うとか、無理そうです。
7. Posted by エビノート   2006年09月10日 19:22
同年代の時に読むよりも、振り返って読むほうがジーンとくるというjuneさんの意見に同感です。
自分の子ども時代のことを思い出したりして懐かしくなり、登場人物を応援したくなっちゃうんですよね。
8. Posted by june   2006年09月10日 22:11
>エビノートさん
私も登場人物を応援したくなりました。だってみんな一生懸命自分の小さな世界の中でがんばっているんですもん。何だか愛しくて愛しくて・・。
そして教室の空気とか、男子と女子の距離とか、すごく懐かしかったです!
9. Posted by なな   2006年09月12日 22:21
やっぱり男の子が出てくると母親目線ですよね。親と子の別れなんてもう涙がビュービュー出ちゃいます。

サザエさんには恋は似合わないでしょうかね…初恋は出来ないけど、恋できたらいいのになぁって常に思っているんですけどね。
10. Posted by june   2006年09月13日 12:32
>ななさん
男の子がでてくると、なぜかスイッチが瞬時に母親モードに切り替わってしまいます。なんででしょう??

初恋だったらしてみたいんですが、恋は・・・めんどくさいってついつい思ってしまいます。私、砂漠化してますかねぇ・・。
11. Posted by やぎっちょ   2006年10月28日 18:26
juneさん
よみました〜♪
いいなぁ、小学生の頃にこんな素晴らしい恋したかったなぁって思いました。
そう、それは嫉妬。juneさんは目の前にお子さんがいらっしゃるから余計に感じたかも知れませんねぇ。
全然関係ないですが、ふわふわ卵のオムライスが食べたくなりました!!
12. Posted by june   2006年10月28日 23:39
>やぎっちょさん
こういう恋いいですよねー。嫉妬したりするのは心の狭い私くらいだと思ってたので、安心しました(笑)。
でもほんと、子どもたちはこれからなんだなぁと思うとうらやましくなります。心配だし嫉妬もしてますが、それでもどうせならこんな素敵な恋をしてほしいものです。
あ、私実は柔らかい卵がダメなのです・・。あのトロリはおいしそうにみえるんですが、食べることができなくて、いつも卵はカチカチにしてもらうのです(涙)。
13. Posted by しんちゃん   2007年09月20日 17:38
山本さん三冊目にして、やっとマイベストに出会えました。
これは面白かったです。

「アカコとヒトミ」はリンクしてるんだ。
忘れないようにしなければ。
14. Posted by june   2007年09月21日 23:11
>しんちゃん
私もこの本、大好きです!
でも「笑う招き猫」も好きなんですよねぇ・・。
どちらがマイベストかと聞かれるとすごく難しいです。

15. Posted by かなかな   2008年07月28日 15:27
すごく、よかったです。
「美晴さんランナウェイ」を読んだ後、すごい作家見つけた!と嬉しくなったのを思い出しました。家族、友達、学校、その中で香な子の微妙な心の動きがとてもよく描かれてたと思います。うちも長男が同じ5年生。こんな大人ではないけど、やはりどこかで意識しながら読んでますね。
最後の別れのシーン、うるうるでした。町野さんも意外といい奴。「おれはいつか山田の前にあらわれる」なんてキュンとしちゃいました。
こんな温かい物語、もっともっと読みたいです。
子供達にも読んで欲しいなあ。
16. Posted by june   2008年07月31日 22:12
>かなかなさん
こんばんわ!私もこの作品すごく好きなんです。こういう心に温かいものが満ちてくるような作品、いいですよね。

小説に自分の子供と同じくらいの年齢の子が出てくると、私もどこかで意識しながら読んでしまいます。比べてみたり、考えさせられたり・・。私も子供たちに読んで欲しいなって思いました。

17. Posted by ゆうた   2013年03月17日 21:55
今度は幸福トラベラー!!

「笑う招き猫」は面白かったですね!
山本さんの作品って気軽に読めて、読んだら心地よくてはまっちゃう、
スゴイ作家さんですね〜。
イイ作品でした!
山本さんってどんな才能の持ち主なの!?
って思ってしまいます。
ネットで探してみたら、細かく解説している
サイトを見つけました!
http://www.birthday-energy.co.jp

新作「幸福トラベラー」も出たみたいです。
今後はもっと活躍が期待できそうですね!!

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本を読むことが大好きです。家事や仕事の合間にちょこちょこと読んでいます。
このごろは中学生になった子供たちと同じ本を読んで、感想をあーでもないこーでもないと話すことができるようになりました。

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