2007年02月15日

「晩夏に捧ぐ<成風堂書店事件メモ・出張編>」大崎梢

晩夏に捧ぐ&lt;成風堂書店事件メモ・出張編&gt;


このシリーズの第1作になる、書店を舞台にしたミステリー「配達あかずきん」は、本がらみのミステリーというのもおもしろかったし、書店の仕事の見えない部分をみることができたりするのも楽しいものでした。そして何より書店が大好きで、書店員の誇りをもっている杏子さんと優秀だけれど実は不器用なアルバイトの多絵ちゃんのコンビがよかったのです。こちらは第2弾出張編ということで、また彼女たちに会うことができると、かなり期待しながら手にとりました。今度は長篇です。二人のコンビもテンポがよくなってきたし、味のある地方書店もよかったし、晩夏の長野に似合うミステリーとしてもおもしろかったです。でも過去のこととはいえ、殺人事件の真相にせまるというのは、ちょっとひっかかってしまいました。いくら本がらみとはいえ、そこまで多絵ちゃんやってしまうの??と、どうしても思ってしまったのです。二人が日常の仕事の中で頭をひねっている姿の方が好きだし似合っていると思うんだけどな。

以前成風堂にいて、今は故里に帰り、地元の老舗書店に勤める元同僚の美保から、杏子のもとに一通の手紙が届いた。勤務先の宇都木書店、通称「まるう堂」に幽霊が出るようになり、店が存亡の危機に立たされている、ついては名探偵のアルバイト店員を連れて助けに来い、というのだ。杏子は気が進まぬながら、多絵を伴って信州の高原へと赴く。そこで待ちかまえていたのは、四半世紀ほど前に弟子の手で殺されたという老大作家の死に纏わる謎であった…!「本の雑誌」二〇〇六年上半期ベストテンの堂々第二位に輝いた「配達あかずきん」で今もっとも注目を集める著者、初の長編推理小説。(「BOOK」データベースより)

今回良かったのは「まるう堂」です!こんな本屋さんがあったら行ってみたい!いりびたってしまいたい!です。いえ、もう働いけるものならば働かせてもらいたいです。でも、地方書店や小さな書店って大変なんですね。今回もそんな裏事情を改めて知りました。近くの書店は本が少ないとか色々不満に思っていましたが、これからはもっとあたたかい目で見るようにします。
ミステリーについては全然触れてませんでしたが、オーソドックスな探偵ものの謎解きなので、ネタバレにならないよう触れないでおきます。
それにしても多絵ちゃんは、ここまで謎解きできるのなら、本がらみと言わず、何でも推理できてしまうでしょうと、ついつい思ってしまいました。でも本がらみだと燃えるというのはやっぱり杏子さんとの出会いで彼女の何かが変わったからでしょうか。杏子さんが最後に本屋について、本について語ることは、本好きとしてはものすごく共感できました。なんだかんだ言っても第3弾、期待してます。
soleil1 at 16:11│Comments(12)TrackBack(10) 大崎梢 

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この記事へのコメント

1. Posted by 苗坊   2007年02月15日 17:29
こんばんわ^^TBさせていただきました。
杏子と多絵のコンビは、相変わらずいいですね。
多絵ちゃんはとっても頭がいいし、一生懸命だしかわいいし^^
でも、もったいないですよね〜。
器用でさえあったなら、立派な名医になったでしょうに^^
「まるう堂」良いですよね!
私も是非是非行ってみたいです。
実は信州にモデルの本屋があった!っていう事実が発覚したら、絶対に行ってみるんですけどね〜^^;
2. Posted by 板栗香   2007年02月16日 19:01
こんばんは〜♪
私も多絵ちゃんがここまで謎解きするとは思ってなくて・・・ちょっと出来すぎなんじゃないかなぁと思っちゃいました。
まるう堂はとても素敵ですよね。行ってみたいな〜♪
そうそう、4月に3作目が出るらしいですよ!楽しみですね〜(*^▽^*)
3. Posted by june   2007年02月16日 22:47
>苗坊さん
こんばんわー。今回は多絵ちゃんのすごさが炸裂してました。あの不器用さはすごいです!(ってそこじゃないですね)
「まるう堂」はモデルがあるんでしょうかね。作者の理想の書店かもしれないけれど、実際にあるのならば私も絶対行っちゃいます!苗坊さんが北海道からいらっしゃるのに合わせますよ!?
4. Posted by june   2007年02月16日 22:49
>板栗香さん
こんばんわ♪
多絵ちゃんの謎解きすごかったですよね。でも、こんな謎をといてしまったら警察の立場は?って気がしてしまいます。そのあたりが私もちょっとできすぎだなぁって思ってしまいました。
でもやっぱり3作目は楽しみです。4月なのですね!待ち遠しいです〜。
5. Posted by まみみ   2007年02月17日 21:40
4 一作目のできがよかったからこそ、つい点が辛くなってしまいますよね。このシリーズを読むにつけ、本屋に対する憧れが高まるばかりです。ああ…働いてみたいなあ……。
4月に第三弾が出るんですか!よいことを聞きました。楽しみです^^
6. Posted by 小葉   2007年02月17日 22:47
地方の中小書店は大変なんですね。
この本を読んでから、ちょっとネット書店での買い物を控え、地元の本屋さんで買うように心がけています。
でも有名作家さん以外となると、本がないし、店頭に並ぶのも遅れがちで、ついつい amazonで…。
7. Posted by 藍色   2007年02月18日 14:42
こんにちは。
冒頭部分のアリバイ証明でちょっと期待したのですが…。
やっぱり書店内で起こる事件の方が、向いているのかもしれませんね。
こんな魅力的な本屋さん、あったらステキですよね。
でも働くなら、やっぱり成風堂の方がいいでしょうか?(「配達あかずきん」のコメントで、妄想が暴走してご一緒に本屋さんで働く気になってしまいました、ごめんなさい)。
3作目に期待しています。

「クジラの彼」待機中です。近日またうかがえると思います。
恩田陸さんの「中庭の出来事」
瀬尾まいこさんの「見えない誰かと」
加納朋子さんの「モノレールねこ」
伊坂幸太郎さんの「フィッシュストーリー」アップしました。
読まれたらお気軽にどうぞ。
8. Posted by june   2007年02月18日 16:29
>まみみさん
第3弾は短編集のようですよ。また初心に立ち戻って書店で起きる日常の謎を解いて欲しいものです。と、何をえらそうなこと言ってるんでしょう^^;
図書館熱もまだ冷めてないんですけど、書店熱は上がるばかりです。この頃は書店のアルバイト募集のチラシをついついくいいるように見てしまいます。
9. Posted by june   2007年02月18日 16:36
>小葉さん
私もついついアマゾンでポチっと買ってしまいます。こちらも書店では欲しい本がなかなか見つからないんですもん。まぁ、高い単行本は図書館で借りてしまうからこういうことになっているのかもしれませんが・・。
私も、せめて好きな作家さんの作品は地元の本屋さんで買おう!と思ってこの間伊坂さんの「フィッシュストーリー」を買ってみました。ささやかな本屋さんへの応援です♪
10. Posted by june   2007年02月18日 16:41
>藍色さん
「成風堂」は活気があっていいし、「まるう堂」は入り浸りたいし・・。でも「まるう堂」の郊外店で本と音楽のコラボとか、絵本の読み聞かせを企画するなんていうのも楽しそうだなぁって思うんです。と、藍色さん以上に暴走してます(笑)。本の好きな仲間と本に関わる仕事をするって、素敵ですよね。地道な力仕事だって厭いませんよ!

あああ、藍色さんが挙げているの、未読の読みたい本ばかりです!「フィッシュストーリー」だけは買ってきたんですけど、あとは予約枠の関係でこれから並ばなければなりません(涙)。読んだら伺います。
11. Posted by 水無月・R   2010年02月08日 22:50
juneさん、こんばんは(^^)。
過去の殺人事件、現在の幽霊騒動。どこでどうつながっていくかという興味はありつつも、ちょっとノレない感じでした・・・(^_^;)。
まるう堂本店&支店、ぜひ行ってみたいと思いました!
12. Posted by june   2010年02月10日 21:31
>水無月・Rさん
こんばんわ!
私もこれは、乗り切れず・・・。本がらみの小さな日常の謎のほうがしっくりきました。
成風堂もいいですけど、まるう堂もいいですよね。近くにこんな本屋さんがあったらいいなぁ。

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このごろは中学生になった子供たちと同じ本を読んで、感想をあーでもないこーでもないと話すことができるようになりました。

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