「星のしるし」柴崎友香

星のしるし
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ゆるゆると進む何気ない日常の光景、心地よいスピードの大阪弁、柴崎さんの世界でした。ほとんど接点のなかった祖父の死という出来事から始まるものの、実家に住む家族や、会社の人、中学時代からの友達の皆子、カフェの雇われ店長をしている彼の朝陽、朝陽の家に居候するカツオや出入りする朝陽の友人や知り合いとの、特に大きなできごとが起こるわけでもない果絵の日常がつらつらとつづられています。ただそれだけなんだけれど、こちらもつらつらとわかるなーと思ったり、やっぱり年代が違うなーと思ったりしながら、退屈することはありませんでした。

30歳を目前にした会社員・果絵と、その恋人、友人、同僚、居候らが大阪の街を舞台に織りなすゆったりとしたドラマ。
祖父の死、占い、ヒーリング、UFO、宇宙人……。日常の中にごくあたりまえにあるいくつもの見えない「しるし」が、最後に果絵にひとつの啓示をもたらす。
繊細で緻密な描写力によって、世界全体を小説に包みこむ方法を模索してきた、純文学の世界で最も注目される作家の集大成的な傑作です。
文藝春秋書誌ファイルより

果絵は信じるとか傾倒するわけではないのですが、占いやヒーリングに行ったりします。占いって、答えが欲しくて背中を押して欲しくて通うんだと思ってたんですけど、果絵はそれとままた違うんです。抱えているのは、漠然とした不安で、悩みがないのが悩み。それで漠然と占いに足を運んでみるのです。柴崎さんの小説に出てくるこういう女の人のことを草食系の女子っていうんでしょうか、とりあえず居心地がいい自分の世界があるからでしょうか、がつがつしてないです。そういう彼女たちだから悩みや不安もこういう感じなのかなって思いました。

どうしても目先のひとつひとつにじたばたしてしまうし、占いに背中を押してもらったり、ヒーリングで癒されるなんてまっぴらって思ってしまうんで、私は対極にあるような気もするんですが、結局は対処の仕方が違うだけなのかもと思ったり、いや感じ方からして違うのかもと思ったり・・。年代の違いなのか、過ごしている時代の違いなのか、性格の違いなのか。でも世代の違いというのはあるような気がします。

会社での出来事、昔からの友人と過ごす時間、家族の間でかわされる普段の会話や、彼と彼のまわりの人たちとのかかわり、果絵を取り巻く世界がすごくリアルで、本当に一人の女の人の世界を見てるようでした。と書いて気づいたんですけど、読んでいるというよりも見ているという感じでした。果絵の実家とか朝陽の家の中とか思い浮かんでしまいます。

ところでカツオっていったい何者だったんでしょう。サザエさんを連想する名前からして、本名か？とは思ってたんですけど、こういう人っていそうな気がします。

Comments

1. Posted by しんちゃん   2009年03月29日 19:54

こんばんは。
カツオは宇宙人でしょ。ＵＦＯに乗って故郷に帰ったと思いたいです（笑）

他の作品のことだけど、ＴＢ飛ばしっぱでごめんね。読んだ記憶があやふやなもんで＾＾；

2. Posted by 苗坊   2009年04月01日 22:59

こんばんわ。ＴＢさせていただきました。
カツオは何者だったんですかねぇ。
置き手紙については嘘のような気がしますが。
果絵の気持ち、結構すんなり入りました。
占いとか、私も特に信じていないけど、いいことを言われたら前向きになりますし＾＾；

3. Posted by june   2009年04月02日 13:07

＞しんちゃん
そうか！カツオは宇宙人か！（なぜか納得）そう思っといた方がいいのかもしれないですねぇ。

TBの件は、めったにPCを開かない私には何もいえません（笑）。というか、TBをしておいてくださると、手があいたときに読みに行けるのでありがたいです。

4. Posted by june   2009年04月02日 13:10

＞苗坊さん
こんにちわ。カツオの正体は↑のしんちゃんの宇宙人説を信じようかと思います（笑）。手紙は絶対嘘ですよねー。

占いは私も特に信じてないんですけど、都合のいいとこだけ信じて明るい気持ちになったりしてます♪でも、果絵は年代の違いを感じます。年代の近い苗坊さんの方がすんなり入れるのかもしれないですね。