2009年09月25日

「ぼくのメジャースプーン」辻村深月

ぼくのメジャースプーン (講談社ノベルス)
ぼくのメジャースプーン (講談社ノベルス)
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これ、読む順番を間違えたのです。読みながらこれはあの人だってわかっちゃったし、あれはこういうことだったんだと今さらわかったり・・・。正しい順番で読みたかったなぁ。
最後に明かされる、ぼくの傷ついた心、小さな引っかかりを感じた部分の真相に対する驚き。そうでした。この人はミステリーの人でもありました。
小さな子どもが背負うには重すぎるし、ここまで突き詰めて考えることのできる子供はそうはいません。大人だってごまかしていることです。だから読んでいて切なかったし苦しかったです。

3ヵ月前の事件に終止符を。
大切なあの子を救うため戦う「ぼく」の7日間。
不思議な力を持つ小学4年生「ぼく」の、罪と罰のカタチ

「ぼく」は小学4年生。不思議な力を持っている。
忌まわしいあの事件が起きたのは、今から3ヵ月前。「ぼく」の小学校で飼っていたうさぎが、何者かによって殺された……。大好きだったうさぎたちの無残な死体を目撃してしまった「ぼく」の幼なじみ・ふみちゃんは、ショックのあまりに全ての感情を封じ込めたまま、今もなお登校拒否を続けている。笑わないあの子を助け出したい「ぼく」は、自分と同じ力を持つ「先生」のもとへと通い、うさぎ殺しの犯人に与える罰の重さを計り始める。「ぼく」が最後に選んだ答え、そして正義の行方とは!?


秋先生とぼくのやりとりを追いながら、ぼくは大切なものを傷つけた相手を、不思議な力を使って罰するのか、罰するとしたらいったいどんな罰を与えるのか、彼の出す結論を息をひそめて見守るような緊張感がありました。10歳の少年には難しすぎます。そして私だったら・・というのもつい考えてしまいました。でも、あまりに難しくて大人でも答えがでるものではありませんでした。これがいいんじゃないかと思っても、秋先生の提示する考え方や例示に接すると、うーん・・と思ってしまって・・・。

「誰かが死んで、それで悲しくなって泣いてても、それは結局、その人がいなくなっちゃった自分のことがかわいそうで泣いてるんだって。人間は、自分のためにしか涙が出ない」という小学生のふみちゃん。一人だけ先に大人になってしまったような彼女。
こういうませた子っているんだよねとも思いながらも、群れずにいられる彼女は素直にすごいと思ったし、憧れも感じました。でもこんなことまで考えているなんて、不憫でしかたありませんでした。
だから秋先生の「馬鹿ですね。責任を感じるから、自分のためにその人間が必要だから、その人が悲しいことが嫌だから。そうやって「自分のため」の気持で結びつき、相手に執着する。その気持ちを、人はそれでも愛と呼ぶんです」という言葉には救われました。そう思えば自分も人も愛しいものに思えます。ふみちゃんにもその言葉をしっかりかけてあげたい、そう思いました。

「自分のエゴで、自分の都合で、時に結びつき、時に離れ、互いを必要とする気持ちに名前を与えてごまかしながら、僕たち人間は発展してきた。ずっとそれが繰り返されてきた。今、小さなあなたがひとりきりで責任を感じて泣くことは何もないんですよ。ふみちゃんが悲しいことが、苦しいことが、本当に嫌だったんでしょう?それを愛と呼んで何がいけないんですか」という言葉も、すごいと思います。辻村さんはいつもこんなふうにつきつめて考えてるんでしょうか。
ふみちゃんには力が通じてなかったようだけれど、なんでだろう。
「名前探しの放課後」をもう一度読み返したくなりました。
soleil1 at 20:20│Comments(0)TrackBack(2) 辻村深月 

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1. 人の罪を人が測る:ぼくのメジャースプーン  [ 本読みの記録 ]   2009年09月27日 23:20
ぼくのメジャースプーン (講談社文庫)作者: 辻村 深月出版社/メーカー: 講談社発売日: 2009/04/15メディア: 文庫 辻村深月の作品を読むのは初めてだったが、本書は読み応え十分。 これだけの作品を作る作者なら、他の本も読んでみたいと強く思わせる力を持った一冊。
2. 「ぼくのメジャースプーン」辻村深月  [ しんちゃんの買い物帳 ]   2009年10月05日 23:24
ぼくのメジャースプーン辻村 深月 (2006/04/07)講談社 この商品の詳細を見る ぼくは同級生のふみちゃんに憧れている。頭が良くてスポーツ万能。ギ..

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