2010年07月08日

「まほろ駅前番外地」三浦しをん

まほろ駅前番外地
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おもしろいと思ったはずの前作の「まほろ駅前多田便利軒」の内容をほとんど忘れてしまってました・・。ちょうど「風が強く吹いている」にはまった息子が文庫になったものを買っていたので、読み終えてから文庫をざっと読み返したのですが、星も清海も曽根田のばあちゃんも岡さんもみんな登場していました。なのにルルとハイシー、由良君くらいしか覚えてませんでした。あとはチワワが震えてることとか、多田便利軒の二人に窓ふきをお願いして、彼らの様子を見ていたいと思ったこととか・・。二人が背負っていたものって何だろうって思いながら今回も読んだのですが、前作にある程度書いてあって、自分の記憶力が恐ろしくなりました。
こちらもおもしろかったです。でもどれだけ覚えていられるか、どこが私の記憶に残るのか・・そんなことの方が気になってしまいました。

内容(「BOOK」データベースより)
第135回直木賞受賞作『まほろ駅前多田便利軒』での愉快な奴らが帰ってきた。多田・行天の物語とともに、星、曽根田のばあちゃん、由良、岡老人の細君が主人公となるスピンアウトストーリーを収録。


多田と行天のコンビにまた会えたのはうれしかったです。なんだかんだ言いながらも、この二人はお互いの存在に救われ合ってるのかなという気がします。

スピンアウトストーリーの方も色々忘れていたとはいえ、楽しめました。曽根田のばあちゃんのロマンス「思い出の銀幕」も、許嫁と恋人を多田と行天に置き換えるというお茶目な演出が楽しかったです。女の人の入り込めない世界、ほれぼれするようないい男二人の立ち姿を描いてしまうのはさすがしをんさんです。

地味だけれど「岡夫人は観察する」もよかったです。岡夫人が夫との関係を「男女や夫婦や家族といった言葉を越えて、ただなんとなく、大事だと感じる気持ち。とても低温だがしぶとく持続する、静かな祈りにも似た境地」「諦めと惰性と使命感とほんの少しのあたたかさ」と表現してるんですが、既になんかわかるなぁ・・と思ってしまいました。そして多田や行天を観察するというか見守るような視線、自分にも近いものがあるような気がしました。

行天と多田はこれからも過去を背負いながら、時間をかけて向き合ったり乗り越えたりしていくんだと思います。それをまたちらっと覗かせてもらえたらなぁと思います。

以下は備忘録
「光る石」
「私もうこれ以上、あの女がエンゲージリングをしているところを見たくないんです!」多田便利軒に、そう言って宮本由香里がやってきた。同僚の武内小夜にエンゲージリングの下見に一緒に行ってもらったところ、同じく婚約中の小夜が同じデザインでダイヤの大きな指輪を後から購入したというのだ。そして二日後に彼女の部屋で友人を招いたお披露目があるというのだ。その時彼女に指輪をさせたくないので、お披露目に備えて彼女の部屋の清掃を頼まれた多田便利軒に、掃除をしながらその指輪を隠してほしいといのだ。

「星良一の優雅な日常」
星は、刑事に他の組の情報を流したり、甘い母親に会ったり、バイオレンスなことをしたり、健康的でストイックで優雅な生活を送る若いヤクザ。親との関係がうまくいっていない女子高生の清海が夏休みの間、星の部屋に入り浸っている。
ある日多田便利軒から清海宛ての電話が入った。清海が猫を飼いたいらしい。

「思い出の銀幕」
曽根田のばあちゃんの見舞いに来た多田と行天。ある日ばあちゃんは若き日のロマンスを語り始めた。曽根田のばあちゃんこと菊子は映画館の看板娘。終戦後も戻らない許嫁の啓介の帰りを待っていたが、行天という男性と出会ってしまった。

「岡夫人は観察する」
岡夫人には心配事が3つある。嫁いできたときに植えた椿に元気がないこと。夫の頑迷さが度合いを増していること、そして何度か仕事を頼んでいる多田便利軒の2人が最近喧嘩をしているらしいこと。庭仕事と横中バスの運行状況のチェックという仕事を頼みながら二人を見ていて、岡夫人は行天にかつて会ったことがあるのを思い出した。

「由良公は運が悪い」
由良は両親が急の仕事で出かけてしまったために遊びに行く約束が流れてしまい、土曜日を1人ですごす事になってしまった。仕方なく一人で出かけると、以前親が由良を塾から家まで送り届けることを依頼した多田便利軒の行天に付きまとわれることになってしまった。行天にひっぱりまわされるが、どうやら行天は多田と同窓会へ行きたくなく、逃げているようだった。

「逃げる男」
柏木亜沙子という女性から遺品を整理してほしいと言う依頼が入った。彼女はキッチンまほろの社長で、亡くなった夫とはかなり年が離れていた。そして夫はこのところ一人暮らしをしていたらしい。亡くなった夫の部屋は少し変わった部屋だった。

「なごりの月」
多田便利軒に、これから出張に行かなければならないが、妻がインフルエンザで寝込んでしまったので子供の食事の支度と世話をしてほしいという依頼が入った。娘はまだ2歳くらいだ。妻は子供には安全なものを食べさせないといけないので、出前や出来合いの総菜ではなくこんなときでも手作りのものを食べさせなくてはいけないという。多田と行天は奮闘したものの子供の機嫌は悪くなり、それにつれて行天の様子がおかしくってきた。

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まほろ駅前番外地クチコミを見る 「光る石」多田便利軒に宮本由香里がやってきた。彼女は結婚が決まっており、指輪を選ぶのを手伝ってくれた会社の同僚武内小夜が、同じデザインでダイヤの大きな指輪を購入したというのだ。そして後日お披露目会があるらしい。それが我慢な....
2. 三浦しをん まほろ駅前番外地  [ マロンカフェ 〜のんびり読書〜 ]   2010年07月12日 23:27
第135回直木賞受賞作『まほろ駅前多田便利軒』での愉快な奴らが帰ってきた。多田・行天の物語とともに、星、曽根田のばあちゃん、由良、岡老人の細君が主人公となるスピンアウトストーリーを収録。(「BOOK」データベースより)   実は、『まほろ駅前多田便利軒』...
3. 『まほろ駅前番外地』/三浦しをん ◎  [ 蒼のほとりで書に溺れ。 ]   2010年07月31日 22:54
『まほろ駅前多田便利軒』で「失ったものは完全には取り戻せないけれど、形を変えてそっと戻って来る」と結ばれていた物語の、続きです。それとも番外編かな? イヤ??、ホント私、三浦しをんさんが大好きだなぁ! 読んでる間中、ニヤニヤうぷぷ、ホント色んな意味でアブナ...

この記事へのコメント

1. Posted by 苗坊   2010年07月10日 00:02
こちらにも失礼いたします。
私も前作ほとんどおぼえていなかったです。
脇役の方々は全員出ていたんですね^^;
曽根田のおばあちゃんと岡夫人は何となく覚えてましたが・・・
今回は何だか気になる感じで終わりましたよね。
次回も期待です。

そういえば、最近知ったのですが映画化されるらしいですね。
最近は売れたマンガや小説がすぐ映像化されるので、何だか妄想が崩れていくので悲しいです^^;
2. Posted by june   2010年07月12日 20:29
>苗坊さん
苗坊さんでも覚えてなかったんですね!ちょっと安心しました。
これ、次もありますよね?あいまいな部分がまだまだありますもんね。

これ、映像化されるんですね。多田と行天のキャストを見ましたが、ちょっと設定が若いような・・。美しい映像にはなりそうですけど、私の妄想とはちょっと違うんですよねー。映像化はうまくいけばいいけれど、そうでないと辛いものがあるんですよね。
3. Posted by 板栗香   2010年07月12日 23:34
june、こんばんは♪ご無沙汰しております〜(汗)
ちょうどアップした記事といいタイミングだったのでTBしてみました♪
私がこの本を読んだのは直木賞受賞頃だったと思うので、かなり前なんですよね。多田と行天のことは割りと覚えていたのですが(あとルルとハイシーも!)、脇役の人達まではほとんど覚えていなくて、この本を読み始めたときは前作の脇役たちが主人公になっているとは全く気付いていなくて、曽根田のおばあちゃんあたりから、あれ?この人知ってるかも…という感じで読んでいました。(苦笑)それでも面白く読めたんですけどね。(^^;ゞ

私はラストがあんまり…と思ってしまって、終わりよければすべてよしとはならなかったんですよねぇ。次作への伏線って感じで匂わせるだけで終わっていて、もうちょっとこの本の中である程度収まりよく終わってくれていないと、消化不良な感覚が強く残ってしまって終盤まで面白かっただけに、なんだかもったいないなぁと思ってしまいました。(^^;

多田と行天のキャストはねぇ…なんというかもうちょっと年がいってて中年の悲哀のようなものがにじみ出そうな感じの人がいいような気がするんですけども、それだとダメなんですかね〜(苦笑)ぶっ飛んでる行天はオダギリジョーなんか良さそうだなぁなんて思っていたのですが。(^^ゞ
4. Posted by 板栗香   2010年07月12日 23:38
ひえぇっ!juneさんのこと呼び捨てしちゃってる!<(゚ロ゚;)>
ごめんなさい〜(汗)
5. Posted by かなかな   2010年07月13日 15:57
ルルとハイシーはいいですよね。こうした人との繋がりがあったかくて。
今回は一つの事件をきっかけに彼らの孤独や心の葛藤が描かれていましたが、行天の親との確執が彼の強烈な性格におづ影響を与えたのか、興味があります。続編期待しちゃいます。
6. Posted by june   2010年07月15日 20:38
>板栗香さん
呼び捨て、気にしないでください。私も何度かうっかりしてしまって、「ひー!」って思ったことあるんで、わかります。大丈夫です(*^_^*)

忘れているのが私だけじゃなかったというのがわかって、ちょっとホッとしました。でもおもしろかったというのは覚えているし、おもしろく読めてしまうんですけど(笑)。

この本は番外編という位置づけだからでしょうかねぇ・・。とりあえずこのラストだったら次作がきっとあるはず!と期待してます。

行天のキャスト、オダジョーいいですね!ぴったりきます。そうすると多田は誰がいいかなぁ・・(妄想中)。
7. Posted by june   2010年07月15日 20:45
>かなかなさん
ルルとハイシーは印象が強かったみたいで、ちゃんと覚えてました♪こんなふうな人とのつながりが彼らの心を少しずつでも開いてあたためていくのかな。

行天には何があったんでしょうね。すごく気になります。この終わり方だったら続編ありますよね??
8. Posted by 水無月・R   2010年07月31日 23:10
juneさん、こんばんは(^^)。
多田便利軒の慌ただしい日々が、楽しかったですね。
岡夫人の妄想や旦那さんの手綱さばきが素敵だわ〜とか、由良公が可愛い〜!と勝手に盛り上がった、楽しい読書時間でした。
多田便利軒及びその関係者たちのその後、是非に読みたいですね!
9. Posted by june   2010年08月01日 17:03
>水無月・Rさん
こんにちわ!
「多田便利軒」いいですよね〜。多田と行天の二人の関係も、そこはかとなくいいし、脇のキャラもよくて楽しかったです。
このラストだったら続編はありますよね?あってほしいです!

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本を読むことが大好きです。家事や仕事の合間にちょこちょこと読んでいます。
このごろは中学生になった子供たちと同じ本を読んで、感想をあーでもないこーでもないと話すことができるようになりました。

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