2004年10月23日

約束


約束
石田衣良

かけがえのないものを失くした人が、人生に帰ってくるback to lifeの7つの短編が入っています。
かけがえのないものをなくす・・「親友を突然失った男の子」「仕事を抱えながら女手ひとつで育てた息子を襲ったおもいがけない病」など、帯を読んだだけで内容を想像して涙ぐみそうになりました。実際帯には「絶対泣ける短編集」とも書かれていました。それだけにこれが、いわゆる「泣き」をうりものにした話だったらがっかりだな・・と思いつつ読みました。
確かに泣けますが、それだけでなく最後に主人公たちは、ちゃんと前を向き現実の人生に戻ってゆくという、再生の物語でした。状況が変わるわけではないけれど、前を向くことができるようになるラストに、暖かな気持ちになれたり、前向きな気持ちになれたり、さわやかな気持ちになれたりしました。ただ全体的にうまくまとまりすぎているような気もします。用意されたラストがファンタジーのようでもいいのです。でもそこにいたるまでがきれいに流れすぎているような・・。

石田さんは、少年の心を描かせると本当にうまいと思います。
そしてうちにも小学生の息子がいるので、ついついそういう話は自分や息子に置き換えて考えてしまいがちです。
「約束」「天国のベル」「ハートストーン」など、子どもが絡んでいるものは、弱くてだめです。自分に置き換えて読んでしまうので、涙涙・・でした。
ところで「ひとり桜」の、夫を病気で亡くした女性が、夫の病気が分かり手術してから死ぬまでが一番幸せだったというのを、ふと考えました。逆説的なようですが、わかる気がします。幸せだったというよりも、幸せだということに気づいたのだと思います。かけがえのないものでも、なくすまではその大切さに気づかないことはよくあります。
私のかけがえのないものといったら、いうまでもなく子どもたちです。私が住んでいるところは大きな地震が近いうちに来るといわれているところです。もちろん地震だけでなく、何が起こるかはわかりません。なので子どもを送り出すときも、夜寝るときも、けんんかしたり怒ったままにはしないようにしています。何かあることに備えているわけではなくて、かけがえのないものだということを、忘れないようにしているのです。ばかみたいですが、子どもがちゃんと校や、遊びにいった先から帰ってきただけで、幸せと思うのです(苦笑)。それだけにここに出てくる状況に自分を当てはめると、辛くて辛くて・・。
soleil1 at 09:36│Comments(6)TrackBack(4) 石田衣良 

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1. 約束(石田衣良)  [ のほ本♪ ]   2004年10月27日 19:06
失われたものは、もう二度と戻ってはこない。悲しみや絶望に 打ちのめされたとき、...
2. 約束 / 石田衣良  [ 活字中毒 ]   2005年12月11日 01:05
かけがえのないものを失った人たちが登場します。失われた瞬間から止まっていた時が再び戻るとき、人の心が再び動き出すときの優しい空気がたくさん詰まった本でした。喪失と再生という意味では、吉本ばななさんの書くもののような優しく切ない雰囲気が流れていたような気が...
3. 約束 (石田 衣良)  [ 花ごよみ ]   2006年02月02日 19:59
 [約束]  [青いエグジット]  [天国のベル]  [冬のライダー]  [夕日へ続く道]  [ひとり桜]  [ハートストーン]    七つの短編集。   帯には“絶対泣ける”と保証済み。   自信満々です。!!   突然の事故や不治の病には弱いので、    ...
4. [本]石田衣良「約束」  [ Four Seasons ]   2006年04月26日 20:17
約束 石田 衣良 / 角川書店7本の作品を収録した短編集。 いずれも、かけがえのないものを失った人々が、癒され、 喪失感から回復するまでの過程を描いた作品です。 ・・・しかし。どうもどの話もひねりが足りないというか、 すんなりと行きすぎている気がして、物足...

この記事へのコメント

1. Posted by みわ   2005年12月11日 01:11
妻になり母になって失いたくないものが増えた気がします。
だからこそこういう話に弱くなるのかも。(^^ゞ

思い切り息子を怒った後でも、かならずぎゅーっと抱きしめてから
終わりにするようにしているんです。
何かあったときに後悔したくないから。
かけがえのない大切なものを思う気持ちって
みんな同じですよね。(*^_^*)
2. Posted by june   2005年12月12日 23:04
>みわさん
これはもう、ずるい・・・という感じでした。こんな設定をされたら私は簡単に泣きます。
でも石田さんがあざとさとかではなくて、心から思ったことを書いたというのが伝わってくるので、素直に読むことができました。

かけがえのない大切なものを思う気持ちて、ほんとみんな同じ!でもこのごろはいやな事件がたくさん起きます。なぜだろうと思います。辛いです。
3. Posted by みわ   2005年12月14日 00:51
人って自分が持っている状況と似たものだと
泣かされやすいですよね。
私もそのタイプです。
子どもが不幸になったりする話だともうダメ。
だーだーと涙流して読んじゃいます。(^^ゞ

小学生にまつわる事件が多くて、本当に嫌になっちゃう。
ニュースを見るたび心が痛みます。
4. Posted by june   2005年12月16日 14:55
>みわさん
私も子供が不幸になったり、亡くなったりする設定は、だめ。ついつい自分に置き換えてしまい、同じく号泣したりしてます^^;

本当に最近は怖い事件が多いです。子供が道を聞かれた時の回答は、たとえ知っていても「知りません。大人に聞いてください。」が、正しいのだそうです。知らない人を全て疑わなければならないって、寂しいですが、自分の身を守るためには仕方ないんでしょうね・・。
5. Posted by kazu   2006年02月02日 20:06
こんばんは☆ 
TBありがとうございました。 
最初の約束からつい泣いてしまいます。
電車の中なのでこまりました。 
子供の話には弱いです。
6. Posted by june   2006年02月02日 22:52
>kazuさん
あぁ・・これを電車で読んでしまったら辛いですよね。涙腺が弱いのでぐすぐすやってしまいそうです。
子供の話はだめですね。絶対泣いてしまいます。自分に置き換えてしまうんです。

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本を読むことが大好きです。家事や仕事の合間にちょこちょこと読んでいます。
このごろは中学生になった子供たちと同じ本を読んで、感想をあーでもないこーでもないと話すことができるようになりました。

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