バルコニーのトランプ大統領には、浅い呼吸、肩呼吸、短い吸気などに加え、不自然な息ごらえがあった。
傍からみても、呼吸苦があったトランプ大統領だったが、今のところ再入院などの大きな変化は報道されていない。
このまま、改善していくようであれば、彼の受けた抗体療法の価値が世界的に広がりそうだ。

彼の受けた抗体療法について、同一の研究グループによる2編のサイエンス論文があった。
①②だが、②について少し書く。それぞれ各自、勉強してみてはどうか?

Science. 2020 Jun 15 : eabd0827.
Published online 2020 Jun 15. doi: 10.1126/science.abd0827
PMCID: PMC7299284
PMID: 32540901
Studies in humanized mice and convalescent humans yield a SARS-CoV-2 antibody cocktail

Science. 2020 Jun 15 : eabd0831.
Published online 2020 Jun 15. doi: 10.1126/science.abd0831
PMCID: PMC7299283
PMID: 32540904
Antibody cocktail to SARS-CoV-2 spike protein prevents rapid mutational escape seen with individual antibodies

一般的に、抗原構造がすぐ変化するウイルス感染症に対しては、私たちの作る中和抗体の効果が十分にでない。
しかし、インフルエンザウイルスに対しては、長い進化の時間をかけて、ヒトは究極の免疫をすでに獲得してきている。
インフルエンザ感染症では、初期に立ち上がる自然免疫の関与が大きいようだが、この自然免疫は特異抗体が獲得できない感染早期に活躍する免疫系である。
自然免疫が静かに進行すれば、感染は抑えられ、ヒトは症状に苦しむことも少ない。
しかし、その自然免疫の科学的解明は、獲得免疫よりずっと遅れている。

抗体は蛋白であり、測定可能な物質であるから、抗体の働きの解明は早かったが、蛋白故の難しさもある。

細胞とウイルス感染の長い闘いにおいて、特異抗体は防御能を発揮するが、立ち上がりが遅れたり、過剰になったりの欠点がある。抗原抗体複合体は、組織や血管に沈着して組織障害を起こす。

特異抗体は、重鎖 軽鎖構造など膨大な種類の立体構造をとるが、そうしないと病原体の抗原変化に追いつけないのである。
一つの抗体は、ひとつの抗原エピトープにしか結合できないという特異性ならではの壁がある。

しかし、ウイルス防御の方法論として、エイズ治療、エボラ治療の薬剤耐性の治療経験を経て、薬剤を組み合わせるカクテル療法の有効性を科学者は知った。
それらの知恵をコロナ制御にも生かしたのが、カクテル抗体療法である。

コロナ感染症の場合も、人が特異的中和抗体を作っても、ウイルス側の抗原構造が変化してしまい、抗体はウイルス和効果を発揮できない事はすでにわかっていて、そこをクリアする必要がある。
しかしどうやら、ウイルスにとって、異なる抗原部位を認識する種類の異なる抗体が同時に存在すると、対応が難しいらしい。
つまり、複数場所での変異することが、ウイルスにとっては難しいタスクのようである。
そうしたウイルスの弱点を利用したのが、カクテル抗体療法のようだ。

②の論文に以下のように記載されている。
The subsequent success of combination therapy for HIV demonstrated that requiring the virus to simultaneously mutate at multiple genetic positions may be the most effective way to avoid drug resistance.

The prospective goal of generating this very large collection was to select pairs of highly potent individual antibodies that could simultaneously bind the RBD spike, and thus might be ideal partners for a therapeutic antibody cocktail that could not only be an effective treatment, but might also protect against antibody resistance due to virus escape mutants that could arise in response to selective pressure from single antibody treatments.


この論文の著者らは、カクテル抗体療法の有効性を示しているものの、一方で懸念も示している。
つまり、この論文では、抗体療法の問題点にも触れている。
抗原変化の速いRNAウイルスに対するヒトの特異抗体反応の限界などは、不明な点がある。
ウイルスも人も生存にかかる選択圧について、実態がわからないことがある。ウイルス側のエスケープ現象は、抗体療法の懸念するところであると。

As RNA viruses are well known to accumulate mutations over time, a significant concern for any antiviral therapeutic is the potential for selection of treatment-induced escape mutants. A common strategy to safeguard against escape to antibody therapeutics involves selection of antibodies binding to conserved epitopes, however this strategy may not suffice. While some informed analysis can be made regarding epitope conservation based on sequence and structural analysis (6), the possibility of escape still exists under strong selection pressure. Indeed, escape studies performed with anti-influenza HA stem binding antibodies have shown that escape mutants can arise despite high conservation of the stem epitope between diverse influenza subtypes, with some escape mutations arising outside of the antibody epitope region (7, 8). Antibodies that demonstrate broad neutralization across multiple species of coronaviruses, and thus may be targeting more conserved residues, have not been shown to be immune to escape upon selective pressure. In addition, their neutralization potency is orders of magnitude lower than that of the most potent neutralizing antibodies specific for SARS-CoV-2 (6, 9–11). Neutralization is thought to be the key mechanism of action of anti-coronavirus spike antibodies and has previously been shown to correlate with efficacy in animal models (12), and may therefore prove to be the most important driver of initial clinical efficacy. However, as demonstrated with our single antibody escape studies, even highly potent neutralization does not protect against the rapid generation of viral escape mutants, and escape remains a major concern with individual antibody approaches.

しかし、著者らは、論文の終盤に、以下のように述べていて、カクテル療法の治療としての有用性を強調している。
組み合わせる抗体は、distinct and non-overlapping regions of the viral target であるべきで、別の場所に同時にウイルス抗原変異をきたしてしまうような抗体ペアを選んではだめですよ!とのことである。

The data described herein strongly support the notion that cocktail therapy may provide a powerful way to minimize mutational escape by SARS-CoV-2; in particular, our studies point to the potential value of antibody cocktails in which two antibodies were chosen so as to bind to distinct and non-overlapping regions of the viral target (in this case, the RBD of the spike protein), and thus require the unlikely occurrence of simultaneous mutations at two distinct genetic sites for viral escape.


ため息さんは、誰でももうすでに知ってることを正論であるかのように教授ぶって話す。サイエンスを読むからには、そんな一般論を言っても役に立たない。今回も、ため息さんは、全体像を語ろうとはしないだろう。

今回もそうだが、学とみ子の話は、その先です。先には行かないため息さんです。どうぞ、悪口で盛り上がって!




ため息さんの以下の文章部分は、間違っていない。
>この論文は、抗体治療では中和(neutralization)抗体のカクテルが有効である、単一の抗体では抗体の結合するウイルスの部位epitopeが急速に変異してしまうことがあると効果がなくなる(escape)から結合部位の異なる複数の抗体の投与が有効ですよという趣旨である。

しかし、その後のため息文章がおかしい。
学とみ子は意訳などしていない。意味をわかりやすく説明しているだけだ。

ため息さんの論文理解が十分でない。
著者らは、「ウイルスエスケープを助長するような抗体ペアではだめですよ。」 と言っている。
抗体療法には、そういう懸念があるのである。

なぜなら、人類は、どのような状況でウイルス抗原が変化してしまうかの証拠をもっていない。
しかし、ため息さんは、抗原変化がわかっているかのように考えているのである。
だから、「抗原変化をきたすようなペア抗体投与はだめだ」と、論文著者は言っている理由が、ため息さんにはわからない。

学とみ子が最初に説明した通りを、踏襲すればよいのである。
それを否定しようとするから、ため息文章が間違ってしまう。

とにかく、論文著者はいろいろ実験をしているので、読者はそれを追わなくてはいけません。
1種類の抗体投与の時には、抗原変化がおきることを著者らは示し、どの組み合わせのペア抗体が望ましいかを、著者らは見つけようとしています。

ウイルスS蛋白の違う場所に2種の抗体が張り付いた時、ウイルス抗原が変化できない状況となる種類のペア抗体を、論文著者らは抗体集団から探っているのです。
抗体のウイルス中和能力が落ちないかどうかで、治療に適する抗体かどうかの選択をしようとしている。
どうすれば、ウイルスエスケープを誘導しない抗体療法にたどり着くか?を著者らは探っているのです。

しかし、まだ、完全には解明できていない現状では、もしかすると、抗体療法でさらなる脅威が増えることを著者らは懸念しているのである。

とにかく、ため息さんは、そうした大事な中身を読んでいない。
読まないで、なおかつ、学とみ子を否定しようとするから、以下のようなおかしな文章になってしまうのである。


>学とみ子の意訳
「別の場所に同時にウイルス抗原変異をきたしてしまうような抗体ペア」
を読むとなんのコッチャという日本語なわけです。この日本語では「ウイルス抗原変異をきたしてしまう」は「抗体ペア」を修飾しているので、「抗体ペア」が「ウイルス抗原変異をきたしてしまう」ということになります。抗体がウイルスのRNA(DNA)の変異を引き起こすという話はきいたことがありません。意味不明ですね。学とみ子は、これまで通り、正しい日本語だと主張するでしょうけど意味不明は意味不明です。また、当方の言い分を読みもせず、理解せず、揚げ足取り、全体を読んでないなんて批判するでしょうね。当方としてはデタラメな解説は失礼だと言っているんですよ、

>いっくらなんでも転載のためのコピペを誤ったとは思えないので、原文を参照すると、転載部分はそのままでした。ですから、この転載部分を意訳してみると:


>抗体のカクテル療法は、抗原(ウイルス)の抗体結合部の突然変異による抗体から逃れることを防ぐ強力な方法である。特に2つの抗体は、抗原のそれぞれの結合部分が同時に変異を起こすことはほとんどないので、抗原(ウイルス)の異なるそして重なってない領域に結合する抗体が選ばれるべきである
ということですね。



”なんのコッチャ”は、ため息さんです。
抗原の変化に応じて、抗体も変化しなければ、生体防御にはならないということも、ため息さんは知りません。
だから、以下のようなデタラメが書けるのですね。選択圧などという言葉を理解できていません。

>抗体がウイルスのRNA(DNA)の変異を引き起こすという話はきいたことがありません。意味不明ですね。


ああ、そうなのか、ため息さんて、抗原変化に応じて抗体も変化するという事を知らない人なのだなと、学とみ子が思っていると、それと矛盾する以下のため息文章を書くのですよね。


>抗体のカクテル療法は、抗原(ウイルス)の抗体結合部の突然変異による抗体から逃れることを防ぐ強力な方法である。特に2つの抗体は、抗原のそれぞれの結合部分が同時に変異を起こすことはほとんどないので、抗原(ウイルス)の異なるそして重なってない領域に結合する抗体が選ばれるべきである
ということですね。


ため息さんは、こうした意味のない文章を書く。
でも、わからない人には、ため息さんが正論だと思ってしまう。

カクテル療法と関係なく、ウイルスは抗体結合を避けるために抗原変化するのです。
”抗原(ウイルス)の抗体結合部の突然変異” は、”抗原(ウイルス)の抗体結合部において、ウイルスが抗体をエスケープするためにウイルス抗原の突然変異をおこす”ということを説明したいだけなのか?


二つ抗体を組み合わせれば、ウイルスエスケープが達成できるわけでなく、抗体の種類の選択が影響すると論文に書いてある。
ため息さんはそこまで読んでいない。

以下のため息文章は、何を説明したいのかがわからないです。
日本語としても体をなさないし、科学的にもチグハグなのは、ため息さんが理解しないで作文しているからです。

>抗体のカクテル療法は、抗原(ウイルス)の抗体結合部の突然変異による抗体から逃れることを防ぐ強力な方法である。

この文章も、抗原が何をして、抗体が何をするのが?の役割分担が文章から追えません。

>特に2つの抗体は、抗原のそれぞれの結合部分が同時に変異を起こすことはほとんどないので、

”抗原のそれぞれの結合部分が同時に変異を起こすことはほとんどない”
これは、”ウイルス側の抗体結部位の抗原が、同時に変化することがない” との意味なの?
抗原がどう変化するか?は不明、それに応じて、この二つの抗体がどう立ち回るかなどは不明です。

抗原も限りなく変化を繰り返し、抗体も限りなく変化をし続けます。
神の手のなす免疫反応は、わかっていません。

ため息さんは、わかっていることと、わかってないことのメリハリがデタラメです。

この論文では、いろいろ人工粒子などの実験手段を工夫して、抗体存在下のウイルス構造変化などを追跡しています。
もちろん、ため息さんは読んでませんし、これからも読みません。
論文を理解していない人の言いがかり丸出しですね。

抗体、抗原のどちらがどう変化するのか?など、主語がわかるように、しっかり書き込まないのは、ため息文章の特徴です。
日本語として不完全なものを書いて、明確化を避けていると思います。
抗原と抗体の相互関係がわからないままに、わかったふりで作文するとこうなります。

議論を追えない人達に向けて、学とみ子が間違ったように、ため息さんは装いたいのです。
議論をぐちゃぐちゃにして、誰も見向きをしなくなるようにしてしまうのです。

ため息さんのいつも使う手法ですね。
又、始まったという感じです。
こうしたいやがらせに対して、学とみ子は対応する必要などありません。


ただただ、ため息さんの背伸びが見えるだけ。論文に書いていない余計な言葉(以下のため息文章では、[確率的に]というかっこ内の単語)を、ため息さんは勝手に入れてしまう。これで、全体は台無し。

全体像を把握しないため息さんなんて、学とみ子が参考にするわけ無い。

ため息さんは、アブストラクトとか、主旨のはっきりした英文しか読まない。著者が迷う部分などには、ため息さんはアクセス出来ないのです。著者らは、あくまでも、著者らの実験で得られた結果に言及してるのみ。ため息さんは、その著者らの結果すら知らないで、著者らがわかっていないことまで、ため息さんはわかったと書いてしまう。恐らく、今回も、ため息さんは自身の問題点に気づけないだろう。

ため息さんのデタラメ訳より、グーグル訳を参考にすべき。

>そのようなことは(確率的に)ありそうにないからである。

そもそも、学とみ子は最初から以下のように書いてある。、
組み合わせる抗体は、distinct and non-overlapping regions of the viral target であるべきで、別の場所に同時にウイルス抗原変異をきたしてしまうような抗体ペアを選んではだめですよ!とのことである。

>「別の場所に同時にウイルス抗原変異をきたしてしまうような抗体ペア」
を読むとなんのコッチャという日本語なわけです。


ため息さんは、論文を読んでいないので、ペア抗体を用いても、ウイルスエスケープが生じてしまう話が論文に書かれているのを知らないのである。

とにかく、ため息さんは、大事なところを読まないで、簡単な文章部分だけ読んで、学とみ子の紹介がでたらめだと騒ぐのである。
ため息さんの文章では、抗原が変化するのか、抗体が変化するかが読み取れない。ウイルス抗原はイメージできるのだろうけど、抗体のイメージができていないようだ。
TCR、BCRがからむ話は、理学系には馴染みが薄いらしく、重鎖、軽鎖のレパトワの意味がわかなかったりするらしい。
抗体の結合したウイルスに生じる変化なども論文に出てくるので、ため息さんの勉学には役にたつと思う。
ため息さんがこの論文をマスターすれば、学内で最初から知っている一流教官として、でかい顔ができるのではないだろうか?

現状ではなんといっても、論文に載っている図も表すら、ため息さんは見ない。
そんなトランプ流パフォーマンスに、ため息ブロググループはついてくる。批判の無い集団のトップは堕落する。

以下の部分は、Ooboeさんコメントに紹介した英文の直前の文章です。
モノクローナル抗体のREGN10987+REGN10933のセットが望ましいと書いてある論文部分です。
この抗体ペアだと、RBDへの結合部位が全く重ならないので、ウイスルエスケープを起こさないであろうと著者が想定している。

Next, we evaluated escape following treatment with our previously described antibody cocktail (REGN10987+REGN10933), rationally designed to avoid escape through inclusion of two antibodies that bind distinct and non-overlapping regions of the RBD, and which can thus simultaneously bind and block RBD function.


前記事で紹介した②の論文のTable 2, Fig. 1, B and C, and Fig. 2にそうした実験結果が書かれているし、ペアを組んでダメなのは、10989/34 であり、望ましい抗体ペアは、10987/33 であるそうだ。

この抗体ペア10987/33 の結合部位がそれぞれに重ならないことを示した抗体蛋白立体構造の図は、前記事で紹介した論文①のFig3に載っている。
Fig. 3の説明によると、紫と青は結合部分で、ACE2との接触面をカバーするようです。


以前に、ため息さんは、以下のよう
に言っていた。

>当方等がACE2受容体なる物は存在しないという主張に対し、答えることができないからです。この記事では「研究者層が、臨床家を攻撃しても意味ない」「ため息ブログの人たちは、学とみ子と興味の対象が違うし、大事なところで学とみ子を攻め切れていない。」「細かい用語にこだわっても、大きな見落としをすれば、ブログ読者には印象が悪い。
重箱の隅をつついているとの印象を読み手に与える。」
などと都合のいいようなセリフをわめいていますが、ACE2受容体とか細胞受容体などというありもしない物を作り出し、これらは存在しないというクレームに対しなにも答えられないのは、全面敗北とだれもが認識するところですが、学とみ子だけは否定するでしょうね。