2005年06月

2005年06月30日

なぜ匿名にする必要があるのか (3)

NHK総合「クローズアップ現代」は「追跡 悪質リフォーム」と題して社会部の小林和樹記者がリポートしていました。
神奈川県伊勢原市の男性も、実名で登場して被害を訴えていましたが、その相手業者が、この日に4人の元営業マンが逮捕された企業、エム・エイチ・エスでした。

2001年8月、突然営業マンが来て、無料と言われたので屋根裏を点検してもらうと、「いま工事しないと屋根が落ちます」と言われた。
築35年の住宅に不安を感じていたので、即日契約して、屋根裏の「換気」工事と床下の「補強」工事をすることになったが、さらに最初の契約の10日後、「床下が腐っている」と言われてキッチンのリフォームに435万円、「湿気が隠っている」と言われてトイレのリフォームに445万円を追加することになった。

キッチンとトイレのリフォームは、同じ日の契約であったにもかかわらず、業者側は建設業の許可が不要となる500万円未満の工事に分割しようとしたらしく、契約書を2通作成したので、最終的には4ヶ月の間に工事契約が5件。297万、439万、435万、445万、500万円と、総額2千万円を超える工事を契約してしまったそうです。

また、東京都墨田区の男性(79)も、実名で登場してましたが、このケースでは、5年前に最初に来たエム・エイチ・エス本体の営業マンが外壁の「補強」工事に270万円、次にエム・エイチ・エスの関連会社であるサムニン・イーストの営業マン・容疑者(実名)が屋根裏の「補強」工事ほか7件、別のエム・エイチ・エス関連会社の営業マンとも契約し、併せて2,500万円になったそうです。

それで、びっくりしたのが、次のカットなんです。
名刺3枚のうち、1枚目は社名入り・名前は「ぼかし」、2枚目は社名・実名入り、3枚目は社名・名前とも「ぼかし」でした。
また、NHKが入手したという「エム・エイチ・エスの営業会議の映像」では、全体に「ぼかし」が入る中で、容疑者3人だけが「ぼかし」なしで、実名・年齢のクレジット付きでした。
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2005年06月29日

大統領が言わなければいけなかった本当のこと

「ここ2週間ほど自爆攻撃が増えているが、イラク警察や治安部隊の人集めが困難になっているか?」と聞かれて

失業率が非常に高いため、イラク人には他に選択肢がないんです。
また、多くのシーア派住民やクルド人は、やる気を持ってます。
一方、スンニ派住民は、シーア派やクルド人を怖れて軍や警察に加わっています。

本当の問題は、イラクのスンニ派、シーア派、クルド人の間で、衝突を煽ってしまう結果を招く恐れがあるということです。そうなれば、今よりずっと激しい内戦に陥ります。
新規入隊者を募ることなど、問題ではありません。

アンソニー・コーデスマン(Anthony Cordesman)ABC軍事問題解説委員
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2005年06月28日

世俗的なモノに意味を与えようとする人たち

the Ten Commandments in Kentuckyアメリカの連邦最高裁は27日、公共施設における「十戒」の設置が政教分離を定めた合衆国憲法に違反するか否かについて、2つの判断を下した。

1 ケンタッキー州の郡裁判所に額に入れた「十戒」を掲示したケースは、郡当局は宗教を推進しようとしていたと認定し、憲法違反であるとした。


the Ten Commandments in Texas2 テキサス州議会の敷地内に設置した花崗岩製の「十戒」の石碑は、中立的な位置を保っていることを根拠に、憲法違反ではないとした。

最高裁判事9人の意見は、いずれのケースも、5対4と分かれた。
連邦最高裁は、全ての裁判所の建物から「十戒」を取り除くわけではないとしたが、実際、連邦最高裁の大理石の壁にもモーゼが「十戒」の石版を持っているレリーフが刻まれている。

また、すべての公共の場から「十戒」を取り除くわけでもないとしたが、「アメリカの法律の由来として展示する」など歴史的な目的がなければ、詳細に判断する必要があるとして、単に宗教的な性質・目的のモノとして置かれているならば、違憲として判断されるということを判示した。

テキサス州議会の石碑は、1956年制作のセシル・B・デミル監督の映画「十戒」で、プロモーション用に造られたものだった。
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2005年06月27日

ツナミから半年後のインドネシア

震源に近く最も被害の大きかったインドネシアのアチェ州、州都バンダアチェでは、都市部の復興は進んでいるが、壊滅的な被害を受けた沿岸部では、元の住宅のあった場所に戻ってきて暮らそうとする住民は僅かである。

住民の80%が死亡又は行方不明となったランバン地区では、海岸沿いの木や建物がすべて流されてしまったことで強風が吹き荒れ、住民が造った家は何度も壊れて、そのたびに修理しなければならなかった。

人々は、NGOが支援する瓦礫の撤去作業で1日当たり3万5千ルピア(約400円)ほどの収入を得て暮らしている。
水道や電気は復旧する目処が立たず、電気はNGOが援助した発電機に頼っている。

主食のコメも国際機関の援助が頼りで、おかずの肉や野菜は、自らも妻と2人の息子を失ったという地区長のザィディさんが借金をして賄っている。

食事には、毎日20万ルピア(約2,300円)かかります。
いったい政府は、何をしているのでしょうか。
何もしないなら、政府はないのも同然です。
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2005年06月26日

「約束の地」に移住する人、しない人

戦後60年の今年、ドイツのシュレーダー首相は、機会ある毎に、強制収容所で地獄を味わい、虐殺されたユダヤ人に対して謝罪してきた。
ドイツ政府は様々な補償政策を実施してきたが、2003年からは毎年4億円余を国内のユダヤ人社会の支援に充てている。

ドイツでは、戦後数千人にまで減ったユダヤ人の数が増え続けて、現在10万人余りが暮らしている。
その90%以上は、90年代から移住者が増加したロシア系ユダヤ人である。
ロシアから移住して10年になるヘンリエッタ・リハヤビツカヤさんには、毎月9万円がドイツ政府から支給されている。

イスラエルは先祖の故郷です。私とは何の結びつきもありません。言葉もわかりませんしねえ。
私は運良く戦争を生き延びることができましたから、戦争が行われているところにまた住んで、新たな恐怖を味わうのはイヤなんです。


さらに、イスラエルから移住してくる人も年々増え続けている。多くは経済事情によるというが、イスラエルから移住して3年になるナダフさんは違うようだ。

イスラエルのある大学教授が、こう言ってました。
イスラエルは、ユダヤ人が安全に暮らすために創られた国だ。
しかし、ユダヤ人だというだけで殺される国は、いまやイスラエルだけだ。
ユダヤ人にとって、いま一番安全な国はドイツだ。

しかし、ドイツに移住して15年になるイラン・バイス(55)氏は、移住してくるユダヤ人の支援活動を続けて5年になるが、「イスラエルの国籍を捨てれば、私のアイデンティティを捨てることになってしまいます。私はそれは望みません」と言う。
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2005年06月25日

「悪との戦い」の戦場で・・・

ソビエトの独裁主義との戦いは、「悪との戦い」という言葉に集約できるかもしれません。
私たちは、根本的な価値を守ろうとしたのです。
テロとの戦いも、よく似たものだと思います。

これは「テロ」というより、むしろ人類に耐え難い抑圧を強いるテロリストとの戦いなんです。
イスラム世界は、自分たちの信仰を私たちに押しつけ、その考えに則って生きるよう私たちに強要してきます。
そういう意味では、これも悪との戦いなのです。

リチャード・パール(Richard Norman Perle:1941-)国防政策委員会議長(2001-2003)


ネオコンは、ソビエトとの冷戦時代に築いた考え、すなわち、共産主義は悪であり、私たちの国や社会を全て征服しようとしているという考えを、再び持ち込もうとしていました。
誇張した悪の概念を、テロ・ネットワークという新たな脅威に当てはめようとしたんです。

伝統的な慣わしを取り上げて、こんなことも言っています。
非常に邪悪なネットワークが学校の教室に入り込み、私たちの社会を支配し、女性全員にベールの着用を強要しようと企んでいる。このような悪は、叩きつぶして追い払うしかない。

ヴィンセント・カニストラロ CIAテロ対策責任者(1988-90)
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民主主義社会における「高貴な嘘」の価値は?

アメリカのネオコンの思想を生み出したレオ・シュトラウス(Leo Strauss:1899-1973)は、行き過ぎた自由は人間からあらゆる美徳を奪い去る、倫理的な制約を欠いた個人が各々自分の利益を追求するようになれば社会の崩壊は避けがたいと考えていた。
そして、正しいものなど存在せず全てが許されるという危険な状況のなかで崩壊しつつあるアメリカ社会をまとめ上げるためには、誰もが信じる力強い神話が必要だと考えた。

シュトラウスは、勧善懲悪に撤した西部劇、TVシリーズ『ガンスモーク』の大ファンだったという。法と秩序を守るために、ジェームズ・アーネス扮するマット・ディロン保安官が無法者と戦う物語である。

一方、彼は、『ガンスモーク』と同じように『ペリー・メイスン』も愛していた。レイモンド・バー扮する弁護士ペリー・メイスンは、エリートの役割を示唆している。
すなわち、思慮深いエリートは神話を普及させる役割を担うが、自分自身はそれを信じる必要はない。

プラトンは、その著書『国家』の中で、統治者が社会秩序を守るために人々に信じこませる神話を「高貴な嘘(noble lie)」と呼んだが、かって自らもネオコンだったというジャーナリストのマイケル・リンドは、「ネオコンにとって宗教は、道徳を広めるための道具であり、プラトンの哲学でいう『高貴な嘘』である」という。
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2005年06月24日

人々を争わせようとする企てと、和解させようとする試みと、

イラク警察の発表によると、23日午前7時頃、首都バグダッド中心部の商業地区でパトロール中の警察車両が車を使った自爆攻撃を受けて、警官3人、民間人7人が死亡した。
さらに、数分の間隔を置いて、同じエリアで2台の車が爆発し、他の警察車両が集まってきたところで4台目の車が爆発、民間人7人が死亡した。1台は、シーア派のモスクの近くだった。
この事件で、23人から50人が負傷した。

バグダッドでは、22日の夜も、シーア派地区で、自動車爆弾によって18人が殺され、48人が負傷している。

アルカイダ(Al-Qaida)の系列組織であるアンサール・スンナ軍(the Ansar al-Sunnah Army)は、23日、多数のシーア派イスラム教徒を殺害したバグダッドの12時間に渡る一連の爆弾攻撃について犯行声明を出した。

シーア派地区の爆弾攻撃は、スンニ派とシーア派の緊迫した対立を激化させ、イラクを内戦状態にしようと計画されたように見える。

シーア派の率いる移行政府が4月28日に発足してから、アメリカ軍約120人を含む約1,200人が政治的な暴力によって死亡した。
しかし、こうした暴力にもかかわらず、憤激している2つのコミュニティーを和解させようとする試みが進行している。
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2005年06月23日

国営放送のウソ

NHK・BS1で見たフランス国営テレビF2は、ウクライナのヴィクトル・ユーシェンコ(Viktor Yushchenko)大統領のフランス訪問をリポートしていました。

ヨーロッパの一部であるウクライナが、昨年の「オレンジ革命」によって、ようやくEUに目を向けるようになった。。。というような報道でした。

しかし、これは、EU憲法条約の批准が否決されるなど、EUの拡大に否定的なムードのなかで、なんとかこの流れを反転させたいというフランス政府の国策に沿った報道ではないかと思います。

なぜなら、レオニード・クチマ(Leonid Kuchma)前大統領や、昨年の大統領選挙当時の首相で、対立候補だったヴィクトル・ヤヌコヴィッチ(Viktor Yanukovych)氏がEU加盟を望んでいなかった、消極的だったというのは、事実に反するからです。
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2005年06月22日

共通の敵はボーダレス

Alexander Riverアレグサンダー川(Alexander River)は、ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区の山々から、西へ約44km、分離壁を越えてイスラエルの海岸平野を横断し、地中海に注いでいる。
減少の進んでいる絶滅危惧種のナイルスッポン(Nile soft-shelled Turtle:ワシントン条約[CITES]附属書では条件付きで輸出入を認める啓錙砲70から100匹ほど生息しているが、境界の両側では定期的に農地にあふれ出した汚水が地下に浸透するなど、過去40年にわたって相当な汚染物質が流入して、河川の水質が悪化していた。

85,000人のパレスチナ人が住むトゥルカレム(Tulkarem)と、トゥルカレムに隣接して45,000人のイスラエル人が住むエメク・ヘファ(Emek Hefer)地域から、4,000以上の署名が集められ、河川浄化事業はスタートした。
イスラエルの処理施設に廃棄物を直流するパレスチナの下水処理システムに、ドイツ開発銀行(KFW)と ドイツ技術協力公社(GTZ)が、2千万ユーロを援助した。

パレスチナ側との共同作業について「最もハードな時期にも私たちは常に会う方法を見つけていた」と、イスラエル側の技術者、アモス・ブランダイス(Amos Brandeis)氏は言う。上流域の浄化をするためにエメク・ヘファのイスラエル人は、ドイツの資金を探し出してきた。

西岸地区とイスラエル側の両方で川の浄化を進めることは、飲料水の水源を地下の帯水層に強く依存しているトゥルカレムにとって特に重要だと、パレスチナの側の技術者、ライェク・ハマド(Rayeq Hamad)氏は言う。

イスラエルが壁を築き、双方に暴力の嵐が吹きすさぶなかで、この地域のパレスチナ人とイスラエル人は、川をきれいにするために協力を始めていたのだった。
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