2005年10月

2005年10月31日

本当に怖いのは、忘れられること

アフリカでは、マラリヤや下痢なども多くの命を奪っているが、 黒熱病(内臓リーシュマニア症:Visceral Leishmaniasis)、象皮病(リンパ系フィラリア症:(Lymphatic Filariasis)、河川盲目症(オンコセルカ症:Onchocerciasis)、眠り病(アフリカ・トリパノソーマ症:African Trypanosomiasis)などの、ハエや蚊、ブユが原虫を媒介しておこる病気の被害も深刻である。

そうしたなかで、製薬大手ジェネンテックの研究員だったビクトリア・ヘイル(Victorica Hale)氏(44)が創設したアメリカの非営利企業「ワンワールド・ヘルス研究所」(The Institute of One World Health)は、そうした「忘れ去られた病気」の治療薬の研究開発を行っている。
この研究所が、特許の切れた抗生物質を元にしてインドで臨床試験を完了した黒熱病の治療薬は、被験者の94%が完治したという。

しかし、「忘れ去られた病気」に関しては、利益を生まないために治療薬も開発されず、世界の新薬開発予算の90%は、先進国の生活習慣病の薬に使われているという。
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旱魃に強い作物は・・・

マラウィでは、1998年や2002年にも食糧危機はありましたが、今回は最もひどく被害は深刻です。
今後、さらに多くの子どもが栄養不足で病院にやって来るでしょう。

と、病院の看護師長は言う。

深刻な旱魃に襲われたマラウィは、1993年以来の不作で、2005年4月の収穫は国民全体が必要とする量の40%にも満たず、多くの国民は既に収穫したものを食べ尽くしてしまっている。
市場には、主食のメイズ(白トウモロコシ)はほとんどなく、僅かに残ったものも高騰している。衰弱した子どもたちは、病院に運ばれて栄養の強化された食事を与えられているが、命を落とす子どもも増えている。

Sugarcane Plantation in Malawiしかし、国土の1/4をマラウィ湖が占めるマラウィ共和国は、決して水の少ない国ではなく、アフリカでも有数の水源を抱えている。メイズを栽培できるような灌漑設備がないのだ。
一方、外資系の大農園では、最新鋭の灌漑設備によってサトウキビが順調に生育している。

農園では、収穫作業のために3,000人を雇用し、地元の農家にとっても貴重な現金収入となっているが、日当は130クワチャ(約100円)にすぎない。
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2005年10月30日

私たち誰にでも起こり得ることです。

Piazza Grande of Bolognaアントニオ・ムモロ弁護士は、月2回、ボランティアとして市が運営する一時宿泊施設を訪れている。
「トイレ掃除でも皿洗いでもできることはなんでもした。でも稼ぎは、週にたった80ユーロ(約1万円)だった」と言う女性は、「今は、こんなになってしまったけど、以前の私は、すてきだったのよ」と言いながら、縁が欠けて丸くなった一枚の写真をバッグから取り出した。

「困難に直面し差別を受ける人々の人生を真正面から受け止めなければ、お互いの信頼関係は築けません」とナレーター氏は割と簡単に言うけれど、大変なことだなあ。

NHK・BS1「地球 街角アングル」「ホームレスを救う路上弁護士 - イタリア ボローニャ -」は、路上生活者の自立支援を続けている人々を取り上げていました。
イタリアでは、およそ1割の人々が、日々の暮らしを満足に送れない「貧困層」に属すると言われ、全土に推定22万人いるというホームレスも増え続けているそうです。
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2005年10月29日

小さな政府の大きな企て

Taking The Pledge君たちには是非、指輪をはめてほしい。
そして、結婚式の日に指輪を外し、それを夫か妻に渡してこう言う。
「この指輪をはめた日からずっと、あなたを待っていました」と。
そうして言うんだ、「さあ始めよう」と。

1996年に「Silver Ring Thing」を創設したデニー・パッテン(Denny Pattyn)牧師は、そう語りかける。

若者たちが銀色の指輪をはめて「純潔の誓い」を立てる性教育のイベント「Silver Ring Thing」に対して、連邦政府と州政府は、ここ数年、100万ドル以上の助成金を支給している。
アメリカでは、この10年で200万人以上が「純潔の誓い」を立てているという。
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再び、アフガニスタンの選挙の話

8月17日、アフガニスタン南部のナンガルハール(Nangarhar)州では、下院(総定数249)のうち14議席を候補者179人で争う議会選挙がスタートした。
ナンガルハール州ジャララバード(Jalalabad)で、この選挙を取材したフリー・ジャーナリスト/ライターの牧良太氏のブログ「アッサラーム・アレイクム」にはリポートが掲載されていました。

【8月21日】
今日取材させてもらった女性もカーブルやジャララバードで長いこと教育に携わり、有名女子高の校長を務めてきた方。女性と話す機会など皆無と言ってよいアフガニスタンなので、なかなか新鮮な体験といえる。
もちろん、そこらの男よりよほど知的で、穏やかで、信頼できそうな人であった。こういう人が当選してくれた方がムジャヒディン上がりのタフガイたちよりアフガニスタンの未来は明るいように思う。

ま、女性に限らず、知識層とそうでない人、開明的な人と頑迷・保守的な人との差が大きすぎるのがアフガニスタンの大きな問題でもある。例えばイスラーム理解に限っても、その溝は相互理解不可能なくらいに深いように思われるのだ。
というのは普段男と接していての感想。人口の半分をしめる女性に関して、私は全く知らないといってよい。ここジャララバードでは少女と物乞いを除いて女性の顔を見ることすらほとんどない。
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2005年10月28日

欠落した歴史の記憶

我々がソ連を倒し冷戦を終わらせたのだ。第三次世界大戦を阻止した世界の英雄なのだ。
我々イスラム戦士に投票すべきだ。国会はイスラム戦士のものでなければならない。


サイード・ジャウィード(Sayed Mohammad Ali Jawed)下院議員候補(元軍閥司令官・元暫定政府運輸大臣)

8月17日、アフガニスタン北部のバルフ(Balkh)州では、下院(総定数249)のうち11議席、州議会(総定数420)のうち19議席を候補者237人で争う議会選挙がスタートした。
下院・州議会とも、総定数をアフガニスタン全土の34州について人口比で配分し、各州を一の選挙区とした9月18日までの1ヶ月に及ぶ選挙戦である。
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2005年10月27日

何も変わっていないのか・・・

Kabul sing a song君は二度と帰ってこない
いま、君はどこにいるのか?

部族や肌の色に関わらず 人を愛せと
母のように 分け隔てなく人愛せと
子どもらに教えよう


そんな心優しい歌を歌うカブールさんは、1994年のルワンダ大虐殺でツチ族だった最愛の妻を失った。
妻を斧で斬殺しないようにフツ族の男に金を出して頼み、妻は射殺され、男は金を受け取った。カブールさんが助かったのは、コンゴ人だったからである。

今も妻を殺した男の顔は忘れられないと言うカブールさんは、隣国コンゴの国境地帯の山中で、見覚えある者はいないか探している。見つければ必ず殺すと言う。
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2005年10月26日

この戦争を戦っているのは・・・

シアトルでは、軍のリクルーターが学校を訪問する際には、必ず軍に反対する団体の関係者も校内に入れるという新しい規制ができた。
軍の勧誘活動に反対しているのは、ベトナム戦争世代の生徒の親たちだ。

2002年に成立した「どの子も取り残さない−落ちこぼれゼロ法」(No Child Left Behind Act)は、学校に対して、大学のリクルーターと同様に軍のリクルーターに対しても、生徒の住所や電話番号の個人情報を提供するよう義務付けている。
しかし、ほとんどの家庭がこの法律のことを知らず、希望すれば情報提供を拒否できるのに、そのことを学校当局は教えていない。軍の勧誘活動に反対している団体は、そう指摘する。

学校は、軍への情報提供を拒否するための書類を生徒に配布する必要がある。
シアトル北部では、生徒の親たちが、軍に対する情報提供を拒否するよう各家庭に呼びかけるビラを配布している。

反対派は「余り芳しくない生徒に狙いを絞って『ヘリコプターの操縦士になれる』とかいう話をしている」「詐欺まがいのやり方は許せない」「健康上の問題を隠すように言われた」「低所得者と少数派の人種が標的となっている」と指摘する。
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2005年10月24日

政治不信と無関心とプチ・ナショナリズム

ポーランドでは、9月25日の国会選挙の結果、下院(定数460)で155議席を獲得して第一党となった「法と正義(PiS)」[前46議席]、133議席を獲得した第二党の「市民プラットフォーム(PO)」[前56議席]が連立政権を組むことになり、「民主左翼連合(SLD)」は55議席[前148議席]となるなど、与党左翼政権は大敗。
続く10月9日の第一回大統領選挙でも、総選挙で第一党となった「法と正義」のヤロスゥワフ・カチンスキ党首の双子の弟であるワルシャワ市長のレフ・カチンスキ氏(56)が一位、第二党「市民プラットフォーム」党首のドナルド・トゥスク氏(48)が二位となった。

10月23日投開票の大統領選挙決選投票では、カチンスキ氏が当選したが、投票率は50.6%。
1989年以降の自由選挙の下で、9月の総選挙の投票率は40.57%(前回は46.1%)と過去最低だったが、大統領選挙も過去最低だった第一回投票の投票率49.7%と大差なく、再度国民の政治不信と無関心を示す結果となった。
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2005年10月23日

演出不要、もっと事実を・・・

TBS「報道特集」では、2005年5月に豆満河(トゥマンガン)を挟んで中国側から北朝鮮の咸鏡北道(ハムギョンプクド)を撮影したというビデオテープを放送していました。
北朝鮮側には国境警備隊の潜伏壕が50m毎にあって兵士が監視しているという国境地帯で、一人の男性が水位の下がった豆満河を歩いて中国側に渡って来るという映像です。

中国側の川原に来たその男性が新聞紙の包みから出したのは箱に入った北朝鮮製のバイアグラ。
中国側で男性を待っていた女性が朝鮮語で「この薬はどこから」と訊くと「党の幹部が使用しているものだ」と男性は答えた。

powdered medicine of opiumそして、女性が「麻薬の取り締まりが強化されたらしいけど大丈夫?」と訊くと、男性は「街ではこういう物が出回っているんだ」と言い、さらにもう一つ、薬のビニールパックを出した。
そのパックには「アヘン粉薬 100g」「毒・麻」「使用目的:鎮静薬、鎮痙薬、痛み止め、腹痛、下痢」「羅南製薬工場」と書かれていた。

彼は、アヘンを密輸したのである。
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