2006年06月16日

ターニング・ポイント?

ソマリアでは、過去4ヶ月にわたる死者350人前後という激しい戦闘の後、6月5日に首都モガディシュを制圧した民兵組織「イスラム法廷連合」(Islamic courts union)が、14日にはモガディシュの北約90kmに位置するジョワル(Jowhar)も制圧した。
これで、アメリカが支援していたとされる「平和回復と対テロ同盟」(ARPCT:Alliance for the Restoration of Peace and Counter-Terrorism)は最後の戦略拠点を失い、「イスラム法廷連合」はソマリカ南部をほぼ掌握した。

アルジャジーラによれば、「ARPCT」の最有力指導者とされるモハメド・クワイヤレ・アフラフ(Mohamed Qanyare Afrah)ソマリア暫定連邦政府元国家安全保障担当大臣は、「ARPCTは終わった」と宣言し、最近の戦闘で被害を受けた国民に対して謝罪の意を表明したという。

中央政府崩壊後、過去15年間にわたってソマリア南部の各都市を支配してきた「将軍」たちは、暫定連邦政府の発足にあたって、いずれも大臣に任命されたものの、中央政府が実効支配を確立するにはほど遠い状態で、政府機関を首都に置くこともできなかったが、「将軍」たちの同盟が敗北したことで、暫定連邦政府は今後、「イスラム法廷連合」に対処していくことになる。

13日、暫定連邦政府樹立に結びついたケニアでの和平会談を2年前に仲介した「政府間開発機構」(IGAD:Intergovernmental Authority on Development)は、9人の「将軍」たちの渡航禁止と銀行口座の凍結を即時実施するとともに、イスラム系民兵に対しては、暫定連邦政府のみが兵士を統制すべきであると主張した。

このIGADの会合で発言したケニアのラファエル・トゥジュ(Raphael Tuju)外務大臣は、アメリカを名指しすることは避けたものの、「将軍」を支持した国がモガディシュの紛争に燃料を供給したと述べ、15年間にわたって首都を「脅迫」していた「将軍」は、イスラム勢力による秩序の回復を「大衆暴動」と呼んでいたと述べた。

現在、暫定連邦政府は、モガディシュの北西約250kmのバイドア(Baidoa)の周辺を支配しているだけだが、アリ・モハメド・ゲディ(Ali Mohamed Ghedi)暫定政府首相は、「優れた前進だ」として歓迎の意向を示し、今後の対応に意欲を示した。
他方、氏族(clan)を基礎として構成された定数275の暫定議会は、14日に賛成125、反対73でアフリカ諸国からの平和維持軍の受け入れを承認した。

これに抗議して、16日には「イスラム法廷連合」の支持者ら少なくとも7千人がモガディシュで平和維持軍派遣に反対してデモを行ったが、バイドアでは派遣賛成派のデモが行われた。

以上、アルジャジーラほか、アメリカCNN、イギリスBBCの報道でした。

和平プロセスが進展して、国家の再統一が実現していくかどうかは予断を許しませんが、諸派の意見の対立も投票やデモで争われているうちは、まあ大丈夫でしょうね。
他方、アメリカは、IGADなどのアフリカ諸国だけに任せておきたくないらしく、欧州諸国も巻き込んで国際的なコンタクト・グループを組織していく意向ですが、アラブ連盟は排除するというのですから「中東政策に変化無し」というところで、今回の失敗もアメリカにとっては転換点にならないようです。

イスラム勢力の台頭を「タリバン化の進行」と「テロの温床になる」と見なしているアメリカは懸念を表明していますが、イギリス・BBCのフランク・ガードナー(Frank Gardner)記者は、西側諸国が建設的に介入しないと、イスラム勢力内の穏健派も過激派に追いやることになると伝えていました。。。


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