2006年07月06日

ジェンダー・インバランス

Population by five-year age group and sex (China)2005年1月、国家人口計画出産委員会は、最新の調査結果をもとに、中国における男女出生比率が119.9:100.0となり、男女比率の正常値とされる106を大幅に上回っていることを公表した。
5省では、女性100に対する男性の割合は130を超え、さらに男女比率の不均衡が深刻化していることが明らかになった。

2005年の推計によれば、総人口13億1,584万人のうち男性は6億7,585万人で女性よりも3,586万人多くなっているが、その7割に当たる2,500万人が24歳以下の男性である。
彼らは「一人っ子政策」の下で生まれた世代だ。

江西省臨川の第10高校(生徒数7,000人)に行くと、その問題ははっきりと目に見える形で現れていた。
女子生徒よりもはるかに多くの男子生徒がいて、100人の少女に対する少年の割合は150人だ。

中国政府は、女性が子宮内避妊器具(IUD:intrauterine device).などの産児制限措置を施したかどうかを確かめるために、1982年から国中の至る所にコンパクトで軽量なポータブルの超音波装置を備え始めたが、それは小さな村でさえ2台あるいは3台にもなった。
しかし、妊娠している女性は、男女の別を機械が識別することに気が付いた。その結果、控えめに評価しても、800万人を越える女子が「一人っ子政策」の最初の20年に中絶されたという。

現在では、胎児の性別を識別するために超音波装置を使うことは違法行為であり、装置の使用は医学的に必要な場合に限り、胎児の性別が明らかにされないことを確かめるために2人の医者が同席のうえ、モニター画像を録画して行われている。
しかし、装置は中国では約360ドルと安く手に入り、クローゼットや走行中に走査を行う自動車のトランクに隠せるぐらい十分に小さいので、闇では胎児の性別を識別することが行われている。

特に農村部で男の子を欲しがる傾向が強いが、さほど機械化されていないために労働力として求められることや、男尊女卑の観念が根強く残されていることが原因だとされている。
また、一人だけ許された子が女の子だった場合、「いったん嫁いでしまえば、実の両親の面倒をどこまで見てくれるのか」という不安もあるという。

ジェンダー・インバランスから直接生じる社会問題は既に現れており、「一人っ子政策」の初期の数年には、息子を得ようとする男児の誘拐が非常に問題になっていたが、最近では、息子の妻にするために女児の誘拐や若い少女の人身売買が問題になっている。
このため、政府は、息子を好むのは古い思考であって娘を持つことは良いことであると親に確信させるキャンペーンを始めており、女子生徒の授業料を減額したり、娘だけを持つ親に現金を支給するなどのインセンティブを与える政策を進めている。

第10高校、自分が結婚して家庭を持つなら子どもは1人がいいと言う生徒が圧倒的であり、それは国民の義務だという。

以上、TBSで見たアメリカのCBSドキュメント「60Minutes」からストール記者のリポートを元に、中国専門ポータル「中国情報局」ニュースで補足し、国連経済社会問題局人口部のデータを使用としてグラフを作成しました。

「人口爆発」は中国だけの脅威ではなく、全世界にその影響が及ぶことにもなるので、それを考えれば高校生たちの「愛国心」を笑うことはできませんが、不均衡を解消するためには、社会保障を整備して介護の社会化を進めるとか、男女の均等待遇の実現とかを図っていくのでしょうけど、「一人っ子政策」の下では難しいでしょうね。
他方、都市部を中心に出生率は劇的に低下しており、一人どころか子どもを全く持たない女性も増えているなど、先進国に共通する高齢化も急速に進行しているようです

soliton_xyz at 23:59│Comments(0)TrackBack(0)日本とアジア 

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