2006年07月07日

気持ちはハワイの方に向いている

執務室で大統領に話をする機会があれば、あなたは何と助言しますか?

大統領は、これまでと同様、個人外交を続けるべきです。そして、北朝鮮の行為は受け入れられないことを、はっきりと伝えなければなりません。
しかし同時に「いずれかの時点で北朝鮮と二国間の協議を始めなければならない」と、大統領に助言したいと思います。
マデレーン・オルブライト(Madeleine Albright)元国務長官

私なら、北朝鮮の発射したミサイルは、攻撃ではなく抑止であることを伝えたい思います。それを忘れてはなりません。
双方とも言葉を和らげ、実情を見極めるべきです。そして、対話を始めるための計画を立てていかねばなりません。
ドナルド・グレッグ(Donald Gregg)元駐韓大使

以上、日本時間7日に放送されたアメリカABCニュースでした。
これに先立ち、トニー・スノー(Tony Snow)大統領報道官は発射当日(現地時間4日夜)の声明で、「長距離弾道ミサイルの開発によって他国に恐怖を与えようとする北朝鮮の意図が実証された」と非難しましたが、ミサイルはアメリカにとって危険ではなかったと述べていました。


また、別の報道では「これは北朝鮮とアメリカの問題ではない」と述べたと伝えられていましたが、わざわざ強く否定する必要があったところに問題の本質が見えます。
なぜなら、物理的にはともかく気持ちの上では「ハワイの方に向けて発射した」ことに間違いはなく、アメリカと直接交渉したいという意図が明確だからです。

ミサイル発射の準備段階で北朝鮮側からアメリカに対して直接交渉の呼びかけがあったのですが、その時点ではそれに応じることなく、ミサイル発射後になって「外交交渉による解決」を強調するというのも考えてみれば奇妙なものです。
いわゆる「砲艦外交」も外交交渉であり、「新たな制裁措置の発動」も外交交渉だという理屈でしょうけど、残念ながら同じことの繰り返しで実際に成果が出ていないにもかかわらず「外交交渉の仕方」を変えないのですから。

パパ・ブッシュ政権下で駐韓大使だったグレッグ氏は、今回のミサイル発射について「北朝鮮サイドの非常に愚かな動き」と呼びましたが、彼には現政権内部の「強硬派」との危険な「遊び」に突入したように見えるからでしょう。
北朝鮮側のメッセ−ジは「アメリカが二国間協議に応じればミサイル発射は控えたが、協議に応じないから発射した」というものでしょうけど、これでは協議を始める契機になるどころか逆に妨げになるだけだというわけです。

同様に「国際社会」による「新たな制裁措置の発動」も北朝鮮側に抑制的な行動を促すことには繋がらないでしょうが、「強硬な姿勢」は大衆向けしますし、現在のような「重大な懸念」が「明白な差し迫った脅威」に成長するまでには相当の時間的余裕があるのも事実で、中間選挙向けにいい宣伝が出来れば十分であり、そもそも「外交交渉」に成果が無くても気にしないということのようです。

他方、日本政府の対応も似たようなもので、声高に叫んでいる割には危機意識が希薄なようです。

政府が事態を公表したのは午前6時15分の安倍官房長官の記者会見だそうですが、1発目が発射された午前3時32分から実に2時間半以上も経ってからのことでした。
対応策がないのに問題を認めれば天に唾するようなもので我が身に降りかかるので、「対応策ができるまでは問題を認めない」というのは官僚一般のやり方ですが、こうしたやり方は「対応策を検討している間は情報が漏れない」のが前提なのに、NHKはW杯「ドイツ−イタリア」戦中継の最中に速報を出していました。

問題は、この速報の出方ですが、ミサイル発射から何発発射され種類は何でどこに落下したか小出しに報道されていました。
速報の必要を認めるなら一定程度整理した情報を正式にプレスリリースすべきであり、速報の必要を認めないなら情報は秘匿されるべきです。

特に、落下位置について稚内から500-600kmとかの表現は笑ってしまいましたが、時間的には速報の段階で落下位置を記した地図をリリースすることも十分可能だったはずで、その点では韓国国内の報道とは相当に差があったように思いました。
結果だけを見れば、NHKの速報は、おそらくは政府部内の情報提供者の思惑どおり、適度に危機感を煽って先触れの役目を果たすことで官房長官の記者会見に世間の注目を集めるうえで役に立ったことでしょう。

速報に限らずその後の報道もそうですが、政府が危機感を煽ろうとしているときに積極的に荷担していくあたり、とても国営放送らしくていいですね。
きっと政府は、その後褒美に受信料負担を義務化してくれることでしょう。


【関連記事として】外交官に求められること(2005/05/01)

soliton_xyz at 23:11│Comments(0)TrackBack(1)日本とアジア 

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