2006年07月

2006年07月25日

顧問教諭の法的過失認定

高校山岳部 部活の休憩中の水難事故 1540万円の賠償命令 静岡地裁

 HP「登山事故の法的責任について考える」のニュースにも書きましたけど:

2006年7月19日、静岡地裁で、富士高校山岳部の2年生の男子部員(当時16歳)が、富士川での部活動(クライミングの練習)の昼食後の休憩中に、引率教諭の許可を得て川を泳いで流され死亡したのは、引率教師2人の注意義務違反が原因として、両親が県に計約6245万円の損害賠償を求めた訴訟の判決がありました。

 裁判所の結論は1540万円の支払い命令でした。

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2006年07月22日

落雷事故 差戻審始まる 

高校サッカー大会での落雷訴訟の差し戻し審始まる

2006年7月18日付四国新聞や7月19日付毎日新聞などの報道によると: 2006年7月18日、高松高裁で、高校のサッカー大会の試合で落雷を受けた男性(現在20代)らが、学校と主催者側に約3億円の損害賠償を求めた訴訟の差し戻し審第1回口頭弁論が開かれたようです。

最高裁判所は、今年3月に、この男性らの請求を棄却した2審高松高裁判決を、「引率教諭は落雷を予見できた」と判断して破棄し、審理を高裁に差し戻しました。

法的過失が成立するためには、すでに何度かご説明したように、予見可能性と結果回避可能性の両方が必要です。

最高裁が、法的過失成立のための2要件のうちの予見可能性について、「予見可能性あり」としたわけですから、少法的過失についての争点は、結果回避が可能だったかどうか、だけということになります。

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2006年07月17日

梅雨明け目前 最高裁落雷判決をもう一度

学校登山、夏山合宿、ガイドツアー関係者の方には、最高裁落雷判決の再読をオススメします

もうすぐ梅雨が明け、夏山シーズンが始まります。

 今年の夏は、「高等学校のサッカーの試合中の落雷事故について、教諭には落雷事故の発生を予見すべき法的義務あり」とした最高裁判決後の最初の夏です。

学校登山、夏山合宿、ガイドツアーの引率者の方々は十分ご留意ください。

この最高裁判決の紹介とぼくの感想は、本Blogの2006年03月16日の日記「落雷は予見可能とした最高裁判決を読んで思ったこと」に書きましたので、興味のある方はご覧下さい。

http://blog.livedoor.jp/somiyaseiyu/archives/50306724.html

今回は、判例タイムズNo.1208号、判例時報1929号、そして『岳人』2006年8月号から、この最高裁判決についての解説から、ご紹介します。

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2006年07月12日

コミュ「アウトドア事故とその責任を考える」

SNS-フレバに閉鎖型コミュニティ『アウトドア事故とその責任を考える』開設

Livedoorのソーシャルネットワークサービス(SNS)の「フレバ」に閉鎖型コミュ『アウトドア事故とその責任を考える』を開設しました。ぜひご参加ください。

http://www.frepa.livedoor.com/community/index?community_id=12806

 トピックの題名のみは本Blogでもご紹介しますけれども、参加メンバーとトピックの内容へは参加メンバー以外はアクセスできません。 参加にはlivedoor IDの取得(無料)と実名での申し込み (原則として)が必要です。

http://www.frepa.livedoor.com

コミュ『アウトドア事故とその責任を考える』と本BlogやHP『登山事故の法的責任について考えるページ』との違いは2点。

1.法的責任だけではなく道義的責任もテーマとなる。

 2.閉鎖型かつ実名式である。 以下は、コミュニティ『アウトドア事故とその責任を考える』の案内から。

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2006年07月11日

屋久島沢登りツアー事故判決文

平成17年(わ)第185号 業務上過失致死被告事件

今回は、2004年05月04日、屋久島で発生した沢登りツアー中の遭難事故で、このツアーを企画し、引率していた山岳ガイドの男性が業務上過失致死傷に問われた刑事事件の判決文から主要な部分を、抜粋&要約して、ご紹介します。

なお、判決日は2006年 2月 8日。検察側の求刑は禁錮3年でした。

主       文
被告人を禁錮3年に処する。
この裁判が確定した日から5年間その刑の執行を猶予する。

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2006年07月03日

「吹き溜まり崩落実験」の文献探し(その2)

日本雪氷学会での中山さんの口頭発表とポスター発表を探す。

前々回の日記(2006/07/01付)で、(1) 風下側絶対進入禁止説, (2)吹き溜まり崩落実験, and (3)吹き溜まりには具体的危険あり説, についての中山建生さんのご論文(査読あり)を『雪氷』で見つけられなかったことを報告しました。

今回は、前記(1), (2), and (3)についての中山さんの学会発表を、日本雪氷学会全国大会の口頭発表 or ポスター発表のプログラム (社団法人日本雪氷学会) で調べた結果をご報告します。プログラムは、『雪氷』に綴じ込まれていました。

調べたのは1986年から2005年までです。ただし、1991年度のみ、まだ、調べてありません。

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somiyaseiyu at 19:06|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)

2006年07月02日

富山地裁判決 最高裁HPに掲載

ひさしぶりに、最高裁判所HPをのぞいたら、大日岳遭難事故裁判の富山地裁判決が掲載されていました。

「登山研修所主催の冬山研修会に参加した研修生が雪庇の崩落により発生した雪崩に巻き込まれて死亡した事故につき,講師らに過失(管理人註: 法的過失のことです)があったとして国家賠償請求が認められた事例」

最近は、PDFファイルで掲載されるようになったようです。

ぼくの経験では、掲載されていた判決文が、いつのまにか、消えることもありました。ダウンロードはおはやめに。

以下にURLを:

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=33194&hanreiKbn=03

なお、HP「大日岳遭難事故を考える」には、この判決文だけでなく、最終準備書面やその他の書面がも掲載されています。

他にも、全文を読んでみたい裁判の判決文があるのですが、すべてが最高裁判所HPに掲載されるわけではないし、かといって、個人が入手するのは、なかなか、難しい。すべての判決文をデータベース化して、キーワードで効率的に検索できるようにしてほしいなあ、と思わずにはいられません。
somiyaseiyu at 23:56|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)

2006年07月01日

「吹き溜まり崩落実験」の文献探し(その1)

「風下側絶対進入禁止説」の科学的証拠はどこに?

中山建生さんの「吹き溜まり崩落実験データ」関係の論文を探しに大学図書館に行ってきました。

本Blogで何度も指摘したように、中山建生さんは、大日岳事故以前から、一貫して、「風下側絶対進入禁止説」を唱えていらっしゃるとのことでした。

ある研究者が、新しい説を唱え、その新説の妥当性を人々に納得させるためには科学的な証拠の存在が必要です。(科学的な証拠の要件についてはまたいつか)。

ぼくの理解では、「風下側絶対進入禁止説」の正しさを支える科学的証拠として中山さんがいつも言及されているのは、1980年代後半から20年近くに渡って実施されてきた中山さんらの雪崩講習会で蓄積された「吹き溜まり崩落実験」のデータということになります。

 しかし、法廷に提出された証拠には、このデータは見当たりません。たとえば、中山テキスト(e.g. 甲第37号証)には「講習会では、何度も雪庇の内部を観察して、また、これに人間が乗って加重と衝撃を加えて雪庇の崩落する様子を観察してきました。・・・」としか記載されていません。

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somiyaseiyu at 14:37|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)
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宗宮誠祐

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