2006年07月25日
顧問教諭の法的過失認定
高校山岳部 部活の休憩中の水難事故 1540万円の賠償命令 静岡地裁
HP「登山事故の法的責任について考える」のニュースにも書きましたけど:
2006年7月19日、静岡地裁で、富士高校山岳部の2年生の男子部員(当時16歳)が、富士川での部活動(クライミングの練習)の昼食後の休憩中に、引率教諭の許可を得て川を泳いで流され死亡したのは、引率教師2人の注意義務違反が原因として、両親が県に計約6245万円の損害賠償を求めた訴訟の判決がありました。
裁判所の結論は1540万円の支払い命令でした。
裁判所((男沢聡子裁判官)の判断は、(1)引率教諭2人は「急流で遊泳することによる危険性を予見できたのに、すぐに救助できる場所で監視、待機すべき注意義務に違反した」と(2)「具体的な注意も指示も与えずに部員を自由に泳がせていた。おぼれ始めたときはすぐに救助できる状況になく、過失があった」です。
賠償の認定額が6245万円ではなく1540万円となったのは、「泳がない決断も十分に可能だった」として原告側の過失も認め、過失相殺がなされたためでしょう。
なお、平成16年9月、静岡地検は、業務上過失致死の疑いで書類送検された教諭2人を嫌疑不十分で不起訴処分にしています。
ご遺族は、静岡検察審査会へ不服申し立をされ、06年1月に静岡検察審査会も不起訴相当、つまり、起訴するまでにはいたらない事故、と判断したとのことです。 詳細は以下をどうぞ。日にちがたつとリンク切れする可能性が高いと思います.
読売新聞(2006/07/19)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060719i211.htm
産経新聞(2006/07/19)
http://www.sankei.co.jp/news/060719/sha066.htm
毎日新聞(2006/07/20)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060720-00000022-mailo-l22
これまでは、検察審査会が起訴相当と判断しても、この判断に法的な強制力はありませんでした。しかし、近い将来には、検察審査会が、2回、起訴相当と判断した場合は、必ず、起訴しなければならなくなります。具体的には、2009年5月27日までに施行するよう定められています。
かなり読むのがたいへんですけど以下に、首相官邸のベージから、ご紹介します
刑事訴訟法等の一部を改正する法律(平成16年法律第62号)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sihou/hourei/keiji.html
こちらはかなり簡単です。
第3 検察審査会法の一部改正1 検察審査会制度の議決に対するいわゆる法的拘束力の付与 ○ 検察審査会が起訴相当の議決をした後,検察官が再考をしても不起訴処分を維持したときは,検察審査会は,再審査を行い,起訴をすべき旨の議決をすることができるものとする。 ○ 裁判所から指定された弁護士が,起訴をすべき旨の議決に従って,公訴を提起し,その維持に当たるものとする。
上記の概略の方の出典は「刑事訴訟法等の一部を改正する法律の概要」(司法制度改革推進本部)です。首相官邸の以下のurlです。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sihou/hourei/keiji_s.html