2010年07月13日

転勤命令拒否者に対する懲戒

採用時に転勤の可能性があることを説明し、転勤自体が常に行われている状況がる場合や、業務の必要性があり転勤を命令したとき、転勤拒否をした従業員にどのような対応をすればよいのでしょうか。
まず、転勤対象者の人選の合理性を確認します。裁判例では「通常甘受すべき程度を著しく超える不利益」があるかどうかがポイントとしてあげてますが、労働者の個人的事情(子供の教育、親の介護等)さらに、他の複数の同僚にも異動の可能性も考慮しなければなりません。
では、転勤命令を拒否した従業員に対する処分はというと、まず就業規則の懲戒事由、内容に定めてある必要があり、そして、処分は「懲戒解雇」ということになります。これは、譴責、減給、出勤停止では、従業員にとって転勤命令に応じる不利益の方が大きく、懲戒処分を受ける選択をする可能性があるからです。こうなると、会社側は転勤による業務上の目的を果たすことができず、さらに労務管理面でも使用者の転勤命令権が損なわれてしまうおそれがあります。
 しかし実務では一発解雇せず、できるだけ説得をし(旧職場での就労の禁止、強制就労の場合は労務提供の受領拒否や転勤の必要性、拒否理由を十分に聞き、拒否理由の解消に尽力するなど)、会社が転勤に同意を得る努力をしたことを記録として残す必要があります。それでも尚転勤に応じない場合は、前述のとおり、普通解雇処分(懲戒解雇は就業規則の記載がないなどがあると、会社に不利に働く場合が多い)として取り扱うことになります。


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somu99 at 17:51