2018年04月06日

大谷の大活躍に思う、冷静になろう

 エンゼルスの大谷が絶好調だ。投げて打って。米国でも「ベーブ・ルースの再来だ」と大騒ぎになっているらしい。オープン戦での成績が、防御率27.00、打率0.125とすさまじくひどいものだったから、「マイナーへ行け」との声が上がったのも無理はない。そこからの挽回、落差が大きすぎるのである。

 それが開幕した途端、初登板初勝利。3ランを打たれたが、その後、持ち直し、6回を投げてクオリティスタートとなった。これは味方の援護があったからで、ラッキーと言えた。しかし、打つ方はラッキーではない。2試合連続ホームラン、しかも2本目はサイヤング賞投手からの1発で、価値があるとされている。ホームランばかりに注目が集まるが、シングルヒットもしっかり打っていて、現時点で打率4割超えである。

 これではフィーバーが起きない方がどうかしている。NHKの夜7時のニュースがトップで扱う異常事態になっている。ワイドショーはどこも特集を組んだ。日本人にとって痛快なニュースだから、大きく扱われて当然であろう。問題はこれがどこまで続くかではないか。シーズンは始まったばかりなのだ。新人はまだあまり研究もされていない。いまの衝撃的な好成績は多分に「ラッキー」の積み重なりなのだ。

 大谷は右投げ、左打ちである。打者の時、右半身は無防備に投手にさらされている。内角攻めをされると、右半身は危険だ。まだ、死球は受けていないが、ネットには「未来から来た。大谷は頭部に死球を受け、植物人間になる」といった不吉な書き込みさえある。そこまでひどいことはないかもしれないが、死球による怪我というのは十分に考えられるシナリオである。もちろん、スプリットの多投による肘の故障というのは現実味のある展開といえよう。それを恐れる。

 開幕した途端、思ってもみなかった破格の活躍をしたため、ファン(僕を含む)は浮かれているが、まだ、数試合を消化したのみなのである。シーズンは160試合続く。過酷な日程だ。日本のプロ野球の比ではない。スランプに陥ることもあるだろう。だから、個人的にはあまり喜びすぎないようにしたい。オールスター戦まで、このまま順調にいけば、それは大変なことだが、4ヶ月、いまの調子が持続するとは思えない。怪我をすることも織り込んでおく必要がある。だから、一喜一憂することなく冷静になろうと自分に言い聞かせている。

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son630son at 22:53|PermalinkComments(0) スポーツ | ジャーナリズム

2018年03月28日

藤井6段、よもやの敗戦

 将棋の最年少棋士、藤井聡太6段(15)は28日の王将戦予選で、関西の雄、井上慶太9段(54)と対局し、137手で敗れた。終盤まで互角の展開で、藤井6段が得意の終盤力を発揮し、勝つと思っていただけに僕にとってショッキングだった。

 お互い飛車を振らない居飛車の戦い。中盤以降、藤井6段も奇抜な好手を繰り出したが、井上9段も負けていない。最善手と思われる手を次々と指し、白熱した対局となったが、最終盤、藤井6段にまさかの「ミス」が出て、敗れた。

 ちょっと強引すぎたのだろうか。素人目にも明らかな敗着の1手があった。裸の王様なのに、合駒を入れずに逃げ回ったのが、いけなかったのではないか。これは相当悔しいはずだ。16連勝中はこんなことはなかった。まさかの「驕り」ではなかろうか。

 藤井6段は不思議な人だ。年頭の対局で負け、そして勝ち続け、そして年度末最後の対局で負けた。これで連勝は「16」でストップ。新年度はまっさらな地平から高みを目指す。僕は今回は負けないと思っていた。なにしろ、相手は9段とはいえ、勝率は5割ちょっと。級でいうと、C級に在籍なのだ。しかも藤井6段は40歳以上のプロには負けていないという実績もあった。だから、なぜと思ってしまう。無残に詰められていく藤井6段の王様を見ていて、哀れになった。ま、人生こういう日もある。晴天ばかりではない。新年度、藤井6段が心機一転、ゼロからまた連勝を積み重ねていけばいいのだ。それに期待し、また将棋観戦を楽しむつもりだ。

 きょうの観戦はいつもの、無料のabemaTVではなく、有料(1日500円)の将棋プレミアムで行った。権利の関係でそうなった。でも、ほぼ1日まるまる楽しめて500円なら、そんなに高くない。無駄につかう500円もある。今にして思えば、楽しい観戦だった。藤井君、ありがとう。いつも面白いよ、君の将棋は。奇想天外で発想が柔らかい。新年度も僕らをワクワクさせてくれ。

 なお、井上9段の門下生には、菅井竜也王位や稲葉陽8段など実力者がひしめき、菅井、稲葉は藤井6段に昨年勝っている。井上一門は藤井6段に3連勝ということになる。強い師弟がいたものだ。

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son630son at 20:26|PermalinkComments(0) ジャーナリズム 

2018年03月25日

藤井聡太6段が詰将棋解答選手権で史上初の4連覇

将棋の最年少棋士、藤井聡太6段が25日、東京、名古屋、大阪の3会場で行われた第15回詰将棋解答選手権「チャンピオン戦」に出場し、史上初となる驚異の4連覇を飾った。詰将棋NO1の称号は今年も藤井6段に与えられることになった。

今年の選手権には「光速の寄せ」で知られる谷川浩司9段や朝日杯将棋オープン戦の準優勝者広瀬章人8段らトッププロも多数参加。アマチュアの強豪、女流棋士を含む過去最多の105人で頂点を争った。藤井6段は昨年誤記で前半戦を6位で終えたが、後半戦で巻き返し、3連覇を果たしていた。藤井6段は8歳から参加、12歳の小学校6年の時に初優勝した。

勝負は前後半戦に分かれ、それぞれ90分で超難問の詰将棋5問を解く。正解率と速度で争う。藤井6段は前半では最速の55分で会場を退出。それでも5問全問正解でこの時点でトップに立った。後半は時間を使い切ったが、5問正解。つまり参加者中、ただひとりの100点満点で優勝した。2位は宮田敦史6段(36)の94点。

僕も5手詰めの詰将棋などは解いたこともあるが、この選手権は30何手かで詰むといった超難問ばかり。想像もつかない。途中で挫折するに決まっている。参加者中ただひとり全問正解ということは、谷川9段もどこかで引っかかったということになる。藤井6段は師匠からは「本職の将棋に差し支える。詰将棋は控えるように」といわれ、以前ほど詰将棋はやっていないはずだが、抜群の計算能力を見せつけた。今年圧勝したことで、藤井6段が出る限り、この選手権は藤井6段のものということになりそうだ。

藤井6段は名古屋会場で記者会見し、「最近は詰将棋を解いておらず、自信がなかったので、驚き、かつほっとしています。プレッシャーは特になかった。今年も素晴らしい(詰将棋)作品に出会えて、うれしかった」と述べた。ちなみに藤井6段は詰将棋作家としても有名で、権威ある賞も受賞しているほどだが、前述した事情が物語るように、将棋そのものに専念するため、作品づくりなどは控えているようだ。

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son630son at 17:28|PermalinkComments(0) ジャーナリズム 

2018年03月23日

藤井聡太6段の快進撃が止まらない

将棋の最年少棋士、藤井聡太6段(15)の快進撃が止まらない。中学の卒業を終えたばかりの22日には格上の糸谷(いとだに)哲8段に快勝し、王座戦本戦トーナメントへの進出を決めた。僕は午前中からabemaTVにかじりつき、夜の勝敗決定まで見守った。

糸谷8段は元竜王で、B級1組に在籍。ここで8勝0敗の抜群の成績をあげ、来期からA級に進級することが決まっている。関西若手四天王といわれ、「怪物くん」の愛称でも親しまれている。阪大大学院で哲学者ハイデッガーを研究、修士号を持つという異色の経歴でも知られている。藤井6段にとって、当面最強の難敵とみられていた。

将棋は中盤、お互いに長考が続いた。藤井6段は、解説者の予想もしない場所に角を打ったり、桂馬をはねて「ただ」で進呈するなど随所に藤井「らしさ」が炸裂、見ている方は面白い展開だった。終始、攻めていたのは藤井6段だったが、僕が一番すごいと思ったのは、きらびやかな攻めの手ではなく、底に打った守りの金だった。これで藤井6段の王がより安全になった。負けがなくなったともいえる。

確かに攻めの局面は派手で、見映えはいい。藤井6段は常に攻めの姿勢を見せる。そこが観戦する者にとって、最大の醍醐味だ。鋭い攻めの手が続けば、かっこいいし、拍手喝采だ。だけど、それだけでいいのか。1手を惜しまず、守りを強化する。この判断ができるかどうか。22日の対局では、この守りの1手が最後に効いたと僕は見る。このあたりの指し回しに進化が表れていると見るのは、見当違いだろうか。29連勝当時は、ここまでの冷静な判断は少なかったと思う。現在16連勝の快進撃は、こうした攻めと守りのバランスがもたらしたものと考える。どっしり構え、変幻自在の手を繰り出す。

さあこれで、年度内は28日の井上慶太9段(54)との対局を残すのみとなった。井上氏は9段という最高段位で、菅井竜也王位(25)ら強豪棋士を弟子に抱える名匠だ。しかし、現役のトップ棋士とはいわれていないような気がする。少なくとも、糸谷8段ほどの強敵ではないと見る。だから17連勝は達成されると予想する。となると、年度またぎで連勝記録が続くことになる。そして、2018年度初戦に勝てば、18連勝となり、これは2018年度の記録とみなされる。通常、ここまで勝てば、年度最長連勝記録になるから、連勝が「18」で止まっても、多分年間表彰の対象となりそうだ。だから、またしても、藤井6段の次戦、次次戦から目が離せない。

今週から来週にかけての藤井6段だが、24日に小学生将棋フェスティバル(正確な名称は忘れた)のゲスト出演、そして25日日曜日には詰め将棋解答選手権がある。この大会、藤井6段が小学校6年の時から3連覇していることは皆さん、ご存知の通り。4連覇なるか、メディアがこぞって取り上げるだろう。詰め将棋は、藤井6段にとって最大の趣味(笑い)。並みいる参加トッププロに圧勝してきた過去があるから、どうみても4連覇は固い。それとも、本職の将棋で忙しく、詰め将棋の練習不足だろうか。それで優勝できないのだろうか。今頃、ちょうど、瀬戸市の自宅で、詰め将棋の問題を一生懸命解いている藤井6段の姿が目に浮かぶようだ。

余談だが、藤井6段は読書家としても知られる。小学生の時、司馬遼太郎を読み、その後も沢木耕太郎の「深夜特急」などを好んで読んできた。僕は沢木耕太郎は好きだが、「深夜特急」は読んでいなかった。文庫本で5冊。昨年、アメリカに一人旅したときに「深夜特急」を持っていき、楽しく読んだ。同じく、藤井6段の愛読書は「海賊とよばれた男」(百田尚樹著)という。このベストセラーも読んでいなかったので、アマゾンの中古書コーナーで買い、今から読むところだ。将棋だけでなく、読書の面でも15歳に指南を受ける68歳である。ありがとう藤井君!

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son630son at 10:40|PermalinkComments(0) ジャーナリズム | 格闘技

2018年03月16日

藤井聡太6段から目が離せない

 「盤上の格闘技」とも言われる将棋がいま、アツい。もちろん、その火付け役は15歳にして、史上初を連発する藤井聡太6段だ。

 僕も中学時代、将棋に夢中になった。大昔の話である。タレントとしてもブレークしている「ひふみん」こと加藤一二三九段が気鋭の若手として大活躍していた時代だ。なので、初歩的な定跡などは今でも覚えている。でも、有段者ではない。多分、実力は最高で5、6級といったところだ。

 藤井6段のことは連勝の過程で知った。おそるべき新人が現れたという認識だった。その快進撃ぶりは爽快だった。30連勝を許さなかった佐々木勇気6段を恨んだ。それでも、対局があるたび、anebaTVや将棋チャンネル(これは有料)でネット観戦するようになった。サイバーエージェントが運営するabemaTVは、CM収入に依存しているため、無料なのがいい。カバーしている棋戦は数多い。

 早指しと呼ばれる短い持ち時間の対局(たとえば藤井が優勝した朝日杯将棋オープン戦)ならいい。昨日の順位戦のような対局だと、持ち時間が各6時間だから、朝から夜までパソコンの前に座りっぱなしになる。へたすると、12時をすぎ、日またぎとなる。途中はいろいろな用事で目を離すが、それでもまったく進展していなかったりした。これは体力的にもしんどい。

 昨日の順位戦は相手が三枚堂達也6段(24)だったので、ドキドキした。昨年7月には負けているし、1年間で4段から6段にさっさと昇段(藤井と同じ)しているので、相当な強敵だ。しかし、実際の戦いは藤井6段の一方的なものだった。付け入る隙をみせない完勝である。途中からは、素人目にも優勢が明らかで、ここからは、僕がやっても勝てるのではないかと思わせるものだった。負ける可能性が限りなくゼロなのである。

 ネットの評判をみても、「29連勝のころより、格段に強くなった」というものが目立った。次戦は22日の糸谷八段戦だが、この難敵に勝てれば、だれが連勝を止めるのかという話になってしまう。確かに糸谷八段というのは、次期からA級に入るというトップ棋士の一人だ。僕も22日は一日中、パソコンにかじりつくだろう。藤井6段が昨日の三枚堂戦のように、午後8時台に終わるような圧勝をしてくれるといいのだが。

 ここで、ざっくりとおさらいをしておくと、藤井6段は、2017年度の最多対局、最多勝、最長連勝、最高勝率の4部門で1位となった。4部門しかない。この発表が年度末ギリギリではなく、3月13日になされたことは印象深い。まだ、藤井があと3戦残している段階で、勝率1位が確定したということは、それだけ2位との差があったということである。もちろん、最年少での達成だ。「4冠王」はふつう年度最優秀棋士(記者投票)に選ばれるが、今年度は事情が違う。羽生竜王が7つのタイトルで、「永世」の称号を初めて獲得し、国民栄誉賞を得たからである。

 羽生竜王はタイトル獲得数がなんと「99」になっている破格の存在だ。そんな羽生氏を選ぶか、藤井6段の快挙を優先させるか、投票する記者は悩むだろうな。藤井6段は、4冠王のほかにも、最年少一般棋戦優勝、最年少6段昇段などすさまじい実績を残している。そして、デビューからの29連勝はだれもが知るように、30年ぶりの大記録だ。この記録だけですごい偉業なのだが、おまけに4冠王、棋戦優勝、6段昇段などがついてきた。現在も15連勝中なのである。これは29連勝に次ぐ2位の連勝記録。ふつうの年なら、これで最長連勝になる数字だ。

 さて、これからの藤井6段はどうなるのだろう。一番の注目点は、いつ初タイトルを獲得できるかだ。それが、屋敷八段の18歳6ヶ月より早くなるかどうか。あと、3年近くあるので、十分可能性はあると思えるが、このタイトル戦、挑戦者になるだけで気が遠くなるような連勝を重ねなければならない。運も味方につけなければならない。だから、いくら15歳の時点で強くても、タイトル挑戦者になれるとは限らない。スランプに陥ることもあるだろう。15で天才と呼ばれた人が、20になったら凡人になっていたという恐れもある。でも、藤井6段の未来を信じたい。日本が森友問題やレスリングのパワハラ疑惑などで、灰色に包まれていても、藤井6段のニュースには気持ちが癒やされる。謙虚な人柄も好ましい。日本のこれからにとって欠かせないのが、藤井6段だといえよう。

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son630son at 20:32|PermalinkComments(0) ジャーナリズム | 格闘技

2017年07月09日

たった9日間で

たった9日間、アメリカに行っていただけなのに、その間に悲喜こもごも、いろんなことが起きており、当惑し、追いつくのに苦労した。訪米は6月19日から27日まで。

まず悲しいニュースとしては、小林麻央さんが亡くなっていた。最後の方は、写真に死相が表れており、そんなに長くは持たないな、とは考えていたが、あんなにあっけなく亡くなるとは想像を超えていた。ブログを愛読していただけに、喪失感は大きい。死の2日前、最後の投稿となった「オレンジジュース」には7月9日現在、7万2000ものコメントが寄せられており、ものすごい数の人が急逝を悲しんでいるれことがわかる。

亡くなって2週間以上たつのにコメント数は毎日増え続けており(「笑顔に会いにきょうもまたここ(ブログ)に来ました」など)、その光景は異様ですらある。麻央さんのブログは逐次英訳されており、それを日々、掲載しているから死後もブログが更新されるといったこれも異様で珍しい状況となっている。前回のブログで麻央さんの件をややネガティブな形で取り上げたので、後始末として書いた次第です。

うれしいニュースは、最年少プロ棋士藤井4段が、前代未聞の29連勝を達成したことである。米国の旅行者がリアルタイムで知る方法は私にはない。29連勝もありえると同時に、28連勝目の相手、沢田6段が強敵なことから「28連勝成らず」の見出しも浮かんでは消えた。段位はないものの、中学時代、将棋に熱中した経験を持つ私には、この新星の登場は胸のすく思いがある。言われていることだが、プロになって経験を積んでからの連勝ではなく、デビューしていきなりの連勝だけに一種のすごみがある。

藤井君の登場で、対局をスマホで追いかけて見ることに夢中になっている。持ち時間各6時間ともなると、12時間以上の対局時間になるが、スマホを充電器につないで観戦する始末である。生中継があるのはいいが、サーバーの関係か、時々、ブツブツと切れる。そこが難点ではある。将棋はよくできたゲームであり、その存在にふさわしい光が当たっていると感じる。スーパースターの登場は、人々をわくわくさせるものである。

びっくりしたのは豊田議員の暴行・暴言事件である。あの「ハゲ!」という罵声をテレビで耳にした時には、驚いた。まさにICレコーダーの威力だ。この件は、刑事事件になる可能性もある。多くを語るに値しない事件ではある。

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son630son at 19:21|PermalinkComments(0) ジャーナリズム 

2017年05月18日

ブログビジネス

歌舞伎役者、市川海老蔵の妻、小林麻央さん(34)のアメーバブログは読者数が200万人を大きく超えた。海老蔵のブログも、姉・麻耶さんのブログも読者数が100万を超えている。僕の最近の日課はこの3人のブログをチェックすることだ。

芸能人、スポーツ選手中心のアメーバブログは、PVに応じて、報酬が支払われる。一説によると、その額は1200PVで30円。僕のブログは多くて、100PVだからお話にならないが、麻央さんのような巨大ブログだと事情は違ってくる。

麻央さんのブログは、多いときは、1日1000万PVあるという。上記の1万倍である。このようにすさまじい人気ブログは信じがたいPVを記録している。その証拠に「いいね」が10万、コメントが5000なんてざらだ。

すると、どうなるか。30円の1万倍近いのだから、30万円近くの収入になる。1日の収入である。月額にすると、最大900万円。すごい金額だ。海老蔵だって、100万単位は稼いでいる。2人の頻繁なブログ更新は、PV確保のためとみられる。

麻央さんは慶応病院の個室に入院中だ。部屋代だけで1日5万円。月額150万円。これに高額の医療費もかかってくる。そのほか、試せるだけの先進医療も試しているみたい。ぞれでも高額のブログ収入があれば問題ない。

麻央さんのブログは名文だ。簡潔にして鋭い。ポエムのような時もある。海老蔵のブログは子供の写真に癒されるが、内容は空疎だ。それに更新があまりに頻繁すぎる。海老蔵は「舞台と病院の行き来はしんどい」みたいな愚痴をブログに書いて、「麻央さんも読むブログに書くとはあまりにも無神経」と批判された。

麻央さんは麻央さんで、高熱が出たと書いた翌日に熱の状態に触れないまま、長文のブログを書いたりして、体調がいいんだか、悪いんだか、判然としない。口さがない連中はネットで「死ぬ死ぬ詐欺」と揶揄している。これはなんでも言い過ぎだと思うが。

それでも、乳がんでステージ4の末期と言われ、転移もみられる麻央さんの病状が気がかりで毎日、ついのぞいてしまう。ブログビジネスの実態はあまりにも巨大だが、それとは関係なく、34歳の日本人女性の貴重な記録として、注目せざるを得ない。

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son630son at 23:05|PermalinkComments(0)TrackBack(0) ジャーナリズム 

2016年10月13日

村上春樹はなぜノーベル文学賞をとれないのか

 今年のノーベル文学賞は、村上春樹(67)ではなく、米国のシンガーソングライター、ボブ・ディラン(75)に贈られることになった。「風に吹かれて」のあの歌手にして、作詞作曲家である。

 歌詞に文学的価値があるとして認められた。これは画期的なことだ。しかし、ディランは数年前から、ノーベル文学賞候補とされてきたので、欧米ではそれほどの驚きはないかもしれない。そもそも、日本では歌詞の価値が低くみられてきた。逆に欧米では、歌詞の価値見直しのムードが盛り上がっていたのだ。

 日本では、井上陽水や中島みゆきなど非常に優れた歌詞を残した人でも、文学賞の対象になることはなかった。ありえなかった。これ自体がおかしかったのだ。ディランの受賞は保守的で狭い了見の日本の文壇に対し、強烈なパンチとなったはずだ。あわてふためく文壇の大御所を想像すると、愉快である。

 ではなぜ、村上春樹は今年もまた受賞を逸したのか。この十年近くノーベル文学賞最有力候補とされながら、なぜ、受賞に至らないか。推論に過ぎないが、この原因は選考委員会の「嫉妬」にあるとみる。村上作品は新作が出るたび、欧米やアジアで大きな話題となり、本は平積みにされて、飛ぶように売れてきた。

 別の言い方をするならば、村上作品はあまりにも「ポピュラー」なのだ。人気がありすぎる。村上に授賞となれば、その人気をひたすらあおることになる。そんなことはしたくない。もっと地味ながら、コツコツと作品を紡いできた作家が世界中にいる。そんな人にスポットライトを当てたいというのが選考委員会の思いだろう。村上のような「通俗的」な作家には安易に賞を贈らないと決めた、と推定される。

 とはいえ、村上春樹も年をとり、70歳目前となってきた。60代のうちに受賞してもちっともおかしくない。村上文学の真価を考えると、「嫉妬」ではなく、大局的見地から授賞に踏み切ることは十分ありえる。それを期待したい。

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son630son at 22:26|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 文芸 | ジャーナリズム

2016年07月21日

日本人の生き方を変えた男・大橋巨泉〜罪悪視されていた「遊び」を人生の楽しいテーマにしてしまった

ab730783.png 大橋巨泉が亡くなった。いろいろ報道されている。でも、どこか違う。肝心のことが語られていない気がする。巨泉の「価値」は報道されているより大きいと思う。巨泉は日本人の生き方に大きな影響を与え、それを変えてしまった。

 人生は楽しむためにある。それが巨泉のモットーだった。「11PM」以前の日本人は生真面目すぎた。そこにするりと巨泉は球を投げたのだ。高度経済成長期の日本人に球を投げた。遊び、という球を。

 大いに遊ぶべし、という価値観を打ち出した。それまで、遊びというものは、どこか後ろめたいものだった。真面目な大人は遊ばない。それが一般的な見方だった。巨泉の出現で、遊んでいてて、いいんだ、となった。コペルニクス的転換である。

 それを実践していったから説得力があった。ゴルフでも麻雀でも競馬でも、上手かった。遊びでも手を抜かない。とろいことはしない。理詰めでいく。真面目に遊んだ。その、遊びにかけては、徹底したところが素晴らしかった。

 56歳での「セミリタイア」宣言はその延長線上にあった。はるかに年下の女と再婚し、一緒に遊んだ。冬の寒い時期は南半球の温暖なオーストラリアやニュージーランドで過ごし、くそ暑い夏は涼しいカナダ・バンフで避暑をした。日本滞在は春か秋。その生き方は、羨望の的でもあり続けた。

 巨泉逝くの報を聞き、そんなことを思った。惜しむらくは、82歳での他界であろう。本人は100歳ぐらいを目指していたはずだ。がんの転移が相次ぎ、それが叶わなくなったと知った時は落胆したと思う。冥福を祈りたい。

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son630son at 21:32|PermalinkComments(1)TrackBack(0) ジャーナリズム 

2016年04月15日

映画「家族はつらいよ」は山田洋次監督らしいほんわか小市民的コメディだが、トシのせいか切れ味に欠ける

bf3f02fe.jpg山田洋次監督は僕が大好きで、欠かさず見ている人である。小市民的コメディに味がある。ひねりがある。今回の「家族はつらいよ」はあまり期待しないで見たが、残念ながら彼の力量からすると、かなり落ちる。トシのせいか。前作の「母と暮らせば」も、どうということのない作品だった。2作続けて、というのは気になる。

脇役俳優の橋爪功を73歳の主人公にすえた。妻役は吉行和子である。いいバランス。長男役に西村雅彦(妻に夏川結衣)、次男役に妻夫木聡(婚約者に蒼井優)、長女役に中島朋子(夫に林家正蔵)。マンネリすぎる「山田組」メンバー。なんの照れもなく、こうしたマンネリ配役をするのは、やはりただものではない。

吉行が橋爪に離婚届を突きつけるところからドラマが始まる。橋爪には思い当たるフシがなく、ただ驚く。行きつけの居酒屋(ママは風吹ジュン)での酒量も上がる一方だ。同居する長男夫婦、次男、税理士の長女も驚く。吉行は小説を教えるカルチャーセンターの創作教室に通っている。そこで自由の「味」を覚えたのだ。

熟年離婚どころか老年離婚。だれが言い出すともなく、離婚をめぐって「家族会議」が開かれることになった。もっとも、この日は妻夫木が婚約者を連れてきて、家族に紹介する日でもあった。自然に蒼井は家族会議にオブザーバーとして出席する羽目になるのだが、思いがけず重要な役割を果たすことになる。

さてクライマックスの家族会議。吉行は離婚を思い立った理由として、日常生活での数々の「不快」を挙げていく。自分自身が非難されているような、だれにでもあるような日常生活の不手際で、つい笑ってしまう。多くの夫婦が程度の差こそあれ、身につまされるであろうレベルの言ってみれば「たわいのない話」。

蒼井は両親が離婚しているという設定。一家のやり取りを聞いた後、「こういう風に話せるっていいなあ、と。うちの父親は無言で家を出ていきました」と語り、一家の面々を驚かせる。さらに蒼井は看護師の設定でもあるので、橋爪のピンチを救急看護で救う。このあたりはうまい流れ。でも・・

これ以上、書くのは失礼になるので控える。ただ、ハッピーエンドで終わるとだけ言っておこう。ラストは、小津安二郎の「東京物語」へのオマージュ。よっぽど好きなんだなあ、と笑ってしまう。また、タイトルは巨匠・横尾忠則がつくった。凝ったタイトルだなあと思っていたら、エンドロールで「なんだ横尾か」と目を瞠った。

涙もろい私なので、泣かされるのではとも思ったが、泣かなかった。ただ、蒼井優のやさしい笑顔が妙にこっちの心にしみてきて、なぜか目頭が熱くなった。普通は泣く場面じゃあない。妻夫木聡は私のお気に入りでもあるので、その嫁さんになるという話はうれしいじゃないのっていう話。

要するに、どこにでもあるような話。あんまり当たり前すぎて、映画なんだか、現実なんだか、分からなくなる。ひねりが足りない。そこが物足りない。客席からは結構笑い声が聞こえて、お客は満足しているようだった。私は笑いに引き込まれない。平日の午後にしてはかなり客が入っているように思えた。人は人、私は私。

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son630son at 17:54|PermalinkComments(3)TrackBack(0) 映画 | ジャーナリズム

2016年02月11日

映画「ストレイト・アウタ・コンプトン」は黒人英語がチンプンカンプンだが、アメリカ社会の生々しい現実を知るには良い映画

6bc1aabb.png渋谷まででかけて、映画「ストレイト・アウタ・コンプトン」を見てきた。平日の昼間だが、思ったよりたくさんの客が入っていた。コンプトンとは、ロサンゼルス特派員だった私にとって懐かしい地名。名前だけでビビる。

映画はそのコンプトンが舞台。全米でも犯罪率の高い地域として知られ、映画でも麻薬取引、殴る蹴るの暴力、貧困、差別がのべつまくなしに登場する。映画は、そのコンプトン出身のラップグループ「N.W.A.」の成功と挫折を描く。

1986年が出発の年だから、私が37歳の時。そのグループを知らないわけだ。ハリウッドには「レイ」(レイ・チャールズの伝記映画)、「ウォーク・イン・ザ・ライン」(ジョニー・キャッシュの同)、「ドリームガール」(ダイアナ・ロスとシュプリームスの同)があり、近年ではフォー・シーズンスを扱ったイーストウッドの「ジャージー・ボーイズ」といったアーティストの伝記映画の秀作が多い。それを期待したが、裏切られた。

知らないと、感情移入しにくい。映画はまずヒットを出して、のし上がっていく姿を描く。成功して、お金がどんどん入っていくようになると、メンバーに亀裂が入る。「おれのギャラはお前に比べ、低すぎる」といった具合に。そして会計のスキャンダル、最終的には分裂し、解散する。隆盛を誇ったのは数年にすぎない。

成功と挫折と描き方はワンパターン。それより、私にとって厄介だったのが、黒人のスラング英語。ほとんど聞き取れない。それが、白人のマネジャーが登場すると俄然分かる。マネジャーはメンバーに問う。「NWAは何の頭文字なのか」と。そして自分でおどけて「No White Allowed」(白人お断り)かい、って。これはきれいに聞こえる。メンバーは否定して、正解を言うのだが、もう聞き取れない。黒人の英語には悩まされた。

映画は1992年に起きたロサンゼルス暴動の引き金になった白人警官による黒人青年殴打事件(ロドニー・キング事件)前後にも触れる。ロス暴動は私も現地で取材したから、ある意味、懐かしい。暴動は白人対黒人の対立を背景に起きたようにも思えるが、取材した実感では韓国人とヒスパニック(ラテン系住民)の対立もある。

いずれにせよ、すさまじい人種差別、憎悪、暴力、ギャング、麻薬、エイズといったものがこれでもかこれでもかというぐらい登場する。暴力装置としての警察も出てくる。「Fuck The Police」(くそくらえ、警察)を叫んで逮捕されるメンバー。米国社会の生の姿をむきだしの形でアラアラしく描いた作品である。

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2015年12月15日

映画「母と暮らせば」(山田洋次監督)は、ほんわかムービーながら、反戦の主張も色濃く

08e7107a.jpg私の中では、山田洋次=鉄板なので、必見ムービーです。ただ、監督初のファンタジー映画というところ、吉永小百合を使った母もの=涙、というところに若干の抵抗を感じながら、映画館に行ったわけです。130分という尺も長すぎる。

映画は昭和20年8月9日の長崎への原爆投下から始まる。医大生の浩二(嵐の二宮和也)は講義中に遭遇し、絶命する。その浩二の母親役が吉永小百合だ。あとは浩二の恋人役町子の黒木華。この3人を中心に展開する。

3年後、一人暮らしの吉永の家に浩二の「ゴースト」が現れる。涙をみせると消えるという設定。毎日のようにゴーストは現れ、吉永は浩二との対面を楽しみにするようになる。このゴーストの処理が自然で、山田洋次の手腕を感じる。

町子は浩二を思うあまり、残りの人生を1人で暮らす決心をする。それは無理だし、健康なことじゃないと吉永は思い、浩二と話し合う。浩二も最初は抵抗があるが、母の意思を尊重するようになる。それを受けて、吉永は町子を説得する。

ある日、町子が松葉杖の男性を連れてくる。新しい恋人だ。浩二が祀られている仏壇の前で静かに手を合わせる。見るからに誠実そうな人物で、吉永の心が晴れていく。ドラマで言えば、ここがクライマックスか。

130分の長さを感じなかった。吉永、二宮、黒木をはじめ、芸達者がそろった。二宮はクリント・イーストウッド監督の「硫黄島からの手紙」に出たころは、幼さが目立ったが、今回はどんピシャの年齢帯だった。70歳の吉永は50歳を演じたことになる。

涙腺のゆるい私だが、涙が止まらないといった現象は起きなかった。何カ所かでホロッとし、涙が出たが、そこまで。山田洋次監督の淡々とした、味のある描写に今回もしてやられた。派手さはないが、おすすめの映画です。

故・井上ひさしへのトリビュートでもある。戦争の場面も、反戦の場面もほとんどないが、不戦の訴えが全編にしみこんでいる。それをどうとらえるか、言うまでもなく、皆さんの自由です。

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2015年10月09日

映画「野いちご」(イングマール・ベルイマン監督)は、夢と現実が交錯する中、現代人の信仰についての議論を巧みに織り交ぜた傑作

83bc9e95.png10代のころ、見た記憶があり、老人が主人公とまでは覚えていたが、中身は完全に忘れていた。最初から最後まで、会話にウィットがあり、分かりやすく、面白い。人生は走馬灯のごとしというが、主人公にとって人生は老境に達すると、存外、苦しみに満ちたものなのかもしれないと思わせられる。

主人公のイサークは78歳。元医師。明日は名誉博士号を受けに車で出掛ける。「名誉博士号なんてバカバカしい。愚者の称号の方がふさわしい」と自虐的なイサークだが、息子の嫁とのドライブは楽しみでもある。

出発前夜、イサークは奇妙な夢を見た。街灯の時計には針がない。自分の懐中時計も見ると、針がない。このあたりシュールレリスムの影響が色濃く出た場面だ。人の肩に手を触れると奇妙に歪んだ顔が見え、倒れると血が出る(モノクロなので多分)。馬車から転がり落ちた棺桶には自分がいて、手を引っ張る。

ドライブ中の嫁との会話も、結構辛辣なところがある。嫁は言う。「あなたの息子はあなたを憎いんでいるわ。エゴイストだから。自分にしか関心がない。一見優しそうな紳士だけど」。このやり取りを聞いていて、自分のことを言われているような感じがした。僕も「自分のことしか考えていない」といつも妻に糾弾されているのです。

途中、寄り道をして、イサークが少年時代に夏を過ごした林に入る。野いちごがあちこちに咲いている。実っているかな。「命名日」のお祝いというのが登場してきて、スウエーデンと我が国との違いにちょっと戸惑う。そもそも命名日って、何なのだろう。名付け親が名をつけ、与えた日か。

そうこうするうちに、ある種のクライマックスが来る。全体の半ばよりちょっと後半に入ったあたり。途中で車に乗せた若者たち(男2人、女1人)が議論を始める。「信仰は麻薬だ」「おのれの無意味に立ち向かうのが現代人」といった神を巡る議論。

イサークはいう。「そよぐ風、咲き誇る花(メモできなかったので、正確ではないと思うが、そのようなこと)。いたるところに神のしるしがある」と。でも若い女は「神なんて信じられる?」とあくまで懐疑的だ。映画は名誉博士号の授与式をへて、また夢のシーンで終わる。とにかく、夢だらけ。現実と半々ぐらい。夢の中でなぜかイサークは有罪となり、「普通の罪です。孤独という罪」と告げられる。

ベルイマン監督は牧師の家庭で育った。神に関する蘊蓄(うんちく)は、そのころから培養されていたのだろう。前回のブログで取り上げた同監督の「鏡の中にある如く」も、同じように神について語る部分が「核」になっていた。今回の「野いちご」は幻想的な味わいの中で、人生を観照する作風になっていて、会話もユーモアに富み、だからこそ、ベルイマンの代表作の一つと言われるのだろう。

1957年製作。1時間27分。ベルリン国際映画祭金熊賞受賞。

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2015年09月20日

映画「鏡の中にある如く」(イングマール・ベルイマン監督)は神について静かに語っていて映画史上に残る傑作

40493cf3.jpg僕が高校生のころ、映画を本格的に見始めたきっかけがスエーデンのイングマール・ベルイマン監督(世界的巨匠とされている)の「道化師の夜」という映画だ。ベルイマンの人間洞察の深さ、モノクロの濃淡の見事さに圧倒された。映画監督を目指した時期もある。

1998年からMXテレビに出向していたころ、映画配給会社の人と知り合い、「野いちご」、「冬の光」を含む8本ものDVDをもらった。上記のようなベルイマン監督との「縁」を語ったので、先方が好きだろうと思って、好意としてくださったのだ。

その8本は眠ったままだった。10余年がたって、その8本に立ち向かう心理的、肉体的余裕が生まれた。そこで見たのが、「鏡の中にある如く」(1961年)である。妻と一緒に見た。感動で言葉が出なかった。泣かなかったが、心に深く残った。

前置きが長くなった。この作品は1時間26分の尺である。近年はやたら長い作品が多く、2時間超えもザラだ。それは編集というものが分かっていないからである。ベルイマン作品は1時間半未満のものが多い。簡単に言えば、編集が優れている。

この作品は作家一家4人が海辺の別荘で過ごす1日の出来事を描いている。登場人物は4人だけで、まるで演劇のようである(晩年のベルイマンは舞台に心血を注いだ)。その心理ドラマ。舞台も別荘と海岸と船の中だけで展開される。

作家の娘は、統合失調症を患っている。その夫の医師と17歳の弟、作家の父親が出てくる。娘は父親の日記を見てしまう。そこには「娘の病の進行を作家として観察していく」といった冷めた記述があった。これを見て、娘はショックを受ける。

詳しくはあえて書かないが、船の中で、弟と結ばれてしまう。近親相姦である。そこは暗示するだけで、生々しくは描かない。その罪の意識もあって、娘は症状が急激に悪化し、救急ヘリで病院に搬送される。

最後は父親と弟の会話だ。父親は「悪いことをした」と日記の記述を謝罪する。弟は「父さんは神の存在を信じるのか」と質問する。父は直接は答えず、「神の存在は愛に現れている。崇高な愛、下劣な愛、とんでもない愛が存在する」と遠くを見つめる。

そこで映画は終わる。かなり唐突に。しかし、すべてを言いつくしているのだ。これ以上、くだくだと説明的に展開するのは野暮というもの。娘は治療を受け、死ぬことはない。父親は罪を感じている。それで十分だ。余韻を残す優れた演出だ。

細かく見ていると、やたら人物をアップにするのではなく、ロングショットで遠目から描いたカメラワークの巧みさが目立つ。白夜と夜明けの明かりをうまく使っている。音楽も控え目。クライマックスだけ、管弦楽が流れる。見事というしかない。

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2015年09月18日

小説「煉獄」の書き出し部分〜昭和天皇の「他殺」説も打ち出す

小説「煉獄」の書き出し部分です。重いテーマを軽く書くよう心がけました。250枚なので、ごく一部です。

中には皇室記者時代の話も盛り込み、昭和天皇の「他殺」説を打ち出したところもあります。111日間の闘病の末、天皇は1989年1月7日、87歳で逝ったのですが、「自然死」説には無理があると思います。

::::::::::::::::::::::::::::::

煉獄
                            

天より降り、現身のまま
正義の地獄と煉獄を見、
生還して神を観照し、
真理の光をわれらにあたえ、(以下略)
   
ミケランジェロ・ブオナローティのダンテを讃えるソネットより


葛谷茂が最初に酒を飲んだのは十二歳の時である。
早くから酒に親しむようになったのは祖母はなの「仕掛け」による。中学に入ると、茂は祖母から晩酌の相手を務めるよう言い渡された。
昔は数えの十五で元服した、中学になったらもう大人だという勝手な理屈を持ちだした。祖母が還暦を越えて建てた数寄屋風の離れの四畳半で日本酒を酌み交わした。やがてそれが日課になる。

茂は酒をうまいとも、まずいとも思わなかった。中学生に酒のうまさを分かれという方に無理があるのかもしれない。ただ義務とも感じなかった。祖母と二人だけで過ごす時間は悪くはなかった。
茶の湯も嗜まないのに、水屋をしつらえた新築の四畳半は風情が漂う。目の前に池が広がり、大きな藤棚がその池を覆っていた。古くからの平屋の家で、この離れだけは上質のにおいがした。


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son630son at 08:53|PermalinkComments(1)TrackBack(0) 文芸 

2015年09月05日

映画「あの日のように抱きしめて」はウッドベースの音がビシバシ効いて、1時間半で終わる〜悪くないじゃん

5e640081.png映画「あの日のように抱きしめて」(クリスティアン・ペッツォルト監督)は妻に先を越された。しゃくにさわったが、じっと我慢。渋谷西武デパートのヨウジ・ヤマモトの店長と軽いアポがあったので、昨日見た。東急文化村の「ル・シネマ」で鑑賞。昼というのにかなりの入りだ。

ナチスの強制収容所で顔に大怪我を負ったユダヤ人妻にニーナ・ホス(ネリー役)、夫約のロナルト・ツェアフェルトがタッグを組んだ。名作「東ベルリンから来た女」のコンビだ。残念ながら、この作品は見ていない。しかし、妻は見ている。しゃくだ。

1945年戦争終結の年のベルリンが舞台だ。医師は「どんな顔になりたいか」と手術前ネリーに尋ねる。ネリーは「いいえ、昔の顔に戻してください」と要望する。医師は「それはできない」とつっぱねる。

夫ジョニーを探し出そうと奔走するネリーは、ついにジョニーと再会を果たす。しかし、ジョニーは顔の変わった彼女が自分の妻ネリーであることに気づかないばかりか、収容所で亡くなった妻になりすまして遺産をせしめようと彼女に持ちかける。

夫は本当に自分を愛していたのか、それともナチスに寝返り自分を裏切ったのかを知るため、ネリーは彼の提案を受け入れることにするが…。があらすじだが、妻のサインと一致したのに、ネリーが妻だと分からない夫にいらつく。じれったい映画だ。

ただ、良い点が3つある。冒頭とエンドロールで流れるウッドベースが素晴らしい。監督のセンスを物語る。途中、バイオリンとかピアノの曲も流れるが、ここはベースだけでいった方が映画は深まったと思う。

ラストシーンはネリーの歌で聴かせる。伴奏のピアノは鈍感な夫だ。でも、シンプルでいいラストシーンだった。心に残る。上映時間が1時間半というのも素晴らしい。2時間が当たり前になっているのに。冗漫な部分をうまくカットした編集者に拍手。

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2015年09月04日

五輪エンブレムにはデザイナー、梅野隆児さんの作品を採用すべきだ〜シンプルでかっこいい

5a9268bd.png2020年五輪・パラリンピックで使用するエンブレム問題は、佐野氏の話から進んで、新しくどのようなものにするか、に焦点が移ってきた。僕は、案と称するすべてのデザインを見てはいないが、梅野隆児さんのものが素敵だと思った。(画像はクリックすると拡大します)

複雑に色はたくさん使っている(お金がかかるというネックがある)ので、アホの五輪組織委は採用しないとは思うが、現時点でベスト。オリジナリティーでは文句のつけようがない。梅野さん作品を採用せよ、とのムーブメントを起こそうではないか。

音痴で運動神経がまるでダメな僕も、美術は「5」だった。娘は美大だし、審美眼には多少自信がある。皆さんのご意見を聞きたいところだ。

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son630son at 08:45|PermalinkComments(1)TrackBack(0) ジャーナリズム 

2015年09月02日

懲罰的賠償が認められれば、佐野氏は50億円は取られる〜五輪エンブレムを白紙撤回しても残る訴訟問題

22be314b.png僕は8月5日付の本ブログで、「2020東京五輪エンブレムはつくり直すべき〜そもそもデザインとして半世紀前のものに劣る」と題したメッセージを送った。それから約1カ月もたって、五輪組織委は佐野研二郎氏のエンブレム白紙撤回を発表した。

僕は佐野氏も安易だが、組織委の対応が遅すぎたと批判したい。前のブログ記事に書いたことだが、エンブレムは単独で使われることもあるものの、ポスターなどにはめ込んで使われることが多い。なので、シンプルなものがいいのだ。半世紀前のエンブレムもそう。

パクリは深刻だ。特に飲料メーカー(サントリー)のキャンペーン賞品を取り下げた問題で、アメリカジョージア州のデザイナー、ベン・ザラコーさんは「佐野氏が利益をあげているなら法的手段も検討する」と話している。「BEACH」(写真)と書かれたデザインについて、およそ15年前に、自分が制作したものと完全に一致すると指摘する。

ベン・ザラコーさんは「全てが一致する。文字の間隔も同じだ。わたしがあえて変えた文字の太さも同じだ」と話した。この「あえて変えた文字の大きさも同じ」と指摘した点が重要だ。単なる模倣よりたちが悪い。佐野氏が利益をあげていたことは言うまでもない。

米国の訴訟では、PUNITIVE DAMEGE(懲罰的賠償)という概念があり、悪質な違法行為については、再発防止の観点から、とんでもない破格の賠償を言い渡すことがよく見られる。100億円単位の賠償など日常茶飯事だ。

ザラコー氏が米国で訴訟を起こすべきだと考える。今回の問題の深層が分かってくる可能性がある。とにかく「BEACH」はひどすぎる。ヘラヘラして記者会見を行った元財務次官の武藤事務総長は即刻、クビにすべきだと思う。それが責任の取り方というもの。

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2015年08月12日

人生常にアテンション・プリーズ!だと教えてくれる抜群に面白い傑作教育映画「人生スイッチ」

b737f68a.jpg新聞やネットの映画情報で芳しい作品がないという時は、映画館の個性に頼るしかない。昨夜、「人生スイッチ」(ダミアン・ジフロン監督・脚本)をみた渋谷のシネマライズもそういう個性的な映画館。やっているものはたいてい面白い。ここで傑作「グランド・ブダペスト・ホテル」を見たものだ。

「人生スイッチ」はアルゼンチンが舞台だ。汚職捜査官が堂々と出てくるところなんか、かの国らしいが、それ以外は普遍的なテーマを扱っている。そう、この映画6つの短編映画からなるオムニバス映画なのだ。すべて日常茶飯事が大ごとになるという話。極限状態を軽妙なタッチで描く。

さびれた食堂に客が来る。ウェイトレスは凍った。父が自殺する原因をつくった男だからだ。客は成人したウェイトレスの見わけがつかない。料理人の女は「猫いらず」の缶を取り出して「やんなよ」とけしかける。でも、ウェイトレスはそこまでできない。で、料理人が取った最後の手段とは・・・「おもてなし」という題の短編。

表題に「傑作教育映画」と書いた。ブラックユーモア満載の映画なのだが、人生について教えられる。なにげない、ささいな一言から殺人事件に発展するなど、人生常にアテンション・プリーズ!だとあらためてかみしめる。教育的な要素もあるのだ。

最初は飛行機内の客同士の普通の会話から始まる。共通の知人がいることに気づく。そこで思わぬ展開。乗客が次から次へと、その知人との関係をカミングアウトするのである。で、みなこの飛行機に乗り合わせたことが偶然でないことを知る。この「つかみ」がうまい。うなる。

これだけではなんのことか分からないだろう。すべての加害者が被害者になりうることをサスペンスタッチで描いた。飛行機は最悪の結末を迎える。さらに地上にも犠牲者が出る。この描き方がすごい。見たことない。小説に映画が優位に立つ瞬間である。小説では描けない。

客席からは時折、爆笑がもれた。最後の短編のタイトルは「HAPPY WEDDING」。こりゃ、ハッピーじゃないな、とここまでくれば分かる。結婚式は修羅場になる。新婦が、哀れな新郎を抱きしめる義母との姿を、「みんな、写真に撮ってよ」という場面は圧巻。再婚の際、この映像を流すといきまく。最後は後味が悪くならないような結末になるのだが、あえて言えば、不自然なもっていきかただ。でも、面白かった。

この映画は万人にお薦めだが、特にストレスで疲れている人には強く勧めたい。映画から得られるものがあるはずだ。ストレス解消につながる何かが。そう真面目に考えなくても、料金分のエンターテインメントであることは間違いない。ここまでやるか、という南米の激情ぶりがよく伝わってくる。

ネットの映画評の採点は、そこそこ。口コミによる採点。極端に評価が分かれている。満点の人も多いが、最低評価の人もいる。ナットク。でも、この映画は確かに荒唐無稽だが、リアリティーがある。アルゼンチンで興行収入史上1位を獲得しただけのことはある。監督の手腕に脱帽。アカデミー賞受賞の「バードマン」よりずっと面白い。

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2015年08月05日

2020東京五輪エンブレムはつくり直すべき〜そもそもデザインとして半世紀前のものに劣る

65e7a6f0.png2020年東京五輪のエンブレムに選ばれた作品が、ベルギーの劇場ロゴと酷似していると指摘され、訴訟になる恐れも出てきた。僕はこの作品そのものがよくないと思っている。これを選んだ組織委はあの人がトップにいるだけあって、すげえセンスだ。

デザインはベルギーのに似ていると思う。デザイナーは5日、記者会見し、疑惑を否定したが、万人を納得させるだけのことを言ったかというと、NOである。訴訟にはならないのではないかとの見方もあるが、甘いと思う。欧米の権利意識をなめてはいけない。

エンブレムは、ポスターはじめ、いろいろなところに使われるものであって、ゆえに、シンプルでなくてはならない。1964年五輪の際は、亀倉雄策氏(1915-1997)のデザインを採用したが、日の丸を中心にすえた極めてシンプルなものだった(写真)。もちろん盗作疑惑も生じなかった。

なので、単独で見ると、物足りないが、五輪ポスターにはめ込んでみると(下の写真)、見事に生きてくる。ポスターを生かしている。これこそ、エンブレムなのだ。僕はこのエンブレムが好きだ。亀倉さんがご存命なら、今回のような駄作は選ばれなかったと考える。6fba0f63.jpg

盗作かどうかも重要だが、デザイン的にすぐれていないということの方がもっと問題だと考えている。ちなみに話題のデザイナーは、多摩美術大グラフィックデザイン科卒業。うちの娘も同じ学科です。だから擁護とはいかない。

いまからでも全然遅くない。選び直すべきであろう。新国立競技場問題で物議をかもした上に、いたるところでお目にかかるエンブレムに「けち」がついているとなれば、面白くない。東京五輪が決まった時のあの高揚感はどこへ行ってしまったのか。

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