2008年01月13日

ドラマとしても優れていた「感染爆発〜パンデミック・フルー」〜あまりにもタイムリーなNHKスペシャル

 久々に画面にくぎ付けになるテレビドラマを見た。NHK総合が12日夜、放映した「感染爆発〜パンデミック・フルー」(響堂新原案、林宏司脚本、望月良雄演出)。ヒトからヒトへ感染する新型インフルエンザの爆発的流行を描いた近未来ドラマだが、よくもまあ1時間半の中にさまざまな要素(人間ドラマの要素)を盛り込んだものだと、強い感銘を受けた。原案、脚本、演出の3人に敬意を表する次第だ。「パンデミック」とは世界的な大流行、「フルー」は風邪である。折から、中国衛生省が10日、南京市で鳥インフルエンザに感染して死亡した息子から父親に感染したと発表。中国でヒトからヒトへの感染が確認されたのは初めて(オランダやベトナムなどでは、鳥インフルエンザのヒトからヒトへの感染が確認されている)。ウイルスが「新型」に変異すると大流行する恐れがある。中国当局は「遺伝子の変異はない」としているが、鵜呑みにはできない。専門家の間では、かねてから鳥インフルエンザが、人の間でも感染しやすいように変異した「新型」の発生が時間の問題といわれており、日本上陸も現実味を帯びてきていた。まさに、仮想未来とは言えない事態になっている。NHKの放送は実にタイミングがよかった。ワクチンも間に合わず、日本だけでも120万人以上が死亡するという戦慄のドラマなのだが、絵空事に思えない。いやー、リアルで怖い。21世紀に入って、地球温暖化や大規模テロとか、地球規模の「恐怖」が現実になっているが、インフルエンザはより目の前の課題かもしれない。

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 ドラマは、2008年11月という設定。日本海に面する寒村で新型インフルエンザの患者(少年)が確認された。東京の病院の副院長、田嶋(三浦友和)はニュースをじっと見詰める。その村は田嶋の故郷で、テレビには決別した父、石五郎(佐藤慶)が村の医師として必死に診察に当たる姿が映っていた。一方、村へ向かった感染症予防研究所の奥村(麻生祐未)は、感染源らしい木造船を海岸で発見。政府は村を完全封鎖する。だが予想もしない形で包囲網が破られ、東京でも最初のウイルス感染が確認される。そして感染は全国、全世界(もともと日本にはアジアから持ち込まれるという前提だが)に広がっていく−というのがNHK自身による粗筋。

 産経新聞が現実の中国の問題をきっかけにしたインフルエンザの恐怖に関し、先行した記事を書いているようだ。国立感染症研究所によると、「新型インフルエンザ」が日本に上陸したら、、人に免疫がない「新型」がまたたく間に全国へと広がると予測。厚生労働省は国内で1人の発生から2500万人が感染して病院に行き、約2カ月で64万人が死亡すると推計している。ドラマはこのあたりの試算をもとにしているようだ。経済的にも損害が約20兆円(第一生命経済研究所)に達するという。一部企業は極秘で対策を進めているが、欧米系企業と比べ、大半はまだ危機管理の意識が薄いようだと、同紙の津川綾子記者は記している。
 
 ドラマそのものについて、少し記すと、主人公の三浦友和は力演、熱演だが、ほおがたるみ、髪の毛が多すぎるので、なんとなく危機感、気迫が伝わらない。好演までいかないのだ。ただ、ドラマ全体を崩すほどの、ほころびとは言えない。否定しがたく存在する父から子へと受け継がれた医師の「血」。政府にアドバイスする大学教授の緊迫感、正義感、無力感、虚無感。東京と寒村のテレビ電話での必死の意思疎通。東京に感染を広げた原因を作った青年の奇跡的回復とボランティア志願。病院長の逃亡、東京脱出。延命治療を拒否し、若い患者へのベッド移譲を決めた、前立腺がんの老人(藤村俊二が好演)。そこに入って、子どもを産む感染した母親(全員無事というのはやや非現実的だが。あんまり暗くもできないし)。たたみ込むように、こうした重層的で複雑な人間模様が織り込まれていて、目立った破綻がない。政府の無策ぶりと医学者たちの努力が緊迫感を持って描かれている。麻生祐未は凛とした美しさで好演したと思う。

 私はインフルエンザ問題に関し、詳しくないので、専門のサイトから多少、引用してみたい。本来、鳥インフルエンザウイルスは「種の壁」があるため、ヒトへは感染しないと考えられていた。しかしながら、過去、世界的にみると現在までにいくつかのヒトへの感染事例が報告されており、この理由は明確ではないが、大量にそのウイルスが体内に入れば多少の違い(壁)があっても感染してしまう、すなわち大量暴露によっては感染しうるものであると理解されてきた。

 現在アジアを中心に広がっている、「H5N1亜型」の流行は、2003年末に、ベトナムで家きん(鶏など)における発生とともに、3例のヒトにおけるH5NI感染が報告された。その後、ベトナムの感染者は22人、死者は15人になった。これ以降、同年から2005年にかけて、アジア各地で、ヒトへの感染の報告がある。さらに中東、ヨーロッパ大陸に拡大し、ヒト感染が報告された。H5N1亜型の鳥インフルエンザは、2004年以来アジア、アフリカ、中東、ヨーロッパにまたがり、家きん、野鳥を含めてこれまで53カ国で鳥における発生がみられ、そのうち、10カ国において258例のヒトにおける感染、うち死亡154例が報告されている(2006年11月現在)。一連の発生事例は、鳥インフルエンザウイルスといえども、濃厚に接触すれば、やはり感染するということを如実に物語っている。

 結論として、鳥インフルエンザウイルスに大量に暴露された場合には鳥からヒトに感染しうるが、ヒトからヒトへは容易には感染しない。とはいえ、ウィキペディアによると、多くのウイルス学者らは、ヒト新型インフルエンザの発生が15-20年の周期で起きる可能性を示唆しており、最後の新型インフルエンザ発生にあたる1977年のソ連風邪から、20年後に発生した香港鳥インフルエンザが新型ヒトインフルエンザとして大流行する危険性を指摘していた。世界保健機構(WHO)も2005年には、世界各地で流行している鳥インフルエンザが、いつ新型ヒトインフルエンザになって世界的な大流行(パンデミック)を起こしてもおかしくないと警告している。そうなった場合、最大で5億人が死亡すると試算されている




son630son at 00:01│Comments(0)TrackBack(0)テレビ | ジャーナリズム

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