ジャーナリズム

2018年09月10日

将棋の超早指し戦で藤井聡太が優勝

 将棋の超早指し戦、第1回AbemaTVトーナメントで藤井聡太七段(16)が優勝した。賞金はいくらか分からないが(想像で言うと200万円ぐらい)、羽生竜王、久保王将、そして若手の強豪計14人が争った中での優勝なので価値は高い。

もちろん非公式戦。持ち時間が5分と極端に少ない。順位戦などは持ち時間6時間だから、比べものにならない。その上、指すごとに5秒(雀の涙ではあるが、手際よく指せば持ち時間はわずかながら増える仕組み)が加算されるという「フィッシャールール」で行われた。

 このフィッシャールール、チェスの世界で使われているそうで、チェスでも日本の第一人者羽生善治竜王が着想したという。なので、トーナメントの正式名称には「inspired by Habu Yosiharu」とついている。

 見る方としては短時間で勝負がつくので、面白く楽しめるが、やるとなると相当大変。僕もこのルールで、インターネット将棋を指したことがあるが、時間切れで負けてしまった。よほど時間配分を考えないと、終盤に焦る。

 毎週日曜日の午後8時に「放送」が始まるから、6月以降はその時間になると、パソコンの前に座るようになった。藤井七段はまず予選トーナメントを1位通過。本戦に入っても「東の天才」と呼ばれる増田六段に二連勝するなど快調で、決勝の相手、佐々木勇気六段を2勝1敗で破った。

 佐々木六段といえば、思い出す人もいるだろう。昨年、藤井七段が新記録の29連勝を達成した後、30戦目で戦い、敗れた相手なのだ。だから、「因縁の対決」となった。「リベンジマッチ」でもある。

 AbemaTVにとっては、願ってもない組み合わせになったわけだ。注目度がひときわ高くなる。仮にベテランの羽生竜王や久保王将が勝ち上がっていたら、今回ほどの盛り上がりになっただろうか。将棋界を引っ張っていくであろう若き英才2人が対決したことで、その価値が上がったと言っていい。

 ちなみに将棋は終わった後、盤を挟んで「感想戦」なるものをやる風習があるが、藤井と佐々木の感想戦は超絶スピードで難解なことを言い合っていたから、あれについていけるのはアマチュアでは有段者に限られると思った。

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son630son at 16:55|PermalinkComments(0)

2018年07月16日

藤井聡太には失望した〜45歳おじさんに完敗

 将棋の最年少プロ棋士、藤井聡太七段(15)は15日放映されたNHK杯1回戦で、まさかの敗北を喫した。相手は史上最年長でプロになった今泉健司四段(45)。ここで敗北するとは夢にも思っていなかったので、正直、藤井君には失望した。

 攻め合いにもならなかった。一方的に攻められ、応対を迫られ続けた結果、完敗した。こんなひどい負け方、見たことがない。ショックでもある。棋力では圧倒的に優位に立つはずの相手にこれだ。もう、勝ち方を忘れたのではないかという疑問すらわいた。

 最近の竜王戦、王座戦挑戦者決定トーナメントで続けて敗れた。この時はまだ、攻め合いをした挙げ句、1手及ばず負けたという具合だったが、今泉戦は書いたように攻め合いにもなっていない。ひどい負け方である。

 今はスランプなのかもしれない。学校と棋士生活の両立が厳しくなっているのかもしれない。とにかく、この1年、藤井将棋をフォローしていて一番酷い対戦を見続けた。こんな将棋、もう見たくない。藤井将棋とは距離を置くことは言うまでもない。

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2018年07月07日

「藤井神話」は終わった

 将棋の最年少プロ棋士、藤井聡太七段(15)は6日、王座戦の挑戦者決定トーナメント準決勝に臨み、斉藤慎太郎七段(25)に敗れ、今年度2敗目を喫した。斉藤は若手の中でも強豪とされる。藤井は王座戦で初タイトルといきたいところだったが、思わぬところで敗退した。

 藤井は持ち時間5時間以上の試合では勝率9割をはるかに超え、長丁場の対局は得意のはずだった。しかし、先日の増田康宏六段(20)戦とこの試合の2対局続けて敗れ、5時間以上は敵なしという「藤井神話」がもろくも崩れた。

 僕は藤井の自由奔放な、ややトリッキーな打ち方が好きだった(と、あえて過去形)。若くて、目の覚めるような活躍をするニューエイジの棋士として、藤井をひいきにしていた(と、あえて過去形)。しかし、藤井の打ち方の弱点らしきものも見えてきた。王座戦敗退を機にニュートラルな目で見ることにした。

 いやそうではない。やはり藤井は好きだ。ただ、必要以上の感情移入はやめようということである。のめり込むと負けた時のショックが大きすぎる。15歳の少年に運命を託すような馬鹿げたまねはやめようということである。藤井七段の初タイトルは来期でいいんだと思う。それが自然だ。事態を静観しよう。

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2018年06月30日

驚異的粘りも通ぜず、藤井七段ライバルに敗北

 今年度9連勝と絶好調だった藤井聡太七段(15)が敗れた。相手は前人未踏の29連勝を達成した時の相手、若手の強豪増田康宏六段(20)。まさに増田側からみれば、リベンジ成るである。藤井くんに次いで若い棋士である。

 勝負は互角から徐々に増田六段の優勢となった。桂馬を打ち込む拠点ができたのが大きい。ここから繰り返し、波状攻撃で藤井玉に襲いかかった。藤井にしてみれば、しまった感が半端ない。

 勝負は決まったかに思われた。ところが、藤井玉は上部に逃げ出す。なかなか捕まえきれない。藤井玉は敵の陣地に入る「入玉」寸前で食い止められた。ピンチを何度も乗り越え、よく粘ったというのが率直なところだ。何回王手がかかったのだろうか。
 
 仮にの話だが、入玉を許してしまえば、混戦模様になる。増田六段としてはなんとしても阻止したかったに違いない。あそこまで玉を追い回して、逃げられましたでは、増田六段の沽券にかかわる。

 藤井六段に今期、竜王挑戦の可能性がなくなったのは残念だが、増田六段に勝ったとしても、これから将棋連盟会長の佐藤九段、久保王将、A級優勝の広瀬八段といった強敵が控えている。さらにもう一つの山からは豊島八段ら最強の棋士が上がってくる。なので、挑戦者に達するには、いばらの道だったのだ。

 将棋は無敗というのはありえない。今年度の成績9勝1敗というのは勝率9割だから、よくやっているといえる。気持ちを切り替えて、王座戦(残り2勝で挑戦者)などで頑張ってもらいたい。

 そうはいっても悔しい敗戦だ。藤井七段は百年に一人の大天才なので、無敗記録がどこまで伸びるか楽しみにしていたから、ファンとしても辛い。藤井なら無敗をやってくれるのではという無理な期待を抱いていた自分を恥じる。藤井くん、君は気持ちの切り替えは抜群にうまいから、また連勝街道をひた走ってくれると信じている。

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2018年06月22日

パンツ1枚で逃げ回った藤井七段がきわどい勝利

 将棋の最年少プロ棋士、藤井聡太七段(15)は22日、東京の将棋会館で、王座戦の挑戦者決定トーナメント準々決勝に臨み、苦手の深浦九段に勝利し、ベスト4に到達した。あと2勝すれば、挑戦権を得る。「王座」というタイトル獲得が現実味を帯びてきた。もちろん残るのは強敵ばかりだが。

 この試合、たとえるなら、藤井七段はパンツ1枚で猛攻に耐えたようなものだ。見ちゃいられないピンチの連続。僕の棋力なら投了していたところだ。よくプロ棋士はこんな戦いに耐えられるな。最終盤では解説者が「藤井優勢」と言ったので、耳を疑ったが、その通りになった。でも、盤面を見れば、深浦の「王様」は金銀に囲まれているのに、藤井くんは薄い紙1枚の守りだった。

 深浦九段とは昨年12月にも対局。藤井くんが終始、優勢に立っていたが、最終盤でミスが出て、大逆転負けを喫している。だから、藤井くんにとっては「リベンジ・マッチ」だった。なお、藤井君はこの時の敗戦以降、悔しさをバネに格段に強くなったとされる。

 とにかく膝をたたき、ものすごい悔しさを爆発させた藤井くんだった。この時から2敗しかしていない。その間、佐藤名人や羽生竜王などを破って、朝日杯将棋オープン戦で優勝するなどして、七段に駆け上がったのだった。

 藤井くんの将棋は面白いが、ドキドキして心臓に悪い。きょうのようなきわどい攻め合いでなく、安心してみていられる勝ち方はないものか。贅沢は承知のうえで、そんな「横綱将棋」を期待したいところだ。

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2018年06月12日

北朝鮮の非核化なのか、朝鮮半島の非核化なのか

 2018年6月12日は史上初の米朝首脳会談が開かれた日として、歴史に長く刻まれることだろう。戦争よりは対話の方がいい。その意味では、この日をポジティブにとらえることができるはずだ。しかし、問題は多岐にわたって残る。

 その象徴的なものが、非核化の対象地域である。米朝首脳が署名した共同声明によると、両者は朝鮮半島の非核化に向けて努力することになった。この朝鮮半島というところがミソだ。北朝鮮の非核化とはしなかった。それはどういうことか。

 われわれが問題視するのはあくまで暴走する危険性のある北朝鮮の「核」なのである。だから、北朝鮮の非核化こそが求めるものなのだ。なのに共同声明では朝鮮半島の非核化とされてしまった。これは北朝鮮の思うツボなのである。

 朝鮮半島ということになると、北朝鮮ばかりでなく、韓国の「核」も対象となってしまう。韓国の核とは、具体的に言えば、在韓米軍の核兵器のことである。つまり極論するところ在韓米軍自体がいらないということになる。

 在韓米軍がいなくなると、日本は安全保障上の「危機」に直面する。つまり日本が対共産圏の「最前線」に立つということになる。記者会見でトランプ大統領は在韓米軍の撤退も検討対象だと明らかにした。もっともその観点はコストがかかるというものだったが。

 トランプ大統領は米韓合同軍事訓練も中止するとほのめかした。これも北朝鮮の思うツボである。在韓米軍に焦点が当たっている気がする。現実的に北朝鮮にとって脅威なのは在韓米軍であり、在韓米軍の核なのである。

 金委員長独裁の北朝鮮に「体制保証」を与えたのも気になるところだ。実の兄や叔父を暗殺するような暗黒世界が北朝鮮の現実である。そんな人権無視のとんでもない国歌の存続を容認すること自体、悲劇でなくてなんなのか。人民を飢えさせて、自らは太鼓腹を抱える独裁者を認めては、世界に範を示せなくなる。私は、脳天気な米朝会談に懐疑的な気分を捨てきれない。北朝鮮は明日から大々的に「歴史的会談成功」をPRするに違いない。それは目に見えている。

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2018年05月19日

藤井聡太くんがついに7段に

 チャンスは逃さない。2月の朝日杯将棋オープン戦でもチャンスと見ると、羽生竜王らA級の強豪棋士を次々破って優勝した実績がある。その勝負強さが発揮された。将棋界の最年少棋士、藤井聡太6段(15)が18日、関西将棋会館で行われた竜王戦予選で船江恒平6段(31)に勝利し、規定により即日7段に昇段した。船江は強豪で、苦戦すると予想していたが、特に難渋もせず、勝ち切った。これで今年、21勝2敗とすごい勝率。相手が強くなっているのに、29連勝時より負けない将棋を指す。また、持ち時間が5時間以上の将棋では、28勝1敗。これも脅威。長丁場になると、まず負けない。これはタイトル戦になれば有利な状況だ。逆に意外だが、持ち時間が短いと負けている。詰将棋は強いのに、なぜなのか。

 この日の勝利の価値は大きい。7段になったことで、6段以下と対局する時は、「上座」に座る。また、6段以下の首都圏在住棋士と対局する際は、大阪に呼び出せる。という具合に7段はそれにふさわしい扱いを受ける。いま、そこまでいくとは思えないが、あまたの強敵を破って竜王戦挑戦者になり、7番勝負の竜王戦を制すれば、年内に8段まで飛躍する。しかし、将棋は段位を争う競技ではない。また、「最速」を競う競技でもない。あくまで重要なのはタイトルだ。もちろん竜王は最高のタイトルなので、取れるなら取った方がいいに決まっている。でも最高だからこそ、厳しい道が待っている。

 現時点で、これで通算成績は76勝12敗となり、勝率は驚異の8割6分超え。数々の最年少記録を打ち立ててきたが、まだタイトル戦では上位に入っていない。そこが最初のハードルになっている。最年少のタイトル獲得は屋敷9段の18歳6カ月だが、そこに届くのかも分からない。まだ3年近くの猶予があるとはいえ、その歳月はあっという間に過ぎてしまう。最年少タイトル奪取の期待は満ち満ちているのだが。

 段位とか階級(AからC2まで5階級あり、藤井くんは下から2番目のC1に在籍。これは1年に1回しか昇級できない)とは別に、「レーティング」というものが存在する。これが実力を判定するのに一番客観的ともされているが、二つのサイトでかなり結果が違う。ので戸惑う。1つは将棋連盟のレーティングで、これによると、藤井くんは(7段の時点で更新されている)1819点で8位。1位は豊島将之8段の1888点。羽生竜王は5位。これでみると、藤井くんはたいしたことないように見えるが、別のサイト shogidata.info では2位なのだ。ポイントは1850点。1位は将棋連盟と同じ豊島8段で1878点。羽生竜王は6位。これを見ると、藤井くんはすごいところにいるのだなと唸る。全棋士160人の中での最新ランキングである。

 このまますんなり藤井少年は成長していくのだろうか。タイトル戦途中で何度も挫折し、勢いがストップすることも考えられる。いや、常識的にみて、そうなる確率の方が高いだろう。2、3年のうちにそうなることも想定の範囲内だ。ニュースにも取り上げられなくなって、「あの藤井くんはどうした」となることをひそかに恐れる。

 「10で神童・天才、20過ぎれば、ただの人」というではないか。どう転んでも藤井新7段が、「ただの人」になるとは思えないが、厳しい現実に直面することもあり得る。忘れさられる可能性は十分にあるのだ。そうなっても、僕は藤井をウォッチし続けるだろうし、ファンの一人ではあり続ける。天才の悪戦苦闘ぶりも、また見ものだと思うからだ。羽生永世7冠(これは正直、信じがたい快挙です。野球で言えば、三冠王を連続3年とるようなものだろう)のようになるのは、正直、無理があるとは思うが、タイトル戦に常に出続けている藤井7段を見てみたい。

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2018年04月28日

大谷に魔の左足首捻挫〜2016年の悪夢再現

 エンゼルスの大谷翔平選手(23)が28日、左足首を捻挫した。球団の発表では、軽度とのことだが、これはあまりあてにならない。というのも大谷には「前科」があるからだ。場合によっては長期の離脱になる恐れもある。

 2016年の日本シリーズに出場していた大谷選手。この時、ランニングで1塁ベースを駆け抜ける時、左足首を痛めた。今回と状況が似ている。大谷選手は結局、翌2017年10月に患部の手術に踏み切った。この間は、WBC辞退など低迷を続けた。

 僕が危惧するのは、その再現になりはしないかということ。軽い捻挫と言っても、治りにくい。いつまでも、患部が痛む。そうなりはしないかと心配だ。日本時間の29日に行われる田中マー君との対決など吹き飛んだ。来週の先発登板も回避されるだろう。事態は深刻なのだ。

 一塁に全力疾走する姿はすがすがしいが、危険と隣り合わせである。ベースを踏むときに、足首をひねりやすい。患部は右と左で違うが、2016年と同じような事故といえるだろう。大谷はこうした事態への警戒心が欠けていた。

 せっかく、この試合、ヤンキースのエースから右翼席にライナーで4号ホームランを打ち込んだ。内角攻めを巧みに打ち返した。いい打席の後に今回のアクシデントが起きた。好事魔多し、という。ちょっとした気の緩み(というのは酷だが)が事態を暗転させた。
これは相当長い期間の離脱を覚悟しなければならないだろう。いい感じで二刀流が開花していただけに、残念でならない。球団のいう「軽度」が本当であることを祈るのみである。

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2018年04月26日

やっぱり雅子妃が皇后では不安だ

 春の園遊会が開かれた。天皇、皇后両陛下が平昌冬季五輪で活躍したフィギュアの羽生選手らとなごやかに歓談する様子がテレビニュースで流れていたが、僕はほかのことが気になっていた。それは雅子妃が体調を考慮し、途中で退席していたことだ。

 いつものこと、と言えばそれまでだが、この人が「皇后陛下」になる来年5月以降のことを想像すると、暗い気持ちになる。皇太子の外国訪問にもついていかず、寂しそうに皇太子が海外でひとりで公務をこなす場面を見せつけられてきた。

 雅子妃はバイリンガルであり、外交官の経験もある。皇太子の外国訪問では大きな役割を果たすのではないかと期待されてきた。しかし、いまのところ、「体調」を理由にその役割をまったく果たせていない。期待を裏切ってきたといえる。

 外国訪問のみならず国内の公務も満足に務められない。園遊会など1、2時間の歓談である。それすら途中で切り上げるというのだから、始末に負えない。ひょっとしたら、僕に雅子妃のなんとか障害という病気への理解が欠けているのかもしれない。精神の病は目に見えないから厄介だ。でも、その精神病を患う僕が言うのだから、ある意味、説得力があるのではないかと思ったりする。

 雅子妃が皇后陛下になるということは、実は想像したくない。その敬称が似つかわしくないと思うからである。古い言葉でいうと、皇后は「国母」なのである。それだけの尊敬を集める存在であらねばならない。しかし、いまの雅子妃に尊敬が寄せられるだろうか。僕は疑問に思う。

 雅子さんが皇太子候補といわれた頃、父の小和田恒氏(当時、外務省官房長)にインタビューしたことがある。その時、「もしお嬢さんが皇太子妃になったら、どんなお気持ちになるのでしょうか」と質問した。答えは「月に移り住んで、幸せですか、と聞くようなものだ」とはぐらかした。あえて解釈すれば、荒唐無稽な話と言いたかったのだろう。しかし、顔には終始笑みが浮かんでいた。

 このやりとりをよく思い出す。30年近く昔のことである。あの答えは何だったのか、と自問自答する。単に「そんなことはありえない」と言われれば、素直に受け取っていたものを妙なたとえにするから混乱するのだ。気をもたせるから罪作りなのだ。ちなみにこのインタビューは確か、40分ぐらい延々とやったと記憶している。小和田氏は皇太子妃の話題を嫌がっていなかった。

 小和田氏は雅子さんの皇室入りを「狙っていた」という説がある。証拠はない。雅子さん本人は乗り気でないのに、父親が名誉欲で娘の結婚を陰で推し進めていたとも言われる。雅子妃の病気のことを考えると、いつもここへ思いが巡ってくる。雅子妃は父親の巨大な「欲望」に翻弄されたのではないか。雅子妃は犠牲者なのだ。そう思うと、しっくりくる。雅子さんという人間が皇太子妃になってから、真の笑顔を見ていない気がする。

 いずれにせよ、雅子妃がある意味、「悲劇の人」だったと想像させることは、この国の人々にとって、幸せではない。その人が、まさに天皇陛下を支える皇后陛下になろうとしている。僕らは、その流れを食い止めようもないが、ただ、病気が劇的に好転する奇跡を願うしかない。はかない望みではあるが、それに望みをつなぎたい。美智子皇后がスーパーな人だっただけに、だれがなっても、見劣りすることは否めないが、最低限の務めは果たしてほしいものである。

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2018年04月25日

藤井聡太6段、大逆転勝利、信じがたい

 将棋の最年少棋士、藤井聡太6段(15)は24日行われた棋王戦予選トーナメントで、大石直嗣7段(28)に大逆転勝利した。abemaTVの解説者は終盤、形勢判断をきかれ「大石80%、藤井20%」とはっきり藤井の負けを宣告していた。そこからの逆転だけに、にわかに信じがたいことが起きた。

 それは素人目にも、はっきりとした「差」だった。藤井の王様はひとりポツンと取り残された形だった。この局面で飛車を渡すのは、「即死」を意味する。それでも追い込まれて、大事な飛車を渡してしまった。しかし、藤井は飛車を最底辺に打ち込まれても、平然と受けに飛車を使った。せっかくの飛車である。攻めに使いたいのはやまやま。それでも、相手の王様は簡単には攻略できそうにないと見て取ると、受けに使ったのだ。そこから反撃が始まった。素人にはわからない妙手を次々に繰り出した(らしい)。

 冒頭に書いたように、勝利可能性20%の地点から、勝ってしまうのだから、すごいとしか言いようがない。僕に書けるのはそこまでだ。先に書いたように、飛車を手放す羽目になった局面は、素人将棋なら「あちゃー」と言って絶句するところだ。罠にはまったのだ。投了してもおかしくない。でも、ただで渡すのではなく、飛車交換という形にもっていった。そこがしぶといところ。でも、この交換に持ち込むのはプロにとっては何でもないようだ。問題というか、妙手というのはここからなのだった。

 将棋を言葉で表現するのは、難しい。棋譜でしか語れないことも多い。ただ、言えるのは勝利可能性20%から勝ってしまい、試合後は何事もなかったかのように、涼しい顔をしている15歳をみていると、勝敗は最後の最後まで分からない、恐ろしいものだということだ。多分、藤井聡太という少年には、「諦め」という概念がないのではないか。いくら形勢が悪くても、最後の最後には勝つのだ、という感覚があるのかもしれない。きょうの将棋は素人目にも、ヘタをうったという類いの最悪の状況からの起死回生である。「藤井マジック」は健在だった。

 これで、高校生になった新年度は、3連勝スタートとなった。また10や20を超える連勝が見られるかもしれない。きょうの神がかった対局を見ながら、どうして安心できるような序盤からじわじわと優勢に立って、逃げ切るといったファンをドキドキさせない将棋を指してくれないのか、と思った。つくづく罪な人である。

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2018年04月06日

大谷の大活躍に思う、冷静になろう

 エンゼルスの大谷が絶好調だ。投げて打って。米国でも「ベーブ・ルースの再来だ」と大騒ぎになっているらしい。オープン戦での成績が、防御率27.00、打率0.125とすさまじくひどいものだったから、「マイナーへ行け」との声が上がったのも無理はない。そこからの挽回、落差が大きすぎるのである。

 それが開幕した途端、初登板初勝利。3ランを打たれたが、その後、持ち直し、6回を投げてクオリティスタートとなった。これは味方の援護があったからで、ラッキーと言えた。しかし、打つ方はラッキーではない。2試合連続ホームラン、しかも2本目はサイヤング賞投手からの1発で、価値があるとされている。ホームランばかりに注目が集まるが、シングルヒットもしっかり打っていて、現時点で打率4割超えである。

 これではフィーバーが起きない方がどうかしている。NHKの夜7時のニュースがトップで扱う異常事態になっている。ワイドショーはどこも特集を組んだ。日本人にとって痛快なニュースだから、大きく扱われて当然であろう。問題はこれがどこまで続くかではないか。シーズンは始まったばかりなのだ。新人はまだあまり研究もされていない。いまの衝撃的な好成績は多分に「ラッキー」の積み重なりなのだ。

 大谷は右投げ、左打ちである。打者の時、右半身は無防備に投手にさらされている。内角攻めをされると、右半身は危険だ。まだ、死球は受けていないが、ネットには「未来から来た。大谷は頭部に死球を受け、植物人間になる」といった不吉な書き込みさえある。そこまでひどいことはないかもしれないが、死球による怪我というのは十分に考えられるシナリオである。もちろん、スプリットの多投による肘の故障というのは現実味のある展開といえよう。それを恐れる。

 開幕した途端、思ってもみなかった破格の活躍をしたため、ファン(僕を含む)は浮かれているが、まだ、数試合を消化したのみなのである。シーズンは160試合続く。過酷な日程だ。日本のプロ野球の比ではない。スランプに陥ることもあるだろう。だから、個人的にはあまり喜びすぎないようにしたい。オールスター戦まで、このまま順調にいけば、それは大変なことだが、4ヶ月、いまの調子が持続するとは思えない。怪我をすることも織り込んでおく必要がある。だから、一喜一憂することなく冷静になろうと自分に言い聞かせている。

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2018年03月28日

藤井6段、よもやの敗戦

 将棋の最年少棋士、藤井聡太6段(15)は28日の王将戦予選で、関西の雄、井上慶太9段(54)と対局し、137手で敗れた。終盤まで互角の展開で、藤井6段が得意の終盤力を発揮し、勝つと思っていただけに僕にとってショッキングだった。

 お互い飛車を振らない居飛車の戦い。中盤以降、藤井6段も奇抜な好手を繰り出したが、井上9段も負けていない。最善手と思われる手を次々と指し、白熱した対局となったが、最終盤、藤井6段にまさかの「ミス」が出て、敗れた。

 ちょっと強引すぎたのだろうか。素人目にも明らかな敗着の1手があった。裸の王様なのに、合駒を入れずに逃げ回ったのが、いけなかったのではないか。これは相当悔しいはずだ。16連勝中はこんなことはなかった。まさかの「驕り」ではなかろうか。

 藤井6段は不思議な人だ。年頭の対局で負け、そして勝ち続け、そして年度末最後の対局で負けた。これで連勝は「16」でストップ。新年度はまっさらな地平から高みを目指す。僕は今回は負けないと思っていた。なにしろ、相手は9段とはいえ、勝率は5割ちょっと。級でいうと、C級に在籍なのだ。しかも藤井6段は40歳以上のプロには負けていないという実績もあった。だから、なぜと思ってしまう。無残に詰められていく藤井6段の王様を見ていて、哀れになった。ま、人生こういう日もある。晴天ばかりではない。新年度、藤井6段が心機一転、ゼロからまた連勝を積み重ねていけばいいのだ。それに期待し、また将棋観戦を楽しむつもりだ。

 きょうの観戦はいつもの、無料のabemaTVではなく、有料(1日500円)の将棋プレミアムで行った。権利の関係でそうなった。でも、ほぼ1日まるまる楽しめて500円なら、そんなに高くない。無駄につかう500円もある。今にして思えば、楽しい観戦だった。藤井君、ありがとう。いつも面白いよ、君の将棋は。奇想天外で発想が柔らかい。新年度も僕らをワクワクさせてくれ。

 なお、井上9段の門下生には、菅井竜也王位や稲葉陽8段など実力者がひしめき、菅井、稲葉は藤井6段に昨年勝っている。井上一門は藤井6段に3連勝ということになる。強い師弟がいたものだ。

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2018年03月25日

藤井聡太6段が詰将棋解答選手権で史上初の4連覇

将棋の最年少棋士、藤井聡太6段が25日、東京、名古屋、大阪の3会場で行われた第15回詰将棋解答選手権「チャンピオン戦」に出場し、史上初となる驚異の4連覇を飾った。詰将棋NO1の称号は今年も藤井6段に与えられることになった。

今年の選手権には「光速の寄せ」で知られる谷川浩司9段や朝日杯将棋オープン戦の準優勝者広瀬章人8段らトッププロも多数参加。アマチュアの強豪、女流棋士を含む過去最多の105人で頂点を争った。藤井6段は昨年誤記で前半戦を6位で終えたが、後半戦で巻き返し、3連覇を果たしていた。藤井6段は8歳から参加、12歳の小学校6年の時に初優勝した。

勝負は前後半戦に分かれ、それぞれ90分で超難問の詰将棋5問を解く。正解率と速度で争う。藤井6段は前半では最速の55分で会場を退出。それでも5問全問正解でこの時点でトップに立った。後半は時間を使い切ったが、5問正解。つまり参加者中、ただひとりの100点満点で優勝した。2位は宮田敦史6段(36)の94点。

僕も5手詰めの詰将棋などは解いたこともあるが、この選手権は30何手かで詰むといった超難問ばかり。想像もつかない。途中で挫折するに決まっている。参加者中ただひとり全問正解ということは、谷川9段もどこかで引っかかったということになる。藤井6段は師匠からは「本職の将棋に差し支える。詰将棋は控えるように」といわれ、以前ほど詰将棋はやっていないはずだが、抜群の計算能力を見せつけた。今年圧勝したことで、藤井6段が出る限り、この選手権は藤井6段のものということになりそうだ。

藤井6段は名古屋会場で記者会見し、「最近は詰将棋を解いておらず、自信がなかったので、驚き、かつほっとしています。プレッシャーは特になかった。今年も素晴らしい(詰将棋)作品に出会えて、うれしかった」と述べた。ちなみに藤井6段は詰将棋作家としても有名で、権威ある賞も受賞しているほどだが、前述した事情が物語るように、将棋そのものに専念するため、作品づくりなどは控えているようだ。

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2018年03月23日

藤井聡太6段の快進撃が止まらない

将棋の最年少棋士、藤井聡太6段(15)の快進撃が止まらない。中学の卒業を終えたばかりの22日には格上の糸谷(いとだに)哲8段に快勝し、王座戦本戦トーナメントへの進出を決めた。僕は午前中からabemaTVにかじりつき、夜の勝敗決定まで見守った。

糸谷8段は元竜王で、B級1組に在籍。ここで8勝0敗の抜群の成績をあげ、来期からA級に進級することが決まっている。関西若手四天王といわれ、「怪物くん」の愛称でも親しまれている。阪大大学院で哲学者ハイデッガーを研究、修士号を持つという異色の経歴でも知られている。藤井6段にとって、当面最強の難敵とみられていた。

将棋は中盤、お互いに長考が続いた。藤井6段は、解説者の予想もしない場所に角を打ったり、桂馬をはねて「ただ」で進呈するなど随所に藤井「らしさ」が炸裂、見ている方は面白い展開だった。終始、攻めていたのは藤井6段だったが、僕が一番すごいと思ったのは、きらびやかな攻めの手ではなく、底に打った守りの金だった。これで藤井6段の王がより安全になった。負けがなくなったともいえる。

確かに攻めの局面は派手で、見映えはいい。藤井6段は常に攻めの姿勢を見せる。そこが観戦する者にとって、最大の醍醐味だ。鋭い攻めの手が続けば、かっこいいし、拍手喝采だ。だけど、それだけでいいのか。1手を惜しまず、守りを強化する。この判断ができるかどうか。22日の対局では、この守りの1手が最後に効いたと僕は見る。このあたりの指し回しに進化が表れていると見るのは、見当違いだろうか。29連勝当時は、ここまでの冷静な判断は少なかったと思う。現在16連勝の快進撃は、こうした攻めと守りのバランスがもたらしたものと考える。どっしり構え、変幻自在の手を繰り出す。

さあこれで、年度内は28日の井上慶太9段(54)との対局を残すのみとなった。井上氏は9段という最高段位で、菅井竜也王位(25)ら強豪棋士を弟子に抱える名匠だ。しかし、現役のトップ棋士とはいわれていないような気がする。少なくとも、糸谷8段ほどの強敵ではないと見る。だから17連勝は達成されると予想する。となると、年度またぎで連勝記録が続くことになる。そして、2018年度初戦に勝てば、18連勝となり、これは2018年度の記録とみなされる。通常、ここまで勝てば、年度最長連勝記録になるから、連勝が「18」で止まっても、多分年間表彰の対象となりそうだ。だから、またしても、藤井6段の次戦、次次戦から目が離せない。

今週から来週にかけての藤井6段だが、24日に小学生将棋フェスティバル(正確な名称は忘れた)のゲスト出演、そして25日日曜日には詰め将棋解答選手権がある。この大会、藤井6段が小学校6年の時から3連覇していることは皆さん、ご存知の通り。4連覇なるか、メディアがこぞって取り上げるだろう。詰め将棋は、藤井6段にとって最大の趣味(笑い)。並みいる参加トッププロに圧勝してきた過去があるから、どうみても4連覇は固い。それとも、本職の将棋で忙しく、詰め将棋の練習不足だろうか。それで優勝できないのだろうか。今頃、ちょうど、瀬戸市の自宅で、詰め将棋の問題を一生懸命解いている藤井6段の姿が目に浮かぶようだ。

余談だが、藤井6段は読書家としても知られる。小学生の時、司馬遼太郎を読み、その後も沢木耕太郎の「深夜特急」などを好んで読んできた。僕は沢木耕太郎は好きだが、「深夜特急」は読んでいなかった。文庫本で5冊。昨年、アメリカに一人旅したときに「深夜特急」を持っていき、楽しく読んだ。同じく、藤井6段の愛読書は「海賊とよばれた男」(百田尚樹著)という。このベストセラーも読んでいなかったので、アマゾンの中古書コーナーで買い、今から読むところだ。将棋だけでなく、読書の面でも15歳に指南を受ける68歳である。ありがとう藤井君!

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2018年03月16日

藤井聡太6段から目が離せない

 「盤上の格闘技」とも言われる将棋がいま、アツい。もちろん、その火付け役は15歳にして、史上初を連発する藤井聡太6段だ。

 僕も中学時代、将棋に夢中になった。大昔の話である。タレントとしてもブレークしている「ひふみん」こと加藤一二三九段が気鋭の若手として大活躍していた時代だ。なので、初歩的な定跡などは今でも覚えている。でも、有段者ではない。多分、実力は最高で5、6級といったところだ。

 藤井6段のことは連勝の過程で知った。おそるべき新人が現れたという認識だった。その快進撃ぶりは爽快だった。30連勝を許さなかった佐々木勇気6段を恨んだ。それでも、対局があるたび、anebaTVや将棋チャンネル(これは有料)でネット観戦するようになった。サイバーエージェントが運営するabemaTVは、CM収入に依存しているため、無料なのがいい。カバーしている棋戦は数多い。

 早指しと呼ばれる短い持ち時間の対局(たとえば藤井が優勝した朝日杯将棋オープン戦)ならいい。昨日の順位戦のような対局だと、持ち時間が各6時間だから、朝から夜までパソコンの前に座りっぱなしになる。へたすると、12時をすぎ、日またぎとなる。途中はいろいろな用事で目を離すが、それでもまったく進展していなかったりした。これは体力的にもしんどい。

 昨日の順位戦は相手が三枚堂達也6段(24)だったので、ドキドキした。昨年7月には負けているし、1年間で4段から6段にさっさと昇段(藤井と同じ)しているので、相当な強敵だ。しかし、実際の戦いは藤井6段の一方的なものだった。付け入る隙をみせない完勝である。途中からは、素人目にも優勢が明らかで、ここからは、僕がやっても勝てるのではないかと思わせるものだった。負ける可能性が限りなくゼロなのである。

 ネットの評判をみても、「29連勝のころより、格段に強くなった」というものが目立った。次戦は22日の糸谷八段戦だが、この難敵に勝てれば、だれが連勝を止めるのかという話になってしまう。確かに糸谷八段というのは、次期からA級に入るというトップ棋士の一人だ。僕も22日は一日中、パソコンにかじりつくだろう。藤井6段が昨日の三枚堂戦のように、午後8時台に終わるような圧勝をしてくれるといいのだが。

 ここで、ざっくりとおさらいをしておくと、藤井6段は、2017年度の最多対局、最多勝、最長連勝、最高勝率の4部門で1位となった。4部門しかない。この発表が年度末ギリギリではなく、3月13日になされたことは印象深い。まだ、藤井があと3戦残している段階で、勝率1位が確定したということは、それだけ2位との差があったということである。もちろん、最年少での達成だ。「4冠王」はふつう年度最優秀棋士(記者投票)に選ばれるが、今年度は事情が違う。羽生竜王が7つのタイトルで、「永世」の称号を初めて獲得し、国民栄誉賞を得たからである。

 羽生竜王はタイトル獲得数がなんと「99」になっている破格の存在だ。そんな羽生氏を選ぶか、藤井6段の快挙を優先させるか、投票する記者は悩むだろうな。藤井6段は、4冠王のほかにも、最年少一般棋戦優勝、最年少6段昇段などすさまじい実績を残している。そして、デビューからの29連勝はだれもが知るように、30年ぶりの大記録だ。この記録だけですごい偉業なのだが、おまけに4冠王、棋戦優勝、6段昇段などがついてきた。現在も15連勝中なのである。これは29連勝に次ぐ2位の連勝記録。ふつうの年なら、これで最長連勝になる数字だ。

 さて、これからの藤井6段はどうなるのだろう。一番の注目点は、いつ初タイトルを獲得できるかだ。それが、屋敷八段の18歳6ヶ月より早くなるかどうか。あと、3年近くあるので、十分可能性はあると思えるが、このタイトル戦、挑戦者になるだけで気が遠くなるような連勝を重ねなければならない。運も味方につけなければならない。だから、いくら15歳の時点で強くても、タイトル挑戦者になれるとは限らない。スランプに陥ることもあるだろう。15で天才と呼ばれた人が、20になったら凡人になっていたという恐れもある。でも、藤井6段の未来を信じたい。日本が森友問題やレスリングのパワハラ疑惑などで、灰色に包まれていても、藤井6段のニュースには気持ちが癒やされる。謙虚な人柄も好ましい。日本のこれからにとって欠かせないのが、藤井6段だといえよう。

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2017年07月09日

たった9日間で

たった9日間、アメリカに行っていただけなのに、その間に悲喜こもごも、いろんなことが起きており、当惑し、追いつくのに苦労した。訪米は6月19日から27日まで。

まず悲しいニュースとしては、小林麻央さんが亡くなっていた。最後の方は、写真に死相が表れており、そんなに長くは持たないな、とは考えていたが、あんなにあっけなく亡くなるとは想像を超えていた。ブログを愛読していただけに、喪失感は大きい。死の2日前、最後の投稿となった「オレンジジュース」には7月9日現在、7万2000ものコメントが寄せられており、ものすごい数の人が急逝を悲しんでいるれことがわかる。

亡くなって2週間以上たつのにコメント数は毎日増え続けており(「笑顔に会いにきょうもまたここ(ブログ)に来ました」など)、その光景は異様ですらある。麻央さんのブログは逐次英訳されており、それを日々、掲載しているから死後もブログが更新されるといったこれも異様で珍しい状況となっている。前回のブログで麻央さんの件をややネガティブな形で取り上げたので、後始末として書いた次第です。

うれしいニュースは、最年少プロ棋士藤井4段が、前代未聞の29連勝を達成したことである。米国の旅行者がリアルタイムで知る方法は私にはない。29連勝もありえると同時に、28連勝目の相手、沢田6段が強敵なことから「28連勝成らず」の見出しも浮かんでは消えた。段位はないものの、中学時代、将棋に熱中した経験を持つ私には、この新星の登場は胸のすく思いがある。言われていることだが、プロになって経験を積んでからの連勝ではなく、デビューしていきなりの連勝だけに一種のすごみがある。

藤井君の登場で、対局をスマホで追いかけて見ることに夢中になっている。持ち時間各6時間ともなると、12時間以上の対局時間になるが、スマホを充電器につないで観戦する始末である。生中継があるのはいいが、サーバーの関係か、時々、ブツブツと切れる。そこが難点ではある。将棋はよくできたゲームであり、その存在にふさわしい光が当たっていると感じる。スーパースターの登場は、人々をわくわくさせるものである。

びっくりしたのは豊田議員の暴行・暴言事件である。あの「ハゲ!」という罵声をテレビで耳にした時には、驚いた。まさにICレコーダーの威力だ。この件は、刑事事件になる可能性もある。多くを語るに値しない事件ではある。

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2017年05月18日

ブログビジネス

歌舞伎役者、市川海老蔵の妻、小林麻央さん(34)のアメーバブログは読者数が200万人を大きく超えた。海老蔵のブログも、姉・麻耶さんのブログも読者数が100万を超えている。僕の最近の日課はこの3人のブログをチェックすることだ。

芸能人、スポーツ選手中心のアメーバブログは、PVに応じて、報酬が支払われる。一説によると、その額は1200PVで30円。僕のブログは多くて、100PVだからお話にならないが、麻央さんのような巨大ブログだと事情は違ってくる。

麻央さんのブログは、多いときは、1日1000万PVあるという。上記の1万倍である。このようにすさまじい人気ブログは信じがたいPVを記録している。その証拠に「いいね」が10万、コメントが5000なんてざらだ。

すると、どうなるか。30円の1万倍近いのだから、30万円近くの収入になる。1日の収入である。月額にすると、最大900万円。すごい金額だ。海老蔵だって、100万単位は稼いでいる。2人の頻繁なブログ更新は、PV確保のためとみられる。

麻央さんは慶応病院の個室に入院中だ。部屋代だけで1日5万円。月額150万円。これに高額の医療費もかかってくる。そのほか、試せるだけの先進医療も試しているみたい。ぞれでも高額のブログ収入があれば問題ない。

麻央さんのブログは名文だ。簡潔にして鋭い。ポエムのような時もある。海老蔵のブログは子供の写真に癒されるが、内容は空疎だ。それに更新があまりに頻繁すぎる。海老蔵は「舞台と病院の行き来はしんどい」みたいな愚痴をブログに書いて、「麻央さんも読むブログに書くとはあまりにも無神経」と批判された。

麻央さんは麻央さんで、高熱が出たと書いた翌日に熱の状態に触れないまま、長文のブログを書いたりして、体調がいいんだか、悪いんだか、判然としない。口さがない連中はネットで「死ぬ死ぬ詐欺」と揶揄している。これはなんでも言い過ぎだと思うが。

それでも、乳がんでステージ4の末期と言われ、転移もみられる麻央さんの病状が気がかりで毎日、ついのぞいてしまう。ブログビジネスの実態はあまりにも巨大だが、それとは関係なく、34歳の日本人女性の貴重な記録として、注目せざるを得ない。

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2016年10月13日

村上春樹はなぜノーベル文学賞をとれないのか

 今年のノーベル文学賞は、村上春樹(67)ではなく、米国のシンガーソングライター、ボブ・ディラン(75)に贈られることになった。「風に吹かれて」のあの歌手にして、作詞作曲家である。

 歌詞に文学的価値があるとして認められた。これは画期的なことだ。しかし、ディランは数年前から、ノーベル文学賞候補とされてきたので、欧米ではそれほどの驚きはないかもしれない。そもそも、日本では歌詞の価値が低くみられてきた。逆に欧米では、歌詞の価値見直しのムードが盛り上がっていたのだ。

 日本では、井上陽水や中島みゆきなど非常に優れた歌詞を残した人でも、文学賞の対象になることはなかった。ありえなかった。これ自体がおかしかったのだ。ディランの受賞は保守的で狭い了見の日本の文壇に対し、強烈なパンチとなったはずだ。あわてふためく文壇の大御所を想像すると、愉快である。

 ではなぜ、村上春樹は今年もまた受賞を逸したのか。この十年近くノーベル文学賞最有力候補とされながら、なぜ、受賞に至らないか。推論に過ぎないが、この原因は選考委員会の「嫉妬」にあるとみる。村上作品は新作が出るたび、欧米やアジアで大きな話題となり、本は平積みにされて、飛ぶように売れてきた。

 別の言い方をするならば、村上作品はあまりにも「ポピュラー」なのだ。人気がありすぎる。村上に授賞となれば、その人気をひたすらあおることになる。そんなことはしたくない。もっと地味ながら、コツコツと作品を紡いできた作家が世界中にいる。そんな人にスポットライトを当てたいというのが選考委員会の思いだろう。村上のような「通俗的」な作家には安易に賞を贈らないと決めた、と推定される。

 とはいえ、村上春樹も年をとり、70歳目前となってきた。60代のうちに受賞してもちっともおかしくない。村上文学の真価を考えると、「嫉妬」ではなく、大局的見地から授賞に踏み切ることは十分ありえる。それを期待したい。

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2016年07月21日

日本人の生き方を変えた男・大橋巨泉〜罪悪視されていた「遊び」を人生の楽しいテーマにしてしまった

ab730783.png 大橋巨泉が亡くなった。いろいろ報道されている。でも、どこか違う。肝心のことが語られていない気がする。巨泉の「価値」は報道されているより大きいと思う。巨泉は日本人の生き方に大きな影響を与え、それを変えてしまった。

 人生は楽しむためにある。それが巨泉のモットーだった。「11PM」以前の日本人は生真面目すぎた。そこにするりと巨泉は球を投げたのだ。高度経済成長期の日本人に球を投げた。遊び、という球を。

 大いに遊ぶべし、という価値観を打ち出した。それまで、遊びというものは、どこか後ろめたいものだった。真面目な大人は遊ばない。それが一般的な見方だった。巨泉の出現で、遊んでいてて、いいんだ、となった。コペルニクス的転換である。

 それを実践していったから説得力があった。ゴルフでも麻雀でも競馬でも、上手かった。遊びでも手を抜かない。とろいことはしない。理詰めでいく。真面目に遊んだ。その、遊びにかけては、徹底したところが素晴らしかった。

 56歳での「セミリタイア」宣言はその延長線上にあった。はるかに年下の女と再婚し、一緒に遊んだ。冬の寒い時期は南半球の温暖なオーストラリアやニュージーランドで過ごし、くそ暑い夏は涼しいカナダ・バンフで避暑をした。日本滞在は春か秋。その生き方は、羨望の的でもあり続けた。

 巨泉逝くの報を聞き、そんなことを思った。惜しむらくは、82歳での他界であろう。本人は100歳ぐらいを目指していたはずだ。がんの転移が相次ぎ、それが叶わなくなったと知った時は落胆したと思う。冥福を祈りたい。

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2016年04月15日

映画「家族はつらいよ」は山田洋次監督らしいほんわか小市民的コメディだが、トシのせいか切れ味に欠ける

bf3f02fe.jpg山田洋次監督は僕が大好きで、欠かさず見ている人である。小市民的コメディに味がある。ひねりがある。今回の「家族はつらいよ」はあまり期待しないで見たが、残念ながら彼の力量からすると、かなり落ちる。トシのせいか。前作の「母と暮らせば」も、どうということのない作品だった。2作続けて、というのは気になる。

脇役俳優の橋爪功を73歳の主人公にすえた。妻役は吉行和子である。いいバランス。長男役に西村雅彦(妻に夏川結衣)、次男役に妻夫木聡(婚約者に蒼井優)、長女役に中島朋子(夫に林家正蔵)。マンネリすぎる「山田組」メンバー。なんの照れもなく、こうしたマンネリ配役をするのは、やはりただものではない。

吉行が橋爪に離婚届を突きつけるところからドラマが始まる。橋爪には思い当たるフシがなく、ただ驚く。行きつけの居酒屋(ママは風吹ジュン)での酒量も上がる一方だ。同居する長男夫婦、次男、税理士の長女も驚く。吉行は小説を教えるカルチャーセンターの創作教室に通っている。そこで自由の「味」を覚えたのだ。

熟年離婚どころか老年離婚。だれが言い出すともなく、離婚をめぐって「家族会議」が開かれることになった。もっとも、この日は妻夫木が婚約者を連れてきて、家族に紹介する日でもあった。自然に蒼井は家族会議にオブザーバーとして出席する羽目になるのだが、思いがけず重要な役割を果たすことになる。

さてクライマックスの家族会議。吉行は離婚を思い立った理由として、日常生活での数々の「不快」を挙げていく。自分自身が非難されているような、だれにでもあるような日常生活の不手際で、つい笑ってしまう。多くの夫婦が程度の差こそあれ、身につまされるであろうレベルの言ってみれば「たわいのない話」。

蒼井は両親が離婚しているという設定。一家のやり取りを聞いた後、「こういう風に話せるっていいなあ、と。うちの父親は無言で家を出ていきました」と語り、一家の面々を驚かせる。さらに蒼井は看護師の設定でもあるので、橋爪のピンチを救急看護で救う。このあたりはうまい流れ。でも・・

これ以上、書くのは失礼になるので控える。ただ、ハッピーエンドで終わるとだけ言っておこう。ラストは、小津安二郎の「東京物語」へのオマージュ。よっぽど好きなんだなあ、と笑ってしまう。また、タイトルは巨匠・横尾忠則がつくった。凝ったタイトルだなあと思っていたら、エンドロールで「なんだ横尾か」と目を瞠った。

涙もろい私なので、泣かされるのではとも思ったが、泣かなかった。ただ、蒼井優のやさしい笑顔が妙にこっちの心にしみてきて、なぜか目頭が熱くなった。普通は泣く場面じゃあない。妻夫木聡は私のお気に入りでもあるので、その嫁さんになるという話はうれしいじゃないのっていう話。

要するに、どこにでもあるような話。あんまり当たり前すぎて、映画なんだか、現実なんだか、分からなくなる。ひねりが足りない。そこが物足りない。客席からは結構笑い声が聞こえて、お客は満足しているようだった。私は笑いに引き込まれない。平日の午後にしてはかなり客が入っているように思えた。人は人、私は私。

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2016年02月11日

映画「ストレイト・アウタ・コンプトン」は黒人英語がチンプンカンプンだが、アメリカ社会の生々しい現実を知るには良い映画

6bc1aabb.png渋谷まででかけて、映画「ストレイト・アウタ・コンプトン」を見てきた。平日の昼間だが、思ったよりたくさんの客が入っていた。コンプトンとは、ロサンゼルス特派員だった私にとって懐かしい地名。名前だけでビビる。

映画はそのコンプトンが舞台。全米でも犯罪率の高い地域として知られ、映画でも麻薬取引、殴る蹴るの暴力、貧困、差別がのべつまくなしに登場する。映画は、そのコンプトン出身のラップグループ「N.W.A.」の成功と挫折を描く。

1986年が出発の年だから、私が37歳の時。そのグループを知らないわけだ。ハリウッドには「レイ」(レイ・チャールズの伝記映画)、「ウォーク・イン・ザ・ライン」(ジョニー・キャッシュの同)、「ドリームガール」(ダイアナ・ロスとシュプリームスの同)があり、近年ではフォー・シーズンスを扱ったイーストウッドの「ジャージー・ボーイズ」といったアーティストの伝記映画の秀作が多い。それを期待したが、裏切られた。

知らないと、感情移入しにくい。映画はまずヒットを出して、のし上がっていく姿を描く。成功して、お金がどんどん入っていくようになると、メンバーに亀裂が入る。「おれのギャラはお前に比べ、低すぎる」といった具合に。そして会計のスキャンダル、最終的には分裂し、解散する。隆盛を誇ったのは数年にすぎない。

成功と挫折と描き方はワンパターン。それより、私にとって厄介だったのが、黒人のスラング英語。ほとんど聞き取れない。それが、白人のマネジャーが登場すると俄然分かる。マネジャーはメンバーに問う。「NWAは何の頭文字なのか」と。そして自分でおどけて「No White Allowed」(白人お断り)かい、って。これはきれいに聞こえる。メンバーは否定して、正解を言うのだが、もう聞き取れない。黒人の英語には悩まされた。

映画は1992年に起きたロサンゼルス暴動の引き金になった白人警官による黒人青年殴打事件(ロドニー・キング事件)前後にも触れる。ロス暴動は私も現地で取材したから、ある意味、懐かしい。暴動は白人対黒人の対立を背景に起きたようにも思えるが、取材した実感では韓国人とヒスパニック(ラテン系住民)の対立もある。

いずれにせよ、すさまじい人種差別、憎悪、暴力、ギャング、麻薬、エイズといったものがこれでもかこれでもかというぐらい登場する。暴力装置としての警察も出てくる。「Fuck The Police」(くそくらえ、警察)を叫んで逮捕されるメンバー。米国社会の生の姿をむきだしの形でアラアラしく描いた作品である。

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2015年12月15日

映画「母と暮らせば」(山田洋次監督)は、ほんわかムービーながら、反戦の主張も色濃く

08e7107a.jpg私の中では、山田洋次=鉄板なので、必見ムービーです。ただ、監督初のファンタジー映画というところ、吉永小百合を使った母もの=涙、というところに若干の抵抗を感じながら、映画館に行ったわけです。130分という尺も長すぎる。

映画は昭和20年8月9日の長崎への原爆投下から始まる。医大生の浩二(嵐の二宮和也)は講義中に遭遇し、絶命する。その浩二の母親役が吉永小百合だ。あとは浩二の恋人役町子の黒木華。この3人を中心に展開する。

3年後、一人暮らしの吉永の家に浩二の「ゴースト」が現れる。涙をみせると消えるという設定。毎日のようにゴーストは現れ、吉永は浩二との対面を楽しみにするようになる。このゴーストの処理が自然で、山田洋次の手腕を感じる。

町子は浩二を思うあまり、残りの人生を1人で暮らす決心をする。それは無理だし、健康なことじゃないと吉永は思い、浩二と話し合う。浩二も最初は抵抗があるが、母の意思を尊重するようになる。それを受けて、吉永は町子を説得する。

ある日、町子が松葉杖の男性を連れてくる。新しい恋人だ。浩二が祀られている仏壇の前で静かに手を合わせる。見るからに誠実そうな人物で、吉永の心が晴れていく。ドラマで言えば、ここがクライマックスか。

130分の長さを感じなかった。吉永、二宮、黒木をはじめ、芸達者がそろった。二宮はクリント・イーストウッド監督の「硫黄島からの手紙」に出たころは、幼さが目立ったが、今回はどんピシャの年齢帯だった。70歳の吉永は50歳を演じたことになる。

涙腺のゆるい私だが、涙が止まらないといった現象は起きなかった。何カ所かでホロッとし、涙が出たが、そこまで。山田洋次監督の淡々とした、味のある描写に今回もしてやられた。派手さはないが、おすすめの映画です。

故・井上ひさしへのトリビュートでもある。戦争の場面も、反戦の場面もほとんどないが、不戦の訴えが全編にしみこんでいる。それをどうとらえるか、言うまでもなく、皆さんの自由です。

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2015年10月09日

映画「野いちご」(イングマール・ベルイマン監督)は、夢と現実が交錯する中、現代人の信仰についての議論を巧みに織り交ぜた傑作

83bc9e95.png10代のころ、見た記憶があり、老人が主人公とまでは覚えていたが、中身は完全に忘れていた。最初から最後まで、会話にウィットがあり、分かりやすく、面白い。人生は走馬灯のごとしというが、主人公にとって人生は老境に達すると、存外、苦しみに満ちたものなのかもしれないと思わせられる。

主人公のイサークは78歳。元医師。明日は名誉博士号を受けに車で出掛ける。「名誉博士号なんてバカバカしい。愚者の称号の方がふさわしい」と自虐的なイサークだが、息子の嫁とのドライブは楽しみでもある。

出発前夜、イサークは奇妙な夢を見た。街灯の時計には針がない。自分の懐中時計も見ると、針がない。このあたりシュールレリスムの影響が色濃く出た場面だ。人の肩に手を触れると奇妙に歪んだ顔が見え、倒れると血が出る(モノクロなので多分)。馬車から転がり落ちた棺桶には自分がいて、手を引っ張る。

ドライブ中の嫁との会話も、結構辛辣なところがある。嫁は言う。「あなたの息子はあなたを憎いんでいるわ。エゴイストだから。自分にしか関心がない。一見優しそうな紳士だけど」。このやり取りを聞いていて、自分のことを言われているような感じがした。僕も「自分のことしか考えていない」といつも妻に糾弾されているのです。

途中、寄り道をして、イサークが少年時代に夏を過ごした林に入る。野いちごがあちこちに咲いている。実っているかな。「命名日」のお祝いというのが登場してきて、スウエーデンと我が国との違いにちょっと戸惑う。そもそも命名日って、何なのだろう。名付け親が名をつけ、与えた日か。

そうこうするうちに、ある種のクライマックスが来る。全体の半ばよりちょっと後半に入ったあたり。途中で車に乗せた若者たち(男2人、女1人)が議論を始める。「信仰は麻薬だ」「おのれの無意味に立ち向かうのが現代人」といった神を巡る議論。

イサークはいう。「そよぐ風、咲き誇る花(メモできなかったので、正確ではないと思うが、そのようなこと)。いたるところに神のしるしがある」と。でも若い女は「神なんて信じられる?」とあくまで懐疑的だ。映画は名誉博士号の授与式をへて、また夢のシーンで終わる。とにかく、夢だらけ。現実と半々ぐらい。夢の中でなぜかイサークは有罪となり、「普通の罪です。孤独という罪」と告げられる。

ベルイマン監督は牧師の家庭で育った。神に関する蘊蓄(うんちく)は、そのころから培養されていたのだろう。前回のブログで取り上げた同監督の「鏡の中にある如く」も、同じように神について語る部分が「核」になっていた。今回の「野いちご」は幻想的な味わいの中で、人生を観照する作風になっていて、会話もユーモアに富み、だからこそ、ベルイマンの代表作の一つと言われるのだろう。

1957年製作。1時間27分。ベルリン国際映画祭金熊賞受賞。

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2015年09月20日

映画「鏡の中にある如く」(イングマール・ベルイマン監督)は神について静かに語っていて映画史上に残る傑作

40493cf3.jpg僕が高校生のころ、映画を本格的に見始めたきっかけがスエーデンのイングマール・ベルイマン監督(世界的巨匠とされている)の「道化師の夜」という映画だ。ベルイマンの人間洞察の深さ、モノクロの濃淡の見事さに圧倒された。映画監督を目指した時期もある。

1998年からMXテレビに出向していたころ、映画配給会社の人と知り合い、「野いちご」、「冬の光」を含む8本ものDVDをもらった。上記のようなベルイマン監督との「縁」を語ったので、先方が好きだろうと思って、好意としてくださったのだ。

その8本は眠ったままだった。10余年がたって、その8本に立ち向かう心理的、肉体的余裕が生まれた。そこで見たのが、「鏡の中にある如く」(1961年)である。妻と一緒に見た。感動で言葉が出なかった。泣かなかったが、心に深く残った。

前置きが長くなった。この作品は1時間26分の尺である。近年はやたら長い作品が多く、2時間超えもザラだ。それは編集というものが分かっていないからである。ベルイマン作品は1時間半未満のものが多い。簡単に言えば、編集が優れている。

この作品は作家一家4人が海辺の別荘で過ごす1日の出来事を描いている。登場人物は4人だけで、まるで演劇のようである(晩年のベルイマンは舞台に心血を注いだ)。その心理ドラマ。舞台も別荘と海岸と船の中だけで展開される。

作家の娘は、統合失調症を患っている。その夫の医師と17歳の弟、作家の父親が出てくる。娘は父親の日記を見てしまう。そこには「娘の病の進行を作家として観察していく」といった冷めた記述があった。これを見て、娘はショックを受ける。

詳しくはあえて書かないが、船の中で、弟と結ばれてしまう。近親相姦である。そこは暗示するだけで、生々しくは描かない。その罪の意識もあって、娘は症状が急激に悪化し、救急ヘリで病院に搬送される。

最後は父親と弟の会話だ。父親は「悪いことをした」と日記の記述を謝罪する。弟は「父さんは神の存在を信じるのか」と質問する。父は直接は答えず、「神の存在は愛に現れている。崇高な愛、下劣な愛、とんでもない愛が存在する」と遠くを見つめる。

そこで映画は終わる。かなり唐突に。しかし、すべてを言いつくしているのだ。これ以上、くだくだと説明的に展開するのは野暮というもの。娘は治療を受け、死ぬことはない。父親は罪を感じている。それで十分だ。余韻を残す優れた演出だ。

細かく見ていると、やたら人物をアップにするのではなく、ロングショットで遠目から描いたカメラワークの巧みさが目立つ。白夜と夜明けの明かりをうまく使っている。音楽も控え目。クライマックスだけ、管弦楽が流れる。見事というしかない。

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2015年09月05日

映画「あの日のように抱きしめて」はウッドベースの音がビシバシ効いて、1時間半で終わる〜悪くないじゃん

5e640081.png映画「あの日のように抱きしめて」(クリスティアン・ペッツォルト監督)は妻に先を越された。しゃくにさわったが、じっと我慢。渋谷西武デパートのヨウジ・ヤマモトの店長と軽いアポがあったので、昨日見た。東急文化村の「ル・シネマ」で鑑賞。昼というのにかなりの入りだ。

ナチスの強制収容所で顔に大怪我を負ったユダヤ人妻にニーナ・ホス(ネリー役)、夫約のロナルト・ツェアフェルトがタッグを組んだ。名作「東ベルリンから来た女」のコンビだ。残念ながら、この作品は見ていない。しかし、妻は見ている。しゃくだ。

1945年戦争終結の年のベルリンが舞台だ。医師は「どんな顔になりたいか」と手術前ネリーに尋ねる。ネリーは「いいえ、昔の顔に戻してください」と要望する。医師は「それはできない」とつっぱねる。

夫ジョニーを探し出そうと奔走するネリーは、ついにジョニーと再会を果たす。しかし、ジョニーは顔の変わった彼女が自分の妻ネリーであることに気づかないばかりか、収容所で亡くなった妻になりすまして遺産をせしめようと彼女に持ちかける。

夫は本当に自分を愛していたのか、それともナチスに寝返り自分を裏切ったのかを知るため、ネリーは彼の提案を受け入れることにするが…。があらすじだが、妻のサインと一致したのに、ネリーが妻だと分からない夫にいらつく。じれったい映画だ。

ただ、良い点が3つある。冒頭とエンドロールで流れるウッドベースが素晴らしい。監督のセンスを物語る。途中、バイオリンとかピアノの曲も流れるが、ここはベースだけでいった方が映画は深まったと思う。

ラストシーンはネリーの歌で聴かせる。伴奏のピアノは鈍感な夫だ。でも、シンプルでいいラストシーンだった。心に残る。上映時間が1時間半というのも素晴らしい。2時間が当たり前になっているのに。冗漫な部分をうまくカットした編集者に拍手。

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2015年09月04日

五輪エンブレムにはデザイナー、梅野隆児さんの作品を採用すべきだ〜シンプルでかっこいい

5a9268bd.png2020年五輪・パラリンピックで使用するエンブレム問題は、佐野氏の話から進んで、新しくどのようなものにするか、に焦点が移ってきた。僕は、案と称するすべてのデザインを見てはいないが、梅野隆児さんのものが素敵だと思った。(画像はクリックすると拡大します)

複雑に色はたくさん使っている(お金がかかるというネックがある)ので、アホの五輪組織委は採用しないとは思うが、現時点でベスト。オリジナリティーでは文句のつけようがない。梅野さん作品を採用せよ、とのムーブメントを起こそうではないか。

音痴で運動神経がまるでダメな僕も、美術は「5」だった。娘は美大だし、審美眼には多少自信がある。皆さんのご意見を聞きたいところだ。

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2015年09月02日

懲罰的賠償が認められれば、佐野氏は50億円は取られる〜五輪エンブレムを白紙撤回しても残る訴訟問題

22be314b.png僕は8月5日付の本ブログで、「2020東京五輪エンブレムはつくり直すべき〜そもそもデザインとして半世紀前のものに劣る」と題したメッセージを送った。それから約1カ月もたって、五輪組織委は佐野研二郎氏のエンブレム白紙撤回を発表した。

僕は佐野氏も安易だが、組織委の対応が遅すぎたと批判したい。前のブログ記事に書いたことだが、エンブレムは単独で使われることもあるものの、ポスターなどにはめ込んで使われることが多い。なので、シンプルなものがいいのだ。半世紀前のエンブレムもそう。

パクリは深刻だ。特に飲料メーカー(サントリー)のキャンペーン賞品を取り下げた問題で、アメリカジョージア州のデザイナー、ベン・ザラコーさんは「佐野氏が利益をあげているなら法的手段も検討する」と話している。「BEACH」(写真)と書かれたデザインについて、およそ15年前に、自分が制作したものと完全に一致すると指摘する。

ベン・ザラコーさんは「全てが一致する。文字の間隔も同じだ。わたしがあえて変えた文字の太さも同じだ」と話した。この「あえて変えた文字の大きさも同じ」と指摘した点が重要だ。単なる模倣よりたちが悪い。佐野氏が利益をあげていたことは言うまでもない。

米国の訴訟では、PUNITIVE DAMEGE(懲罰的賠償)という概念があり、悪質な違法行為については、再発防止の観点から、とんでもない破格の賠償を言い渡すことがよく見られる。100億円単位の賠償など日常茶飯事だ。

ザラコー氏が米国で訴訟を起こすべきだと考える。今回の問題の深層が分かってくる可能性がある。とにかく「BEACH」はひどすぎる。ヘラヘラして記者会見を行った元財務次官の武藤事務総長は即刻、クビにすべきだと思う。それが責任の取り方というもの。

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2015年08月12日

人生常にアテンション・プリーズ!だと教えてくれる抜群に面白い傑作教育映画「人生スイッチ」

b737f68a.jpg新聞やネットの映画情報で芳しい作品がないという時は、映画館の個性に頼るしかない。昨夜、「人生スイッチ」(ダミアン・ジフロン監督・脚本)をみた渋谷のシネマライズもそういう個性的な映画館。やっているものはたいてい面白い。ここで傑作「グランド・ブダペスト・ホテル」を見たものだ。

「人生スイッチ」はアルゼンチンが舞台だ。汚職捜査官が堂々と出てくるところなんか、かの国らしいが、それ以外は普遍的なテーマを扱っている。そう、この映画6つの短編映画からなるオムニバス映画なのだ。すべて日常茶飯事が大ごとになるという話。極限状態を軽妙なタッチで描く。

さびれた食堂に客が来る。ウェイトレスは凍った。父が自殺する原因をつくった男だからだ。客は成人したウェイトレスの見わけがつかない。料理人の女は「猫いらず」の缶を取り出して「やんなよ」とけしかける。でも、ウェイトレスはそこまでできない。で、料理人が取った最後の手段とは・・・「おもてなし」という題の短編。

表題に「傑作教育映画」と書いた。ブラックユーモア満載の映画なのだが、人生について教えられる。なにげない、ささいな一言から殺人事件に発展するなど、人生常にアテンション・プリーズ!だとあらためてかみしめる。教育的な要素もあるのだ。

最初は飛行機内の客同士の普通の会話から始まる。共通の知人がいることに気づく。そこで思わぬ展開。乗客が次から次へと、その知人との関係をカミングアウトするのである。で、みなこの飛行機に乗り合わせたことが偶然でないことを知る。この「つかみ」がうまい。うなる。

これだけではなんのことか分からないだろう。すべての加害者が被害者になりうることをサスペンスタッチで描いた。飛行機は最悪の結末を迎える。さらに地上にも犠牲者が出る。この描き方がすごい。見たことない。小説に映画が優位に立つ瞬間である。小説では描けない。

客席からは時折、爆笑がもれた。最後の短編のタイトルは「HAPPY WEDDING」。こりゃ、ハッピーじゃないな、とここまでくれば分かる。結婚式は修羅場になる。新婦が、哀れな新郎を抱きしめる義母との姿を、「みんな、写真に撮ってよ」という場面は圧巻。再婚の際、この映像を流すといきまく。最後は後味が悪くならないような結末になるのだが、あえて言えば、不自然なもっていきかただ。でも、面白かった。

この映画は万人にお薦めだが、特にストレスで疲れている人には強く勧めたい。映画から得られるものがあるはずだ。ストレス解消につながる何かが。そう真面目に考えなくても、料金分のエンターテインメントであることは間違いない。ここまでやるか、という南米の激情ぶりがよく伝わってくる。

ネットの映画評の採点は、そこそこ。口コミによる採点。極端に評価が分かれている。満点の人も多いが、最低評価の人もいる。ナットク。でも、この映画は確かに荒唐無稽だが、リアリティーがある。アルゼンチンで興行収入史上1位を獲得しただけのことはある。監督の手腕に脱帽。アカデミー賞受賞の「バードマン」よりずっと面白い。

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2015年08月05日

2020東京五輪エンブレムはつくり直すべき〜そもそもデザインとして半世紀前のものに劣る

65e7a6f0.png2020年東京五輪のエンブレムに選ばれた作品が、ベルギーの劇場ロゴと酷似していると指摘され、訴訟になる恐れも出てきた。僕はこの作品そのものがよくないと思っている。これを選んだ組織委はあの人がトップにいるだけあって、すげえセンスだ。

デザインはベルギーのに似ていると思う。デザイナーは5日、記者会見し、疑惑を否定したが、万人を納得させるだけのことを言ったかというと、NOである。訴訟にはならないのではないかとの見方もあるが、甘いと思う。欧米の権利意識をなめてはいけない。

エンブレムは、ポスターはじめ、いろいろなところに使われるものであって、ゆえに、シンプルでなくてはならない。1964年五輪の際は、亀倉雄策氏(1915-1997)のデザインを採用したが、日の丸を中心にすえた極めてシンプルなものだった(写真)。もちろん盗作疑惑も生じなかった。

なので、単独で見ると、物足りないが、五輪ポスターにはめ込んでみると(下の写真)、見事に生きてくる。ポスターを生かしている。これこそ、エンブレムなのだ。僕はこのエンブレムが好きだ。亀倉さんがご存命なら、今回のような駄作は選ばれなかったと考える。6fba0f63.jpg

盗作かどうかも重要だが、デザイン的にすぐれていないということの方がもっと問題だと考えている。ちなみに話題のデザイナーは、多摩美術大グラフィックデザイン科卒業。うちの娘も同じ学科です。だから擁護とはいかない。

いまからでも全然遅くない。選び直すべきであろう。新国立競技場問題で物議をかもした上に、いたるところでお目にかかるエンブレムに「けち」がついているとなれば、面白くない。東京五輪が決まった時のあの高揚感はどこへ行ってしまったのか。

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2015年07月09日

交通安全協会のなぞ

5年に1度の運転免許証更新のため、警察署に行ってきた。いつも思うのは、なんでこんなに金がかかるのかということ。更新手数料3000円に加え、郵送料1000円(バスを乗り継いで行っても800円以上かかるので)さらに持参した写真が古いと言われ、撮影料900円で計4900円。外国ではこんなに金を取らないだろう。

これらはすべて、警察そのものではなく、一般社団法人・全日本交通安全協会に払う。3000円は薄いパンフと、30分の講習(うち15分はDVD)の対価ということになるが、べらぼうな儲けだ。仕組みは分かっている。全日本交通安全協会は警察の最高の天下り組織なのだ。警察のキャリアは交通安全協会の全国組織のトップに天下り、ノンキャリもそこそこの地方ポストがある。

交通安全協会は警察の敷地内にあり、免許証更新業務を独占している。女性職員2人がいたが、きっと殉職警官の妻なのであろう。そもそも、警察本体がやるべき業務をなぜ外の組織に丸投げしているのか。疑問が消えない。既に書いたような蜜月関係というか、そういう「仕組み」になっているのは明らか。利益をあげさせるように出来ている。こういうのに、以前は怒っていたが、もう正直どうでもいい。5年に1度のことだと納得しようとしてしまう。ただ、実態は知っていただきたいと思い、書いてみた。

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