◯ 公認心理師法 第二章 試験

第四条(資格)
公認心理師試験(以下、「試験」という。)に合格した者は公認心理師となる資格を有する。

※ 「有する」だけで、自動的に公認心理師となるわけではありません。

(試験)
第五条 試験は、公認心理師として必要な知識及び技能について行う。

(試験の実施)

第六条 試験は、毎年一回以上、文部科学大臣及び厚生労働大臣が行う。

第七条 試験は、次の各号のいずれかに該当する者でなければ、受けることができない。

 一 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に基づく大学(短期大学を除く。以下同じ。)において心理学その他の公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めて卒業し、かつ、同法に基づく大学院において心理学その他の公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めてその課程を修了した者その他その者に準ずるものとして文部科学省令・厚生労働省令で定める者

 二 学校教育法に基づく大学において心理学その他の公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めて卒業した者その他その者に準ずるものとして文部科学省令・厚生労働省令で定める者であって、文部科学省令・厚生労働省令で定める施設において文部科学省令・厚生労働省令で定める期間以上第二条第一号から第三号までに掲げる行為の業務に従事したもの

 三 文部科学大臣及び厚生労働大臣が前二号に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると認定した者

(試験の無効等)

第八条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、試験に関して不正の行為があった場合には、その不正行為に関係のある者に対しては、その受験を停止させ、又はその試験を無効とすることができる。

2 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、前項の規定による処分を受けた者に対し、期間を定めて試験を受けることができないものとすることができる。

(受験手数料)

第九条 試験を受けようとする者は、実費を勘案して政令で定める額の受験手数料を国に納付しなければならない。

2 前項の受験手数料は、これを納付した者が試験を受けない場合においても、返還しない。

第三章 登録

(登録)

第二十八条 公認心理師となる資格を有する者が公認心理師となるには、公認心理師登録簿に、氏名、生年月日その他文部科学省令・厚生労働省令で定める事項の登録を受けなければならない。

※ 公認心理師試験合格者は届出を行って登録を受けないと公認心理師、心理師の名称を名乗ってその業務を行うことはできません。

(公認心理師登録簿)

第二十九条 公認心理師登録簿は、文部科学省及び厚生労働省に、それぞれ備える。

(公認心理師登録証)

第三十条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、公認心理師の登録をしたときは、申請者に第二十八条に規定する事項を記載した公認心理師登録証(以下この章において「登録証」という。)を交付する。

(登録事項の変更の届出等)

第三十一条 公認心理師は、登録を受けた事項に変更があったときは、遅滞なく、その旨を文部科学大臣及び厚生労働大臣に届け出なければならない。

2 公認心理師は、前項の規定による届出をするときは、当該届出に登録証を添えて提出し、その訂正を受けなければならない。

(登録の取消し等)

第三十二条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、公認心理師が次の各号のいずれかに該当する場合には、その登録を取り消さなければならない。

一 第三条各号(第四号を除

く。)のいずれかに該当するに至った場合

二 虚偽又は不正の事実に基づいて登録を受けた場合

2 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、公認心理師が第四十条、第四十一条又は第四十二条第二項の規定に違反したときは、その登録を取り消し、又は期間を定めて公認心理師の名称及びその名称中における心理師という文字の使用の停止を命ずることができる。

※ 取消処分には「任意的取消処分」で、監督者が任意的に裁量で取り消したり取り消さなかったりするのですが、必要的取消処分と言って、必ず取消しを行わなければならないので、かなり厳しい処分と言えるでしょう。

※ なお、法律の条文を読むときの条、項、号の復習にこの第三十二条を使ってみます。「取り消さなければならない。」の後には「第1項」が隠されています。透明文字で「第1項」と書いてあるとでも理解しておきましょう。
第1項の後の漢数字「一」「二」が「号」です。「2」の登録取消し、名称使用禁止はアラビア数字なので第2項ということになります。

(登録の消除)

第三十三条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、公認心理師の登録がその効力を失ったときは、その登録を消除しなければならない。

第三十九条 この章に規定するもののほか、公認心理師の登録、指定登録機関その他この章の規定の施行に関し必要な事項は、文部科学省令・厚生労働省令で定める。

第四章 義務等

(信用失墜行為の禁止)

第四十条 公認心理師は、公認心理師の信用を傷つけるような行為をしてはならない。

※ 信用失墜行為は、公務員、国家資格所持者についてそれぞれ法で定められています。
信用失墜行為とは何か?

1 交通事故、飲酒運転などの道路
交通法違反

2 万引き、、暴行、喧嘩

3 わいせつ行為(業務内外を問わ
ず)強姦、強制わいせつ、痴漢、
盗撮等

4 インターネット上での個人の誹
謗中傷

6 不正経理、公金横領、リベート
収受、贈収賄

7 地位を利用した不法行為

8 ハラスメント行為

※ どこまでが信用失墜行為となるのかは線引きが難しいですが、児童ポルノ法違反があります。
単純所持でも法違反になりますし、サイバーパトロールはこういった犯罪には手厳しいです。怪しいサイトに入って、ついうっかりクリックした経歴であってもIPアドレスから警察が常に捜査しているということを忘れない方がいいでしょう。

(秘密保持義務)

第四十一条 公認心理師は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。公認心理師でなくなった後においても、同様とする。

※ 「正当な理由」があれば、の正当性についてですが、タチアナ・タラソフさんが殺害された際にクライエントが「銃で殺す」と言っていたのにもかかわらず主治医が守秘義務のために何もしなかったというものです。

この後主治医はアメリカ最高裁で敗訴し、タラソフ論争も巻き起こるわけですが、明白な危機が迫っている場合にはカウンセラー側には「第三者保護義務」が発生します。

・犠牲者となり得る相手への警告義務

・犠牲者に危険を知らせてくれる可能性のある人に知らせる義務

・警察への通告

・他の合理的方法

ちなみにこの後アメリカではタラソフ型判決が多数出て、判例として確立しています。

自殺についてもこの保護義務は発生します。

心理職なら経験したことのある人は多いと思いますが、クライエントが自殺意図を明言し、入院ともならなかった場合には医師や心理職から家族にその危険性を知らせ、クライエントが単独で帰宅することがないように家族に送らせるということがあるでしょう。

クライエントが家族に心配をかけたくないから希死念慮について話さないでくれと言っても守秘義務履行よりも患者の生命を優先するわけです。

また、虐待の通告義務も公認心理師の秘密保持義務に優先します。

犯罪者がクライエントの場合、警察から捜査関係事項照会書が来た場合も守秘義務は外されます。

医療現場では患者のケースカンファレンスが多く行われるでしょう。「医者には言わないでくれ」と言われていてもそのクライエントの秘密を守ることはかなり困難です。

また、医療保険会社は患者のカルテ開示請求を行う権利がありますので、ここで守秘義務は外れます。

また、安全に配慮すると特に産業場面のカウンセラーは守秘義務より多くの人々の安全を守らなければならない場合もあるでしょう。

パイロットのクライエントが幻覚幻聴に悩まされている、死ねという声が操縦中に聴こえてきて衝動的に航空機を墜落させたくなる。

秘密にしておいてくださいと言われてもそれは安全への配慮から無理でしょう。

教育・産業場面のカウンセラーは「もっと自分を取り巻く環境をこうして欲しい」と言うことも多く、それを周囲に伝えて欲しい、そういう要望があれば守秘義務は外されます。

その場合、誰に、どんな風に何を伝えるべきかはきちんとクライエントの了解を取らないといけません。

それから、これは注意が必要なのですが、学会や学会誌で事例発表をしたいという時です。

その場合にはクライエントには十分に口頭及び書面による説明、書面による同意書が必要ですし、発表原稿をクライエントに見てもらうことも必要でしょう。

医療、心理の倫理は厳しいものです。

病院なら倫理審査委員を経ないと、同意書があったとしても手続き面に不備があればその発表は不可能になります。

何をクライエントの秘密として守るべきかは難しい問題です。

例えば死者の情報は個人情報保護の対象とはならないのですが、その情報の中に生存している家族などの情報が入っていればそれは個人情報です。

個人情報はその他にも個人の生年月日、メールアドレスや電話番号、健康診断結果の数値、経済状況など多岐にわたります。

また、辰巳法律研究所のドリルによれば、団藤(法律学者)説では秘密とはあくまでその個人のものなので、クライエントがとある企業が経営不振で倒産しそうだ、というクライエントが知り得た秘密についてその漏示が禁止されるわけではないとなっています。


※ ここは大事な部分ですので、罰則規定条文も掲載します。

第四十六条 第四十一条の規定(秘密保持義務)に違反した者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

※ 下記の条文も必出と思います。
公認心理師の秘密保持については以上の内容では記述し切れていない要点もありますが、出題範囲全体の重要度を比較考量した上で次回ブログの記述内容を決めたいと思います。

猛暑が続き、水害のあった土地の方もいらっしゃると思います。

試験対策で読んでくださっている方も、知的好奇心から読んでくださっている方々もいらっしゃると思います。

時節柄くれぐれもご自愛ください。




 (連携等)

第四十二条 公認心理師は、その業務を行うに当たっては、その担当する者に対し、保健医療、福祉、教育等が密接な連携の下で総合的かつ適切に提供されるよう、これらを提供する者その他の関係者等との連携を保たなければならない。

2 公認心理師は、その業務を行うに当たって心理に関する支援を要する者に当該支援に係る主治の医師があるときは、その指示を受けなければならない。

 (資質向上の責務)

第四十三条 公認心理師は、国民の心の健康を取り巻く環境の変化による業務の内容の変化に適応するため、第二条各号に掲げる行為に関する知識及び技能の向上に努めなければならない。

 (名称の使用制限)

第四十四条 公認心理師でない者は、公認心理師という名称を使用してはならない。

2 前項に規定するもののほか、公認心理師でない者は、その名称中に心理師という文字を用いてはならない。

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◯ 公認心理師法

だんだん試験期日が迫って来ました。

参考書が手元に届いたので見直しながら法についての復習をしてみます。






司法試験に特化した出版社だけあってかなり優れたドリル形式の問題集となっています。

公認心理師法から見直してみようと思います。

◯ 公認心理師法
第一条 この法律は、公認心理師の資格を定めて、その業務の適正を図り、もって国民の心の健康の保持増進に寄与することを目的としている。

・ここでポイントとなるのは公認心理師の業務の対象者が被心理支援者、その家族等の関係者に限らず、国民全体、ということです。

公認心理師業務は心の健康の保持増進について国民への責任を持っています。

・心の健康について寄与することを目的としています。体の健康ではありません。

第二条(定義)
この法律において「公認心理師」とは、第二十八条の登録を受け、公認心理師の名称を用いて、保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、次に掲げる行為を行うことを業とする者をいう。

一 心理に関する支援を要する者に対し、その心理状態を観察し、その結果を分析すること。

二 心理に関する支援を要する者に対し、その心理に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。

三 心理に関する支援を要する者の関係者に対し、その相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。

四 心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供を行うこと。

・ 第二十八条は「登録」です。試験に合格するだけではなく、登録をしないと公認心理師とはなれません。


第二十八条(登録)公認心理師となる資格を有する者が公認心理師となるには、公認心理師名簿に、氏名、生年月日その他文部科学省令・厚生労働省令で定める事項の登録を受けなければならない。

第二条に戻ります。

・「公認心理師の名称を用いて」いなければこの法律の対象にはなりません。心理的支援、類似業務を行あことはもとより公認心理師の業務独占ではないのですが、公認心理師法は公認心理師法を用いた者をこの法律の対象とします。

・「保健医療、福祉、教育その他の分野」と法律に明示されています。

・「心理学に関する専門的知識及び技術」をもって、と言われています。

・「業」とは、 刑事民事双方で、反復継続性をもって、という解釈となります。業務上の過失で相手に傷害を与えた場合が当たります。それでは公認心理師法上の「業」が年一回しかカウンセリングをしないから業ではないから、要心理支援者に被害を与えたのは仕方ない、ということにはなりません。営業でお金を稼ぐつもりになっていたかいないかということについても「業」は問われません。

・要心理支援者の支援については、まず心理状態の観察と分析から始まります。

・その結果を分析すること、の次に相談に応じる、助言、指導、その他の援助を行うこと、とされているのは、要心理支援者の観察と分析なしで相談その他の援助行為が行われるべきでないという解釈と思えます。

・要心理支援者のみでなく、関係者についてもその相談に応じ、助言、指導、その他の援助を行うことが明記されています。

・公認心理師の職務は個々のカウンセリングのみでなく、メンタルヘルスの知識の普及教育もあります。

第三条(欠格事由)

次の各号のいずれかに該当する者は、公認心理師になることができない。

一 成年被後見人又は被保佐人

※ 成年被後見人は被後見人は、民法7条によって規定される、「精神上の障害により事理を弁別する能力を欠く常況にある者」です。

家裁に審判を申し立て、認容されることが必要です。

具体的には重度の認知症や、寝たきりで自分の意志能力を伝えられないような場合が想定され、家裁で後見人が選任されます。

被後見人はその権利を保護するために、行った民事上の行為を自ら、または後見人が取り消すことが可能です。

成年被後見人はその障害の特質から、公務員、会社の経営、国家資格取得など多くの権利を制限されます。

被保佐人は、精神上の障害により、保佐開始の審判を受けた者で、日常の買い物程度はできるレベルはありますが、それ以上の民事上の行為に責任を持つことが困難な人です。

二 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなってから起算して二年を経過しない者

刑罰は1万円を越えない財産刑が科料、1万円以上を罰金、それより重い刑罰が禁錮、懲役になります。

禁固刑は、過失運転傷害致死傷罪で「うっかり」交通事故を起こしても禁錮刑に処せられる場合があります。

交通前科だからと言って侮ることはできず、60〜80キロ以上の速度違反だと一発逮捕、略式起訴ではなく正式公判請求をされて、懲役刑が科せられる場合があります。

交通前科は罰金50万円程度と高額なので、犯罪者の中には執行猶予刑でお金を払わなくてラッキーと思う人もいます。

しかし、公務員は執行猶予でも懲役刑で失職、多種類の国家資格も取れません。

三 この法律の規定その他保健医療、福祉又は教育に関する法律の規定であって政令で定めるものにより、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けなくなった日から起算して二年を経過しない者

「この法律」とは公認心理師法なので、秘密漏洩第四十一条の規定に違反し、1年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられた場合、第四十四条、名称使用制限で30万円以下の罰金に処せられた場合です。

無資格者が公認心理師を詐称して罰金刑に処せられた後に、正式に資格を取得しようとしても二年を経過していないと不可能です。

また、福祉に関する罪では、児童買春をして(実刑になる場合も多いですが)罰金刑に処せられたらこの法律に当てはまります。

※ なお、この欠格事由に当てはまった場合には公認心理師資格は取り消されます。

四 第三十二条第一項第二号の規定により登録を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者

第三十二条第一項第二号は、虚偽又は不正の事実に基づいて登録を受けた者(経歴詐称などが予想されますが、経歴詐称するために受験票に有印公文書又は私文書を作成した場合が当たりますが、こっちの罪はかなり重く、一発実刑が予想されます。)

※なお、法律の条文の読み方ですが、条-項-号
の順番になります。
条の後にアラビア数字がなく、

一、二(号)
その次に「2」とあると、「1」はどこへ行ったの?

と思ってしまいますが、法律の条文で項だけは「1」を記さないことになっていますので、読むのに注意が必要です。

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◯ てんかん

以下、厚生労働省こころのメンタルヘルスから引用しています
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_epilepsy.html

が、要点だけを最初にまとめておきます。

◯ 要点

※ てんかんは脳の神経細胞(ニューロン)が異常な電気信号を発する障害です。

診断は脳波測定では、棘波spikeと徐波waveがあり、てんかんでは左右非対称、棘徐波複合、スパイクアンドウェイブという特徴が見受けられることからわかります。

てんかんには大きく分けて3種類のてんかんがあります。

1.症候性てんかん

脳腫瘍、交通事故などの頭部外傷などが原因のはっきりとしているものです。

2.特発性てんかん

原因不明なものです。

3.難治性てんかん

・てんかんの発作には

全般性発作、意識消失を伴う

大発作/失神

小発作/数十秒程度からのあくびをするような意識消失

複雑部分発作(側頭葉てんかん)は成人に最も多いと言われているもので、意識が部分的にあるので直前まで行っていた行動が無意識的に常道的に続くことがあります。

どのてんかん発作についても、たとえ小発作でも脳細胞に大きなダメージがあります。

したがって、てんかんとわかると子どもはそれを認めたくないので拒薬するなどの行動に出ることもありますが、病状を悪化させないため、てんかんの心理教育、服薬コンプライアンスが大切になります。

手術で病変部を除去して発作を抑えるのが有効な場合もあります。

◯ 以下厚労省資料引用

てんかん

てんかんは、突然意識を失って反応がなくなるなどの「てんかん発作」をくりかえし起こす病気ですが、その原因や症状は人により様々で、乳幼児から高齢者までどの年齢層でも発病する可能性があり、患者数も1000人に5人~8人(日本全体で60万~100万人)と、誰もがかかる可能性のあるありふれた病気のひとつです(1)。「てんかん発作」は、脳の一部の神経細胞が突然一時的に異常な電気活動(電気発射)を起こすことにより生じますが、脳のどの範囲で電気発射が起こるかにより様々な「発作症状」を示します。しかし症状は基本的に一過性で、てんかん発作終了後は元通りの状態に回復することが特徴です。原因は様々で、脳腫瘍や頭部外傷後遺症などの明らかな原因がある場合は

「症候性てんかん」、原因不明の場合は

「特発性てんかん」と呼ばれます。

治療は適切な抗てんかん薬を服用することで、大部分の患者さんでは発作は抑制され通常の社会生活を支障なくおくれます。一方、抗てんかん薬では発作を抑えることができず、

「難治性てんかん」として複数の抗てんかん薬の調整や外科治療などの専門的なてんかん治療を必要とする場合もあります。

【参考文献】
(1)大塚頌子、赤松直樹、加藤天美、他:日本におけるてんかんの実態 日本のてんかん患者数の推定、てんかん研究27巻3号:408-411、2010

「てんかん」とは

脳の神経細胞(ニューロン)は、その数は数百億ともいわれますが、基本的に電気的活動を行っているため、強い電気刺激により異常で過剰な電気活動(電気発射)を起こす性質があります。「てんかん発作」は、このニューロンの電気発射が外部からの刺激なしに自発的に起こる現象を指し、また「てんかん」は、この「てんかん発作」をくりかえし起こすことを特徴とする病気です。
てんかんは、原因が不明な「特発性てんかん」と、頭部外傷、脳卒中、脳腫瘍、アルツハイマー病など原因が明らかな「症候性てんかん」に分けられ、前者が全体の約6割、後者が残りの約4割を占めるとされます。乳幼児から、小児、学童、思春期、成人、高齢者のいずれの年齢層でも発症しますが、特に小児と高齢者で発症率が高いといわれています。
重症度は千差万別で、小児期に発病し数年に一度程度の発作で成人になれば完治してしまう良性の特発性てんかんがある一方、頻繁に発作をくりかえし様々な脳機能障害が進行する難治の症候性てんかんもあります。しかし全体としては、2/3から3/4の患者さんは抗てんかん薬の服用で発作は止まり、大半の患者さんは支障なく通常の社会生活をおくることができます(2)。また薬で発作が抑制されない場合でも、海馬硬化症や良性の脳腫瘍などのはっきりした病変がある場合は、手術で発作の完治を期待することもできます。

【参考文献】
(2)Brodie MJ, et al.: Patterns of treatment response in newly diagnosed epilepsy. Neurology 78(20):1548-

てんかんのサイン・症状

「てんかん発作」の症状は、脳のどの範囲で異常な電気発射が起こるかにより多彩です。たとえば脳の一部で起こる発作(部分発作)では、後頭葉の視覚野で起これば光がチカチカ見える、手の領域の運動野で起これば手がピクピク動く、側頭葉で起これば前胸部不快感や既視感など、患者さん自身が感じられる様々な症状を示します。一方電気発射が脳全体に広がった場合、意識を消失し動作が止まって応答がなくなる、倒れて全身を痙攣させるなど、患者さん自身は発作の間意識がなくなり周囲の状況がわからない状態となります。また、体の一部あるいは全体が一瞬ピクンと動く

ミオクロニー発作や、突然体の力が抜けバタンと倒れる

脱力発作、あるいは手足や口をもそもそと動かす

自動症といわれる発作などもあります。

てんかんの診断と治療

てんかんは、一旦診断されるとその後長期間服薬を必要とすることが多いため、初期診断で、本当にてんかんなのかどうか、ほかに治療が必要な原因はないのかを見極めたうえで、長期的な治療の見通しを立てることが大切です。小児の良性てんかんでは発作症状などの病歴の聴取だけで診断が可能なこともありますが、てんかん発作をくりかえし起こす場合には、基本的に脳波とMRI検査を行い、てんかんの診断と原因を確認する必要があります。
発作で意識が消失することは、患者さんにとって社会生活上最も大きな障害となる症状で、事故にあう危険はもちろん、就労や就学、あるいは自動車運転などに際し大きなハンディキャップとなります。従っててんかんの治療は、発作をいかに消失させるか、あるいは意識消失を伴う発作の回数をいかに減らせるかが主要な目標となります。具体的な治療方法としては、抗てんかん薬の調整が主ですが、自己判断で薬を中断しないことが、発作を防ぐうえで重要です。また、中には先に述べたとおり外科治療で完治を期待できる場合もあり、早期に適切な診断を行うことも大切なことです。

てんかんをもつ人へのケア

てんかんをもつ人にとって、発作が起こっている時間は通常数秒から数分間にすぎないため、発作が起こっていないその他のほとんどの時間は普通の社会生活をおくることが可能です。従って、病気の特性を周囲の人がよく理解し、過剰に活動を制限せず能力を発揮する機会を摘み取ることのないよう配慮することも、てんかんをもつ人に対するケアを行う上で大切なポイントです。
またてんかんをもつ人は、小児では発達や就学、成人では就労や自動車運転、女性では妊娠と出産など、生活上のさまざまな問題に対する継続的なサポートを必要としています。また発作の止まらない患者さんでは、くりかえすてんかん発作による脳機能障害や心理・社会面の障害に対するケアも重要で、様々な福祉制度を活用することも求められます。
厚労省の研究班(てんかん診療ネットワーク:http://www.ecn-japan.com/)や学会及び患者会組織(日本てんかん学会:http://square.umin.ac.jp/jes/、日本てんかん協会:http://www.jea-net.jp)のウェブサイトからは、てんかんに関する情報を得ることができます。

(引用終わり)

◯ 向精神薬 抗精神病薬

written byひなた

いわゆる精神科の暗黒時代とも言われていたころは、治療法が確立されてなく、精神病患者をただ社会的隔離のために入院させていました。

現在の無痛ETCでない電気けいれん発作療法が懲罰的に行われていた歴史もありました。

精神病治療法に画期的な転換点が見受けられるようになったのは1951年、抗精神病薬クロルプロマジンの開発によってでしょう。

クロルプロマジン(商品名コントミン、以下カッコ内は商品名)は精神病患者の退院率、社会復帰率を劇的に上げました。

続いてハロペリドール(商品名セレネースなど)が1956年に開発されたことも治療に大きく寄与しました。

これら定型第一世代抗精神病薬は、スルピリド(ドグマチール)やレボメプロルマジン(レボトミン、ヒルナミン)もあります。
スルピリドは胃薬として使用されることもありますが、抗うつ効果も抗精神病効果もあります。
スルピリドは食欲増進作用があるので、それを薬効として利用する場合もあり、太り過ぎとなってしまうこともあります。

抗精神病薬の副作用としては錐体外路症状があります。(静座不能、足がむずむずして突っ張ったようになるアカシジア、ジスキネジア、オーラルジスキネジアでは呂律が回らなくなったようになり、口が不随意運動をするようになります。ジストニアは全身筋肉の不随意運動で、このような錐体外路症状には抗パーキソン剤アキネトンで対処することがあります。

抗パーキソン剤が効き目があるという患者さん、ないという患者さんがいます。

医学の教科書でも副作用止めを出してまで薬を出していくのは多剤処方につながるのでやめた方がいいという記載があります。

非定型第二世代抗精神病薬は現在統合失調症、双極性障害、うつ病、感情の障害などにも使用されている薬剤です。

リスペリドン(リスパダール、経口投与の他に持続する注射としても使用されています)、ペロスピロン(ルーラン)、パリペリドン(インヴェガ)、オランザピン(ジプレキサ)、クエチアピン(セレネース)、アリピプラゾール(エビリファイ)、ブロナンセリン(ロセナン)、アセナピン(シクレスト)、クロザピン(クロザリル、薬剤抵抗性統合失調症に著効)です。

ただし、クロザピンは無顆粒血症が重大な副作用として認められ、白血球中の顆粒球がほとんどなくなってしまう危険性があるので頻回に血液検査をしなければならないというデメリットがあります。

統合失調症陽性症状には第一世代薬が使用されていて、陽性症状と陰性症状双方に対して第二世代薬リスペリドンなどは効果があります。

リスペリドンに続くSDAは、統合失調症に対してドーパミン受容体のみでなく、セロトニン受容体にも働き掛けることで効果を示しています。

いずれの抗精神病も代謝を阻害するので体重のコントロールが難しくなるというリスクがあります。

糖尿病の発症リスク、また、糖尿病患者さんには禁忌の向精神薬は多いです。

第一世代、第二世代とも抗精神病薬には力価があるので、CP換算値でわかりやすく自分が服薬しているメジャートランキライザーの力価がわかります。

あまりに力価が高いと治療効果よりも、副作用の過鎮静が起きて全く動けなくなります。

また、一度増やした抗精神病薬の減薬は時間をかけないと心身への高い危険性があり、横紋筋融解が起こったり、突然死の可能性もあります。

副作用については以前も記述しましたが風邪薬でも「副作用のない薬は作用もない」と言われていますが、元々自然に体内で生成される物質外の向精神薬は必ず何かしらの副作用の可能性があります。

それにもかかわらず、治療効果がより大きく期待されていることから使用されているということを理解しておく必要があるでしょう。

なお、向精神薬はベンゾジアゼピン系薬剤は催奇形性が高いと言われています。

妊娠に比較的安全性が高いと言われているのは第二世代非定型精神病薬やSSRI、SNRIですが、臨床上使用していることが多いということと絶対的な安全性が確立されているということとは別です。

妊婦にとって向精神薬使用のリスクは、断薬、減薬して症状を抱えて精神的に不安定なまま妊娠を継続するか、少ないパーセンテージでの催奇形性があっても服薬して安定した状態で妊娠を継続するかのバランスを見て決められます。

◯ 向精神薬 抗うつ剤

三環系抗うつ剤TCA、イミプラミン(トフラニール)、アミトリプチン(トリプタノール)
TCAはモノアミントランスポーターは、セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリン、ヒスタミンに働きかけます。

肝機能負担があり治療有効域の狭さがデメリットです。

MAO阻害薬の抗うつ剤はモノアミン系のドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリンの取り込みを阻害するという優れた作用がありますが、肝機能障害、高血圧の副作用のコントロールが困難で現在アメリカでは重症うつ病にしか使われなくなっています。

四環系抗うつ剤としてはマプロチリン(ルジオミール)、セチプチリン(テシプール)、ミアンセリン(テトラミド)があります。

SSRIやSNRIはよりセロトニン、ノルアドレナリンにターゲットを絞って再取り込みを阻害、脳内量を一定に保ちます。

脳のセロトニン再吸収体にフタをしてしまうという原理です。

当初は抗うつ剤として開発されたのですが、パニック障害や強迫性障害治療薬としても使用されています。

塩酸パロキセチン(パキシル)が開発された当時は画期的な薬剤で、次々と開発されていきました。SSRIはフルボキサミン(デプロメール、ルボックス)、セルトラリン(ジェイゾロフト)、エスシタロプラム(レクサプロ)

また、SNRI選択的セロトニン・ノルアドレナリン再吸収阻害薬としてはミルナシプラン(トレドミン)、デュロキセチン(サインバルタ)、ベンラファキシン(イフェクサー)があります。

SSRIやSNRIは脳内シナプス回路でストレス緩和機能が生成されるまでに時間がかかるため、効果が十分に発現させるためには数カ月を要することがあります。

比較的素早く効き目が出ると言われているNaSSA、ミタルザピン(レメロン錠、リフレックスは体重増加作用があります。

SSRI、SNRIの副作用としてはパキシルは当初、衝動性が増加して18歳未満の自殺率を上げる可能性があるということで禁忌になっていました。

以前からうつ病は回復期に突発的に自殺行動に出るとも言われていたので、この危険な自殺衝動が若年層への特有のものなのか、それとも病状のせいなのか、回復期特有の症状なのか大きな論争になりました。

現在ではSSRI、SNRI、NaSSAは若年者に対しては慎重投与です。

パキシルは離脱症状から減薬、断薬にも注意が必要です。

また、男女ともにSSRIやSNRIによる性的能力、性欲減退を訴えることもありますが、QOLを見た上で判断するべきでしょう。

◯ 気分安定薬(ムードスタビライザー)

抗てんかん薬が中心で、双極性障害や不安定な気分状態に使用されます。

世界最古のムードスタビライザーとしては炭酸リチウム(双極うつと抗躁剤、手の振戦や多飲多尿の副作用あり。腎機能障害に注意)

抗てんかん薬としてはバルプロ酸ナトリウム(デパケン)、カルバマゼピン(テグレトール)、ラモトリギン(ラミクタール)が使用されます。

抗てんかん薬も治療有効閾値が狭いので、定期的な血中濃度測定TDMで肝機能検査をしなければなりません。

◯ ベンゾジアゼピン系製剤

抗不安薬としてエチゾラム(デパス)が有名ですが、高い依存性を生じることが知られています。

エチゾラム以外のベンゾジアゼピン系抗不安薬ロラゼパム(ワイパックス)、アルプラゾラム(コンスタン、ソラナックス)、ジアゼパム(セルシン、ホリゾン)も連用は好ましくないとされています。

弛緩効果があり、ふらつき、めまい、注意散漫、アルコールとの交差耐性があります。

ベンゾジアゼピン系睡眠導入剤は

・超短時間型 トリアゾラム(ハルシオン、忘却効果が強いので欧米諸国では麻薬扱いする国が多く、日本人がスーツケースに入れて渡航すると逮捕されることもあり得ます)

ゾピクロン(アモバン)
ゾルピテム(マイスリー)

・短時間型 ブロチゾロム(レンドルミン、手術前日の緊張緩和にも使用します)

※ エチゾラムは短時間型ですが、耐性などの問題から睡眠導入剤として使用しない場合があります。

・中間型

フルニトラゼパム(サイレース、ロヒプノール)

・長時間型

クアゼパム(ドラール)

ベンゾジアゼピン系でない睡眠導入剤としてはラメルテオン(ロゼレム)で概日性リズムを調整、スボレキサント(ベルソラム)が開発されています。

(以上 向精神薬マニュアル 融道男
医学書院参照)

睡眠導入剤は、ベンゾジアゼピン系のみを使用するのではなく、向精神薬で元々は副作用とみなされていた効ヒスタミン作用の眠気が出る効果を狙って使うこともあります。

抗ヒスタミン作用というのは花粉症の薬で眠気が出るのと同じように向精神薬でも眠気が出る場合があります。

ミタルザピン、TCA、四環系抗うつ剤ミアンセリン等には効ヒスタミン作用があります。

向精神薬、抗うつ剤にはうつ状態と似たような副作用を示すものもあり、症状のせいなのか副作用なのかわからなくなる場合があります。

多くの向精神薬が持つ副作用の抗コリン作用は、耐えず口渇感がありますので、口を湿すだけの水を含むぐらいが推奨されています。

水ばかり飲んでいると水中毒になりナトリウムが低下して発作、けいれんから死に至ることもあります。

悪性症候群はパーキソニスム症状が出る、セロトニン症候群では意識障害を起こすこともあります。

多臓器不全、意識障害から死に至ることもあります。

便秘は多く副作用として認められます。抗うつ剤のアモキサピンは便秘が副作用として知られています。

抗コリン効果による麻痺性イレウスで消化管が動かなくなり、単に排便ができないというだけでなく、吐き気、便秘を認めます。

麻痺性イレウスや便失禁は重篤な副作用としてただちに投薬中止しなければなりません。

突然死も向精神薬が持つリスクです。


◯ 薬理遺伝学

薬物に対する反応性には個人差があり、双生児研究によって明らかにされました。
向精神薬以外の薬剤で薬剤代謝に関する研究が行われ、代謝に関係するチクロトローム P450Yに関する研究が発展しました。

向精神薬でも血中濃度に著しい個人差が存在し、CPYの薬理遺伝学研究が盛んに行われるようになりました。

このように薬物を摂取してから血中濃度が保たれていく状態の観察を薬物動態学と言います。(吸収、分布、代謝、排泄)
薬物動態が判明した場合の薬物濃度と作用の関係を薬力学と言います。

(臨床精神薬理ハンドブック第2版 医学書院)

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