2014年07月12日

シリーズ:中世のミサ曲(6)「サンクトゥス」

皆様、こんにちは。副顧問のたろうです。
東京は台風の影響が少なく、ほっとしています。

すでに温帯低気圧になったそうですが、まだ油断はできませんね。
北日本の方お気をつけて。

ちなみにこの台風はノグリーという名前だったそうで。
グリーと付いてると、ちょっとどきっとしますね笑



さて、シリーズの第6回ですが、今回は「サンクトゥス」をご紹介します。

サンクトゥスは「感謝の賛歌」と呼ばれます。
実際のミサの中では、後半の「感謝の典礼」の中で唱えられます。(前半は「ことばの典礼」)

感謝の典礼は有名な「最後の晩餐」に由来していて、
ミサの中でも中心的な部分なんだそうです。



ミサ曲としてのサンクトゥスには、構造的な面白さがあります。
歌詞は次の通りです。

 Sanctus, sanctus,
 sanctus Dominus, Deus Sabaoth.
 Pleni sunt caeli et terra gloria tua.
 Hosanna in excelsis.
 Benedictus qui venit in nomine Domini,
 Hosanna in excelsis.

 せいなるかな せいなるかな
 せいなるかな 万軍の神なる主
 主の栄光は天地に満つ
 天のいと高きところに ホザンナ
 ほむべきかな 主の名によりて来たるもの
 天のいと高きところに ホザンナ
 (※ホザンナはヘブライ語で「いま、救いたまえ」という意味)

この5段目の Benedictus の部分で、大きく曲調を変化させるものが多い気がします。
ものによってはほとんど別の曲として扱っているものもあります。

曲調の変化には色々な手法が使われます。
異なる主題を導入する、テンポ・拍子を変える、音量を変える、
演奏する編成を変える、ソロを使う・・・

その後の Hosanna の部分は、歌詞が全く同じなので前と同じものを持って来る、
という形式が一般的と思います。

異なる性格の2つのテーマを共通するテーマで結び付ける。
曲を通しての統一感も出ますし、音楽的にとても美しい形ですねぇ。



そんな訳で、サンクトゥスには魅力的な作品が大変多いのですが、
今回私たちが演奏するサンクトゥスは、
スペインの Gerona というところで保管されている写本からとりました。

おそらく14世紀中頃に作られただろうとされる曲ですが作曲者不詳です。
この時代の曲としては各パートが非常に滑らかなメロディで作曲されていて、美しい曲です。

その他に、とても面白い特徴が3つありますので、以下にご紹介します。



1.モノフォニーの模倣部

  いきなりよく分からない言葉が出てきましたね。
  あの方を呼んでみましょうか。おーい。

  ◆「はーい。来ましたー」

  どうも、こんにちは。いきなりですが、モノフォニーの模倣部、意味分かりますか?

  ◆「モノフォニーは以前やりましたね。ハモリの無い、単旋律のことですよね。
    模倣・・・は、マネのことですか?」

  ご名答。

  このサンクトゥスは三声の曲ですが、途中で単旋律になり、
  短いメロディを3パートで順番にマネ(模倣)をして歌う部分があります。

  音の低いパートから順に上がって行く高揚感がとても良いです。
  「Dominus Deus」、「gloria tua」、「in nomine Domini」の3か所で使われています。

2.ホケトゥス

  さて、またもや変な言葉が出てきました。ご存知ですか?

  ◆「授業でやったようなやらないような・・・う〜ん・・・ひっく!」

  お!大正解でーす!すごいすごい。

  ◆「????!!!!」

  ホケトゥスとは「ひゃっくり」のことなのです。

  ひとつのメロディーを数音ずつに切り分けて、それを複数のパートで順番に歌う技法です。

   A「いー  たーーー い さ とー 」
   B「  ざー     て く び  よ」

  という感じです。

  冒頭で Sanctus を3回歌いますが、その3回目にこのホケトゥスが出てきますよ。

  ◆「へー。そんな斬新な手法が中世の頃にあったなんて面白いですね。ひっく!」

3.部分的なトロープス

  最後にまた知らない言葉が出てきましたね。分かりますか?

  ◆「これは知っていますよ。なんか、

     キリエーうにゃうにゃーうにゃにゃにゃにゃーうにゃエレイソーン♪

    ってやつですよね」

  そうですね。簡単に言うと、ミサ以外の歌詞の挿入、です。
  ミサ以外とは言っても内容的には関連性のあるものが挿入されます。

  このサンクトゥスでは、

   Benedictus Marie filius qui venit in nomine Domini(斜体部がトロープス)

  と歌われ、

   ほむべきかな 主の名によりて来たる マリアの子(太字がトロープス該当箇所)

  という風に、キリストのことを説明する言葉が挿入され、意味が強められています。

  ◆「文法的にも自然に挿入されているのが面白いですね」



クレドに続き、個人的に大好きな曲なのでついつい長くなりました。
以上に挙げたようなこの曲の面白さを、皆さんに伝えられるように演奏したいと思いますので、
是非、会場でお聴きいただければと思います。

それでは今回はこの辺で。また見てネ♪

 ◆「次回はアニュスデイをご紹介しますよ」



おまけー:或る会話

  *「いやー、ドイツ強かったなぁ」
  *「そうっすねー。7−1とはびっくりですね」
  *「ドイツかぁ。今年もまた行きたくなっちゃったなぁ」
  *「え。行ったことあるんすか?」
  *「ああ、去年も行きたいと思ったんだよ」

sophiaglee at 00:10│Comments(0)TrackBack(0)シリーズもの 

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