QHYCCDの新しい冷却CMOSモノクロカメラ“QHY268M”を天文ハウスTOMITAの冨田常務様のご厚意でお借りすることが出来ましたので、カメラの取り扱いから実際のテスト撮影まで皆さまにご紹介したいと思います。
私はカメラの専門家でもエンジニアでもありませんので、不勉強な面がございますこと予めご容赦いただきますようよろしくお願い申し上げます。


■□■ カメラの概要とCFW等附属機具選びのポイント ■□■

268Mのカメラのスペックは以前こちら↓で詳しくご紹介していますのでご覧下さい。
http://blog.livedoor.jp/sorano_jigsaw_puzzle/archives/8416498.html

QHYのメーカーサイトは以下の通りです。
https://www.qhyccd.com/index.php?m=content&c=index&a=show&catid=94&id=56&cut=1


<268Mのサイズ感>

お借りした268Mを私のQHY600と比べてみました。
サイズ感は600に比べてコンパクトですね。
IMG_E9945_1



DSC01274 (3)_1

カメラはこのように梱包されていて、クッションの下にアダプター類が入っています。

センサーサイズを600Mと268Mで比較してみると以下の通りです。
IMG_E9940_1

左がAPS-Cサイズの268M(23.5mm x 15.7mm)、右がフルサイズ(36mm x 24mm)の600Mです。
268MのAPS-Cはフルサイズのだいたい60%の面積です。
こうやってみるとフルサイズの大きさがわかりますね。フルサイズクラスになると望遠鏡の性能がモロに画像に出ますが、それも頷けるところです。
そういった観点からすると、APS-Cサイズというのはそこまで望遠鏡を選ばずに使えるというメリットは大きいですね。

268Mのセンサー画像を大きくすると下の画像になります。
DSC01282 (2)_1

何だかやっぱり“ちょうど良い”感じの大きさですね。
バックフォーカスは12.5mmです。600Mが17.5mmですから、5mm短いので光路長を確保する面でも使い勝手良さそうです。


<CFW(カラーフィルターホイール)選び>

モノクロカメラですから、カラーフィルターホイールをつける必要があります。
カラーフィルターサイズは、個人的には2インチサイズをお薦めしたいと思います。
36.4㎜サイズでも行けるとは思いますが、ケラレ等を考慮すると光束面で有利な2インチをお薦めします。

36.4mmサイズと2インチサイズを比較してみましょう。

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左がメーカーが紹介している36.4mmです。
右は私の2インチ(50.4mmマウント無し)のCFWに取り付けた268Mの写真です。
右の方が余裕があっていいでしょう?
これだけ広いと光量も十分だと思います。
ちなみに私のCFWはQHYCCDのQHYCFW3-USで厚さが17mmと非常に薄いホイールです。
ホイールと望遠鏡の接続はK-Astecさんのスケアリング調整機能付きオフアキシステムで接続しています。
このスペシャルセットは、K-Astecさんで製作され、天文ハウスTOMITAさんで販売されています。
タカハシ規格のM54がそのまま使えますからタカハシユーザーにはとても使い勝手が良い逸品です!
268Mにもそのまま使えました。
ただし、バックフォーカスが600Mと違いましたのでフォーカス位置が変わりますけれど。

以下がQHYCFW3とスケアリング調整機能付きオフアキシステムを付けた感じです。本撮影の画像もご覧ください。
IMG_E9954_1DSC01316 (2)_1










■□■ MaxImでの接続と運用のポイント ■□■

268Mは、QHYの純正制御ソフトがありますが、私の場合は以前からMaxImを使っていますので、MaxImでの接続と運用をご紹介します。

<ドライバソフトのダウンロード>

まず、ドライバーソフトをQHYからダウンロードする必要があります。
QHYのサイトをみると“Download”というタグがありますので、そこから必要なドライバソフトをダウンロードします。
QHYはカメラに必要なドライバソフトがオールインワンのパッケージになっていますからとても便利です。

QHYdriversoft_page-0001

268Mは“Beta Version”を選択してお手持ちのCドライブにダウンロードしてください。

さて、いよいよカメラをパソコンと繋ぐことになりますが、QHYのカメラは繋ぎ方に特徴がありますので必ず次の順番に接続をお願いします。

【カメラを接続する場合】
① カメラの電源を入れる(AC電源にプラグを差し込む)
② パソコンのソフトを立ち上げる(カメラに電源を入れる前でも可)
③ カメラのUSBをパソコンに繋げる。⇒ここがポイントです。

【カメラの電源を切る場合】
① カメラの電源を切る(電源プラグを引き抜く)
② USBをパソコンから抜き取る。

面倒ですが、この順番でお願いします。


<MaxImでの接続>

① カメラの設定

MaxImでの接続は以前600Mの導入の時に経験していますのでスムーズに接続できました。
600Mの時は販売当初ドライバにバグがあったようで時々フリーズすることもありましたが、ドライバソフトもこなれてきて“Stable Version”となりスムーズに駆動できています。

268Mはまだ“Beta Version”ですが昨日繋いだ感じでは特に“大きな”問題はありませんでした。

MaxImの接続は以下の要領で行います。
まず、トップページを開き、カメラのセッティングを行います。
MaxIm_toppage

トップ画面から、“Camera Control”の画面を出します。
MaxIm_Top_02
Camera Controlでは、カメラとCFW、ガイドカメラの設定を行います。
QHYはASCOMで接続することになります。









まず、カメラの接続ですが、Camera1の「Setup Camera」のタブをクリックします。
そうすると以下の画面が出てきます。
268M_02

Camera Modelの▼マークを押し下げ、その中から「ASCOM」を選択します。
選択し終わると、次に右側の「Advanced」をクリックします。
そうすると以下の画面が出てきます。
268M_03

「Properties」をクリックし、その中から“QHYCCD-Camera-Capture”を選択し、「OK」を押します。
そうすると次の画面が出てきます。
268M-01

この段階で268Mのカメラの詳細設定を行います。
まず左側から「Camera」を“QHY268M・・・”を選択します。
次に「GainとOffset」を設定します。
Gainは感度設定ですが、GainとDynamicrangeはトレードオフの関係にありますのであまり上げ過ぎないようご留意ください。
GainとDynamicrangeの相関グラフを見ると、最適値はLRGBならGain“30”、NarrowbandならGain“60”かなと思います。

Offsetは、信号とノイズの差を区分するものですから、ゼロ近くでOKです。私は“3”にしています。

次に「Binning Mode」ですが、これは通常BIN1:1ですね。

「Readout Speed」はカメラからパソコンへの伝送速度の設定です。
268Mの画像容量は51MBです。ちなみに600Mは119MBあります(汗)
USB3.0接続であればUSB Trafficのスピードは“50”でOKです。

右側に移って「Advanced」の設定です。
QHYのカメラは学術用に通常のセンサーサイズよりも広く情報を取得する機能があります。通常アマチュアであれば不要ですので“Remove Over Scan Area”に✓を入れてください。

「Read Mode」は通常“Photo Graphic DSO”に設定します。

以上で「OK」をクリックし、カメラの設定を終えます。開いているウィンドウをすべてOKしてください。
カメラは初期設定すれば次回から設定は不要です。
ただし、LRGBとNarrowband撮影でGainを変えるときは都度設定を行ってください。

② CFWの設定
次にカラーフィルターホイール(CFW)の設定です。
「Camera Control」の“Setup Filter”をクリックします。
268M_04CFW

Setup Filterをクリックすると「Setup ASCOM」のウィンドウが開きますから、右肩の「Filter or  Controling Camera Model」を“ASCOM”にして、Filter Nameを記入します。
記入し終えて左下の「Adovanced」をクリックします。

次に「ASCOM Filter Wheel Chooser」のウィンドウが開きます。
Propertiesをクリックして“QHYCCD Filter Wheel”を選択し、OKします。


268M_05cfw
そうすると、左画面の画像が出ますので、フィルターの種類とポジション確認して「OK」を押します。

フィルターは、フィルターホイールに装着するときにどの番号にどのフィルターを装着したかをしっかり記録しておいてください。

通常は5枚の場合は“R⇒G⇒B⇒L⇒Hαに装着します。
どのCFWも同様の順番にすることを決めておくと迷いはなくなると思います。








これでCFWの設定が終わりましたのですべてOKして閉じます。

以上でカメラとCFWの設定は終了です。
「Camera2」でガイドカメラを設定する場合は、Camera1と同様の設定を行ってください。

これでカメラとMaxImの設定は完了です。

ファーストライトの実際の撮影時の状況は以下の通りです。

NGC3242Test_page-0001

実際に268Mを使ってみた感じですが、冷却能力は600Mよりも少しだけですが能力が高いように思えました。
昨夜はこの時期にしては異常に暖かくて、最低でも6~7度でした。268Mの温度設定はマイナス20℃に設定したのですが、Powerはだいたい60~70%で推移していました。
公称外気温マイナス30℃といわれていましたので、概ねそんな感じですね。

温度コントロールで、徐々に温度を下げている途中に温度コントロールがたまに“-20℃”のままになって制御できなくなるケースがあります。
その時は、「Expose」タグにして、“Filter Wheel”をどれでもいいから指定してホイールを回してください。
なぜかそうすると温度コントロールが通常通りに戻ります(笑)
600Mの時にフリーズして困っている時に見つけ出した“裏技”です。


以上、長文になってしまいましたが、皆さまのお役に立てれれば幸いです。
次回は昨夜のファーストライトの状況をご紹介したいと思います。